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七話
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「魔女め。何をした」
「靴職人、のッ、ふぁ、ハンスの息子、のッ、あ゛ぁ゛っ、ペーターを呪い、ました」
「それから」
「ハンスの、ンん゛っ、奥さんのッ、マルガレーテを、ぁああッ、呪いましたっ」
「それから」
「村人、たちのッ、ぁあ゛ンっ、家に、ぁあっああっ、まじないをかけました」
「それから」
「夜な夜な家畜小屋に忍んで、ンっぁっ、鶏を盗みまし、たッ」
「それから」
「生贄の血で、ぁがッ、ぁ゛ああッ、魔方陣を描いて、ふう゛っ、悪魔と契約、しました」
喘ぎ声。
打擲音。
絶叫。
水音。
貴方は泣いていました。
膝を抱えて。壁に凭れて。完全に子供返りして、ただ泣いていました。
無理矢理言わされてるんだ。
全部全部本当じゃねえ、真っ赤な嘘だ。
ダミアンは優しい人で、大好きな師匠で、あそこで鞭打たれてよがってる魔女とは違うんだ。
目を背けないで。
ほら、審問官がダミアンを抱え上げて股をこじ開けます。
「これぞ魔女に与える鉄槌だ!」
審問官は三度ダミアンの体内で果てました。
男色は異端。
しかし、誰も見ていなければ?
相手が魔女なら。
罪人なら。
これから火炙りにされる人間なら、よしんば舌を抜いてしまえば、何をしようが口外の心配いらず。
欲望赴くまま捕虜を凌辱し尽くした審問官は、ぐったり倒れ伏した青年に唾を吐き、地下牢の鍵を開けました。
「処刑は明日だ」
硬質な靴音が近付きます。樽の影に隠れやり過ごし、審問官を見送って地下牢に駆け寄り、鉄格子に縋り付きました。
「しっかりしろ。生きてるか?」
「ぁ……」
呼びかけに応じて薄っすら目を開き、鉄格子の隙間から手を伸ばし。
「ごめん、俺……ひとりで逃げた……」
ボロボロの手を両手で包み、額に押し当てた刹那、か細い声が聞こえました。
「ゾ、ラ」
久しぶりに聞く、母の名前でした。
「ごめん。守れなかった」
ダミアンの下肢は血の赤と精液の白に彩られていました。
「愛してた……本当に……」
ダミアン・カレンブルク。
まさかと思いました。
亡きお母上の旅路を遡った理由は巡礼にあらず、実の父を捜す為。
ゾラさんを孕ませた男を突き止め、復讐するのが目的でした。
だってそうでもしなきゃ、ててなし子を産み育てた苦労が報われず、魔女として処刑されたゾラさんがあんまり哀れじゃないですか?
ダミアンが貴方の手を握り、目を閉じ、囁きました。
「僕のことは忘れて。逃げるんだ。どこまでも」
最後に息子の名前を呼びます。
「なん、で。今さら」
弟子でいたかった。
慕っていたかった。
憎悪の苗床に殺意が芽吹き、なのに想いは遂げられず、ダミアンの首に添えた手はまるで力が入らず。
「愛してる、から」
血痰が絡んだ声で。
「もういって。見回りが、来る」
男色は異端。
近親相姦は異端。
息子が父を犯すのは当然異端。
残酷な現実に耐えきれず、またしても逃げました。
母の形見のヴァイオリンを取りに戻る暇はありません。よしんば既に押収されたか壊されたかで原形を留めてないはず。
山をこえ谷をこえ逃げて逃げて川を渡りまた逃げて、物乞いをし体を売り旅費を稼いでまた逃げて、実の父を抱いた悔恨と恩師を見殺しにした罪悪感とまだ断ち切れない未練からもひたすら逃げ続けて。
十年後、村に帰りました。
森の奥の小屋は既に廃墟と化し、蔦と雑草に飲まれようとしています。
嘗て賑やかだった村は流行り病で滅び、ひっそり静まり返っていました。
ダミアン・カレンブルクは十年前に隣町の広場で処刑され、遺灰は川に流されました。
貴方が生き延びたのは偏に幸運の賜物。
体を売り、物乞いをし、数年経った頃にツィゴイネルのキャラバンに拾われ、そこでヴァイオリンを弾き始めました。
現在はキャラバンの子供たちに読み書きを教えています。教え子がたくさん出てきました。誰が貴方の一番弟子か競い合っています。
ダミアンの言うとおり、読み書きや算術を身に付けたおかげで世渡りが上手くなりました。
住人が死に絶えた村の跡地を歩き、自然豊かな森に踏み入り、嘗て暮らした廃墟にたたずみます。
瓦礫をどけて探したものの、やっぱりヴァイオリンは見付かりません。
小屋は骨組みだけになっていましたが、石段の先の地下室は現存していました。
崩落寸前の階段を慎重に踏み締め、半ば外れた戸を蹴破り、十年ぶりに貯蔵庫を開放します。
「!ッ、」
瘴気を可視化した黒い霧が吹き抜けました。
否、違います。
高音域の奇声を上げ、地下室に巣食っていた蝙蝠とネズミの大群が逃げ出したのです。
勇を鼓して敷居を跨ぎ、埃っぽく黴びた空気に咳き込み、朽ちた梁にぶら下がる蜘蛛の巣を薙ぎ払います。
床には干からびたネズミの死骸や糞が散らばり、嘗ての面影など偲ぶべくもなく荒廃しきった惨状に胸が痛みました。
ダミアンは……当然いません。
天井に張り渡されたロープにはボロボロに乾燥しきった薬草が干され、調合用の窯は錆び、炉には堆く灰が嵩んでいました。
図鑑も写本も全て異端審問官に押収されてしまったようです。
足元を見下ろし、息を飲みます。
石床に黒ずんだ塗料で記されていたのは、円と五芒星に呪文を組み合わせた魔方陣です。
ダミアンは地下にこもり、これを描いてたのか。
だから立ち入りを禁じたのか。
試しに縁をなぞり、鼻に近付けて匂いを嗅ぎ、塗料の正体が古い血だと看破します。
人間の?
