103 / 197
第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ
民事再生
しおりを挟む
(8) 民事再生
暗号資産の調査が行き詰まってきたので、俺たちは暗号資産交換業者から情報を入手しつつ、次の案件を探している。
最近、内部告発ホットラインに届く情報提供は、個人的な恨みを俺たちに晴らしてほしいのか?と思うものが増えてきている。内部告発と言っているのに、困ったものだ・・・。
俺が総務省の別室で会議をしていると、ロイが急いでやってきた。何かあったようだ。
場所を変えた方が良さそうだったから、俺は内部調査部に移動した。
「どうしたの?そんなに急いで。」と俺はロイに聞いた。
「大変です。ジャービット・エクスチェンジが民事再生法の適用を申請しました。会社に債権者が殺到しているようです。」
「あー。やっぱり、そうなったか。」
俺のリアクションは薄いが、特に驚くことではない。そうなる可能性もあると思っていたから。
「民事再生ということは、どこかスポンサーがいるのかな?」
「いないようです。これから、FA(Financial Advisor:財務アドバイザー)が投資家に打診するようです。」
「プレパッケージ(事前にスポンサーを確保しておく方法)じゃないんだ。スポンサーがいないと、裁判所が認可しないんじゃないの?」
「それを私に聞かれても困ります。」とロイは言った。
「そりゃそうだ。XFTの件があったから、今はどこも関わりたくないだろうし。スポンサー探しは難航しそうだ。裁判所に認可されなくて、破産手続に移行するかもしれないね。」
俺がロイと話をしていると、ルイーズがやってきた。
「スポンサーとして、手を上げてみたら?デューデリ(デューデリジェンス(Due Diligence)の略称。資産査定のこと)をして難しそうだったら、降りればいいじゃない。」
呑気に言ってくれる。
もし、他にスポンサー候補が出てこなかったら、どうするつもりだ?
ジャービット・エクスチェンジに泣きつかれたら、断りにくいじゃないか。
俺が不満に思っているのを察したのか、ルイーズが言った。
「i5とか適当に作って、入札すればいいじゃない。ジャービット・エクスチェンジには総務省も内部調査部も名前は出ないから、大丈夫。」
「へー。」俺はこの話に興味を惹かれない。
「それに、私はジャービット・エクスチェンジに訪問していないから、顔バレしてない。だから、社長してもいいよ。どう?」
いま俺は理解した。それが目的か。
内部調査部では、関連会社の社長に就任すると、毎月5万JDの社長手当が支給される。
月5万JDなので多くはないが、ボーナスが定額の公務員としては嬉しい金額だ。
今まで、ミゲル、ポール、ガブリエルが社長手当を支給されているのだが、今回はルイーズが社長手当を狙っているのか。
俺がどう返答しようか困っていると、ルイーズがこう言った。
「できちゃったの。」
静まりかえる内部調査部。
みんな息をひそめて俺とルイーズを見ている。でも、俺には身に覚えがない。
何のことか確かめよう。
「何が?」
「i5ができちゃったの。」
「え?」
「だから、こういうこともあると思って、i5を作っておいたの。」
「そう。」と俺は言った。
そうじゃない。こいつは何を言ってるんだ?
「i5もあるし、ジャービット・エクスチェンジに連絡してみようよ。」とルイーズは言った。
こうなると、コイツは誰の言うことを聞かない。俺は早々に説得するのを諦めた。
検討してダメだったら、断ればいい。やらせてみるか。
「みんな集合!」と俺はメンバーに言った。
気配を消して空気になっていたメンバーが、俺のところに集まってきた。
「この中でジャービット・エクスチェンジに面バレしていないのは、ミゲル、ロイとポールだよね。ロイとポールはルイーズと一緒にこの案件を検討してほしい。デューデリは詳細にした方がいいから、大手のデトロイト監査法人と一緒に行ってくれ。パートナーのトーマスにはこちらから連絡しておくから。」
俺がそういうと、ルイーズは早速ジャービット・エクスチェンジに電話を掛け始めた。
「ちょっと待った。ルイーズ、会社に電話したらダメだよ。申請代理人の弁護士に電話しないと。会社のホームページに連絡先が出ているはずだから、そこに電話して。」
「分かったわよ。」出鼻をくじかれたルイーズは、イライラしながら吐き捨てた。
こうして、なぜかジャービット・エクスチェンジのスポンサー候補として検討することになった。
内部調査部は、必要のない仕事を増やしていく傾向があるようだ。
暗号資産の調査が行き詰まってきたので、俺たちは暗号資産交換業者から情報を入手しつつ、次の案件を探している。
最近、内部告発ホットラインに届く情報提供は、個人的な恨みを俺たちに晴らしてほしいのか?と思うものが増えてきている。内部告発と言っているのに、困ったものだ・・・。
俺が総務省の別室で会議をしていると、ロイが急いでやってきた。何かあったようだ。
場所を変えた方が良さそうだったから、俺は内部調査部に移動した。
「どうしたの?そんなに急いで。」と俺はロイに聞いた。
「大変です。ジャービット・エクスチェンジが民事再生法の適用を申請しました。会社に債権者が殺到しているようです。」
「あー。やっぱり、そうなったか。」
俺のリアクションは薄いが、特に驚くことではない。そうなる可能性もあると思っていたから。
「民事再生ということは、どこかスポンサーがいるのかな?」
「いないようです。これから、FA(Financial Advisor:財務アドバイザー)が投資家に打診するようです。」
「プレパッケージ(事前にスポンサーを確保しておく方法)じゃないんだ。スポンサーがいないと、裁判所が認可しないんじゃないの?」
「それを私に聞かれても困ります。」とロイは言った。
「そりゃそうだ。XFTの件があったから、今はどこも関わりたくないだろうし。スポンサー探しは難航しそうだ。裁判所に認可されなくて、破産手続に移行するかもしれないね。」
俺がロイと話をしていると、ルイーズがやってきた。
「スポンサーとして、手を上げてみたら?デューデリ(デューデリジェンス(Due Diligence)の略称。資産査定のこと)をして難しそうだったら、降りればいいじゃない。」
呑気に言ってくれる。
もし、他にスポンサー候補が出てこなかったら、どうするつもりだ?
