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第9回活動報告:SDGs詐欺師を捕まえろ
新たな被害者?(その4)
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(4)新たな被害者? <続き>
俺が最も気にしているのは社債を購入した高齢者の被害状況だ。だから俺はIFA3人娘に質問を続けた。
「社債は1口100万JDだから全部で1,000個販売されている。何人くらい社債を購入したか分かるかな?」
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
「うーん。詳細は分かりませんが、数百人は購入していると思います。社債の最低投資価格が100万JDだから安くはありません。購入できる人は限られますが、この社債は比較的人気が高いみたいですよ」とエマは答えた。
「へー、人気が高いんだ」
「知人に聞いてみましたが、この社債は人気あるようですね。金利は3%なので高いわけではありません。でも、満期が3年なので短すぎないし長すぎない。また、上場会社が支払うリース料のシニア(優先)部分なので社債の元利金返済の安全性が高い」
「リスクの低い社債で、銀行預金や国債よりも金利が高い。そんなイメージかな?」
「そんな感じだと思います。こういう社債は高齢者ウケがいいんです」とエマは言った。
「それにしても、社債を購入した高齢者からはクレームとかないのかな?」
俺はジョーダンが高齢者向けに販売した社債で問題を起こしていないかが気になっている。
「それは聞いたことがないですね。まず、リース料から社債の元利金支払いに十分なキャッシュ・フローがあります。返済原資が十分にあるので、SPC(特別目的会社)の運営者が問題を起こさない限り元利金払いに支障はありません」
「ジョーダンがリース料収入を持ち逃げするとかはないのかな?」
「それはないと思います。まず、SPCの管理は大手会計事務所に事務委託しています。だから、リース料の入金口座はジョーダンが管理していません。事務受託をしている会計事務所は契約に従って社債の元利金支払いと組合出資への支払をするだけです」
「じゃあ、ジョーダンはSPCの管理に一切関わっていないの?」
「実際のところは分かりませんが・・・、私の予想では関わっていないと思います」
「へー、そうなんだ」
「今回の社債に関して言えば、財務内容に懸念の無いSPCが発行している社債です。リース料を支払う3社に問題はありませんから、社債投資家に対する支払遅延はないでしょう。言ってみれば、SPCと3社の間で締結されたリース契約の条件が、『3社にとって悪い』だけです。投資家には何の問題もありません」
「そうか・・・。法律的には何の問題もなくて、社債投資家に不利益はない。リース契約を締結した上場企業3社だけが不利益を被っている。そういうわけか・・・」
ジョーダンはリース資産を購入するためにSPCを使って社債を発行したわけだが、話を聞く限りでは、社債を購入した高齢者が被害を受けるわけではなさそうだ。
そうすると、本件の論点は単純なリース契約の条件となる。
俺の理解では、リース料が高すぎることを理解したノヴァーラ、ロベルティ、ピリアの3社はジョーダン側と訴訟を進めているはずだ。
もし、裁判の結果、支払リース料が減額された場合、社債投資家が損害を被る可能性はないのだろうか?
俺はIFA3人娘の意見を聞いてみることにした。
「ちょっと気になることがあるんだけど、いいかな?」
「何でしょう?」とエマが答える。
「いま上場企業の3社はジョーダン側とリース契約の条件、つまり、支払リース料の減額について訴訟を検討しているんだ。もし、裁判の結果、支払リース料が減額されたら社債を購入した高齢者が損害を被る可能性はないのかな?」
「このスキームに関して言えば、実害はほとんど発生しないと思います。例えば、訴訟の結果、3社がSPCに対して支払うリース料総額が40億JDから10億JDに減少したとしましょう。その場合に2つのパターンが考えられます」
エマはそう言うと、高級フルーツパーラーのナプキンに図(図表9-12)を描いた。
【図表9-12:リース料減額のケース】
「ケース1は年間のリース料支払額が同額で支払期間が10年から2.5年に短縮されるケースです。この図(図表9-12)には元本部分(購入代金部分)だけを書いていますが、実際のリース料には利息相当額が含まれるはずですから、投資家に対して社債の元本と金利3%を払えるはずです」
「そうだね」
「ケース2はリース料の支払期間は10年のまま変わらず、年間リース料が4億JDから1億JDに減額された場合です。この場合は、社債の償還年数が3年から10年に延長される可能性はあります。それでも、投資家が社債の元利金返済を受けられないわけではありません」
「実害があるとすると、社債の返済期限の延長を受け入れるかどうかか・・・」
聞いた感じでは、あまり問題はなさそうだ。
―― 伝説の財務コンサルタント、さすがだなー
俺はジョーダンが余計な悪さをしないことを理解した。
俺が最も気にしているのは社債を購入した高齢者の被害状況だ。だから俺はIFA3人娘に質問を続けた。
「社債は1口100万JDだから全部で1,000個販売されている。何人くらい社債を購入したか分かるかな?」
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
「うーん。詳細は分かりませんが、数百人は購入していると思います。社債の最低投資価格が100万JDだから安くはありません。購入できる人は限られますが、この社債は比較的人気が高いみたいですよ」とエマは答えた。
「へー、人気が高いんだ」
「知人に聞いてみましたが、この社債は人気あるようですね。金利は3%なので高いわけではありません。でも、満期が3年なので短すぎないし長すぎない。また、上場会社が支払うリース料のシニア(優先)部分なので社債の元利金返済の安全性が高い」
「リスクの低い社債で、銀行預金や国債よりも金利が高い。そんなイメージかな?」
「そんな感じだと思います。こういう社債は高齢者ウケがいいんです」とエマは言った。
「それにしても、社債を購入した高齢者からはクレームとかないのかな?」
俺はジョーダンが高齢者向けに販売した社債で問題を起こしていないかが気になっている。
「それは聞いたことがないですね。まず、リース料から社債の元利金支払いに十分なキャッシュ・フローがあります。返済原資が十分にあるので、SPC(特別目的会社)の運営者が問題を起こさない限り元利金払いに支障はありません」
「ジョーダンがリース料収入を持ち逃げするとかはないのかな?」
「それはないと思います。まず、SPCの管理は大手会計事務所に事務委託しています。だから、リース料の入金口座はジョーダンが管理していません。事務受託をしている会計事務所は契約に従って社債の元利金支払いと組合出資への支払をするだけです」
「じゃあ、ジョーダンはSPCの管理に一切関わっていないの?」
「実際のところは分かりませんが・・・、私の予想では関わっていないと思います」
「へー、そうなんだ」
「今回の社債に関して言えば、財務内容に懸念の無いSPCが発行している社債です。リース料を支払う3社に問題はありませんから、社債投資家に対する支払遅延はないでしょう。言ってみれば、SPCと3社の間で締結されたリース契約の条件が、『3社にとって悪い』だけです。投資家には何の問題もありません」
「そうか・・・。法律的には何の問題もなくて、社債投資家に不利益はない。リース契約を締結した上場企業3社だけが不利益を被っている。そういうわけか・・・」
ジョーダンはリース資産を購入するためにSPCを使って社債を発行したわけだが、話を聞く限りでは、社債を購入した高齢者が被害を受けるわけではなさそうだ。
そうすると、本件の論点は単純なリース契約の条件となる。
俺の理解では、リース料が高すぎることを理解したノヴァーラ、ロベルティ、ピリアの3社はジョーダン側と訴訟を進めているはずだ。
もし、裁判の結果、支払リース料が減額された場合、社債投資家が損害を被る可能性はないのだろうか?
俺はIFA3人娘の意見を聞いてみることにした。
「ちょっと気になることがあるんだけど、いいかな?」
「何でしょう?」とエマが答える。
「いま上場企業の3社はジョーダン側とリース契約の条件、つまり、支払リース料の減額について訴訟を検討しているんだ。もし、裁判の結果、支払リース料が減額されたら社債を購入した高齢者が損害を被る可能性はないのかな?」
「このスキームに関して言えば、実害はほとんど発生しないと思います。例えば、訴訟の結果、3社がSPCに対して支払うリース料総額が40億JDから10億JDに減少したとしましょう。その場合に2つのパターンが考えられます」
エマはそう言うと、高級フルーツパーラーのナプキンに図(図表9-12)を描いた。
【図表9-12:リース料減額のケース】
「ケース1は年間のリース料支払額が同額で支払期間が10年から2.5年に短縮されるケースです。この図(図表9-12)には元本部分(購入代金部分)だけを書いていますが、実際のリース料には利息相当額が含まれるはずですから、投資家に対して社債の元本と金利3%を払えるはずです」
「そうだね」
「ケース2はリース料の支払期間は10年のまま変わらず、年間リース料が4億JDから1億JDに減額された場合です。この場合は、社債の償還年数が3年から10年に延長される可能性はあります。それでも、投資家が社債の元利金返済を受けられないわけではありません」
「実害があるとすると、社債の返済期限の延長を受け入れるかどうかか・・・」
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―― 伝説の財務コンサルタント、さすがだなー
俺はジョーダンが余計な悪さをしないことを理解した。
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