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Names and natures do often agree.
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混雑を見せる中央保安局のカウンター前で二人の若者が言い争ってる。
かたや上等のシャンパンに似たピンクゴールドの髪の少年、かたや眩いばかりに輝くイエローゴールドの髪の少年。
年季の入ったモッズコートを羽織ったやや小柄な方の少年は、さきほどから難しい顔で呻吟している。
ピンクゴールドの髪は癖のないさらさらの猫っ毛。
お世辞にも美形とはいえまいが、清潔そうな顔立ちはそこそこ整っており、優男を好む向きに人気がでそうだ。
対するイエローゴールドの頭髪の少年は、ろくに手入れもしてない無造作ヘアーを逆立て、燕のエンブレム入りのスタジャンを引っかけているが、そんなラフな服装が不思議と様になる美形。
かっきりと弧を描く柳眉の下、反骨心旺盛に底光る目がホールを行き交うひとびとを苛立たしげに睨んでいる。
「うーん……」
カウンターの書類とにらめっこし、ボールペンの尻を忙しなく押すピジョン。
見かねた受付嬢が愛想笑いを貼り付けて促す。
「まだお決まりになりませんか?」
「ごめんなさい、あと5分ください」
申し訳なさそうに懇願するピジョン。
隣では痺れを切らしたスワローがスタジャンのポケットに手を突っ込みグーパー開閉、癇性な貧乏ゆすりで急かす。
「ッち、」
遂に堪忍袋の緒が切れたスワローが兄の尻を蹴飛ばす。
「いでっ!?」
「まーーーーだ決まんねえのかよ何時間かかってんだ遅漏野郎」
「遅漏とか女性の前で言うんじゃない、セクハラだぞ」
涼しい顔で聞き流す受付嬢と弟を見比べ、極力声を落として恥知らずな振る舞いをなじるが、弟は一向に反省しない。
肺の中身を吐き尽くすような長いため息を送り出し、無意識にスタジャンのポケットを探るも、箱の角を叩いて煙草を出すところで受付嬢の注意が飛ぶ。
「ホールは禁煙です。お控えください」
「チッ!」
「お控えください」
露骨な舌打ちをくれるも、一歩も譲らぬ鉄壁の笑顔に撃沈。
妥協案として火の点いてない煙草で口に栓をし、兄の脇腹を乱暴に突付く。
「どう転んでも期限は今日。今日中に提出しねーと権利失効で名無しのまんまだぞ」
「わかってるけど慎重にいかないと……一世一代の大事だ、テキトーに付けたら絶対後悔する」
「昨日徹夜で考えたのはどうしたよ、没か?明け方まであーでもねーこーでもねー悩んでたじゃん、部屋中紙屑だらけにしやがって」
「よく考えたらもっとイケてるのある気がして……」
ピジョンが頭を抱えてカウンターに突っ伏すのを、あきれ顔で見詰めるスワロー。
「ほんっとお前ってばキレのワリィ小便みてーなヤツだな」
「どういうたとえさ」
「出たり引っ込んだりちょちょ切れてまわりを湿らせる」
「上手い喩えなんて褒めないぞ」
「ファミリーネームなんざ所詮お飾りなんだし何でもいいだろ」
「よくない。名無しの俺たちにやっと姓が付くんだぞ、嬉しくないか」
「別に」
「賞金稼ぎになれば戸籍ができる、ファミリーネームも必要になる。好きな名前選べるってテンション上がらない?あ、差別用語はだめだけど」
はしゃいだピジョンに勢い付いて同意を求められ、スワローは煙草をもてあそんで嘯く。
「じゃあファックトゥザフューチャー」
「なんだって?」
「スワロー・ファックトゥザフューチャー」
「猥褻物陳列罪かよ。いやだぞそんな卑猥な名前、同じ姓を名乗る俺の体面を尊重しろ」
今度は怒りに顔を染めるピジョンに景気よく中指を突き立てる。
ピジョンとスワローは今、中央保安局内の姓名登録所に来ている。
姓名登録所とは新たに賞金稼ぎとなった人間の姓名を記録する窓口で、ここでの手続きが済んで初めて免許が発行される。
裏を返せば、ここで姓名を登録しない限りせっかく試験に通っても免許証をもらえない。
糊の利いた制服に身を包んだ若い受付嬢は、事務仕事に徹した笑顔を作ってさらに促す。
「まだでしょうか?かれこれ三時間経ちますが」
「ごめんなさい……」
「ご承知でしょうが、提出期限を過ぎての申請は失効しますのであしからず」
受付嬢が壁に掛けた時計を目線で示す。
日付が変わるまであと四時間を残すばかりだ。
スワローが偉そうに腕組みしてカウンターに凭れる。
「いいじゃんピジョン・ファックトゥザフューチャー。名が体を表してる」
「お前は兄さんをなんだと思ってるんだ」
「ビッチ」
「あのな」
「兄貴と書いてセフレと読む」
「オナホとルビふられないだけマシか……」
ピジョンも相当毒されている。
二人の会話に受付嬢が目をまるくし、まじまじと兄弟を見比べる。
ピジョンは苛立ちをこらえ、まぜっかえすばかりで事態をややこしくする弟に釘をさす。
「と・に・か・く、冗談ぬきで悩んでるんだから邪魔するな。暇してるなら表でホットドッグでも食ってこい」
「やだよ金がねー。貸してくれる?」
「残念だな、俺もない」
「ちっ、シケてんな」
兄に小遣いをたかるのをやめたスワローが代替案をだす。
「じゃーラブネスト」
「スワロー・ラブネストとピジョン・ラブネスト?正気か?」
「愛の巣ならぴったりじゃん、俺達の新たな門出にふさわしい。第二の人生のはじまりだ」
「お前の頭にはツバメが巣が作ってるんじゃないかって疑いたくなる」
「ハトの羽毛程度っきゃ脳味噌の重さがねーくせに」
「ラブネストは却下、真面目に考えてくれ。一生涯使う名前だぞ?人前に出して恥ずかしくないのが最低条件だ」
「そーゆーテメエもネタだせよ、えらっそうにダメだししてるだけじゃねーか」
「だからさっきから考えてるって言ってるだろ。俺にもお前にも似合う名前ってゆーとむずかしいんだよ、意外と」
「なんで?ツバメもハトも鳥の名前じゃん、共通点いろいろあんじゃん」
「ピジョン・ブルースカイ」
「ださっ」
「ピジョン・ライトウイング」
「くそださっ」
「~~~ほらな、絶対腐されるから言いたくなかったんだ」
「んじゃてめえ俺にスワロー・ブルースカイだのスワロー・ライトウイングだのけったくそ悪いの名乗れってか、自己紹介が毎回セルフ羞恥プレイじゃねえか!?」
「かっこいいじゃないかコミックにでてくる正義のヒーローみたいで。口上も考える?飛び方はストレート、生き様はグレイト……」
「やっぱネーミングセンスねえわ最悪だわ。てめえはピジョン・ビーンズイーターにでも改名しとけ、憧れのキマイライーターとおそろいで嬉しいだろ、ジジイも孫できて喜ぶぜ」
「豆が主食のような言い方するな、アイスクリームやステーキだってたまには食べたい」
「雑食性かよ」
「人間は雑食だろ?何もおかしくない」
「吸い殻拾って食ってろ」
「ニコチンは致死毒。お前も禁煙しないと微量に蓄積され続けて肺癌で死ぬよ」
「てゆーかステーキなんて出たか?覚えがねーぞ」
「前に母さんがウサギ狩ってきたろ、ショットガンでズドンと」
「思い出した、お前が可哀想で食べられないって泣きながら食ってたヤツな」
「おいしく食べてやらなきゃ狩られ損だろ?母さんにも悪いし」
「物陰に引っ込んでぷちぷち豆鉄砲飛ばすの得意じゃんか、臆病もんのやりそうなこった」
ピジョンが憮然と口を尖らし話題を変える。
「……ラストネームと一緒にコードネームも決めないとね」
賞金稼ぎとして公けに認められた者は、ラストネームの申請と同時に賞金稼ぎとしての通り名……コードネームの使用が許される。いわゆる広告塔になる名前だ。
「コードネームってださすぎ。もっと他にねえの言い方」
「いいじゃんかっこいいじゃん。俺パワーパフ・ピジョンにしようかな、強そうだろ」
「ピーピー・ピジョンにしとけ」
筋骨隆々の両腕を生やした鳩を思い描いてスワローが顔を顰める。
「ストロングだとかグレイトだとかシャイニングだとか間違っても使うな」
「ストロング・スワローって語呂よくないか」
「スワッピング・スワローって呼ばれた方がマシ」
「……まあ急いで決めなくてもいいか、こっちはラストネームと違って途中変更できるし」
「デビューしたてで手柄も立ててねーのに通り名とかお寒いもんな」
「中身が伴ってこその名前だね」
「賞金首だって勝手に名乗ってるだけだろアレ?」
「世間が付けるのと五分五分じゃない?」
「月刊バウンティハンターから派生するケースもありますよ」
「バンチに付けてもらえるなんていいなあ、一生自慢できる」
受付嬢が口を出し、ピジョンが襟を正してしみじみ頷く。
どうでもいいが月刊バウンティハンターは略してバンチ派とバウチ派に分かれ、ピジョンはどっちでもこだわらない派だ。
スワローがこれ見よがしに顰め面をする。
「うらやましいか?レイヴン・ノーネームだのネイキッド・クインビーだのださいっちゃありゃしねえ」
「特徴をよく表してるじゃないか」
「その二人は有名どころですね」
「ほらやっぱり」
「ほかには結婚詐欺と強姦致死の常習犯のブラックウィドウ・マリー、元毒使いの暗殺者スコルピオ・ジョージなんかも」
「むかし雑誌で読んだな、そういえば」
「ジョージならお前が飼ってた猫と一緒じゃん。ジャンプすんの上手そうだ」
「あっちは猫、こっちはサソリ。刺されてジャンプするのは人間さ」
「針に毒を塗った凶器が暗殺者時代に好んだ得物です」
「なるほど、それで通り名がスコルピオ……」
「今は床屋に転職したんじゃね?」
「彫り師かもよ」
スワローがピースサインを左右に振って冗談を言い、ピジョンも付き合いで軽口を叩く。
「それでお名前は?」
にっこり微笑む受付嬢の催促によって現実に叩き戻され、ピジョンが頭を抱え直す。
「あーーーーーーどうしよう決まらない………サイコロかアミダに託す?」
悩めるピジョンをさしおいてカウンターに乗り出したスワローが、煙草の先端を生意気に上下させる。
「コレってさ、ぜったいおんなじ姓じゃなきゃだめなの?」
「親と子と兄弟、二親等内の親族はそう決まっております。書類上の手続きがややこしくなりますので」
「あー、相続とかこじれるもんな」
「なりすましとかいるんだろうな」
となると、先祖代々の賞金稼ぎは同じ姓を受け継いでいくわけか。
「一族伝統の名前か……いいなあかっこいい」
「お前かMr何々は、いえ僕は何々ジュニアです、こちらが叔父の何々でその腹違いの兄の甥の何々がそっちの、関係ねえ死ねズドン!最悪皆殺しだぞ」
父方の系図を知らないピジョンは少し憧れを抱くが、自分の出自に一切関心のないスワローはただただ面倒くさそうだ。
それもそのはず、彼が身内に勘定するのはこの世にただふたり、母と兄だけだ。
「うーん……」
書類の端をボールペンの芯先で突付くピジョンの耳たぶに、不意打ちで息を吹く。
「うわっ!?」
ピジョンは耳が一際敏感だ。
兄が取り落としたボールペンを素早くひったくり、指先で器用に旋回させてスワローが宣言。
「優柔不断なおにーさまがうだうだやってんなら俺様が決めてやらァ」
「あああああああーーーーーーー何するんだ!?」
勢いよくボールペンが走り、トメハネの筆圧が極端で、欄外にはみださんばかりに自己主張の強い字が殴り書きされる。
無体な仕打ちに絶叫するピジョンの抗議むなしく、あっというまに新しい名前を記入した書類をカウンターに滑らせば、受付嬢がすかさずキャッチして目を通しスタンプを押す。
「しかと拝領致しました。許可します」
「なんてことするんだお前、いやだぞピジョン・ファックトゥザフューチャーなんて晒し者の名前で生きるの領収書書くたび地獄じゃないか!?」
「ちげーよ」
「じゃあなんだよピジョン・グレイトオナホールか、それともピジョン・ホットチェリーパイか、ピジョン・スモールアスホールか?」
「ピジョン・ドライスクイッドスメル」
「イカ臭いってか!?」
「ピジョン・ナイスビッチ」
「いやだよスワロー・ナイスビッチ!!」
「あの……他の方のお耳もありますので、受付窓口での破廉恥な単語の連呼はお控えください」
受付嬢の注意で我に返ったピジョンが湯気をふいて「すいませんすいませんほらお前も謝れスワローご迷惑かけたんだぞ」と頭を下げ、後頭部を押さえられたスワローは不満げにそっぽをむく。
ホールを行き交うひとびとが何事かとざわめいて注目、視線の圧にとうとういたたまれなくなったピジョンがカウンターに手を突いて受付嬢に迫る。
「それで、俺達の新しい名前は?OKでたってことは放送禁止用語は回避ですよね?」
生唾呑んで問い質すピジョンにいたずらっぽく微笑み、赤い認可印を押した書面を彼の方へ滑らす。
「ひっ」
心の準備ができないピジョンは咄嗟に顔を覆い、ゆっくり下ろした指の隙間からそろそろと書類を覗き込む。
『Pigeon Bird』
『Swallow Bird』
「…………普通だ」
拍子抜けする。
「ラストネームはシンプルで覚えやすいのがいちばんだろ?」
悪戯が大成功した清々しい表情でスワローが言い、ボールペンをリズミカルに回転させる。
「バードなら俺でもスペル知ってっかんな」
「まさかそれが理由?」
「ツバメもハトも鳥のうち。だろ」
「……そうだね、スペルさえわかれば借金の証文とか連帯保証人の欄に書けるもんね……」
俺は悪魔に魂を売ってしまったんじゃなかろうか?
案外悪くなくてホッとしたのも束の間、最悪の想像が膨らみゆく。
弟の品行をまったく信用してない兄をよそに、スワローは乱暴に結論付ける。
「鳥類の括りで見りゃツバメもハトも兄弟みてーなもんだ」
「コードネームのほうは……」
せめてこちらはまともであってくれと切実に祈るピジョンの眼前に、薄っぺらい書類を突き付ける。
「リトル・ピジョン・バード?」
「そ」
隣の欄に目を移し、呆然と読み上げる。
「ヤング・スワロー・バード?」
弟の手から奪い返した書類を食い入るように凝視、憤懣やるかたなくこめかみを脈打たせ怒鳴り散らす。
「馬鹿かよお前!!!!!リトルとヤングって十年後を考えろ、ティーン卒業してから通じる名前じゃないだろ痛々しい!!」
「お前にぴったりの名前じゃん、もーこれっきゃねえハマりよー」
「兄さんまで道連れにするな恥かきたきゃ一人でかけよ!なんだよリトル・ピジョン・バードとヤング・スワロー・バードって、売れないコメディアンか?そんなベタベタに甘ったれた呼び方許されるの母さんだけ……」
激情に任せて口走り、ハッとする。
改めて二個並んだ名前を見直し、口にはしない弟の胸の内を慮る。
私の小鳩ちゃんと私の燕さんは母の口癖だった。
町の悪ガキにこっぴどく殴られて泣いて帰るたび、兄の仕返しにいったスワローがキズだらけで凱旋するたび、母はかわるがわるに、あるいは同時に二人を抱き締めて囁いた。
愛してるわよ、私の小鳩ちゃんと燕さん、と。
耳元で優しく囁かれれば、疼く生傷の痛みもたちどころに癒えていく魔法の言葉。
ピジョンとスワローが無敵になれる呪文。
「甘ったれ兄貴にゃお似合いだろ?」
ピジョンの胸中を見透かすようにスワローが開き直り、不敵に口端を上げる。
その顔付きこそ随分憎らしくなったけれど、どんなもんだと得意風を吹かす様子は母に褒められて絶頂だった弟のままで、反論するのが急に馬鹿馬鹿しくなる。
褒められるのを待っているかのような間をおいて威張りくさるスワローにあきれ返り、書類の名前欄を指でなぞる。
「リトル・ピジョン、ヤング・スワローね……」
五年後、十年後に笑われたってかまうもんか。
二十年後、三十年後にこけにされたって知ったことか。
この名前で呼ばれていた頃の俺たちは怖いもん知らずだったんだから、これからも怖いもん知らずでやっていけるはずだ。
なんたって世界一イイ女がくれた、最高にクールな名前だ。砂吐きそうなくれえに愛情が詰まってやがる。
「ヤングを付けて呼ばれるの嫌だったんじゃない?」
「ババアに呼ばれんのはうざってえけど」
「じゃあなんで?」
「貰えるもんは貰っとく。あと、スペルがクソほど簡単。littleは縦棒ばっかで真っ直ぐおろしゃいいから楽だし、Youngはuとnが背中合わせになってんのがおもしれえ。コイツら逆立ちすりゃ見分け付かねーよな、双子かよ」
「素直になれよヤング・スワロー」
「るっせえよリトル・ピジョン」
苦しい言い訳をこじ付ける弟に苦笑いし、インクの匂いも清々しく、書類に踊る新しい名前を見詰める。
「……うん。悪くないね」
長年なれしたしんだ愛称をわざわざ引っ張りだす理由なんて、これっきゃない。
I miss you.
