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第9章 日本の国際競争力を高めろ!
日本の経済力はどれくらい?(その2)
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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。
図表52で対象とした国(2021年時点の名目GDP上位10位の国)について、2000年から2021年までの一人当たり名目GDPの推移を示したものが図表53だ。
【図表53:一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】
出所:UN
一人当たり名目GDPの推移を見ると、米国、中国、ドイツ、韓国が上昇していることが分かるだろう。一方、日本の一人当たり名目GDPは4万米ドルから大きく変わっていない。なんなら2022年、2023年は円安によって一人当たり名目GDP(ドル建)は大きく下がっているだろう。
※例えば、1米ドル=100円から1米ドル=150円になると(円安)、日本の円建GDPが変化しなくても、米ドル建GDPは66.7%(33.3%減)になります。
中国の人口は世界第2位、名目GDPは第2位である。中国は経済大国とイメージしている人がいるかもしれないが、それは人口が多いからだ。
一人当たり名目GDPは2000年の950米ドル(150円/米ドルで換算すれば14万円)から2021年の12,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば180万円)まで伸びた。約20年で12.6倍増加している。とはいえ、中国の一人当たり名目GDPまだ日本の1/3以下である。
中国の平均的な労働生産性は日本の1/3以下、中国人の平均給与は日本人の1/3以下だ。先進諸国と比べると、まだまだ中国は貧しい国といえる。
現在の中国は経済危機に瀕している。経済危機をやり過ごすことができれば、中国は先進国並みの一人当たり名目GDPに成長していくだろう。そうすれば、14億人のレバレッジ効果から名目GDPは急激に増加していくことになる。
**
次に、日本の国際競争力の脅威になるのが世界最大の人口(2023年度:14.2億人)を有するインドだ。インドの一人当たり名目GDPは2021年時点で約2,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば30万円)。日本の1/17ではあるが、既に名目GDPは世界第5位にある。
インドの一人当たり名目GDPは今後数十年間上がり続ける。そうすれば、世界最大の人口を有するインドの国別GDPは急激に増加する。
日本の国別GDPは直ぐにインドに追い抜かれてしまう。
**
ついでに、一人当たり名目GDPの上位についても紹介しておこう。
図表53-2が2021年度の一人当たり名目GDPの上位10か国を示したものだ。
【図表53-2:一人当たり名目GDPの上位10か国<単位:米ドル>】
出所:UN
一人当たり名目GDPの世界1位はモナコ公国の23.4万米ドル(150円/米ドルで換算すれば3,514万円)だ。
米国以外の上位10か国は、リヒテンシュタイン:16.9万米ドル、ルクセンブルク:13.3万名ドル、バミューダ:11.2万米ドル、アイルランド:10.1万米ドル、スイス:9.3万米ドル、ノルウェー:8.9万米ドル、ケイマン諸島:8.5万米ドル、アイスランド:6.9万米ドルと続く。
上位の国の顔ぶれを見れば分かる人もいると思う。上位10か国はほぼタックスヘイブンだ。
つまり、世界中の富裕層の資金を運用している小さな国が上位になっている。
これらの国では給与も物価も日本とは比較にならないくらい高い。
**
ついでになってしまって申し訳ないのだが、一人当たり名目GDPについて、日本がアジアでどれくらいの位置にいるかを説明しておこう。
アジアの一人当たり名目GDPの2000年から2021年の推移を示したのが図表54だ。
【図表54:アジアの一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】
出所:UN
アジア圏のトップはシンガポール。2021年度は6.7万米ドル(150円/米ドルで換算すれば1,050万円)なので日本の1.7倍である。
日本はシンガポールに次いで2位だ。が、シンガポールとの差は年々広がっているように見える。
韓国は3位だ。安定的に上昇しているから、数年したら日本を抜いてアジア圏では2位になるだろう。
4位はブルネイだ。過去には日本を抜いて2位になった時期もあった。
ブルネイを知らない人もいると思うが、カリマンタン島(マレーシアやインドネシアがある島)の北部に位置する東南アジアの国だ。鉱物性燃料(石油・液化天然ガス等)が主な輸出品目となっている。
筆者は「ブルネイがどんな国か一度見に行ってみよう!」と思ったことがあるが、観光名所が全くなくて止めたことがある。
一人当たり名目GDPが高い国は人口が少ない。
シンガポールは564万人、ブルネイは44万人しかいない。人口が少ないから経済規模としては大きくないのだが、豊かな国になる。
世界中から富裕層の多い国と認識されている国はどれも小国だ。
***
再度になるが国力は以下の計算式で表す。
GDP = 1人当たりGDP × 人口
中国やインドのように人口が多ければ経済規模が大きくなりやすいが、豊かさ(1人当たりGDP)は伸びにくい。逆に、シンガポールやブルネイのような人口が少ない国は、経済規模は小さいものの国民は豊かである。
そういう意味では、日本は「今後どちらを目指していくのか?」を決めないといけないのだろう。
