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第9回活動報告:SDGs詐欺師を捕まえろ
新たな被害者?(その1)
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(4)新たな被害者?
ノヴァーラに訪問した後、俺たちはロベルティとピリアにも訪問し、太陽光発電施設に関する実地調査とヒアリングを実施した。その結果、残り2社に関してもMJとオペレーティング・リース取引を契約していることが判明した。マイケルが売り込んだリース取引のリース料総額は太陽光発電施設の時価の4倍だ。
リース料が高すぎるのは問題ではあるが、双方が合意して契約した内容ではある。
条件の悪いリース契約については、ノヴァーラ、ロベルティ、ピリアがMJ(ジョーダンとマイケル)と訴訟するなりして解決すればいいだろう。今回に関しては民事不介入でいいような気がする。
―― 民事不介入、良い言葉だ・・・
この案件はここで終わりだ。俺はそう思っていた。
***
俺が総務省の執務室で雑務をこなしていたら、チャールズから電話が掛かってきた。要件はベテラン警察官のジョルジュからの依頼で、ミゲルに警察の捜査に協力してほしいとのことだった。俺はジョーダンの件が片付いたと思っていたので、警察の捜査協力をオッケーした。
それにしても、不思議なことがあるものだ・・・
俺の探偵としての能力を期待して、ジョルジュから俺に捜査協力がくるなら納得できる。ベテラン警察官がミゲルに捜査協力を依頼してくる理由が俺には分からなかった。
―― ミゲルが警察の役に立つ?
俺はミゲルの特徴から、幾つかの可能性を考えてみる。
【仮説1】ミゲルは話好き
話好きな容疑者がいて、警戒を解くために話好きのミゲルが捜査の役に立つ?
それはないだろう・・・
【仮説2】ミゲルは最近ベンチャー業界に詳しい
経済犯罪の容疑者がベンチャー経営者。だから、ベンチャー業界に詳しいミゲルが捜査の役に立つ?
それならホセの方が適任だ。ミゲルである必要がない。
―― さっぱり分からんな・・・
俺の考えは纏(まと)まらないものの、内部調査部に行ってミゲルに警察の捜査協力の件を伝えることにした。
***
俺が内部調査部に到着すると、ミゲルが俺に話しかけてきた。
「部長、ターニャから耳より情報がありました!」
読者の中には覚えている人もいるかもしれないが、ターニャは第13穀物倉庫に勤務している話好きのおばさんだ。
「ターニャから? 何かあったの?」
「最近、高齢者を対象に、リース料債権を担保にした小口の社債が販売されているらしいです」
「フォーレンダム証券のIFA(Independent Financial Advisor)が販売していた劣後社債みたいなものかな?」
※詳しくは『第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ』をご覧ください。
「社債発行の仕組みは似ています。なんと、今回は太陽光発電施設から発生するリース料を担保にした社債です。そして、リース資産を借りている会社(レッシー)がノヴァーラ、ロベルティ、ピリアなんです」
「え? ノヴァーラ、ロベルティ、ピリアと言えば・・・、MJ(ジョーダンとマイケル)と詐欺まがいのリース取引を契約した上場企業だよね」
「そうです。私たちが工場の屋根に設置されているのを見に行った太陽光発電施設に対して3社が支払うリース料がその社債の担保資産なんです」
「まじか・・・」
「太陽光発電施設を法外な値段で上場企業とリース契約したにも関わらず、リース資産の取得代金もジャービス王国の高齢者から集めていたらしいんです」
「えー? そこまでやるー?」
「なんせ伝説の財務コンサルタントですから・・・」
「酷い話だな。ちょっと調べた方がいいか」
「そう思います」
「ところで、その社債の発行要項は入手できるの?」
「大丈夫です。ターニャたちが入手してくれたみたいです。今から高級フルーツパーラーで落ち合う予定です」
―― 高級フルーツパーラーで落ち合う・・・
絶対に友達たくさん連れてくるよな・・・
まあ、必要経費だ。俺はそう割り切ろうとするものの、毎度のことだから少しイライラしている。
そういえば、俺はミゲルに要件を伝えるのを忘れていた。警察の捜査協力の件だ。
「言うのを忘れてたんだけど、さっきチャールズから連絡があった。ベテラン警察官のジョルジュからの依頼で、ミゲルに警察の捜査の協力をお願いしたいらしい」
「そうですか。直ぐにジョルジュに会ってきた方がいいですかね?」
「そうだね。急ぎっぽかったから」
「分かりました。じゃあ、ターニャの件を代わりにお願いします!」
そう言うと、ミゲルは待ち合わせ場所の地図を俺に渡して、警察庁に向かった。
―― え? 俺がターニャの対応するの?
俺はターニャとの面談が長時間になることを覚悟した。
<続く>
ノヴァーラに訪問した後、俺たちはロベルティとピリアにも訪問し、太陽光発電施設に関する実地調査とヒアリングを実施した。その結果、残り2社に関してもMJとオペレーティング・リース取引を契約していることが判明した。マイケルが売り込んだリース取引のリース料総額は太陽光発電施設の時価の4倍だ。
リース料が高すぎるのは問題ではあるが、双方が合意して契約した内容ではある。
条件の悪いリース契約については、ノヴァーラ、ロベルティ、ピリアがMJ(ジョーダンとマイケル)と訴訟するなりして解決すればいいだろう。今回に関しては民事不介入でいいような気がする。
―― 民事不介入、良い言葉だ・・・
この案件はここで終わりだ。俺はそう思っていた。
***
俺が総務省の執務室で雑務をこなしていたら、チャールズから電話が掛かってきた。要件はベテラン警察官のジョルジュからの依頼で、ミゲルに警察の捜査に協力してほしいとのことだった。俺はジョーダンの件が片付いたと思っていたので、警察の捜査協力をオッケーした。
それにしても、不思議なことがあるものだ・・・
俺の探偵としての能力を期待して、ジョルジュから俺に捜査協力がくるなら納得できる。ベテラン警察官がミゲルに捜査協力を依頼してくる理由が俺には分からなかった。
―― ミゲルが警察の役に立つ?
俺はミゲルの特徴から、幾つかの可能性を考えてみる。
【仮説1】ミゲルは話好き
話好きな容疑者がいて、警戒を解くために話好きのミゲルが捜査の役に立つ?
それはないだろう・・・
【仮説2】ミゲルは最近ベンチャー業界に詳しい
経済犯罪の容疑者がベンチャー経営者。だから、ベンチャー業界に詳しいミゲルが捜査の役に立つ?
それならホセの方が適任だ。ミゲルである必要がない。
―― さっぱり分からんな・・・
俺の考えは纏(まと)まらないものの、内部調査部に行ってミゲルに警察の捜査協力の件を伝えることにした。
***
俺が内部調査部に到着すると、ミゲルが俺に話しかけてきた。
「部長、ターニャから耳より情報がありました!」
読者の中には覚えている人もいるかもしれないが、ターニャは第13穀物倉庫に勤務している話好きのおばさんだ。
「ターニャから? 何かあったの?」
「最近、高齢者を対象に、リース料債権を担保にした小口の社債が販売されているらしいです」
「フォーレンダム証券のIFA(Independent Financial Advisor)が販売していた劣後社債みたいなものかな?」
※詳しくは『第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ』をご覧ください。
「社債発行の仕組みは似ています。なんと、今回は太陽光発電施設から発生するリース料を担保にした社債です。そして、リース資産を借りている会社(レッシー)がノヴァーラ、ロベルティ、ピリアなんです」
「え? ノヴァーラ、ロベルティ、ピリアと言えば・・・、MJ(ジョーダンとマイケル)と詐欺まがいのリース取引を契約した上場企業だよね」
「そうです。私たちが工場の屋根に設置されているのを見に行った太陽光発電施設に対して3社が支払うリース料がその社債の担保資産なんです」
「まじか・・・」
「太陽光発電施設を法外な値段で上場企業とリース契約したにも関わらず、リース資産の取得代金もジャービス王国の高齢者から集めていたらしいんです」
「えー? そこまでやるー?」
「なんせ伝説の財務コンサルタントですから・・・」
「酷い話だな。ちょっと調べた方がいいか」
「そう思います」
「ところで、その社債の発行要項は入手できるの?」
「大丈夫です。ターニャたちが入手してくれたみたいです。今から高級フルーツパーラーで落ち合う予定です」
―― 高級フルーツパーラーで落ち合う・・・
絶対に友達たくさん連れてくるよな・・・
まあ、必要経費だ。俺はそう割り切ろうとするものの、毎度のことだから少しイライラしている。
そういえば、俺はミゲルに要件を伝えるのを忘れていた。警察の捜査協力の件だ。
「言うのを忘れてたんだけど、さっきチャールズから連絡があった。ベテラン警察官のジョルジュからの依頼で、ミゲルに警察の捜査の協力をお願いしたいらしい」
「そうですか。直ぐにジョルジュに会ってきた方がいいですかね?」
「そうだね。急ぎっぽかったから」
「分かりました。じゃあ、ターニャの件を代わりにお願いします!」
そう言うと、ミゲルは待ち合わせ場所の地図を俺に渡して、警察庁に向かった。
―― え? 俺がターニャの対応するの?
俺はターニャとの面談が長時間になることを覚悟した。
<続く>
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