否。
「魔女」
家畜泥棒はダミアンでした。
彼は鶏の首を切り落とし、滴る血で魔方陣を描き上げたのです。
あの人は、師匠は、やっぱり魔女だったのか?
悪魔や家畜と交わり、邪悪な術を行使して、村を滅ぼした元凶なのか。
牢でよがる裸身が瞼に浮かび、邪な疑念に動悸がします。
魔方陣の中心に立ちぐるりを見回すと、北壁の一部に違和感を覚えました。
『僕なら予め隠し場所を決めて、それでやりとりするかな』
『たとえば?』
『地下室北側の壁のへこみ。一か所だけ煉瓦が緩くなってる』
もしやと手をかければあっさり外れ、空洞から羊皮紙の束が出てきました。
それは魔女として裁かれた男の手記でした。
ダミアンの奇行には理由がありました。
彼は村に大繁殖したネズミが病原菌を媒介してると見抜き、ネズミが苦手とするハーブを家々に置いて回ったのです。
日中出歩けば石を投げられる。
ならば隠密行動しかない。
毒草は使い方次第で殺鼠剤になる。
大前提としてダミアンは魔女と疑われており、親切心からハーブを配り歩いても追い払われるのがオチ。夜中に忍んでいくしかありません。
手記にはご両親の馴れ初めも書かれていました。
出会いは二十五年前、彼が住む町にゾラさんのキャラバンが訪れました。
領主の三男坊ダミアン・カレンブルクは、祭りで歌い踊るゾラさんに一目惚れします。
ふたりは相思相愛でした。
「嘘だ」
まだ続きます。
当時十四歳のダミアンは世間知らずな少年でした。身分違いの恋に落ちた挙句、ツィゴイネルの娘と結婚したいと掛け合った事で父の逆鱗にふれ、キャラバンは追い立てられました。
ダミアンが知った時には既にゾラは去っていたのです。
ああ、漸く腑に落ちました。
ダミアンと愛し合い孕んだとして、それを認めてどうなります?