ジャービット・エクスチェンジに泣きつかれたら、断りにくいじゃないか。
俺が不満に思っているのを察したのか、ルイーズが言った。
「i5とか適当に作って、入札すればいいじゃない。ジャービット・エクスチェンジには総務省も内部調査部も名前は出ないから、大丈夫。」
「へー。」俺はこの話に興味を惹かれない。
「それに、私はジャービット・エクスチェンジに訪問していないから、顔バレしてない。だから、社長してもいいよ。どう?」
いま俺は理解した。それが目的か。
内部調査部では、関連会社の社長に就任すると、毎月5万JDの社長手当が支給される。
月5万JDなので多くはないが、ボーナスが定額の公務員としては嬉しい金額だ。
今まで、ミゲル、ポール、ガブリエルが社長手当を支給されているのだが、今回はルイーズが社長手当を狙っているのか。
俺がどう返答しようか困っていると、ルイーズがこう言った。
「できちゃったの。」
静まりかえる内部調査部。
みんな息をひそめて俺とルイーズを見ている。でも、俺には身に覚えがない。
何のことか確かめよう。
「何が?」
「i5ができちゃったの。」
「え?」
「だから、こういうこともあると思って、i5を作っておいたの。」
「そう。」と俺は言った。
そうじゃない。こいつは何を言ってるんだ?
「i5もあるし、ジャービット・エクスチェンジに連絡してみようよ。」とルイーズは言った。
こうなると、コイツは誰の言うことを聞かない。俺は早々に説得するのを諦めた。
検討してダメだったら、断ればいい。やらせてみるか。
「みんな集合!」と俺はメンバーに言った。
気配を消して空気になっていたメンバーが、俺のところに集まってきた。
「この中でジャービット・エクスチェンジに面バレしていないのは、ミゲル、ロイとポールだよね。ロイとポールはルイーズと一緒にこの案件を検討してほしい。デューデリは詳細にした方がいいから、大手のデトロイト監査法人と一緒に行ってくれ。パートナーのトーマスにはこちらから連絡しておくから。」
俺がそういうと、ルイーズは早速ジャービット・エクスチェンジに電話を掛け始めた。
「ちょっと待った。ルイーズ、会社に電話したらダメだよ。申請代理人の弁護士に電話しないと。会社のホームページに連絡先が出ているはずだから、そこに電話して。」
「分かったわよ。」出鼻をくじかれたルイーズは、イライラしながら吐き捨てた。
こうして、なぜかジャービット・エクスチェンジのスポンサー候補として検討することになった。
内部調査部は、必要のない仕事を増やしていく傾向があるようだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~
アトハ
ファンタジー
「貴様はもう用済みだ。『聖女』などという迷信に踊らされて大損だった。どこへでも行くが良い」
突然の宣告で、国外追放。国のため、必死で毎日祈りを捧げたのに、その仕打ちはあんまりでではありませんか!
魔法技術が進んだ今、妖精への祈りという不確かな力を行使する聖女は国にとっての『金喰い虫』とのことですが。
「これから大災厄が来るのにね~」
「ばかな国だね~。自ら聖女様を手放そうなんて~」
妖精の声が聞こえる私は、知っています。
この国には、間もなく前代未聞の災厄が訪れるということを。
もう国のことなんて知りません。
追放したのはそっちです!
故郷に戻ってゆっくりさせてもらいますからね!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
余命半年の僕は、君を英雄にするために「裏切り者」の汚名を着る
深渡 ケイ
ファンタジー
魔力を持たない少年アルトは、ある日、残酷な未来を知ってしまう。 最愛の幼馴染であり「勇者」であるレナが、半年後に味方の裏切りによって惨殺される未来を。
未来を変える代償として、半年で全身が石化して死ぬ呪いを受けたアルトは、残された命をかけた孤独な決断を下す。
「僕が最悪の裏切り者となって、彼女を救う礎になろう」
卓越した頭脳で、冷徹な「悪の参謀」を演じるアルト。彼の真意を知らないレナは、彼を軽蔑し、やがて憎悪の刃を向ける。 石化していく体に走る激痛と、愛する人に憎まれる絶望。それでも彼は、仮面の下で血の涙を流しながら、彼女を英雄にするための完璧なシナリオを紡ぎ続ける。
これは、誰よりも彼女の幸せを願った少年が、世界一の嫌われ者として死んでいく、至高の献身の物語。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる