127 / 197
回顧録
王子が私の前にやってきた(その1)
しおりを挟む
(1)王子が私の前にやってきた
私の名前はロイ。独身だ。総務省の内部調査部で働いている。
借金を返し終わったので、そろそろ転職するか迷っている。迷う理由は幾つかある。
ちなみに、前職はジャービス王国の第13穀物倉庫だ。購買部で課長代理として勤務していた。
その前は、バスケットボールの選手として、自動車メーカーに所属していた。
ここでは私の少し話をしようと思う。少しと言いながら、長いかもしれないけど。
***
私は小さいころからスポーツが得意だった。
高校生のとき、バスケットボールの全国大会で準優勝して、大学へはスポーツ推薦でバスケットボールの強豪校に進学した。
勉強はそこまで得意じゃなかったから、大学ではバスケットボール中心の生活を送っていた。それとは別に、叔父から頼まれてアルバイトでアパレルメーカーのモデルをするようになった。私の叔父がそのアパレルメーカーの服飾デザイナーなのだが、高身長の私が身内にいてちょうど良かったのだと思う。プロのモデルを雇うよりも安く済む。
叔父のアパレルメーカーのモデルとして何度か雑誌に掲載されると、他のアパレルメーカーからも声が掛かるようになった。大学ではちょっとした有名人だ。
小さい頃から男子よりも高い身長がコンプレックスだったから、モデルとしてチヤホヤされたのは自信につながったと思う。
バスケットボールは大好きだ。プレーしていると楽しいし、みんな身長が高いから、身長をコンプレックスに感じる必要がない。
でも、身長が高すぎると男の人からは嫌煙される。ジャービス王国の男性の平均身長と比べると、私の身長は10cmくらい高い。
いや、15cmかも知れない。まあ、それはどちらでもいいことだ。
顔立ちも悪くないはずだ。モデルとして雑誌に掲載されるくらいだから、容姿は悪くない。でも、あまりモテない。理由は、男性よりもはるかに高い身長のせいだ。
身長のコンプレックスを克服したと思いきや、なかなか人生は順調に進まない。
大学のバスケットボール・チームに所属していると、男子バスケットボールの選手と知り合う機会が多いと思う人もいるだろう。
でも、はっきり言おう。その考えは間違いだ!
なぜなら、高身長の男性は、高身長の女性以外からもモテるからだ。
特に男子スポーツ選手は女性ファンが多い。大量の女性ファンを相手にして戦うのは、至難の業だ。
身長が低い女性、身長が普通の女性、身長が高い女性、つまり全てのジャービス女性が、高身長の男性を狙っている私のライバルとなるのだ。
※あくまでロイの感想です。
ちなみに、暇な時に調べたのだが、ジャービス王国内で私より身長の高い男性は何パーセントいるか、知っているだろうか?
正解は3%だ。
もう一度言おう。たったの3%だ。
身長が低い女性、身長が普通の女性は、恋愛対象がジャービス王国内の97%の男性だ。
私の場合は、ジャービス王国内に3%しかいない。
なのに、身長が低い女性、身長が普通の女性もライバルだ。
身長を基準にするのは間違っているかもしれないが、私は、3%の男性を100%の女性と奪い合うという、熾烈なレースに勝たないといけないのだ。
不公平だと思わないか?
※あくまでロイの感想です。
不満を言いたいところだが、この話を続けると長くなるので、この辺りで止めておこう。
要約すると、身長の高い私は、そのうち、高身長の王子様が私の前に現れると思っていたのだ。
***
大学を卒業した私は、自動車メーカーの実業団のバスケットボール・チームに入った。ジャービス王国にはバスケットボールのプロリーグがないから、大学卒業後もバスケットボールを続けたい人は、実業団のチームに所属するのが一般的だ。
完全なプロ選手ではないから、自動車メーカーの仕事もこなしながら、バスケットボールをすることになる。
自動車メーカーでは、大学時代にモデルとして活動していたから、広報部に配属された。イベント運営をサポートしたり、会場で自社製品を説明したりするのが私の広報部での仕事だった。
社内での評判は良かったと思う。私の企画はどれも好評だったし、それなりに実績を出した。それに実績に応じて出世もした。
転機はバスケットボール選手を辞めるタイミングだった。そのタイミングで、自動車メーカーを退社した。
その頃には社内の広報イベントを数多く手掛けていたし、役職も主任になっていたから、バスケットボール選手でなくなっても、会社を辞める必要はなかった。
ただ、私の中で、選手を辞めた区切りを、退社という形で付けたかった。
それに、この会社に高身長の王子はいなかったのも理由の一つではある。
ちなみに、男子バスケットボールの選手は、みんな社内結婚した。
男子スポーツ選手はモテるのだ。残っている男子スポーツ選手は、それなりに理由がある。
※あくまでロイの感想です。
ここで争ってはダメだ、と私は気付いた。
<続く>
