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スニーカーとドライフラワー
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子供の頃履いてたスニーカーで小鳥の雛を飼っている。
「道端に落っこちてたんだ」
「で、お持ち帰りか」
「ほっとけないだろ、犬猫に食われちゃうかもしれないし」
「踏み潰されちまうかもな」
「そんな事するのお前だけ」
「弟をどんだけ外道だと思ってんだ」
急ごしらえの巣箱で甲高く雛が囀る。
まだ目も開いてない上に毛もちょびちょびとしか生えてない、みすぼらしいかたまりだ。
「中何が入ってんの?」
「空っぽじゃ寒いから寝床を整えてやった」
スニーカーの中には草花が敷き詰められていた。道端で摘んできたたんぽぽも咲いている。
「至れり尽くせりじゃん」
ピジョンは甲斐甲斐しく雛の面倒を見た。
やがて回復した雛は巣に戻り、あとにはスニーカーの巣だけが取り残された。
たんぽぽは干乾びてドライフラワーとなり、窓辺で日光を浴びている。
「元気でやってるかな」
「どうでもいいから片付けろよ」
「ちょっとは浸らせろよ」
温かい眼差しを古ぼけたスニーカーに向ける兄の隣に立ち、スワローは言った。
「帰巣本能がねえのを祈るぜ」
オツムの禿げた雛鳥とはいえ、兄貴のお古のスニーカーをひとりじめされるのは癪なのだった。
「道端に落っこちてたんだ」
「で、お持ち帰りか」
「ほっとけないだろ、犬猫に食われちゃうかもしれないし」
「踏み潰されちまうかもな」
「そんな事するのお前だけ」
「弟をどんだけ外道だと思ってんだ」
急ごしらえの巣箱で甲高く雛が囀る。
まだ目も開いてない上に毛もちょびちょびとしか生えてない、みすぼらしいかたまりだ。
「中何が入ってんの?」
「空っぽじゃ寒いから寝床を整えてやった」
スニーカーの中には草花が敷き詰められていた。道端で摘んできたたんぽぽも咲いている。
「至れり尽くせりじゃん」
ピジョンは甲斐甲斐しく雛の面倒を見た。
やがて回復した雛は巣に戻り、あとにはスニーカーの巣だけが取り残された。
たんぽぽは干乾びてドライフラワーとなり、窓辺で日光を浴びている。
「元気でやってるかな」
「どうでもいいから片付けろよ」
「ちょっとは浸らせろよ」
温かい眼差しを古ぼけたスニーカーに向ける兄の隣に立ち、スワローは言った。
「帰巣本能がねえのを祈るぜ」
オツムの禿げた雛鳥とはいえ、兄貴のお古のスニーカーをひとりじめされるのは癪なのだった。
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