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第8回活動報告:銀行の経営破綻を食い止めろ

<閑話>ダビドの解説:第8回活動報告

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<閑話>ダビドの解説:第8回活動報告

 ジャービス中央銀行のダビドです。今回は銀行の経営破綻を食い止めるために、内部調査部の皆さんとセレナ銀行のデューデリジェンスに同行しました。

 銀行などの金融機関は少し特殊な組織なので、ここで少し説明しようと思います。
 本文では少し細かい銀行実務が出てきましたが、あまり細かい話を続けると読者の皆さんも飽きると思いますから、ここでは大雑把な説明をします。

 企業が資金調達しようとした場合、銀行などから借入するのが一般的です。銀行から借入する場合があれば、信用金庫や信用組合から借入する場合もあります。融資する金融機関は他にも、生命保険会社、損害保険会社、ノンバンクなどいろいろ登場します。

 全ての金融機関の種類を解説するのは難しいので、ここでは銀行、信用金庫、信用組合の違いを説明しましょう。
『道を歩いていると信用金庫や信用組合を見るけど、銀行と何が違うの?』という話です。

 まず、銀行、信用金庫、信用組合の違いを幾つかの観点から比較したものが図表8-31です。


【図表8-31:銀行、信用金庫、信用組合の違い】


※上記は日本における違いを表示しています。


 根拠法が違うのは当然のことですが、銀行、信用金庫、信用組合はそもそもの成立ちが違うため、業務範囲が違います。

 まず、銀行は預金・融資業務の範囲に制約がない金融機関です。

 一方、信用金庫・信用組合は会員組織なので、会員向けサービスを行う金融機関です。
 小売業でいうとコストコ(Costco)が近いでしょうか。コストコは会員制ウェアハウス(倉庫型店舗)なので、会員のために商品を販売しています。
 信用金庫・信用組合もコストコと同じで、会員(信用金庫の場合)または組合員(信用組合の場合)に対して預金・融資業務を行うことを目的としています。JAバンクなども同じです。

 信用金庫・信用組合の融資対象は会員・組合員なので、原則として会員・組合員以外は借入できません。

 更に、会員・組合員の資格は法人の場合、従業員数と資本金に制約があります。企業の規模が大きくなると、信用金庫・信用組合の会員・組合員から除外されるようになっていて、基本的には地域の中小企業を対象にサービスを提供します。
 企業が信用金庫・信用組合との取引を継続したくても、成長して形式要件を満たさなくなったら、信用金庫・信用組合との取引はできなくなります。
 ちなみに、会員・組合員から除外された企業のことを『卒業生』と言います。アイドルみたいですね。

 企業としては規模拡大していくことは好ましいことですが、企業規模が大きくなると信用金庫・信用組合とは取引できません。信用金庫・信用組合からは「ここまで私たちが育てた会社なのに・・・」と恨み節が聞こえてきそうです。

 以上、ダビドでした。

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