第4王子は中途半端だから探偵することにした

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第2回活動報告:カルテルを潰せ

カルテルを疑え(その4)

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※本話では、経営学的な説明をしています。本話を飛ばしても、本章の内容にはそこまで影響しないため、興味の無い人は本話を読み飛ばして、次話に進んでください。

(5)カルテルを疑え <続き>

ミゲルのスニーカー転売のせいで、本題に入る前にかなり時間を使ってしまった。中には飽きてきたメンバーもいそうだ。早くカルテルの話に入ろう。

「需要と供給の関係が分かったから、次はカルテルの話に進みましょう。」

俺はそう言って、カルテルの話に入った。

「まず、前提として、銅価格が下がると商社の利益は下がる。だから、商社は輸入量を増やしたくない。ここまではいいかな?」と俺は内部調査部のメンバーに聞いた。

「大丈夫です。分かります。」とミゲルが言った。他のメンバーも頷いている。

「カルテルの話を理解するためには、ゲーム理論で説明するのがいいと思う。ゲーム理論は知ってる?」と俺はメンバーに聞いた。

※ゲーム理論とは、経済学や経営学で頻繁に登場する理論で、社会や自然界における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的なモデルを用いて研究する学問です。ゲーム理論は主に戦略分析を行うときに利用され、経済学や経営学においては中心的な理論となっています。

知っている者、知らない者が混ざっているようだ。ミゲルは「知りません」と正直に答えた。

メンバーの反応を見て、俺はゲーム理論を説明することにした。

ちなみに俺はゲーム理論が大好きだ。
元々は経済学で利用されていた理論だが、今は経営学で中心的な役割を担っている。ノーベル賞でも、ゲーム理論の研究結果が数多く受賞している。
みんなも知っておいて損はないだろう。多分・・・・


「ゲーム理論のイメージが分かり易いように、A社とB社の2社で説明しよう。」と言って俺はホワイトボードに数値例(図表2-4)を書いた。

【図表2-4:ゲーム理論による数量決定】



「まず理解しておいてほしいのは、この事例において変化するのは数量だけだ。そして、現状のA社の利益が20、B社の利益が15だ。」

「ケース1(左上)のところですね。」とミゲルが言った。

「そうだよ。A社が輸入量を増やさずに、B社が輸入量を増やした場合、A社の利益が10、B社の利益が20になる。この中のケース3だ。」

「B社だけ抜け駆けしたから、利益が増えたんですね。コンビニエンスストアに似ていますね。取り扱っている商品は似ているから、店舗数を増やした方が、売上が多くなるのは分かります。」とロイが言った。

「そうそう。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンが出店競争しているよね。」とミゲルは言った。

どうやらミゲルは、スニーカーでは寡占状態の例えが思いつかなかったようだ。
他のメンバーを見ると、スニーカーの例えよりも、コンビニの方がしっくりくるようだ。
俺は話を続ける。

「輸入量を増やしたB社は5利益が増える(利益が15から20に増加する)。一方、A社は利益が10減る(利益が20から10に減少する)。B社だけ儲かったのは、A社が追随しなかったからだ。」と俺は言った。

「セブンイレブンだけ出店して、ファミリーマートは出店しなかった、ということですね。」とミゲルが言った。

ミゲルは、コンビニの例えをロイから奪って話し始めた。
一方のロイは特に気にしていないようだ。

「次に、A社だけが輸入量を増やしたのがケース2だ。A社だけ5儲かって(利益が20から25に増加する)、B社は8損する(利益が15から7に減少する)。」

「今度は逆パターンですね。ファミリーマートだけ出店して、セブンイレブンは出店しなかったわけですか。ファミリーマートの店舗数が増えたら、セブンイレブンのお客さんもそっちに流れますね。」とミゲルが言う。

「そうだね。」と俺は言った。

おじさんは、このゲーム(理論)に真面目に参加している。普段もこれくらい真面目に仕事してくれればいいのに・・・。

<続く>
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