図表52で対象とした国(2021年時点の名目GDP上位10位の国)について、2000年から2021年までの一人当たり名目GDPの推移を示したものが図表53だ。
【図表53:一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】
出所:UN
一人当たり名目GDPの推移を見ると、米国、中国、ドイツ、韓国が上昇していることが分かるだろう。一方、日本の一人当たり名目GDPは4万米ドルから大きく変わっていない。なんなら2022年、2023年は円安によって一人当たり名目GDP(ドル建)は大きく下がっているだろう。
※例えば、1米ドル=100円から1米ドル=150円になると(円安)、日本の円建GDPが変化しなくても、米ドル建GDPは66.7%(33.3%減)になります。
中国の人口は世界第2位、名目GDPは第2位である。中国は経済大国とイメージしている人がいるかもしれないが、それは人口が多いからだ。
一人当たり名目GDPは2000年の950米ドル(150円/米ドルで換算すれば14万円)から2021年の12,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば180万円)まで伸びた。約20年で12.6倍増加している。とはいえ、中国の一人当たり名目GDPまだ日本の1/3以下である。
中国の平均的な労働生産性は日本の1/3以下、中国人の平均給与は日本人の1/3以下だ。先進諸国と比べると、まだまだ中国は貧しい国といえる。
現在の中国は経済危機に瀕している。経済危機をやり過ごすことができれば、中国は先進国並みの一人当たり名目GDPに成長していくだろう。そうすれば、14億人のレバレッジ効果から名目GDPは急激に増加していくことになる。
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次に、日本の国際競争力の脅威になるのが世界最大の人口(2023年度:14.2億人)を有するインドだ。インドの一人当たり名目GDPは2021年時点で約2,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば30万円)。日本の1/17ではあるが、既に名目GDPは世界第5位にある。
インドの一人当たり名目GDPは今後数十年間上がり続ける。そうすれば、世界最大の人口を有するインドの国別GDPは急激に増加する。
日本の国別GDPは直ぐにインドに追い抜かれてしまう。
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ついでに、一人当たり名目GDPの上位についても紹介しておこう。
図表53-2が2021年度の一人当たり名目GDPの上位10か国を示したものだ。
【図表53-2:一人当たり名目GDPの上位10か国<単位:米ドル>】
出所:UN
一人当たり名目GDPの世界1位はモナコ公国の23.4万米ドル(150円/米ドルで換算すれば3,514万円)だ。
米国以外の上位10か国は、リヒテンシュタイン:16.9万米ドル、ルクセンブルク:13.3万名ドル、バミューダ:11.2万米ドル、アイルランド:10.1万米ドル、スイス:9.3万米ドル、ノルウェー:8.9万米ドル、ケイマン諸島:8.5万米ドル、アイスランド:6.9万米ドルと続く。
上位の国の顔ぶれを見れば分かる人もいると思う。上位10か国はほぼタックスヘイブンだ。
つまり、世界中の富裕層の資金を運用している小さな国が上位になっている。
これらの国では給与も物価も日本とは比較にならないくらい高い。
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ついでになってしまって申し訳ないのだが、一人当たり名目GDPについて、日本がアジアでどれくらいの位置にいるかを説明しておこう。
アジアの一人当たり名目GDPの2000年から2021年の推移を示したのが図表54だ。
【図表54:アジアの一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】
出所:UN
アジア圏のトップはシンガポール。2021年度は6.7万米ドル(150円/米ドルで換算すれば1,050万円)なので日本の1.7倍である。
日本はシンガポールに次いで2位だ。が、シンガポールとの差は年々広がっているように見える。
韓国は3位だ。安定的に上昇しているから、数年したら日本を抜いてアジア圏では2位になるだろう。
4位はブルネイだ。過去には日本を抜いて2位になった時期もあった。
ブルネイを知らない人もいると思うが、カリマンタン島(マレーシアやインドネシアがある島)の北部に位置する東南アジアの国だ。鉱物性燃料(石油・液化天然ガス等)が主な輸出品目となっている。
筆者は「ブルネイがどんな国か一度見に行ってみよう!」と思ったことがあるが、観光名所が全くなくて止めたことがある。
一人当たり名目GDPが高い国は人口が少ない。
シンガポールは564万人、ブルネイは44万人しかいない。人口が少ないから経済規模としては大きくないのだが、豊かな国になる。
世界中から富裕層の多い国と認識されている国はどれも小国だ。
***
再度になるが国力は以下の計算式で表す。
GDP = 1人当たりGDP × 人口
中国やインドのように人口が多ければ経済規模が大きくなりやすいが、豊かさ(1人当たりGDP)は伸びにくい。逆に、シンガポールやブルネイのような人口が少ない国は、経済規模は小さいものの国民は豊かである。
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