私の名前はロイ。独身だ。総務省の内部調査部で働いている。
借金を返し終わったので、そろそろ転職するか迷っている。迷う理由は幾つかある。
ちなみに、前職はジャービス王国の第13穀物倉庫だ。購買部で課長代理として勤務していた。
その前は、バスケットボールの選手として、自動車メーカーに所属していた。
ここでは私の少し話をしようと思う。少しと言いながら、長いかもしれないけど。
***
私は小さいころからスポーツが得意だった。
高校生のとき、バスケットボールの全国大会で準優勝して、大学へはスポーツ推薦でバスケットボールの強豪校に進学した。
勉強はそこまで得意じゃなかったから、大学ではバスケットボール中心の生活を送っていた。それとは別に、叔父から頼まれてアルバイトでアパレルメーカーのモデルをするようになった。私の叔父がそのアパレルメーカーの服飾デザイナーなのだが、高身長の私が身内にいてちょうど良かったのだと思う。プロのモデルを雇うよりも安く済む。
叔父のアパレルメーカーのモデルとして何度か雑誌に掲載されると、他のアパレルメーカーからも声が掛かるようになった。大学ではちょっとした有名人だ。
小さい頃から男子よりも高い身長がコンプレックスだったから、モデルとしてチヤホヤされたのは自信につながったと思う。
バスケットボールは大好きだ。プレーしていると楽しいし、みんな身長が高いから、身長をコンプレックスに感じる必要がない。
でも、身長が高すぎると男の人からは嫌煙される。ジャービス王国の男性の平均身長と比べると、私の身長は10cmくらい高い。
いや、15cmかも知れない。まあ、それはどちらでもいいことだ。
顔立ちも悪くないはずだ。モデルとして雑誌に掲載されるくらいだから、容姿は悪くない。でも、あまりモテない。理由は、男性よりもはるかに高い身長のせいだ。
身長のコンプレックスを克服したと思いきや、なかなか人生は順調に進まない。
大学のバスケットボール・チームに所属していると、男子バスケットボールの選手と知り合う機会が多いと思う人もいるだろう。
でも、はっきり言おう。その考えは間違いだ!
なぜなら、高身長の男性は、高身長の女性以外からもモテるからだ。
特に男子スポーツ選手は女性ファンが多い。大量の女性ファンを相手にして戦うのは、至難の業だ。
身長が低い女性、身長が普通の女性、身長が高い女性、つまり全てのジャービス女性が、高身長の男性を狙っている私のライバルとなるのだ。
※あくまでロイの感想です。
ちなみに、暇な時に調べたのだが、ジャービス王国内で私より身長の高い男性は何パーセントいるか、知っているだろうか?
正解は3%だ。
もう一度言おう。たったの3%だ。
身長が低い女性、身長が普通の女性は、恋愛対象がジャービス王国内の97%の男性だ。
私の場合は、ジャービス王国内に3%しかいない。
なのに、身長が低い女性、身長が普通の女性もライバルだ。
身長を基準にするのは間違っているかもしれないが、私は、3%の男性を100%の女性と奪い合うという、熾烈なレースに勝たないといけないのだ。
不公平だと思わないか?
※あくまでロイの感想です。
不満を言いたいところだが、この話を続けると長くなるので、この辺りで止めておこう。
要約すると、身長の高い私は、そのうち、高身長の王子様が私の前に現れると思っていたのだ。
***
大学を卒業した私は、自動車メーカーの実業団のバスケットボール・チームに入った。ジャービス王国にはバスケットボールのプロリーグがないから、大学卒業後もバスケットボールを続けたい人は、実業団のチームに所属するのが一般的だ。
完全なプロ選手ではないから、自動車メーカーの仕事もこなしながら、バスケットボールをすることになる。
自動車メーカーでは、大学時代にモデルとして活動していたから、広報部に配属された。イベント運営をサポートしたり、会場で自社製品を説明したりするのが私の広報部での仕事だった。
社内での評判は良かったと思う。私の企画はどれも好評だったし、それなりに実績を出した。それに実績に応じて出世もした。
転機はバスケットボール選手を辞めるタイミングだった。そのタイミングで、自動車メーカーを退社した。
その頃には社内の広報イベントを数多く手掛けていたし、役職も主任になっていたから、バスケットボール選手でなくなっても、会社を辞める必要はなかった。
ただ、私の中で、選手を辞めた区切りを、退社という形で付けたかった。
それに、この会社に高身長の王子はいなかったのも理由の一つではある。
ちなみに、男子バスケットボールの選手は、みんな社内結婚した。
男子スポーツ選手はモテるのだ。残っている男子スポーツ選手は、それなりに理由がある。
※あくまでロイの感想です。
ここで争ってはダメだ、と私は気付いた。
<続く>
0
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる