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小金井と八王子はハロウィンする
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「東ちゃん仮装なにするか決まった?」
「絶賛お悩み中です」
「だろーと思った、ぷすぷす焦げ付いてるから。頭が煙吹いてるよ、ちょっとは息抜きしたら」
「いえ……オタクとして生を享けたからには負けられない戦いと譲れない信条があります、同志たちと集いて悪しきパンプキンドラゴンを倒す決戦の日に丸腰で挑むのは」
「すげー大袈裟に言ってっけど一週間先のネトゲのイベントの話じゃん、パンプキンドラゴンっておばけサイズのかぼちゃが魔女の呪いで生命を得た存在じゃん」
「わかってないですねリュウさんは、こーゆーのはまず形から入るのが大事なんですって。気分ですよ気分。それにパンプキンドラゴンの脅威を低く見積もるのは危険です、名前と見た目こそやたらファンシーですけどHP8千、MP1万の結構なバケモノですから、RPGだと中ボスクラスの敵キャラです。付け加えるならパンプキンドラゴンが畑を荒らして大好物のカボチャを食べまくるんでアースガルドの農民NPCが大事に育てたジャックオランタンが全滅の危機に瀕してるんですよ、彼らにはチュートリアルで行き倒れた際芋を分けてもらった恩が」
「ゲーム内通貨でコス変するんじゃ駄目なの、ハロウィン限定衣装たくさん出てんじゃん。俺的には東ちゃんの可愛い仮装見れてラッキーだけど」
「なるほど、リュウさんらしくもないガチの正論ですね」
「褒められてんのかな?」
「見てくださいリュウさん。毎年この時期になるとどこのニュースサイトもハロウィン一色、夜の渋谷でコスプレに現をぬかすにわかで炎上です。まったくもってけしからんの一言に尽きます、コスプレと仮装をごっちゃにするなんて。仮装は許可さえとれてるなら路上でしてもいいけどコスプレは即売会やイベントでやるものです、路上でしていいのはギリ秋葉原だけです」
「でたー東ちゃんの謎のこだわり、八王子イズルール」
「一般人がオタクを馬鹿にするのも腹立たしいですけど、オタクが一般人に迷惑かけるのもよくないって話ですよ。要は住み分けが大事ってことで……そう考えるとハロウィンて奥が深いですね。本来は死者と生者が交わる西欧の祝祭でしたが、現代ではオタクと一般人が越境する口実になってるんですね」
「東ちゃんチャットの人たちとはフツーにオフ会できるようになったじゃん。あそこの人たちガチでオタクだけど、相手が二次元だろーが三次元だろがーだれかに恋する気持ちや守りてぇって気持ちは同じじゃねーの」
「……はい。だから僕もチャットの人たちとは会えるようになりました、森さ……まりろんちゃんは欠席続きですけどね。今回はネトゲのハロウィンイベント最優先で、リモートチャットで複窓オン会になりましたけど」
「ネトゲ廃人ガチ勢じゃん。ところで仮装決まった?」
「今悩んでるって言ったじゃないですかもーー何度目ですか!?」
「ごめんごめん」
「ちくちく急かされるとテンパってわけわかんなくなるんでやめてくださいホント……」
「他のギルドメンバーは決まったんでしょ」
「まりろんちゃんはもえ☆まほのヒロイン星野めろんこと魔法少女メロメロハニーに」
「死球が剛速球できたね」
「タートル仙人さんたってのリクエストで……あ、でも本人は顔出しNGなんで3Dキャラクターモデルのガワだけ借りて全力の裏声で乗り切るって言ってました、いま流行りのバ美肉おじさんですね」
「あの人まだ自分の性別隠してんだ……」
「タートル仙人さんはまんまハンドルネーム元ネタの亀仙人。こないだスマホにアロハシャツの写真送ってくれたんですけど見ます?」
「へー、IT関係ってゆーからもっとインテリ系かと思ってたら意外に」
「ワイルドですよね。こないだ結婚した奥さんはアイマスのやよい似だそうです」
「結婚してたの!?初耳だよその情報」
「奥さんと2ショットもありますよ、別のネトゲで知り合ったって話してました」
「……こんな清純そーな子がエロ亀仙人に揉みしだかれちゃってんのか……想像するとキツ。てかハルイチくんとフラグ立ててなかった?」
「現実は非情ですね」
「まあ……BLは浮気に入れない嫁もいるよね」
「タートル仙人さんの仮装の気合の入りすごくって、ハロウィンのリモートチャットに備えてスキンヘッドにしてきたんですって」
「……IТ職でそれだいじょぶ?クビ飛ばなくない?」
「技術職は結構自由な職場らしいですよ、与えられたノルマさえきちんとこなせば服装もルーズでいいし……ってタートル仙人さんが言ってました。どんな変人でもソースコードが綺麗に書ければ尊敬される業界です」
「極論じゃね?」
「オタクにたとえるとビッグサイトに徹夜行列しても壁サークルの新刊ゲットできればいい、みたいな。いやちがうか」
「ハルイチくんは?」
「坂本龍馬です」
「なんで??ハロウィンだよ??」
「ご存知ないですか土佐藩士の……漫画やアニメによく出てくる」
「それもー歴史上の偉人のコスプレでハロウィン関係ねーじゃん。ソシャゲ?ソシャゲの龍馬なの?」
「そこまではわかりませんが……ハルイチさん九州出身でずっと訛りにコンプレックスあったんですけど、最近方言男子がちやほやされてるじゃないですか。で、大学出てから女の子にモテはじめてるみたいなんですよねしっと」
「今の日本語の嫉妬と英語のSitをかけただじゃれ?」
「だからハロウィンのオフ会あらためオン会では新しい自分を見せる意味で、憧れの坂本龍馬になりきってガチ方言でいってみようって……あ、おりょうさんは募集中だそうです。ハロウィンまでにゲットできればいいんですけど」
「そっかーーーーーーーーみんな成長してんだな……すげー胸熱。で、東ちゃんは」
「だから僕のことはいいですから先に自分の仮装決めてくださいよ!!」
「俺もやるの?なんで?」
「ハロウィンの日休みだし家にいますよね?えーと、だから……リュウさんさえよければその、一緒にリモート通話……オン会に参加……お世話になった友達に大事なひとちゃんと紹介したいですし」
「東ちゃん……ラブいね」
「いきなり抱き付かないでください、びっくりしてタートル仙人さんのスキンヘッド拡大しちゃったじゃないですか」
「俺は東ちゃんの仮装見てから決めよっかな」
「僕待ちじゃなくていいですからーーーーーーーーー!変なプレッシャーかけるのやめてください、急かされると胃がキリキリとマイムマイム踊り出して」
「どーせなら合わせたいじゃん?」
「え?」
「東ちゃんが吸血鬼なら俺も吸血鬼、それかヴァンパイアハンター。神父さまもいいかな。東ちゃんが包帯男なら俺はぐるぐる包帯巻くマッドサイエンティスト、東ちゃんが赤ずきんちゃんなら猟師か狼男、東ちゃんがぴょん跳ねキョンシーなら俺は」
「初めに僕ありきじゃないですか!」
「東ちゃんはおそろいイヤ?ペアルック恥ずかしい?」
「ぐ……ずるいですよ、上目遣いであざと可愛くお願いされたら断れない……でもリュウさん、もし僕がまりろんちゃんに対抗してもえ☆まほのヤンデレ闇堕ちヒロイン、めろんにガチ恋の不死川ざくろやるって言ったらどうしますか」
「え……やるの?女の子っしょそれ、いや東ちゃんならフリフリ魔法少女も似合うだろうけど」
「ちっちっ甘いですね……アニメ18話で明らかになりますがが不死川ざくろは実は男の娘、なので童顔で小柄な男が本気出してやるなら限りなくアウトに近いセーフです!」
「だめじゃん」
「だめかもしれません」
「そのざくろって子、マスコットキャラいる?」
「はい、ザクローっていうやたら喋りと性格がチャラい女の子大好きなライオンのぬいぐるみが……あ」
「…………」
「むむむむ無理しないでくださいリュウさん僕も9割冗談で言いましたし無茶振りだって自覚してますから、それにザクロ―は体長50センチなんで180以上のリュウさんがやるの厳しいですよ、もっと無難なのいきましょねっねっ?」
「ライオンのきぐるみなら……借りてくる……」
「苦渋の決断!?」
「俺が育った施設の物置に埃かぶって眠ってる。ガキの頃慰問にきた劇団が忘れてってそのまんま」
「リュウさん……僕の為に……」
「だってがんばる東ちゃんに恥かかせたくねーじゃん、彼氏だって紹介してもらえたら俺も嬉しいし。世話んなった礼言いてェし」
「リュウさんが、ですか?」
「東ちゃんの恩人なら俺の大恩人だろ?俺と出会うまえの東ちゃんを支えてくれたあったけー人たちにきちんと礼言っとかねーと、タートル仙人さんにハルイチくん、序でにまりろんちゃんがいたから今の俺達があるって言っても言い過ぎじゃねー。でしょ?」
「…………ですね」
「じゃあ仮装はもえ☆まほのざくろとザクロ―できまり」
「着ませんけどね」
「この流れで断る!?」
「不死川ざくろの魔法少女コスチュームってコテコテのゴスロリアレンジなんですよね、さすがにハタチすぎた男が着るのはキツいってゆーか遠慮したいかなって……すいません」
「ちぇー。わかった、まだ数日あるから一緒に考え直そ」
「そうしましょうか」
「とりまメルカリで検索かけてみる、いいの見付かるかも」
「リュウさん」
「なあに東ちゃん」
「いいハロウィンになるといいですね」
「……だね」
「もえ☆まほは最終手段で」
「了解」
「……念のためアニメ全部25話視聴しますか、一日徹夜すればイケます」
「東ちゃん?」
「もし本当にやるなら細かい仕草や精神性、女の子としてめろんの親友を演じながら裏では報われぬ恋心を暴走させる二面性も表現したいですし。ざくろとザクロ―の関係もぐっとくるんですよねえ、最初はお互い願いを叶える道具としか見なさず利用しあってたのが7話でザクロ―の過去が判明したあたりで風向き変わって、ザクロ―の前世が恋人にプロポーズに行く途中車に轢かれたホストで、ザクロ―の元恋人がざくろの生き別れた母親とゆー衝撃の展開……さらに衝撃的な事実が24話で明かされ感動のラストへと」
「たんま東ちゃん人間関係が複雑すぎてやりきる自信ねーし、オタク特有の早口でさらっとネタバレくらったの割とダメージなんだけど?」
「人物相関図は公式サイトの矢印で整理できます」
「パンプキンドラゴン討伐に支障きたしたら元も子もねーじゃん、ちゃんと寝てHPとMP養っとこうよ」
「オープニングとエンディング飛ばせば時間の短縮に……本音を言えば制作陣が気合入れた変身バンクもガッツリ入ってるんで毎回見てほしいんですけど、リュウさんザクロ―の声優さんと声質似てるし人間だった頃の面影ありますよ」
「あの……どうしてもやるんならひとっ走りライオンのぬいぐるみ買ってくるから、腹話術でオン会参加していいかな」
「だめです」
「だめかーーーーーーーーー」
「小金井リュウさんはイースト菌改め八王子東の大事な人だって、みんなに顔見せて自慢したいですもん」
「絶賛お悩み中です」
「だろーと思った、ぷすぷす焦げ付いてるから。頭が煙吹いてるよ、ちょっとは息抜きしたら」
「いえ……オタクとして生を享けたからには負けられない戦いと譲れない信条があります、同志たちと集いて悪しきパンプキンドラゴンを倒す決戦の日に丸腰で挑むのは」
「すげー大袈裟に言ってっけど一週間先のネトゲのイベントの話じゃん、パンプキンドラゴンっておばけサイズのかぼちゃが魔女の呪いで生命を得た存在じゃん」
「わかってないですねリュウさんは、こーゆーのはまず形から入るのが大事なんですって。気分ですよ気分。それにパンプキンドラゴンの脅威を低く見積もるのは危険です、名前と見た目こそやたらファンシーですけどHP8千、MP1万の結構なバケモノですから、RPGだと中ボスクラスの敵キャラです。付け加えるならパンプキンドラゴンが畑を荒らして大好物のカボチャを食べまくるんでアースガルドの農民NPCが大事に育てたジャックオランタンが全滅の危機に瀕してるんですよ、彼らにはチュートリアルで行き倒れた際芋を分けてもらった恩が」
「ゲーム内通貨でコス変するんじゃ駄目なの、ハロウィン限定衣装たくさん出てんじゃん。俺的には東ちゃんの可愛い仮装見れてラッキーだけど」
「なるほど、リュウさんらしくもないガチの正論ですね」
「褒められてんのかな?」
「見てくださいリュウさん。毎年この時期になるとどこのニュースサイトもハロウィン一色、夜の渋谷でコスプレに現をぬかすにわかで炎上です。まったくもってけしからんの一言に尽きます、コスプレと仮装をごっちゃにするなんて。仮装は許可さえとれてるなら路上でしてもいいけどコスプレは即売会やイベントでやるものです、路上でしていいのはギリ秋葉原だけです」
「でたー東ちゃんの謎のこだわり、八王子イズルール」
「一般人がオタクを馬鹿にするのも腹立たしいですけど、オタクが一般人に迷惑かけるのもよくないって話ですよ。要は住み分けが大事ってことで……そう考えるとハロウィンて奥が深いですね。本来は死者と生者が交わる西欧の祝祭でしたが、現代ではオタクと一般人が越境する口実になってるんですね」
「東ちゃんチャットの人たちとはフツーにオフ会できるようになったじゃん。あそこの人たちガチでオタクだけど、相手が二次元だろーが三次元だろがーだれかに恋する気持ちや守りてぇって気持ちは同じじゃねーの」
「……はい。だから僕もチャットの人たちとは会えるようになりました、森さ……まりろんちゃんは欠席続きですけどね。今回はネトゲのハロウィンイベント最優先で、リモートチャットで複窓オン会になりましたけど」
「ネトゲ廃人ガチ勢じゃん。ところで仮装決まった?」
「今悩んでるって言ったじゃないですかもーー何度目ですか!?」
「ごめんごめん」
「ちくちく急かされるとテンパってわけわかんなくなるんでやめてくださいホント……」
「他のギルドメンバーは決まったんでしょ」
「まりろんちゃんはもえ☆まほのヒロイン星野めろんこと魔法少女メロメロハニーに」
「死球が剛速球できたね」
「タートル仙人さんたってのリクエストで……あ、でも本人は顔出しNGなんで3Dキャラクターモデルのガワだけ借りて全力の裏声で乗り切るって言ってました、いま流行りのバ美肉おじさんですね」
「あの人まだ自分の性別隠してんだ……」
「タートル仙人さんはまんまハンドルネーム元ネタの亀仙人。こないだスマホにアロハシャツの写真送ってくれたんですけど見ます?」
「へー、IT関係ってゆーからもっとインテリ系かと思ってたら意外に」
「ワイルドですよね。こないだ結婚した奥さんはアイマスのやよい似だそうです」
「結婚してたの!?初耳だよその情報」
「奥さんと2ショットもありますよ、別のネトゲで知り合ったって話してました」
「……こんな清純そーな子がエロ亀仙人に揉みしだかれちゃってんのか……想像するとキツ。てかハルイチくんとフラグ立ててなかった?」
「現実は非情ですね」
「まあ……BLは浮気に入れない嫁もいるよね」
「タートル仙人さんの仮装の気合の入りすごくって、ハロウィンのリモートチャットに備えてスキンヘッドにしてきたんですって」
「……IТ職でそれだいじょぶ?クビ飛ばなくない?」
「技術職は結構自由な職場らしいですよ、与えられたノルマさえきちんとこなせば服装もルーズでいいし……ってタートル仙人さんが言ってました。どんな変人でもソースコードが綺麗に書ければ尊敬される業界です」
「極論じゃね?」
「オタクにたとえるとビッグサイトに徹夜行列しても壁サークルの新刊ゲットできればいい、みたいな。いやちがうか」
「ハルイチくんは?」
「坂本龍馬です」
「なんで??ハロウィンだよ??」
「ご存知ないですか土佐藩士の……漫画やアニメによく出てくる」
「それもー歴史上の偉人のコスプレでハロウィン関係ねーじゃん。ソシャゲ?ソシャゲの龍馬なの?」
「そこまではわかりませんが……ハルイチさん九州出身でずっと訛りにコンプレックスあったんですけど、最近方言男子がちやほやされてるじゃないですか。で、大学出てから女の子にモテはじめてるみたいなんですよねしっと」
「今の日本語の嫉妬と英語のSitをかけただじゃれ?」
「だからハロウィンのオフ会あらためオン会では新しい自分を見せる意味で、憧れの坂本龍馬になりきってガチ方言でいってみようって……あ、おりょうさんは募集中だそうです。ハロウィンまでにゲットできればいいんですけど」
「そっかーーーーーーーーみんな成長してんだな……すげー胸熱。で、東ちゃんは」
「だから僕のことはいいですから先に自分の仮装決めてくださいよ!!」
「俺もやるの?なんで?」
「ハロウィンの日休みだし家にいますよね?えーと、だから……リュウさんさえよければその、一緒にリモート通話……オン会に参加……お世話になった友達に大事なひとちゃんと紹介したいですし」
「東ちゃん……ラブいね」
「いきなり抱き付かないでください、びっくりしてタートル仙人さんのスキンヘッド拡大しちゃったじゃないですか」
「俺は東ちゃんの仮装見てから決めよっかな」
「僕待ちじゃなくていいですからーーーーーーーーー!変なプレッシャーかけるのやめてください、急かされると胃がキリキリとマイムマイム踊り出して」
「どーせなら合わせたいじゃん?」
「え?」
「東ちゃんが吸血鬼なら俺も吸血鬼、それかヴァンパイアハンター。神父さまもいいかな。東ちゃんが包帯男なら俺はぐるぐる包帯巻くマッドサイエンティスト、東ちゃんが赤ずきんちゃんなら猟師か狼男、東ちゃんがぴょん跳ねキョンシーなら俺は」
「初めに僕ありきじゃないですか!」
「東ちゃんはおそろいイヤ?ペアルック恥ずかしい?」
「ぐ……ずるいですよ、上目遣いであざと可愛くお願いされたら断れない……でもリュウさん、もし僕がまりろんちゃんに対抗してもえ☆まほのヤンデレ闇堕ちヒロイン、めろんにガチ恋の不死川ざくろやるって言ったらどうしますか」
「え……やるの?女の子っしょそれ、いや東ちゃんならフリフリ魔法少女も似合うだろうけど」
「ちっちっ甘いですね……アニメ18話で明らかになりますがが不死川ざくろは実は男の娘、なので童顔で小柄な男が本気出してやるなら限りなくアウトに近いセーフです!」
「だめじゃん」
「だめかもしれません」
「そのざくろって子、マスコットキャラいる?」
「はい、ザクローっていうやたら喋りと性格がチャラい女の子大好きなライオンのぬいぐるみが……あ」
「…………」
「むむむむ無理しないでくださいリュウさん僕も9割冗談で言いましたし無茶振りだって自覚してますから、それにザクロ―は体長50センチなんで180以上のリュウさんがやるの厳しいですよ、もっと無難なのいきましょねっねっ?」
「ライオンのきぐるみなら……借りてくる……」
「苦渋の決断!?」
「俺が育った施設の物置に埃かぶって眠ってる。ガキの頃慰問にきた劇団が忘れてってそのまんま」
「リュウさん……僕の為に……」
「だってがんばる東ちゃんに恥かかせたくねーじゃん、彼氏だって紹介してもらえたら俺も嬉しいし。世話んなった礼言いてェし」
「リュウさんが、ですか?」
「東ちゃんの恩人なら俺の大恩人だろ?俺と出会うまえの東ちゃんを支えてくれたあったけー人たちにきちんと礼言っとかねーと、タートル仙人さんにハルイチくん、序でにまりろんちゃんがいたから今の俺達があるって言っても言い過ぎじゃねー。でしょ?」
「…………ですね」
「じゃあ仮装はもえ☆まほのざくろとザクロ―できまり」
「着ませんけどね」
「この流れで断る!?」
「不死川ざくろの魔法少女コスチュームってコテコテのゴスロリアレンジなんですよね、さすがにハタチすぎた男が着るのはキツいってゆーか遠慮したいかなって……すいません」
「ちぇー。わかった、まだ数日あるから一緒に考え直そ」
「そうしましょうか」
「とりまメルカリで検索かけてみる、いいの見付かるかも」
「リュウさん」
「なあに東ちゃん」
「いいハロウィンになるといいですね」
「……だね」
「もえ☆まほは最終手段で」
「了解」
「……念のためアニメ全部25話視聴しますか、一日徹夜すればイケます」
「東ちゃん?」
「もし本当にやるなら細かい仕草や精神性、女の子としてめろんの親友を演じながら裏では報われぬ恋心を暴走させる二面性も表現したいですし。ざくろとザクロ―の関係もぐっとくるんですよねえ、最初はお互い願いを叶える道具としか見なさず利用しあってたのが7話でザクロ―の過去が判明したあたりで風向き変わって、ザクロ―の前世が恋人にプロポーズに行く途中車に轢かれたホストで、ザクロ―の元恋人がざくろの生き別れた母親とゆー衝撃の展開……さらに衝撃的な事実が24話で明かされ感動のラストへと」
「たんま東ちゃん人間関係が複雑すぎてやりきる自信ねーし、オタク特有の早口でさらっとネタバレくらったの割とダメージなんだけど?」
「人物相関図は公式サイトの矢印で整理できます」
「パンプキンドラゴン討伐に支障きたしたら元も子もねーじゃん、ちゃんと寝てHPとMP養っとこうよ」
「オープニングとエンディング飛ばせば時間の短縮に……本音を言えば制作陣が気合入れた変身バンクもガッツリ入ってるんで毎回見てほしいんですけど、リュウさんザクロ―の声優さんと声質似てるし人間だった頃の面影ありますよ」
「あの……どうしてもやるんならひとっ走りライオンのぬいぐるみ買ってくるから、腹話術でオン会参加していいかな」
「だめです」
「だめかーーーーーーーーー」
「小金井リュウさんはイースト菌改め八王子東の大事な人だって、みんなに顔見せて自慢したいですもん」
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