42 / 131
第5章 ゼロゼロ融資の崩壊を防げ!
ゼロゼロ融資は何が問題なのか(その2)
しおりを挟む
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ゼロゼロ融資のような政府がカネをばら撒く制度は、モラル・ハザードが発生しやすい。どういうことかを念のために説明しておく。
まず、ゼロゼロ融資を申し込む対象を図示したのが図表31だ。
【図表31:ゼロゼロ融資の申し込み】
ほぼ破綻状態の会社(ゾンビ企業)は、銀行やノンバンクは融資しない。融資してくれる先がどこにもないのだが、ゼロゼロ融資であれば借りることができる。
パンデミックで業績が悪化したことを装って、ゼロゼロ融資を申し込めばいい。具体的には過去の決算書類を粉飾して金融機関に提出し、パンデミックで業績が悪化したと説明してゼロゼロ融資を借りる。
ゾンビ企業はもともと借入金を返済できる返済能力はないから融資は貸し倒れる。つまり、ゾンビ企業向けのゼロゼロ融資はほぼ100%貸し倒れる。税金の無駄遣いだ。
次に、不良債権化しそうな会社(業績の悪い会社)は銀行にとってお荷物だ。債務者区分が下がれば貸倒引当金を積み増ししないといけないし、不良債権として開示しないといけなくなる。
そういう会社に対して、銀行はゼロゼロ融資の申し込みを会社に提案する。ゼロゼロ融資で調達した資金で銀行の通常貸付(プロパー融資)を返済させるためだ。業績の悪い会社の銀行借入はゼロゼロ融資に振り替わるから、銀行は不良債権の処理ができる。
この対象はもともと業績が悪くて不良債権化しそうな会社だ。不良債権予備軍だからパンデミックで打撃を受ければ、貸し倒れる可能性は高い。
この場合、ゼロゼロ融資はかなりの確率で不良債権化する。これも、税金の無駄遣いだ。
パンデミックの前から、業績の良い会社は銀行借入をしていない会社(無借金会社)が多かった。過去のバブル崩壊やリーマン・ショックで懲りた日本企業は、銀行借入に頼らずに手許資金を厚くしていったのが理由だ。優良企業のかなりの割合が無借金会社また実質無借金会社(ネットデット(借入金-現預金)がマイナスの会社)だ。
無借金企業は潤沢に現預金を保有しているから、パンデミックで一時的に業績が悪化しても手元資金で賄える。借入は必要ない。一方、業績の良い会社のうち、パンデミックで業績が悪化し、さらに手元資金が潤沢になかった会社はゼロゼロ融資を申し込んだ。
つまり、業績の良い会社がゼロゼロ融資を申し込む可能性はそれほど高くない。
一時的に業績が悪化した業績の良い会社だから、ゼロゼロ融資は返済される。
ちなみに、ゼロゼロ融資は中小企業か個人事業主しか申し込みができない。つまり、大企業は対象にならないから、ゼロゼロ融資を借りているのは小規模の信用力の高くない企業がほとんどだ。
ゼロゼロ融資の対象を企業規模・業績・手許資金で分けると図表31-2のようになる。
【図表31-2:ゼロゼロ融資の対象】
※回収可能性は筆者が独断で記載しています。
企業規模が小さく、業績が悪く、手許資金が不足している会社がゼロゼロ融資の対象となっていることが分かるだろう。
そして、そのかなりの割合が貸倒れによって、国民負担になっていく。それがゼロゼロ融資の問題の本質なのだ。
ゼロゼロ融資のような政府がカネをばら撒く制度は、モラル・ハザードが発生しやすい。どういうことかを念のために説明しておく。
まず、ゼロゼロ融資を申し込む対象を図示したのが図表31だ。
【図表31:ゼロゼロ融資の申し込み】
ほぼ破綻状態の会社(ゾンビ企業)は、銀行やノンバンクは融資しない。融資してくれる先がどこにもないのだが、ゼロゼロ融資であれば借りることができる。
パンデミックで業績が悪化したことを装って、ゼロゼロ融資を申し込めばいい。具体的には過去の決算書類を粉飾して金融機関に提出し、パンデミックで業績が悪化したと説明してゼロゼロ融資を借りる。
ゾンビ企業はもともと借入金を返済できる返済能力はないから融資は貸し倒れる。つまり、ゾンビ企業向けのゼロゼロ融資はほぼ100%貸し倒れる。税金の無駄遣いだ。
次に、不良債権化しそうな会社(業績の悪い会社)は銀行にとってお荷物だ。債務者区分が下がれば貸倒引当金を積み増ししないといけないし、不良債権として開示しないといけなくなる。
そういう会社に対して、銀行はゼロゼロ融資の申し込みを会社に提案する。ゼロゼロ融資で調達した資金で銀行の通常貸付(プロパー融資)を返済させるためだ。業績の悪い会社の銀行借入はゼロゼロ融資に振り替わるから、銀行は不良債権の処理ができる。
この対象はもともと業績が悪くて不良債権化しそうな会社だ。不良債権予備軍だからパンデミックで打撃を受ければ、貸し倒れる可能性は高い。
この場合、ゼロゼロ融資はかなりの確率で不良債権化する。これも、税金の無駄遣いだ。
パンデミックの前から、業績の良い会社は銀行借入をしていない会社(無借金会社)が多かった。過去のバブル崩壊やリーマン・ショックで懲りた日本企業は、銀行借入に頼らずに手許資金を厚くしていったのが理由だ。優良企業のかなりの割合が無借金会社また実質無借金会社(ネットデット(借入金-現預金)がマイナスの会社)だ。
無借金企業は潤沢に現預金を保有しているから、パンデミックで一時的に業績が悪化しても手元資金で賄える。借入は必要ない。一方、業績の良い会社のうち、パンデミックで業績が悪化し、さらに手元資金が潤沢になかった会社はゼロゼロ融資を申し込んだ。
つまり、業績の良い会社がゼロゼロ融資を申し込む可能性はそれほど高くない。
一時的に業績が悪化した業績の良い会社だから、ゼロゼロ融資は返済される。
ちなみに、ゼロゼロ融資は中小企業か個人事業主しか申し込みができない。つまり、大企業は対象にならないから、ゼロゼロ融資を借りているのは小規模の信用力の高くない企業がほとんどだ。
ゼロゼロ融資の対象を企業規模・業績・手許資金で分けると図表31-2のようになる。
【図表31-2:ゼロゼロ融資の対象】
※回収可能性は筆者が独断で記載しています。
企業規模が小さく、業績が悪く、手許資金が不足している会社がゼロゼロ融資の対象となっていることが分かるだろう。
そして、そのかなりの割合が貸倒れによって、国民負担になっていく。それがゼロゼロ融資の問題の本質なのだ。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる