僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

kkkkk

文字の大きさ
上 下
14 / 24

国境警備隊長 役小角

しおりを挟む

武たちに助けられた前鬼は、倒れているピーチ・ボーイズの2人を連れて警察官のところへ向かった。
警察官は、何もしていないのにピーチ・ボーイズが次々と倒された状況を不思議に思っていたのだろう。前鬼に救出された経緯を尋ねた。

「何があったんですか?」

「あの2人に助けてもらったんです」
前鬼はそう言うと武とお菊さんを指さした。

「あの女性と少年ですか?」警察官は前鬼に言った。

「そうです。ピーチ・ボーイズを倒したのは少年の方で、女性は保護者のようなものです」

「小さいのに凄いですね。話を伺っても大丈夫そうですか?」警察官は呑気に言った。

「大丈夫だと思います。ただ、変な言葉遣いを使わないように気を付けて下さい。あの二人は科学者です」
前鬼は2回殺されかけた経験から警察官に助言した。

「なるほど。科学者ですか・・・。言葉遣いには気を付けます」

警察官が武とお菊さんのところにやってきた。
ピーチ・ボーイズは逮捕したからこの事件は解決済みだ。
警察官は形式的に状況を確認しようとしている。

「ピーチ・ボーイズ逮捕のご協力、ありがとうございました」と警察官は武とお菊さんに言った。

「いえいえ。前鬼が捕まっていたのをテレビで見て、この子が助けに行くと言い出しまして・・・。家も近くでしたから」とお菊さんは答えた。

「そうでしたか。幸い犠牲者も出ませんでしたし、良かったです」

「ところで、5人の中にピーチ・ボーイズのリーダーはいたの?」とお菊さんは尋ねた。

「それが・・・、残念ながらリーダーのダグラス・ピーチはいませんでした」

「そうなの。じゃあ、根本的な解決にはならないわね」

「でも希望はあります。ピーチ・ボーイズのメンバー5人を逮捕できましたから、奴らのアジトや組織が明らかになると思います」と警察官は言った。

「そうなれば良いわね」

その後、お菊さんが警察官に連絡先を伝えて状況確認は終了した。
武とお菊さんが実家に帰ろうとすると前鬼が呼び止めた。

「ちょっと待って下さい!」

「どうしたの?」お菊さんは前鬼に聞く。

「今回の件はありがとうございました。それで、もしお時間があれば一緒に来てほしいところがあるんです」と前鬼は言った。

「まあ、デートの誘いかしら?」

「違います。それに私は妻帯者ですから・・・」

「冗談よ。それで、どこなの?」

「国境警備隊の隊長を紹介できないかと思いまして」

「行者様?」

「そうです。地球との関係もありますから、一度会ってもらえませんか?」

「私はいいわよ。武くんはどうする?」お菊さんは武に聞いた。

「別にいいよ。暇だし」と武は答えた。

***

武とお菊さんは、前鬼が運転する飛行車に乗って大きなビルにやってきた。
古いが大きなビルだ。正確な階数は分からないが、100階以上はあるだろう。

武がビルを見上げているとお菊さんが「大きいでしょ?」と言った。
武は「大きいね」とお菊さんに答えたが、頭の中は耐震構造のことで一杯だ。

「このビルの耐震構造はどうなってるのかな?」

「ビルの大きさよりも耐震構造の方が気になるんだ。武くんらしいね」お菊さんは笑いながら言った。

武たちはエレベーターでビルの最上階に上った。
廊下を歩いて突き当りの部屋に着くと、前鬼はドアをノックした。
「入りたまえ」と声が聞こえると前鬼は武たちを部屋の中に案内した。

部屋の中にはスーツ姿の初老の男性が立っていた。
黒縁メガネをかけてネクタイをしている。
見た目は会社の管理職のおじさんだ。

武たちが部屋に入ると、初老の男性はソファーに座るように勧めた。
全員がソファーに座ると、初老の男性はスーツの内ポケットから名刺を取り出し、武とお菊さんに渡した。

“国境警備隊長 役小角”

役小角は管理職のおじさん。
浮世絵に出てくる修行僧の雰囲気はなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【第2話完結!】『2次元の彼R《リターンズ》~天才理系女子(りけじょ)「里景如志(さとかげ・しし)のAI恋愛事情~』

あらお☆ひろ
現代文学
はじめまして。「あらお☆ひろ」です。 アルファポリスでのデビューになります。 一応、赤井翼先生の「弟子」です!公認です(笑)! 今作は赤井先生に作ってらった「プロット」と「セリフ入りチャプター」を元に執筆させてもらってます。 主人公は「グリグリメガネ」で男っ気の無い22歳の帰国子女で「コンピュータ専門学校」の「プログラミング講師」の女の子「里景如志(さとかげ・しし)」ちゃんです。 思いっきり「りけじょ」な如志ちゃんは、20歳で失恋を経験した後、「2次元」に逃げ込んだ女の子なんですが「ひょんなこと」で手に入れた「スーパーコンピュータ」との出会いで、人生が大きく変わります。 「生成AI」や「GPT」を取り上げているので「専門用語」もバシバシ出てきますが、そこは読み逃がしてもらっても大丈夫なように赤井先生がストーリーは作ってくれてます。 主人公の如志ちゃんの周りには「イケメン」くんも出てきます。 「2次元」VS「リアル」の対決もあります。 「H」なシーンは「風呂上がり」のシーンくらいです(笑)。 あと、赤井先生も良く書きますが「ラストはハッピーエンド」です! ラスト前で大変な目に遭いますが、そこはで安心して読んでくださいね! 皆さんからの「ご意見」、「ご感想」お待ちしています!(あまり厳しいことは書かないでくださいね!ガラスのメンタルなもんで(笑)。) では、「2次元の彼~」始まりまーす! (⋈◍>◡<◍)。✧♡ (追伸、前半の挿絵は赤井翼先生に作ってもらいました。そこまでAI作画の「腕」が上がりませんでした(笑)。)

処理中です...