第4王子は中途半端だから探偵することにした(の続き)

kkkkk

文字の大きさ
上 下
74 / 80
第10回活動報告:借地権の争いを解決しろ!

底地を買取ろう!(その2)

しおりを挟む
(6)底地を買取ろう! <続き>

※本話では紛らわしい名前がいくつも登場します。間違わないように書いているつもりですが、間違っていたらすいません。

 俺はルイーザという聞き覚えのない名前をチャールズから聞いた。
 ルイーズは俺の隣にいる。だがルイーズはチャールズの言葉に反応していない。
 だから、チャールズはルイーズではなくルイーザと言ったのだ!

 それに、ルイーズが目の前にいるのに、ルイーズの予定をスミスに聞くのは常識的におかしい。

 つまり・・・、
 俺の推理によればルイーザとルイーズは別人だ!

 俺がルイーザのことを考えているとスミスは「多分、参加すると思います」とチャールズに答えた。俺は衝撃の事実を知る。

―― スミスはルイーザを知っている!

 俺は状況を悟った。今のところルイーザを知っているのはスミスとチャールズの二人だ。
 今この会議スペースには4人。もし、ルイーズが知っていたらルイーザを知らないのは俺だけになってしまう。俺を無視して3人でルイーザの話で盛り上がるだろう。
 そうしたら、すっごい疎外感が・・・

 俺が仲間外れにはらないために把握すべきことは・・・

―― ルイーズはルイーザを知っているのだろうか?

 ルイーズはいつも無表情だから何を考えているか分かりにくい。
 ルイーズはルイーザを知っているかもしれないし、ルイーザを知らないかもしれない。
 どっちだ?

 俺はルイーズにカマを掛けることにした。

「今日、ルイーザに会った?」と俺は小声でルイーズに質問する。

「何を言ってるの? さっきまで会議スペースで話していたじゃない。ボケた?」

 さすがにその言い方はないと思う。
 酷い言い方をされた俺だが、ルイーズは重要なヒントを俺にくれたようだ。

 ルイーズはさっきまで会議スペースでルイーザと話していたらしい。
 その会議スペースに俺もいた。だから、俺も今日ルイーザに会っている。

 俺は推理する。つまり・・・

―― ルイーザは内部調査部の誰かだ!

 俺はさらに推理する。
 冒頭、スミスのことを無視して話始めたチャールズが、男性の慰労会の参加の可否を聞いてくるはずはない。内部調査部に女性は2人、ルイーズとロイだ。
 ルイーズはルイーザではないのだから、自ずと答えは導かれる。

―― ルイーザはロイだ!

 はーん、そういうことか。俺はさらに推理を進める。

 短い方がニックネームだろうから、ロイはルイーザのニックネームなんだな。
 いや、逆かな?
 ルイーザがロイのニックネームか?

 俺は自分の推理が正しいかを確かめるため、再びルイーズに小声で質問する。推理小説の解決編みたいに。

「なんでルイーザって言うの?」
 念のために説明しておくと、ルイーザがロイじゃなかったら恥ずかしい。だから、俺はわざとロイではなくルイーザと質問した。

「逆じゃない? なんでロイって言うのだったら分かるけど」

「ごめん、間違えた。逆だった。なんで?」

「ルイーザ(Louisa)のニックネームは『ルー(Lu)』が多いんだけど、子供の時に周りにいっぱい『ルー』がいたんだって。私(Louise)も『ルー』だしね。だから『ロイ』にしたんだって」

「それにしても、男の子っぽいニックネームだね」

「大きかったしショートカットだったから、違和感はなかったらしいよ。それで今もロイを使ってるんだって」

「へー、そうなんだ」

 見事にルイーザの謎を解決した俺。

―― 俺の推理も捨てたもんじゃないな・・・

 見事に事件を解決した俺。事件解決に満足した俺は、内部調査部に戻ろうかと思って席を立った。
 チャールズの執務室から出ようとしたら、ルイーズが言った。

「どこいくの?」

 どこにいくって? 内部調査部に決まってるじゃないか!
 だって、事件を解決した探偵は去っていくものだろう?

 当のルイーズは俺を睨んでいる。何か悪いことをしたのだろうか?

 しかたないから俺はルイーズに「どうしたの?」と尋ねた。

「そこち」とルイーズは小声で俺に言う。

 そこち(底地)?

―― あ、忘れてた!

 俺は底地の買取資金を確保するために、チャールズに相談にきたことを思い出した。
 気まずいから「ちょっとトイレ」と言ってチャールズの執務室を出た後、俺は外で2~3分待ってから執務室に戻った。

 執務室に戻ってきた俺は、気を取り直して底地買取資金の調達のために、チャールズに説明することにした。


<続く>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

万永千年宇宙浮遊一万年後地球目指

Mar
経済・企業
一万年後の地球。想像できるだろうか。  長い年月が経ち、人類の痕跡はほとんど見当たらない地球かもしれない。もしかしたら、自然の力が再び支配する中で、新たな生命や文明が芽生えているかもしれない。  人間ではなく、きっと我々の知らない生命体。  それが一万年後に生きている人間かもしれない。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...