町の住人に穢された被害者から一転裏切り者と謗られ、親子ともども追放が関の山。
ツィゴイネル女に入れ上げた不肖の息子を、領主は修道院に放り込みました。
しかしダミアンは諦めず、ゾラさん会いたさに修道院を脱走し、すぐ路頭に迷います。
その後薬師の老婆に拾われ、修道院で育てていた薬草の知識を生かし、仕事を手伝うようになりました。
『ゾラの名前はロマの言葉で夜明けをさす。綺麗な響きだ。僕たちの子にもロマの名前を付けたい』
『あの子の名前は僕が考えた名前と同じ。偶然だろうか』
『ハンスの赤ん坊が死んだ。僕は無力だ』
『こんな事になるなら立ち合わせるんじゃなかった。責められるのは僕だけでよかった』
『また救えなかった』
『教会の教えに背いたから?間違った事はしてないはずと信じたい。目の前に助けを求める人がいて、応じる知恵さえあれば、それをさしだすのは正しいことだ』
後半に行くに従い筆跡は千々に乱れ、汗と涙の跡がインクの字を暈し、苦悩の色合いを強めていきます。
『すまない、巻き込んでしまって』
『許してくれ』
それは懺悔録でした。
『体を売ってた事は最初から知っていた。下半身に酷い裂傷を負っていたから』
『やっぱりゾラと似ている。気のせい?わからない……初恋の人の面影を重ねてるだけ?』
『彼女は今どうしてるのかな。どこか遠くで幸せに暮らしていてほしい』
『僕の事なんか忘れて幸せになってほしい。駄目だ、やっぱり覚えていて。忘れないで』
『村の人たちに頼ってもらえるのは嬉しい、居場所ができた感じがする。でも……本心から打ち解けあうのは難しい。昔からそうだった。僕は引っ込み思案の人見知りで、言葉の裏を読むのが下手だ。あの子といる時だけ心が安らぐ』
『僕は間違ってない』
『間違ってない』
『間違ってない』
『間違ってない』
『ごめんなさい』
『キスしたから?触れたから?』
『間違っていた、かもしれない』
『巻き込んですまない。どう償えばいいかわからない』
羊皮紙を握る手が小刻みに震え、ぽたぽた雫が弾けます。
『でも、愛していた』
息子のように。
『愛してる。今でも。たとえ僕が魔女で君が魔女の弟子でも、この気持ちには偽りない』
羊皮紙を握り潰し。
「アンタが間違ってんなら、そんな世界滅ぼしてやる」
地獄で焼かれるさだめでも。
「魔女の弟子の名にかけて」
十年前、地下牢で目撃した光景が忘れられません。
師を辱め火炙りにした審問官に報復を。
報復を。
報復を。
地獄すらぬるい報復を!
斯くして、貴方は呼ばれました。
顔を上げなさい、ダミアン・カレンベルクの一番弟子……ミルセア・カレンベルク。
『魔女に与える鉄槌』の著者、ハインリヒ・クラーマーの暗殺を企てた男。
気の毒に、暗殺は失敗しました。下調べは万全だったのに時と運が味方せず、ね。
貴方は獄死した。
遺灰は川に流された。
お父上と同じ末路です。
そうですか、思い出しましたか。
貴方は復讐の炎に身を焼き焦がし、魂を悪魔に売り、息絶える間際に願ったのです。
ハインリヒ・クラーマーに与える鉄槌を。
僕は、ね。こうみえて誠実なんです。あの男には死さえぬるい。簡単には殺しません、それじゃ貴方や犠牲者が浮かばれない。
ハインリヒ・クラーマーの晩年をご存知ですか?
結論から言えば、あの人ちょーっと調子に乗りすぎたんですよ。神と教会の威光を騙り、好き放題やりすぎた。
容赦のない拷問、弁護の禁止、審問記録の改竄。
クラーマーが処刑した魔女の中に一体どれだけ本物がいたんでしょうねえ?
クラーマーの悪行は市井の人々のみならず貴族や王族の反発を招き、ブレッサノーネの司教ゲオルク二世ならびにゴルザーの不興を買い、立ち退きを要求されました。
晩年のクラーマーは耄碌して狂ってるように見えたと、ゴルザーは友人に宛てた手紙で語っています。
スンミス・デシデランテス・アフェクティブス。
このうえない熱情をもって願わくば。
魔女狩りの発令にあたり、インノケンティウス八世が教皇勅書にしたためた序文です。
このうえない熱情をもって願わくば。
世界が復讐を望むなら、悪党の脳髄を焼き滅ぼすなどお手の物。
ハインリヒ・クラーマーに安息はいらない。
瞼を閉じるたび地獄を見て、仮初の死を死んで、永遠に苦しみ続けるのがお似合いです。
夜明けが生んだ世界、それが貴方の本当の名前。
美しい名前を貰いましたね。
既に契約は交わしました。貴方の願いは叶った。どのみちクラーマーほどの大物なら僕のお仲間がほっとかないでしょうが、それはそれとして。
アインス・ツヴァイ・ドライ!
一曲弾いてください。
待て、なんでこれがここにあるのかって?え~それ突っ込むかあ、面倒くさいなあ絶対怒るし。
怒んない?約束する?本当?
……じゃあ言いますね。
僕ね、ダミアンと取引したんですよ。
貴方たちが一線こえる前夜に。
貴方はダミアンの潔白を信じてた。
実際彼は能うかぎり清く正しく在ろうとしましたが、先代はそうでもない。
彼女こそ生粋の魔女。
ダミアンこそ本物の魔女の弟子。
さしずめ貴方は魔女の又弟子ってところでしょうか。
しかしダミアンはもうどうにもならなくなるギリギリまで、師匠直伝の魔術に頼ろうとしなかった。
禁忌を破り悪魔を呼び出したのは、愛弟子の助命を嘆願するため。
『僕は魔女の弟子として裁かれるけど、ミルセアには人として生きてほしい』
『もったいぶった言い回しですねえ。お弟子さんを助けてほしいと?』
『そうだ』
『貴方のお弟子さんは明日異端審問官に捕まって獄中死する運命ですよ』
『それを変えてくれって頼んでる』
『代償は』
『僕の魂。寿命全部』
あはっ、今頃お気付きになられました?
