188 / 197
第7回活動報告:通貨危機を回避しろ
国内世論との戦い(その1)
しおりを挟む
(8)国内世論との戦い
ポールがホラント証券に米銀との取引をアレンジするように依頼したところ、直ぐに興味を持つ米銀が現れた。これで俺たち内部調査部の関係する取引の準備は整った。
全ての準備が整った俺たちは為替対応のための一連の取引(以下の①~⑬)をスタートした。
①ジャービス中央銀行から額面3,000億JD の10年国債を無担保で借りる
②10年国債を担保に1兆JD分の米ドルを購入する
③政策金利を1%に引き下げる
④購入した1兆JD分の米ドルを売却する
⑤額面3,000億JD の10年国債を米銀に売却する
⑥売却益を使って補助金を出す
⑦海外企業の誘致を行う
⑧1兆JD分の米ドルを空売りする
⑨政策金利を4%に引き上げる
⑩空売りした1兆JD分の米ドルを買い戻す
⑪額面3,000億JD の10年国債を米銀から買い戻す
⑫ジャービス中央銀行に額面3,000億JD の10年国債を返済する
⑬決済益を使って補助金を出す
まず、①ジャービス中央銀行から額面3,000億JDの国債を無担保債券貸借取引で借り入れた。
俺たちがジャービス中央銀行を訪問した後、総裁のアドルフが何度か内務省に訪問してチャールズに考え直すように打診したようだ。だが、アドルフの努力も虚しく、チャールズの考えは変わらなかった。
だから、俺たちはジャービス中央銀行から国債を無担保で借りることができた。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円としています。
ジャービス中央銀行から借りた額面3,000億JDの国債は外為取引の証拠金として、ホラント証券の証券口座に移管した。米ドルを購入するための担保とするためだ。
そして、俺たちはホラント証券から②米ドルを1兆JD分買付けた。
取引直前の為替レートは1米ドル=140JDだったが、1兆JDの米ドル買いを入れたことによって、為替レートは1米ドル=145JDまでジャービス・ドル安が進んだ。
ジャービス・ドルの取引量は米ドルに比べると極めて小さいから、為替レートが動くのは仕方のないことだ。
為替レートの変動の結果、俺たちの米ドルの平均購入単価は1米ドル=143JDとなった。
購入した米ドルは69.93億米ドル(=1兆JD÷143JD/米ドル)だ。
ジャービス・ドルを空売りしているヘッジファンドは、急に為替レートが1米ドル=140JDから1米ドル=145JDに動いたことに驚いたようだ。だが、米ドルの買い注文がジャービス王国のホラント証券から出ていることから、純粋な為替のトレーディングだとヘッジファンドは思ったようだ。俺たちが大量にジャービス・ドルを売った(米ドルを買った)にも関わらず、ヘッジファンドは大きなポジション変更をしなかった。
ここまでは為替レートが少し動いただけで、ジャービス王国の国民や企業に大きな影響は出ない。マスコミからの報道もなく、誰も注目していなかった。
米ドルの購入から2週間が経過し、内務省から③ジャービス・ドルの10年国債金利を1%に誘導する金融緩和政策が発表された。金融緩和の理由は『低金利の誘導によって国内景気を刺激するため』と公表した。
内務省が公表した金融緩和政策により、銀行貸出の平均金利が5%から2%に低下した。
調達金利の低下によって、ジャービス国内企業は銀行からの借入を徐々に増やしていった。
一方、ジャービス・ドル金利が1%に低下したことによって、為替レートに大きな動きが見られた。
ジャービス・ドル金利が1%なのに対して米ドル金利が4%だ。企業や個人投資家の間でJD売り・米ドル買いが一気に広がった。この結果、ジャービス・ドル安の動きが加速して為替レートは一時的に1米ドル=200JDまで下落した。
国内外の投資家が狼狽してジャービス・ドルを売ったり、ヘッジファンドがジャービス・ドルの空売りのポジションを増やしたことも影響している、とホラント証券の担当者は言っていた。
俺の狙い通りに為替市場は反応したようだ。
<続く>
ポールがホラント証券に米銀との取引をアレンジするように依頼したところ、直ぐに興味を持つ米銀が現れた。これで俺たち内部調査部の関係する取引の準備は整った。
全ての準備が整った俺たちは為替対応のための一連の取引(以下の①~⑬)をスタートした。
①ジャービス中央銀行から額面3,000億JD の10年国債を無担保で借りる
②10年国債を担保に1兆JD分の米ドルを購入する
③政策金利を1%に引き下げる
④購入した1兆JD分の米ドルを売却する
⑤額面3,000億JD の10年国債を米銀に売却する
⑥売却益を使って補助金を出す
⑦海外企業の誘致を行う
⑧1兆JD分の米ドルを空売りする
⑨政策金利を4%に引き上げる
⑩空売りした1兆JD分の米ドルを買い戻す
⑪額面3,000億JD の10年国債を米銀から買い戻す
⑫ジャービス中央銀行に額面3,000億JD の10年国債を返済する
⑬決済益を使って補助金を出す
まず、①ジャービス中央銀行から額面3,000億JDの国債を無担保債券貸借取引で借り入れた。
俺たちがジャービス中央銀行を訪問した後、総裁のアドルフが何度か内務省に訪問してチャールズに考え直すように打診したようだ。だが、アドルフの努力も虚しく、チャールズの考えは変わらなかった。
だから、俺たちはジャービス中央銀行から国債を無担保で借りることができた。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円としています。
ジャービス中央銀行から借りた額面3,000億JDの国債は外為取引の証拠金として、ホラント証券の証券口座に移管した。米ドルを購入するための担保とするためだ。
そして、俺たちはホラント証券から②米ドルを1兆JD分買付けた。
取引直前の為替レートは1米ドル=140JDだったが、1兆JDの米ドル買いを入れたことによって、為替レートは1米ドル=145JDまでジャービス・ドル安が進んだ。
ジャービス・ドルの取引量は米ドルに比べると極めて小さいから、為替レートが動くのは仕方のないことだ。
為替レートの変動の結果、俺たちの米ドルの平均購入単価は1米ドル=143JDとなった。
購入した米ドルは69.93億米ドル(=1兆JD÷143JD/米ドル)だ。
ジャービス・ドルを空売りしているヘッジファンドは、急に為替レートが1米ドル=140JDから1米ドル=145JDに動いたことに驚いたようだ。だが、米ドルの買い注文がジャービス王国のホラント証券から出ていることから、純粋な為替のトレーディングだとヘッジファンドは思ったようだ。俺たちが大量にジャービス・ドルを売った(米ドルを買った)にも関わらず、ヘッジファンドは大きなポジション変更をしなかった。
ここまでは為替レートが少し動いただけで、ジャービス王国の国民や企業に大きな影響は出ない。マスコミからの報道もなく、誰も注目していなかった。
米ドルの購入から2週間が経過し、内務省から③ジャービス・ドルの10年国債金利を1%に誘導する金融緩和政策が発表された。金融緩和の理由は『低金利の誘導によって国内景気を刺激するため』と公表した。
内務省が公表した金融緩和政策により、銀行貸出の平均金利が5%から2%に低下した。
調達金利の低下によって、ジャービス国内企業は銀行からの借入を徐々に増やしていった。
一方、ジャービス・ドル金利が1%に低下したことによって、為替レートに大きな動きが見られた。
ジャービス・ドル金利が1%なのに対して米ドル金利が4%だ。企業や個人投資家の間でJD売り・米ドル買いが一気に広がった。この結果、ジャービス・ドル安の動きが加速して為替レートは一時的に1米ドル=200JDまで下落した。
国内外の投資家が狼狽してジャービス・ドルを売ったり、ヘッジファンドがジャービス・ドルの空売りのポジションを増やしたことも影響している、とホラント証券の担当者は言っていた。
俺の狙い通りに為替市場は反応したようだ。
<続く>
0
あなたにおすすめの小説
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
【第一部完結】科学で興す異世界国家 ~理不尽に殺された技術者は第三王子に転生し、科学で王座に至る~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
※1話から読んでも大丈夫。ただ、0話を読むと「あのシーン」の意味が変わります。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「記録係なんてお荷物はいらない」
勇者パーティを支えてきた青年・ライトは、ダンジョンの最深部に置き去りにされる。
彼のスキル《記録》は、一度通った道を覚えるだけの地味スキル。
戦闘では役立たず、勇者たちからは“足手まとい”扱いだった。
だが死の淵で、スキルは進化する。
《超記録》――受けた魔法や技を記録し、自分も使える力。
そして努力の果てに得たスキル《成長》《進化》が、
《記録》を究極の力《アカシックレコード》へと昇華させる。
仲間を守り、街を救い、ドラゴンと共に飛翔する。
努力の記録が奇跡を生み、やがて――
勇者も、魔王も凌駕する“最強”へ。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました
たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」
幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。
あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。
しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。
俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる!
「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」
俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。
その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。
「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」
「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」
『コメント:なんだこの配信……神か?』
『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』
これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる