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第10回活動報告:借地権の争いを解決しろ!
借地権制度の問題点を解決しろ(その3)
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(5)借地権制度の問題点を解決しろ <続き>
内部調査部のメンバーと問題点を共有できたが、ここからが本題だ。
ジャービス王国の借地権の問題が深刻化すれば、空き家や所有者不明土地が急激に増えていく可能性がある。だから、解決策を考えないといけない。
まず、解決策の候補として考えられるのは、ジャービス王国の借地権制度を変更することだ。すなわち、借地権者と底地権者の双方が使いやすいように法改正を行う。でも、既に借地権制度はジャービス国内で長期間利用されているから、法改正すると不動産市場が混乱するのは容易に想像される。
迷った俺はメンバーの意見を聞いてみることにした。
「ジャービス王国の借地権や問題点については説明した通りだ。昔のように土地に執着する人の割合が減っているから、ロバートの家のように底地を相続せずに売却するケースは今後増えると思う。それに、既に共同相続している土地や底地も相当数あるから、次の相続の段階で揉めるケースも増えていくと思う」
「そうね」とルイーズ。
「今回のような借地権者と底地権者の揉め事は、これからジャービス王国で増えていくはずだ。借地権者と底地権者の間で揉めている土地や建物は売買できない。だから、最終的には空き家や所有者不明土地になる可能性がある。それは避けたい。この問題の解決策の1つとして、ジャービス王国の借地権制度を見直す方法があるよね」
「法改正する、そういう意味ですか?」とスミスが言った。
「法改正も一つの方法だと思う。借地権者と底地権者が揉めないようにするか、揉めたとしても不動産売買ができるような法改正をすれば、問題は解決できると思うんだ。でも、借地権制度はジャービス国内で浸透しているから、急に改正すると不動産市場が混乱する可能性がある。みんなはどう思う?」と俺はメンバーに聞いた。
すると、「法改正は必要ないと思うな」とルイーズが言った。
「どうして?」
「借地権にはいくつか種類があるよね。底地権者に永久に土地が返ってこないわけじゃないでしょ」
「確かにね。定期借地権があるんだし、地主が土地を返してほしいのであれば、最初から普通借地権にしなければいいだけだ」
「それに、借地権者と底地権者が揉めるケースの大半は普通借地権だと思う。今から法改正しても、すでに普通借地権が存在する土地の問題は解決しないよね?」
「まあ、遡及適用はできないね。法改正しても、普通借地権の借地権者と底地権者が揉め続けるだけだな」
「だから、法改正は必要ない」
「確かに、そうかもね。他の人は?」と俺は他のメンバーに聞いた。
「私も必要ないと思います」とスミス。
「必要ないです」とガブリエル。
他のメンバーも法改正は問題の本質的な解決にはならないと思っているようだ。
そうすると、法改正せずに今回の問題を解決する必要がある。俺は今回の問題点を整理した。
まず、借地権付建物が自由に売買されればいいのだから、地主(底地権者)が譲渡承諾をする場合は問題にならない。
次に、譲渡承諾するかしないかは地主の自由だ。地主が譲渡承諾しない場合に建物所有者(借地権者)が取り得る手段は、地主から土地を買取るか、地主に建物を売却するかだ。この2つのどちらかに応じる地主の場合は、最終的に不動産売買が成立するから問題にしなくていい。
そうすると、譲渡承諾をしないし、底地を売らないし、建物を買取らない地主。この地主をどう扱うかが今回の論点となる。
俺はメンバーに意見を聞いてみることにした。
「ちょっと考えたんだけど、地主が譲渡承諾しなくても、問題にならない場合があるよね。建物所有者(借地権者)が底地を購入する場合、地主(底地権者)が建物を買取る場合だ。この場合は売買価格で少し揉めるかもしれないけど、最終的に不動産売買は成立するから問題はない」
「そうですね」とガブリエル。
「そうすると、地主が譲渡承諾しなくて問題になるのは、底地を売らないし、建物を買取らない場合だ。そういう場合、どう対応すればいいと思う?」
「その場合は、借地権者と底地権者が裁判で決着するしかないと思います。だから、僕たちが関与することではないです。それよりも、そういう地主が所有者になる前に未然に防ぐのが、僕たちの仕事ではないですか?」とガブリエルは言った。
「未然に防ぐってどういうこと?」
「MJのケースは底地の売却価格が高すぎるから問題になりましたが、論点は価格だけなので僕たちが関与するケースに該当しません。僕たちが関与すべきケースの大半は、底地権者が死んだ後、共同相続した場合だと思うんです」
「底地権を共有していて、単独で意思決定できないからかな?」
「そうです。底地を共同相続する前に、うちで底地を買取ったらどうですか?」
―― え? うちで買取るの?
俺はいつものノリになってきたことに不安を感じた。
<続く>
内部調査部のメンバーと問題点を共有できたが、ここからが本題だ。
ジャービス王国の借地権の問題が深刻化すれば、空き家や所有者不明土地が急激に増えていく可能性がある。だから、解決策を考えないといけない。
まず、解決策の候補として考えられるのは、ジャービス王国の借地権制度を変更することだ。すなわち、借地権者と底地権者の双方が使いやすいように法改正を行う。でも、既に借地権制度はジャービス国内で長期間利用されているから、法改正すると不動産市場が混乱するのは容易に想像される。
迷った俺はメンバーの意見を聞いてみることにした。
「ジャービス王国の借地権や問題点については説明した通りだ。昔のように土地に執着する人の割合が減っているから、ロバートの家のように底地を相続せずに売却するケースは今後増えると思う。それに、既に共同相続している土地や底地も相当数あるから、次の相続の段階で揉めるケースも増えていくと思う」
「そうね」とルイーズ。
「今回のような借地権者と底地権者の揉め事は、これからジャービス王国で増えていくはずだ。借地権者と底地権者の間で揉めている土地や建物は売買できない。だから、最終的には空き家や所有者不明土地になる可能性がある。それは避けたい。この問題の解決策の1つとして、ジャービス王国の借地権制度を見直す方法があるよね」
「法改正する、そういう意味ですか?」とスミスが言った。
「法改正も一つの方法だと思う。借地権者と底地権者が揉めないようにするか、揉めたとしても不動産売買ができるような法改正をすれば、問題は解決できると思うんだ。でも、借地権制度はジャービス国内で浸透しているから、急に改正すると不動産市場が混乱する可能性がある。みんなはどう思う?」と俺はメンバーに聞いた。
すると、「法改正は必要ないと思うな」とルイーズが言った。
「どうして?」
「借地権にはいくつか種類があるよね。底地権者に永久に土地が返ってこないわけじゃないでしょ」
「確かにね。定期借地権があるんだし、地主が土地を返してほしいのであれば、最初から普通借地権にしなければいいだけだ」
「それに、借地権者と底地権者が揉めるケースの大半は普通借地権だと思う。今から法改正しても、すでに普通借地権が存在する土地の問題は解決しないよね?」
「まあ、遡及適用はできないね。法改正しても、普通借地権の借地権者と底地権者が揉め続けるだけだな」
「だから、法改正は必要ない」
「確かに、そうかもね。他の人は?」と俺は他のメンバーに聞いた。
「私も必要ないと思います」とスミス。
「必要ないです」とガブリエル。
他のメンバーも法改正は問題の本質的な解決にはならないと思っているようだ。
そうすると、法改正せずに今回の問題を解決する必要がある。俺は今回の問題点を整理した。
まず、借地権付建物が自由に売買されればいいのだから、地主(底地権者)が譲渡承諾をする場合は問題にならない。
次に、譲渡承諾するかしないかは地主の自由だ。地主が譲渡承諾しない場合に建物所有者(借地権者)が取り得る手段は、地主から土地を買取るか、地主に建物を売却するかだ。この2つのどちらかに応じる地主の場合は、最終的に不動産売買が成立するから問題にしなくていい。
そうすると、譲渡承諾をしないし、底地を売らないし、建物を買取らない地主。この地主をどう扱うかが今回の論点となる。
俺はメンバーに意見を聞いてみることにした。
「ちょっと考えたんだけど、地主が譲渡承諾しなくても、問題にならない場合があるよね。建物所有者(借地権者)が底地を購入する場合、地主(底地権者)が建物を買取る場合だ。この場合は売買価格で少し揉めるかもしれないけど、最終的に不動産売買は成立するから問題はない」
「そうですね」とガブリエル。
「そうすると、地主が譲渡承諾しなくて問題になるのは、底地を売らないし、建物を買取らない場合だ。そういう場合、どう対応すればいいと思う?」
「その場合は、借地権者と底地権者が裁判で決着するしかないと思います。だから、僕たちが関与することではないです。それよりも、そういう地主が所有者になる前に未然に防ぐのが、僕たちの仕事ではないですか?」とガブリエルは言った。
「未然に防ぐってどういうこと?」
「MJのケースは底地の売却価格が高すぎるから問題になりましたが、論点は価格だけなので僕たちが関与するケースに該当しません。僕たちが関与すべきケースの大半は、底地権者が死んだ後、共同相続した場合だと思うんです」
「底地権を共有していて、単独で意思決定できないからかな?」
「そうです。底地を共同相続する前に、うちで底地を買取ったらどうですか?」
―― え? うちで買取るの?
俺はいつものノリになってきたことに不安を感じた。
<続く>
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