例の魔方陣はね、僕を呼び出す為に描いたんですよ!
ダミアンは貴方の代わりに死んだ。
ええそうです。
本来死ぬべきは貴方、男魔女として裁かれるはずだったのはツィゴイネルの私生児ミルセア。
何故って、条件は揃ってるでしょ?
お母上は魔女として火炙りになった。赤ん坊の臍の緒を切った。貴方が来てからダミアンはおかしくなった。ツィゴイネルのガキが誑し込んだと村人は勘繰る。
何より村中の女の視線を独占するほど美しい。
美もまた異端の証、災厄の先触れなのです。
靴職人のハンスが告発したのはダミアン・カレンベルクでなく、その弟子のミルセアでした。
さすがのハンスも長年世話になった恩人を売るほど落ちぶれちゃいなかったんですよ。
僕はダミアンに頼まれ、人々の記憶をすこぅし書き換えました。
地下牢で目撃した光景は、審問官に拷問されるのは、本来貴方のはずだったんですよミルセアさん。
ねえ、本当に気付いてます?
「愛していた」とゾラさんを過去形で語った彼が、「愛してる」と貴方に言ったわけが。
どのみち身代わりは立てなきゃいけない。ふたりとも救うのは不可能。
幸い……というべきか否か、地下室の魔方陣が決定的な証拠になってくれました。
でっち上げの手間すらいりません。
貴方の師匠は貴方を助ける為に悪魔に魂を売って、魔女になったんですよ。
……はは、ははははははははははははははははっはははっはは!
殴って気が済みましたか?次はどうします、首でも締めます!?それで気が済むならお好きにどうぞ、僕の頭をかち割ってご覧なさいな!ダミアンがいなきゃね、貴方は十年生きられなかった!
僕にしちゃあ全くあっぱれな大盤振る舞いですよ、あれっぽっちの寿命足しにもなりゃしない、だからヴァイオリンかっぱらったんです!
ぶっちゃけファンだったんです、こっそり聴いてたんです、だけど残念僕には演奏の才がない、貴方が弾かなきゃコイツはただのがらんどうだ!
……はあ~、あてが外れました。折角苦労して手に入れたのにがっかりです。
ダミアンは今どこに?
知りたい?
地獄、とでも言えば満足ですか。
そりゃま、悪魔と取引したんだから地獄に落ちるのが妥当ですね。覚悟の上ですよ。
鎮魂歌を一曲いかがです?
……嗚呼、至高の調べだ。貴方のヴァイオリンは世界を音楽に訳す。
全くもったいない。
与えられた十年を使って、ヴァイオリニストでも目指せばよかったのに。
復讐がくだらないとは言いません。
でも僕は、貴方が紡ぐ世界をもっと聴きたかった。ファンだもの。
あるいはダミアンもそれを望んだのか。
貴方がいかに優れたヴァイオリン弾きでも、一介の薬師風情に推薦するコネはない。
そこいくとエルマー親方は腕っこきのヴァイオリン職人、贔屓筋には音楽家が多い。
調律の延長で彼等に演奏を聴かせる機会があれば、職人以外の道が開ける可能性もないとはいえない。
過ぎたことですけど。
目を閉じて。
風を感じて。
麦穂が揺れる。馬車が駆ける。馬が嘶く。エリカの丘陵を吹き渡る風が大小無数の村や町を抜け、村外れの小屋の戸を叩き、今漸く在るべき場所に帰ってきました。
「ミルセア」
懐かしい声が響きました。
言ったでしょ?
弾けないヴァイオリンなんて無用のガラクタ、驚異の部屋には要りません。
そこでコペルニクス的転回、悪魔的発想の帰結。
希少価値を高めたくば、高潔な魂を封じれば良いのです。
守護霊が弾き手を選ぶヴァイオリンとくれば、驚異の部屋の展示物に十分な資格です。
僕は悪魔です。
とはいえ、血も涙もある。
選択肢を提示します。
二人揃って地獄に落ちるか、共にヴァイオリンに宿って驚異の部屋に飾られるか。
どっちでもいいですよ。
地獄に落とせなきゃ僕の手柄になりませんけど、その代わり超レアなヴァイオリンが手に入るんで、ぶっちゃけどっちに転んでも美味しいっていうか損はない取引です。
答えが出たようですね。
ま、「世界」というには些か手狭ですけど退屈だけはさせないってお約束します。
此処は驚異の部屋。
時にお客様を送り出し、時に展示品に替え、飾り直す場所。
またのお越しを心よりお待ちしています。
「靴職人、のッ、ふぁ、ハンスの息子、のッ、あ゛ぁ゛っ、ペーターを呪い、ました」
「それから」
「ハンスの、ンん゛っ、奥さんのッ、マルガレーテを、ぁああッ、呪いましたっ」
「それから」
「村人、たちのッ、ぁあ゛ンっ、家に、ぁあっああっ、まじないをかけました」
「それから」
「夜な夜な家畜小屋に忍んで、ンっぁっ、鶏を盗みまし、たッ」
「それから」
「生贄の血で、ぁがッ、ぁ゛ああッ、魔方陣を描いて、ふう゛っ、悪魔と契約、しました」
喘ぎ声。
打擲音。
絶叫。
水音。
貴方は泣いていました。
膝を抱えて。壁に凭れて。完全に子供返りして、ただ泣いていました。
無理矢理言わされてるんだ。
全部全部本当じゃねえ、真っ赤な嘘だ。
ダミアンは優しい人で、大好きな師匠で、あそこで鞭打たれてよがってる魔女とは違うんだ。
目を背けないで。
ほら、審問官がダミアンを抱え上げて股をこじ開けます。
「これぞ魔女に与える鉄槌だ!」
審問官は三度ダミアンの体内で果てました。
男色は異端。
しかし、誰も見ていなければ?
相手が魔女なら。
罪人なら。
これから火炙りにされる人間なら、よしんば舌を抜いてしまえば、何をしようが口外の心配いらず。
欲望赴くまま捕虜を凌辱し尽くした審問官は、ぐったり倒れ伏した青年に唾を吐き、地下牢の鍵を開けました。
「処刑は明日だ」
硬質な靴音が近付きます。樽の影に隠れやり過ごし、審問官を見送って地下牢に駆け寄り、鉄格子に縋り付きました。
「しっかりしろ。生きてるか?」
「ぁ……」
呼びかけに応じて薄っすら目を開き、鉄格子の隙間から手を伸ばし。
「ごめん、俺……ひとりで逃げた……」
ボロボロの手を両手で包み、額に押し当てた刹那、か細い声が聞こえました。
「ゾ、ラ」
久しぶりに聞く、母の名前でした。
「ごめん。守れなかった」
ダミアンの下肢は血の赤と精液の白に彩られていました。
「愛してた……本当に……」
ダミアン・カレンブルク。
まさかと思いました。
亡きお母上の旅路を遡った理由は巡礼にあらず、実の父を捜す為。
ゾラさんを孕ませた男を突き止め、復讐するのが目的でした。
だってそうでもしなきゃ、ててなし子を産み育てた苦労が報われず、魔女として処刑されたゾラさんがあんまり哀れじゃないですか?
ダミアンが貴方の手を握り、目を閉じ、囁きました。
「僕のことは忘れて。逃げるんだ。どこまでも」
最後に息子の名前を呼びます。
「なん、で。今さら」
弟子でいたかった。
慕っていたかった。
憎悪の苗床に殺意が芽吹き、なのに想いは遂げられず、ダミアンの首に添えた手はまるで力が入らず。
「愛してる、から」
血痰が絡んだ声で。
「もういって。見回りが、来る」
男色は異端。
近親相姦は異端。
息子が父を犯すのは当然異端。
残酷な現実に耐えきれず、またしても逃げました。
母の形見のヴァイオリンを取りに戻る暇はありません。よしんば既に押収されたか壊されたかで原形を留めてないはず。
山をこえ谷をこえ逃げて逃げて川を渡りまた逃げて、物乞いをし体を売り旅費を稼いでまた逃げて、実の父を抱いた悔恨と恩師を見殺しにした罪悪感とまだ断ち切れない未練からもひたすら逃げ続けて。
十年後、村に帰りました。
森の奥の小屋は既に廃墟と化し、蔦と雑草に飲まれようとしています。
嘗て賑やかだった村は流行り病で滅び、ひっそり静まり返っていました。
ダミアン・カレンブルクは十年前に隣町の広場で処刑され、遺灰は川に流されました。
貴方が生き延びたのは偏に幸運の賜物。
体を売り、物乞いをし、数年経った頃にツィゴイネルのキャラバンに拾われ、そこでヴァイオリンを弾き始めました。
現在はキャラバンの子供たちに読み書きを教えています。教え子がたくさん出てきました。誰が貴方の一番弟子か競い合っています。
ダミアンの言うとおり、読み書きや算術を身に付けたおかげで世渡りが上手くなりました。
住人が死に絶えた村の跡地を歩き、自然豊かな森に踏み入り、嘗て暮らした廃墟にたたずみます。
瓦礫をどけて探したものの、やっぱりヴァイオリンは見付かりません。
小屋は骨組みだけになっていましたが、石段の先の地下室は現存していました。
崩落寸前の階段を慎重に踏み締め、半ば外れた戸を蹴破り、十年ぶりに貯蔵庫を開放します。
「!ッ、」
瘴気を可視化した黒い霧が吹き抜けました。
否、違います。
高音域の奇声を上げ、地下室に巣食っていた蝙蝠とネズミの大群が逃げ出したのです。
勇を鼓して敷居を跨ぎ、埃っぽく黴びた空気に咳き込み、朽ちた梁にぶら下がる蜘蛛の巣を薙ぎ払います。
床には干からびたネズミの死骸や糞が散らばり、嘗ての面影など偲ぶべくもなく荒廃しきった惨状に胸が痛みました。
ダミアンは……当然いません。
天井に張り渡されたロープにはボロボロに乾燥しきった薬草が干され、調合用の窯は錆び、炉には堆く灰が嵩んでいました。
図鑑も写本も全て異端審問官に押収されてしまったようです。
足元を見下ろし、息を飲みます。
石床に黒ずんだ塗料で記されていたのは、円と五芒星に呪文を組み合わせた魔方陣です。
ダミアンは地下にこもり、これを描いてたのか。
だから立ち入りを禁じたのか。
試しに縁をなぞり、鼻に近付けて匂いを嗅ぎ、塗料の正体が古い血だと看破します。
人間の?
否。
「魔女」
家畜泥棒はダミアンでした。
彼は鶏の首を切り落とし、滴る血で魔方陣を描き上げたのです。
あの人は、師匠は、やっぱり魔女だったのか?
悪魔や家畜と交わり、邪悪な術を行使して、村を滅ぼした元凶なのか。
牢でよがる裸身が瞼に浮かび、邪な疑念に動悸がします。
魔方陣の中心に立ちぐるりを見回すと、北壁の一部に違和感を覚えました。
『僕なら予め隠し場所を決めて、それでやりとりするかな』
『たとえば?』
『地下室北側の壁のへこみ。一か所だけ煉瓦が緩くなってる』
もしやと手をかければあっさり外れ、空洞から羊皮紙の束が出てきました。
それは魔女として裁かれた男の手記でした。
ダミアンの奇行には理由がありました。
彼は村に大繁殖したネズミが病原菌を媒介してると見抜き、ネズミが苦手とするハーブを家々に置いて回ったのです。
日中出歩けば石を投げられる。
ならば隠密行動しかない。
毒草は使い方次第で殺鼠剤になる。
大前提としてダミアンは魔女と疑われており、親切心からハーブを配り歩いても追い払われるのがオチ。夜中に忍んでいくしかありません。
手記にはご両親の馴れ初めも書かれていました。
出会いは二十五年前、彼が住む町にゾラさんのキャラバンが訪れました。
領主の三男坊ダミアン・カレンブルクは、祭りで歌い踊るゾラさんに一目惚れします。
ふたりは相思相愛でした。
「嘘だ」
まだ続きます。
当時十四歳のダミアンは世間知らずな少年でした。身分違いの恋に落ちた挙句、ツィゴイネルの娘と結婚したいと掛け合った事で父の逆鱗にふれ、キャラバンは追い立てられました。
ダミアンが知った時には既にゾラは去っていたのです。
ああ、漸く腑に落ちました。
ダミアンと愛し合い孕んだとして、それを認めてどうなります?
町の住人に穢された被害者から一転裏切り者と謗られ、親子ともども追放が関の山。
ツィゴイネル女に入れ上げた不肖の息子を、領主は修道院に放り込みました。
しかしダミアンは諦めず、ゾラさん会いたさに修道院を脱走し、すぐ路頭に迷います。
その後薬師の老婆に拾われ、修道院で育てていた薬草の知識を生かし、仕事を手伝うようになりました。
『ゾラの名前はロマの言葉で夜明けをさす。綺麗な響きだ。僕たちの子にもロマの名前を付けたい』
『あの子の名前は僕が考えた名前と同じ。偶然だろうか』
『ハンスの赤ん坊が死んだ。僕は無力だ』
『こんな事になるなら立ち合わせるんじゃなかった。責められるのは僕だけでよかった』
『また救えなかった』
『教会の教えに背いたから?間違った事はしてないはずと信じたい。目の前に助けを求める人がいて、応じる知恵さえあれば、それをさしだすのは正しいことだ』
後半に行くに従い筆跡は千々に乱れ、汗と涙の跡がインクの字を暈し、苦悩の色合いを強めていきます。
『すまない、巻き込んでしまって』
『許してくれ』
それは懺悔録でした。
『体を売ってた事は最初から知っていた。下半身に酷い裂傷を負っていたから』
『やっぱりゾラと似ている。気のせい?わからない……初恋の人の面影を重ねてるだけ?』
『彼女は今どうしてるのかな。どこか遠くで幸せに暮らしていてほしい』
『僕の事なんか忘れて幸せになってほしい。駄目だ、やっぱり覚えていて。忘れないで』
『村の人たちに頼ってもらえるのは嬉しい、居場所ができた感じがする。でも……本心から打ち解けあうのは難しい。昔からそうだった。僕は引っ込み思案の人見知りで、言葉の裏を読むのが下手だ。あの子といる時だけ心が安らぐ』
『僕は間違ってない』
『間違ってない』
『間違ってない』
『間違ってない』
『ごめんなさい』
『キスしたから?触れたから?』
『間違っていた、かもしれない』
『巻き込んですまない。どう償えばいいかわからない』
羊皮紙を握る手が小刻みに震え、ぽたぽた雫が弾けます。
『でも、愛していた』
息子のように。
『愛してる。今でも。たとえ僕が魔女で君が魔女の弟子でも、この気持ちには偽りない』
羊皮紙を握り潰し。
「アンタが間違ってんなら、そんな世界滅ぼしてやる」
地獄で焼かれるさだめでも。
「魔女の弟子の名にかけて」
十年前、地下牢で目撃した光景が忘れられません。
師を辱め火炙りにした審問官に報復を。
報復を。
報復を。
地獄すらぬるい報復を!
斯くして、貴方は呼ばれました。
顔を上げなさい、ダミアン・カレンベルクの一番弟子……ミルセア・カレンベルク。
『魔女に与える鉄槌』の著者、ハインリヒ・クラーマーの暗殺を企てた男。
気の毒に、暗殺は失敗しました。下調べは万全だったのに時と運が味方せず、ね。
貴方は獄死した。
遺灰は川に流された。
お父上と同じ末路です。
そうですか、思い出しましたか。
貴方は復讐の炎に身を焼き焦がし、魂を悪魔に売り、息絶える間際に願ったのです。
ハインリヒ・クラーマーに与える鉄槌を。
僕は、ね。こうみえて誠実なんです。あの男には死さえぬるい。簡単には殺しません、それじゃ貴方や犠牲者が浮かばれない。
ハインリヒ・クラーマーの晩年をご存知ですか?
結論から言えば、あの人ちょーっと調子に乗りすぎたんですよ。神と教会の威光を騙り、好き放題やりすぎた。
容赦のない拷問、弁護の禁止、審問記録の改竄。
クラーマーが処刑した魔女の中に一体どれだけ本物がいたんでしょうねえ?
クラーマーの悪行は市井の人々のみならず貴族や王族の反発を招き、ブレッサノーネの司教ゲオルク二世ならびにゴルザーの不興を買い、立ち退きを要求されました。
晩年のクラーマーは耄碌して狂ってるように見えたと、ゴルザーは友人に宛てた手紙で語っています。
スンミス・デシデランテス・アフェクティブス。
このうえない熱情をもって願わくば。
魔女狩りの発令にあたり、インノケンティウス八世が教皇勅書にしたためた序文です。
このうえない熱情をもって願わくば。
世界が復讐を望むなら、悪党の脳髄を焼き滅ぼすなどお手の物。
ハインリヒ・クラーマーに安息はいらない。
瞼を閉じるたび地獄を見て、仮初の死を死んで、永遠に苦しみ続けるのがお似合いです。
夜明けが生んだ世界、それが貴方の本当の名前。
美しい名前を貰いましたね。
既に契約は交わしました。貴方の願いは叶った。どのみちクラーマーほどの大物なら僕のお仲間がほっとかないでしょうが、それはそれとして。
アインス・ツヴァイ・ドライ!
一曲弾いてください。
待て、なんでこれがここにあるのかって?え~それ突っ込むかあ、面倒くさいなあ絶対怒るし。
怒んない?約束する?本当?
……じゃあ言いますね。
僕ね、ダミアンと取引したんですよ。
貴方たちが一線こえる前夜に。
貴方はダミアンの潔白を信じてた。
実際彼は能うかぎり清く正しく在ろうとしましたが、先代はそうでもない。
彼女こそ生粋の魔女。
ダミアンこそ本物の魔女の弟子。
さしずめ貴方は魔女の又弟子ってところでしょうか。
しかしダミアンはもうどうにもならなくなるギリギリまで、師匠直伝の魔術に頼ろうとしなかった。
禁忌を破り悪魔を呼び出したのは、愛弟子の助命を嘆願するため。
『僕は魔女の弟子として裁かれるけど、ミルセアには人として生きてほしい』
『もったいぶった言い回しですねえ。お弟子さんを助けてほしいと?』
『そうだ』
『貴方のお弟子さんは明日異端審問官に捕まって獄中死する運命ですよ』
『それを変えてくれって頼んでる』
『代償は』
『僕の魂。寿命全部』
あはっ、今頃お気付きになられました?
例の魔方陣はね、僕を呼び出す為に描いたんですよ!
ダミアンは貴方の代わりに死んだ。
ええそうです。
本来死ぬべきは貴方、男魔女として裁かれるはずだったのはツィゴイネルの私生児ミルセア。
何故って、条件は揃ってるでしょ?
お母上は魔女として火炙りになった。赤ん坊の臍の緒を切った。貴方が来てからダミアンはおかしくなった。ツィゴイネルのガキが誑し込んだと村人は勘繰る。
何より村中の女の視線を独占するほど美しい。
美もまた異端の証、災厄の先触れなのです。
靴職人のハンスが告発したのはダミアン・カレンベルクでなく、その弟子のミルセアでした。
さすがのハンスも長年世話になった恩人を売るほど落ちぶれちゃいなかったんですよ。
僕はダミアンに頼まれ、人々の記憶をすこぅし書き換えました。
地下牢で目撃した光景は、審問官に拷問されるのは、本来貴方のはずだったんですよミルセアさん。
ねえ、本当に気付いてます?
「愛していた」とゾラさんを過去形で語った彼が、「愛してる」と貴方に言ったわけが。
どのみち身代わりは立てなきゃいけない。ふたりとも救うのは不可能。
幸い……というべきか否か、地下室の魔方陣が決定的な証拠になってくれました。
でっち上げの手間すらいりません。
貴方の師匠は貴方を助ける為に悪魔に魂を売って、魔女になったんですよ。
……はは、ははははははははははははははははっはははっはは!
殴って気が済みましたか?次はどうします、首でも締めます!?それで気が済むならお好きにどうぞ、僕の頭をかち割ってご覧なさいな!ダミアンがいなきゃね、貴方は十年生きられなかった!
僕にしちゃあ全くあっぱれな大盤振る舞いですよ、あれっぽっちの寿命足しにもなりゃしない、だからヴァイオリンかっぱらったんです!
ぶっちゃけファンだったんです、こっそり聴いてたんです、だけど残念僕には演奏の才がない、貴方が弾かなきゃコイツはただのがらんどうだ!
……はあ~、あてが外れました。折角苦労して手に入れたのにがっかりです。
ダミアンは今どこに?
知りたい?
地獄、とでも言えば満足ですか。
そりゃま、悪魔と取引したんだから地獄に落ちるのが妥当ですね。覚悟の上ですよ。
鎮魂歌を一曲いかがです?
……嗚呼、至高の調べだ。貴方のヴァイオリンは世界を音楽に訳す。
全くもったいない。
与えられた十年を使って、ヴァイオリニストでも目指せばよかったのに。
復讐がくだらないとは言いません。
でも僕は、貴方が紡ぐ世界をもっと聴きたかった。ファンだもの。
あるいはダミアンもそれを望んだのか。
貴方がいかに優れたヴァイオリン弾きでも、一介の薬師風情に推薦するコネはない。
そこいくとエルマー親方は腕っこきのヴァイオリン職人、贔屓筋には音楽家が多い。
調律の延長で彼等に演奏を聴かせる機会があれば、職人以外の道が開ける可能性もないとはいえない。
過ぎたことですけど。
目を閉じて。
風を感じて。
麦穂が揺れる。馬車が駆ける。馬が嘶く。エリカの丘陵を吹き渡る風が大小無数の村や町を抜け、村外れの小屋の戸を叩き、今漸く在るべき場所に帰ってきました。
「ミルセア」
懐かしい声が響きました。
言ったでしょ?
弾けないヴァイオリンなんて無用のガラクタ、驚異の部屋には要りません。
そこでコペルニクス的転回、悪魔的発想の帰結。
希少価値を高めたくば、高潔な魂を封じれば良いのです。
守護霊が弾き手を選ぶヴァイオリンとくれば、驚異の部屋の展示物に十分な資格です。
僕は悪魔です。
とはいえ、血も涙もある。
選択肢を提示します。
二人揃って地獄に落ちるか、共にヴァイオリンに宿って驚異の部屋に飾られるか。
どっちでもいいですよ。
地獄に落とせなきゃ僕の手柄になりませんけど、その代わり超レアなヴァイオリンが手に入るんで、ぶっちゃけどっちに転んでも美味しいっていうか損はない取引です。
答えが出たようですね。
ま、「世界」というには些か手狭ですけど退屈だけはさせないってお約束します。
此処は驚異の部屋。
時にお客様を送り出し、時に展示品に替え、飾り直す場所。
またのお越しを心よりお待ちしています。
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