こちら国家戦略特別室

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第5章 ゼロゼロ融資の崩壊を防げ!

住宅ローンは固定派? 変動派?(その2)

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 僕は変動金利の方がいいとは思うのだが、固定金利派の言い分も分かる。将来のことが心配だから、固定金利の方が安心だと考える人がいるからだ。だから、固定金利の住宅ローンが存在する。

 ちなみに、住宅金融支援機構の2023年4月の調査では、住宅ローン利用者の72.3%が変動型、18.3%が固定期間選択型、9.3%が全期間固定型を選択している。つまり、純粋な固定金利の住宅ローンを選択している人は、全体の10%にも満たない。

【図表29-2:住宅ローンの金利タイプ】

  
※出所:住宅金融支援機構

 住宅ローンの固定金利は長期金利に影響を受ける。ここ最近は日銀の金融政策の修正によって長期金利が上昇しているから、さらに変動型の比率が増えているはずだ。

 変動金利派2に対して、固定金利派1に別れた国家戦略特別室。
 新居室長は、茜に続き僕も変動金利派だと分かったので、肩身が狭いようだ。

「だってさー、将来のことは誰にも分からないでしょ。私は変動金利で住宅ローンを借りてから本当に払い続けられるかが不安なんだよ」と新居室長は小声で言う。

 気持ちは分からなくはない。将来のことは誰にも分からないからだ。
 ただ、将来の安心料として固定金利を選択してコストを払っていることも事実だ。僕は新居室長に説明することにした。

「まあ、気持ちは分からなくはないですね」
「そうでしょ。不安でしょ」
「でも、冷静に考えて下さい。固定金利は変動(上下)しやすいけど、変動金利は変動(上下)しにくいですよね」
「そうね」
「それに、もし上がったとしても2%まで変動金利が上がるとは思えません」
「でもさ、アメリカの住宅ローン金利みたいに急激に上がったらどうするの? 短期金利が5%超えていて、住宅ローンの固定金利も7%を超えてるんだよ」

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によれば、2023年10月時点の米国の住宅ローン市場において30年固定の住宅ローン金利(週平均)は7.49%である。日本以外の国(例えば米国や欧州)の金利変動は大きいから固定金利の需要は高い。


「ここは日本ですから、そこまでは上がらないと思いますよ。それに、そんなに金利が上昇したら国債の利払いができませんから」
「まあ、そうね」
「ちなみに、住宅ローンを固定金利で借りたら、変動金利で借りる場合よりもどれくらい差があると思います?」
「計算してないから分からない」
「結構、違ってくるはずですよ」
「そうね。違うのは分かるけど、安心料として割り切るしかないかな……」

「とりあず、固定金利は2.5%として、変動金利は上がったり下がったりするから平均0.5%とします」

 元本5,000万円、30年間の年1回の元利均等返済(毎回、元金と利息の合計額を定額支払う返済方法)とした場合、金利2.5%と0.5%の場合の年間返済額(元本返済額、利息支払額)を表示したものが図表29-3と図表30だ。

※ちなみに、元金を均等に返済していく返済方法を「元金均等返済」といいます。


【図表29-3:固定金利2.5%の元利金返済額<単位:千円>】

  
※年一回返済として計算しています。

【図表30:変動金利0.5%の元利金返済額<単位:千円>】

  
※年一回返済として計算しています。

 元利均等返済は毎回同じ金額を支払っていくため、返済時の元本に応じて利息返済額を計算し、支払額から利息返済額を差し引いた金額を元本返済額とする。
 元本の返済によって残高が減少すると支払利息の金額も減少していく。だから、年数が経過するにしたがって、利息返済額が減少し、元本返済額が増加していく。

 金利2.5%の場合は返済額の合計が7,166万円、うち利息返済額が2,166万円だ。
 年間返済額は239万円、月額約20万円の返済となる。住宅ローンの負担額としてはかなり重い金額になる。

 一方、金利0.5%の場合は返済額の合計が5,396万円、うち利息返済額が396万円だ。
 年間返済額は180万円、月額約15万円の返済となる。住宅ローンの負担額として小さくはないが、金利2.5%の場合に比べて月額返済額が5万円少なくてすむ。

 30年間の返済額は金利0.5%よりも金利2.5%の場合の方が1,770万円多くなる。
 言い換えると、金利を30年間固定する安心料として1,770万円払っていることになる。かなり大きな金額だ。

<その3に続く>
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