俺たちはあなたの息子だ。
「聞いたことがあります。大戦前の婚姻制度では、赤い糸で結ばれた夫婦が同じ姓を名乗ったそうですよ」
「はい?」
「社会的慣例として結婚後は夫のファミリーネームを名乗るそうです。もちろん別姓の方もいたでしょうけど……なんだかロマンチックじゃありません、運命の人と名前を共有できるだなんて」
「はあ」
両手を組んでうっとり夢見る受付嬢をぽかんと見返せば、何か凄まじい誤解をした彼女が今日一番の晴れやかな笑顔で祝福する。
「おめでとうございますMr&Mrsバード、末永くお幸せに」
「違います!!!!!!!」
カウンターを叩いて全否定するピジョンの隣で、スワローはけらけら笑いだす。
「まーいいじゃん、実際血の繋がったセフレみてえなもんだろ俺たち」
「誤解の上塗りだ!違います俺たちは健全な兄弟で、同じベッドに寝たからってロマンチックな雰囲気になることなんてホント全然なくて」
「まあ、ダブルベッドですか?」
「ペンキの禿げた安っぽいパイプベッドですよただの、スプリングはイカレてます!!」
「夜は激しいんですのね」
「まーまーいいじゃん、血の繋がった夫婦に昇格したと思えば。どーでもいいけど俺がMrだよな?」
「それはお好みで」
「もうなにも言うなヤング・スワロー!!」
ピジョンがしばらく保安局に出入りできなくなったのはいうまでもない。
かたや上等のシャンパンに似たピンクゴールドの髪の少年、かたや眩いばかりに輝くイエローゴールドの髪の少年。
年季の入ったモッズコートを羽織ったやや小柄な方の少年は、さきほどから難しい顔で呻吟している。
ピンクゴールドの髪は癖のないさらさらの猫っ毛。
お世辞にも美形とはいえまいが、清潔そうな顔立ちはそこそこ整っており、優男を好む向きに人気がでそうだ。
対するイエローゴールドの頭髪の少年は、ろくに手入れもしてない無造作ヘアーを逆立て、燕のエンブレム入りのスタジャンを引っかけているが、そんなラフな服装が不思議と様になる美形。
かっきりと弧を描く柳眉の下、反骨心旺盛に底光る目がホールを行き交うひとびとを苛立たしげに睨んでいる。
「うーん……」
カウンターの書類とにらめっこし、ボールペンの尻を忙しなく押すピジョン。
見かねた受付嬢が愛想笑いを貼り付けて促す。
「まだお決まりになりませんか?」
「ごめんなさい、あと5分ください」
申し訳なさそうに懇願するピジョン。
隣では痺れを切らしたスワローがスタジャンのポケットに手を突っ込みグーパー開閉、癇性な貧乏ゆすりで急かす。
「ッち、」
遂に堪忍袋の緒が切れたスワローが兄の尻を蹴飛ばす。
「いでっ!?」
「まーーーーだ決まんねえのかよ何時間かかってんだ遅漏野郎」
「遅漏とか女性の前で言うんじゃない、セクハラだぞ」
涼しい顔で聞き流す受付嬢と弟を見比べ、極力声を落として恥知らずな振る舞いをなじるが、弟は一向に反省しない。
肺の中身を吐き尽くすような長いため息を送り出し、無意識にスタジャンのポケットを探るも、箱の角を叩いて煙草を出すところで受付嬢の注意が飛ぶ。
「ホールは禁煙です。お控えください」
「チッ!」
「お控えください」
露骨な舌打ちをくれるも、一歩も譲らぬ鉄壁の笑顔に撃沈。
妥協案として火の点いてない煙草で口に栓をし、兄の脇腹を乱暴に突付く。
「どう転んでも期限は今日。今日中に提出しねーと権利失効で名無しのまんまだぞ」
「わかってるけど慎重にいかないと……一世一代の大事だ、テキトーに付けたら絶対後悔する」
「昨日徹夜で考えたのはどうしたよ、没か?明け方まであーでもねーこーでもねー悩んでたじゃん、部屋中紙屑だらけにしやがって」
「よく考えたらもっとイケてるのある気がして……」
ピジョンが頭を抱えてカウンターに突っ伏すのを、あきれ顔で見詰めるスワロー。
「ほんっとお前ってばキレのワリィ小便みてーなヤツだな」
「どういうたとえさ」
「出たり引っ込んだりちょちょ切れてまわりを湿らせる」
「上手い喩えなんて褒めないぞ」
「ファミリーネームなんざ所詮お飾りなんだし何でもいいだろ」
「よくない。名無しの俺たちにやっと姓が付くんだぞ、嬉しくないか」
「別に」
「賞金稼ぎになれば戸籍ができる、ファミリーネームも必要になる。好きな名前選べるってテンション上がらない?あ、差別用語はだめだけど」
はしゃいだピジョンに勢い付いて同意を求められ、スワローは煙草をもてあそんで嘯く。
「じゃあファックトゥザフューチャー」
「なんだって?」
「スワロー・ファックトゥザフューチャー」
「猥褻物陳列罪かよ。いやだぞそんな卑猥な名前、同じ姓を名乗る俺の体面を尊重しろ」
今度は怒りに顔を染めるピジョンに景気よく中指を突き立てる。
ピジョンとスワローは今、中央保安局内の姓名登録所に来ている。
姓名登録所とは新たに賞金稼ぎとなった人間の姓名を記録する窓口で、ここでの手続きが済んで初めて免許が発行される。
裏を返せば、ここで姓名を登録しない限りせっかく試験に通っても免許証をもらえない。
糊の利いた制服に身を包んだ若い受付嬢は、事務仕事に徹した笑顔を作ってさらに促す。
「まだでしょうか?かれこれ三時間経ちますが」
「ごめんなさい……」
「ご承知でしょうが、提出期限を過ぎての申請は失効しますのであしからず」
受付嬢が壁に掛けた時計を目線で示す。
日付が変わるまであと四時間を残すばかりだ。
スワローが偉そうに腕組みしてカウンターに凭れる。
「いいじゃんピジョン・ファックトゥザフューチャー。名が体を表してる」
「お前は兄さんをなんだと思ってるんだ」
「ビッチ」
「あのな」
「兄貴と書いてセフレと読む」
「オナホとルビふられないだけマシか……」
ピジョンも相当毒されている。
二人の会話に受付嬢が目をまるくし、まじまじと兄弟を見比べる。
ピジョンは苛立ちをこらえ、まぜっかえすばかりで事態をややこしくする弟に釘をさす。
「と・に・か・く、冗談ぬきで悩んでるんだから邪魔するな。暇してるなら表でホットドッグでも食ってこい」
「やだよ金がねー。貸してくれる?」
「残念だな、俺もない」
「ちっ、シケてんな」
兄に小遣いをたかるのをやめたスワローが代替案をだす。
「じゃーラブネスト」
「スワロー・ラブネストとピジョン・ラブネスト?正気か?」
「愛の巣ならぴったりじゃん、俺達の新たな門出にふさわしい。第二の人生のはじまりだ」
「お前の頭にはツバメが巣が作ってるんじゃないかって疑いたくなる」
「ハトの羽毛程度っきゃ脳味噌の重さがねーくせに」
「ラブネストは却下、真面目に考えてくれ。一生涯使う名前だぞ?人前に出して恥ずかしくないのが最低条件だ」
「そーゆーテメエもネタだせよ、えらっそうにダメだししてるだけじゃねーか」
「だからさっきから考えてるって言ってるだろ。俺にもお前にも似合う名前ってゆーとむずかしいんだよ、意外と」
「なんで?ツバメもハトも鳥の名前じゃん、共通点いろいろあんじゃん」
「ピジョン・ブルースカイ」
「ださっ」
「ピジョン・ライトウイング」
「くそださっ」
「~~~ほらな、絶対腐されるから言いたくなかったんだ」
「んじゃてめえ俺にスワロー・ブルースカイだのスワロー・ライトウイングだのけったくそ悪いの名乗れってか、自己紹介が毎回セルフ羞恥プレイじゃねえか!?」
「かっこいいじゃないかコミックにでてくる正義のヒーローみたいで。口上も考える?飛び方はストレート、生き様はグレイト……」
「やっぱネーミングセンスねえわ最悪だわ。てめえはピジョン・ビーンズイーターにでも改名しとけ、憧れのキマイライーターとおそろいで嬉しいだろ、ジジイも孫できて喜ぶぜ」
「豆が主食のような言い方するな、アイスクリームやステーキだってたまには食べたい」
「雑食性かよ」
「人間は雑食だろ?何もおかしくない」
「吸い殻拾って食ってろ」
「ニコチンは致死毒。お前も禁煙しないと微量に蓄積され続けて肺癌で死ぬよ」
「てゆーかステーキなんて出たか?覚えがねーぞ」
「前に母さんがウサギ狩ってきたろ、ショットガンでズドンと」
「思い出した、お前が可哀想で食べられないって泣きながら食ってたヤツな」
「おいしく食べてやらなきゃ狩られ損だろ?母さんにも悪いし」
「物陰に引っ込んでぷちぷち豆鉄砲飛ばすの得意じゃんか、臆病もんのやりそうなこった」
ピジョンが憮然と口を尖らし話題を変える。
「……ラストネームと一緒にコードネームも決めないとね」
賞金稼ぎとして公けに認められた者は、ラストネームの申請と同時に賞金稼ぎとしての通り名……コードネームの使用が許される。いわゆる広告塔になる名前だ。
「コードネームってださすぎ。もっと他にねえの言い方」
「いいじゃんかっこいいじゃん。俺パワーパフ・ピジョンにしようかな、強そうだろ」
「ピーピー・ピジョンにしとけ」
筋骨隆々の両腕を生やした鳩を思い描いてスワローが顔を顰める。
「ストロングだとかグレイトだとかシャイニングだとか間違っても使うな」
「ストロング・スワローって語呂よくないか」
「スワッピング・スワローって呼ばれた方がマシ」
「……まあ急いで決めなくてもいいか、こっちはラストネームと違って途中変更できるし」
「デビューしたてで手柄も立ててねーのに通り名とかお寒いもんな」
「中身が伴ってこその名前だね」
「賞金首だって勝手に名乗ってるだけだろアレ?」
「世間が付けるのと五分五分じゃない?」
「月刊バウンティハンターから派生するケースもありますよ」
「バンチに付けてもらえるなんていいなあ、一生自慢できる」
受付嬢が口を出し、ピジョンが襟を正してしみじみ頷く。
どうでもいいが月刊バウンティハンターは略してバンチ派とバウチ派に分かれ、ピジョンはどっちでもこだわらない派だ。
スワローがこれ見よがしに顰め面をする。
「うらやましいか?レイヴン・ノーネームだのネイキッド・クインビーだのださいっちゃありゃしねえ」
「特徴をよく表してるじゃないか」
「その二人は有名どころですね」
「ほらやっぱり」
「ほかには結婚詐欺と強姦致死の常習犯のブラックウィドウ・マリー、元毒使いの暗殺者スコルピオ・ジョージなんかも」
「むかし雑誌で読んだな、そういえば」
「ジョージならお前が飼ってた猫と一緒じゃん。ジャンプすんの上手そうだ」
「あっちは猫、こっちはサソリ。刺されてジャンプするのは人間さ」
「針に毒を塗った凶器が暗殺者時代に好んだ得物です」
「なるほど、それで通り名がスコルピオ……」
「今は床屋に転職したんじゃね?」
「彫り師かもよ」
スワローがピースサインを左右に振って冗談を言い、ピジョンも付き合いで軽口を叩く。
「それでお名前は?」
にっこり微笑む受付嬢の催促によって現実に叩き戻され、ピジョンが頭を抱え直す。
「あーーーーーーどうしよう決まらない………サイコロかアミダに託す?」
悩めるピジョンをさしおいてカウンターに乗り出したスワローが、煙草の先端を生意気に上下させる。
「コレってさ、ぜったいおんなじ姓じゃなきゃだめなの?」
「親と子と兄弟、二親等内の親族はそう決まっております。書類上の手続きがややこしくなりますので」
「あー、相続とかこじれるもんな」
「なりすましとかいるんだろうな」
となると、先祖代々の賞金稼ぎは同じ姓を受け継いでいくわけか。
「一族伝統の名前か……いいなあかっこいい」
「お前かMr何々は、いえ僕は何々ジュニアです、こちらが叔父の何々でその腹違いの兄の甥の何々がそっちの、関係ねえ死ねズドン!最悪皆殺しだぞ」
父方の系図を知らないピジョンは少し憧れを抱くが、自分の出自に一切関心のないスワローはただただ面倒くさそうだ。
それもそのはず、彼が身内に勘定するのはこの世にただふたり、母と兄だけだ。
「うーん……」
書類の端をボールペンの芯先で突付くピジョンの耳たぶに、不意打ちで息を吹く。
「うわっ!?」
ピジョンは耳が一際敏感だ。
兄が取り落としたボールペンを素早くひったくり、指先で器用に旋回させてスワローが宣言。
「優柔不断なおにーさまがうだうだやってんなら俺様が決めてやらァ」
「あああああああーーーーーーー何するんだ!?」
勢いよくボールペンが走り、トメハネの筆圧が極端で、欄外にはみださんばかりに自己主張の強い字が殴り書きされる。
無体な仕打ちに絶叫するピジョンの抗議むなしく、あっというまに新しい名前を記入した書類をカウンターに滑らせば、受付嬢がすかさずキャッチして目を通しスタンプを押す。
「しかと拝領致しました。許可します」
「なんてことするんだお前、いやだぞピジョン・ファックトゥザフューチャーなんて晒し者の名前で生きるの領収書書くたび地獄じゃないか!?」
「ちげーよ」
「じゃあなんだよピジョン・グレイトオナホールか、それともピジョン・ホットチェリーパイか、ピジョン・スモールアスホールか?」
「ピジョン・ドライスクイッドスメル」
「イカ臭いってか!?」
「ピジョン・ナイスビッチ」
「いやだよスワロー・ナイスビッチ!!」
「あの……他の方のお耳もありますので、受付窓口での破廉恥な単語の連呼はお控えください」
受付嬢の注意で我に返ったピジョンが湯気をふいて「すいませんすいませんほらお前も謝れスワローご迷惑かけたんだぞ」と頭を下げ、後頭部を押さえられたスワローは不満げにそっぽをむく。
ホールを行き交うひとびとが何事かとざわめいて注目、視線の圧にとうとういたたまれなくなったピジョンがカウンターに手を突いて受付嬢に迫る。
「それで、俺達の新しい名前は?OKでたってことは放送禁止用語は回避ですよね?」
生唾呑んで問い質すピジョンにいたずらっぽく微笑み、赤い認可印を押した書面を彼の方へ滑らす。
「ひっ」
心の準備ができないピジョンは咄嗟に顔を覆い、ゆっくり下ろした指の隙間からそろそろと書類を覗き込む。
『Pigeon Bird』
『Swallow Bird』
「…………普通だ」
拍子抜けする。
「ラストネームはシンプルで覚えやすいのがいちばんだろ?」
悪戯が大成功した清々しい表情でスワローが言い、ボールペンをリズミカルに回転させる。
「バードなら俺でもスペル知ってっかんな」
「まさかそれが理由?」
「ツバメもハトも鳥のうち。だろ」
「……そうだね、スペルさえわかれば借金の証文とか連帯保証人の欄に書けるもんね……」
俺は悪魔に魂を売ってしまったんじゃなかろうか?
案外悪くなくてホッとしたのも束の間、最悪の想像が膨らみゆく。
弟の品行をまったく信用してない兄をよそに、スワローは乱暴に結論付ける。
「鳥類の括りで見りゃツバメもハトも兄弟みてーなもんだ」
「コードネームのほうは……」
せめてこちらはまともであってくれと切実に祈るピジョンの眼前に、薄っぺらい書類を突き付ける。
「リトル・ピジョン・バード?」
「そ」
隣の欄に目を移し、呆然と読み上げる。
「ヤング・スワロー・バード?」
弟の手から奪い返した書類を食い入るように凝視、憤懣やるかたなくこめかみを脈打たせ怒鳴り散らす。
「馬鹿かよお前!!!!!リトルとヤングって十年後を考えろ、ティーン卒業してから通じる名前じゃないだろ痛々しい!!」
「お前にぴったりの名前じゃん、もーこれっきゃねえハマりよー」
「兄さんまで道連れにするな恥かきたきゃ一人でかけよ!なんだよリトル・ピジョン・バードとヤング・スワロー・バードって、売れないコメディアンか?そんなベタベタに甘ったれた呼び方許されるの母さんだけ……」
激情に任せて口走り、ハッとする。
改めて二個並んだ名前を見直し、口にはしない弟の胸の内を慮る。
私の小鳩ちゃんと私の燕さんは母の口癖だった。
町の悪ガキにこっぴどく殴られて泣いて帰るたび、兄の仕返しにいったスワローがキズだらけで凱旋するたび、母はかわるがわるに、あるいは同時に二人を抱き締めて囁いた。
愛してるわよ、私の小鳩ちゃんと燕さん、と。
耳元で優しく囁かれれば、疼く生傷の痛みもたちどころに癒えていく魔法の言葉。
ピジョンとスワローが無敵になれる呪文。
「甘ったれ兄貴にゃお似合いだろ?」
ピジョンの胸中を見透かすようにスワローが開き直り、不敵に口端を上げる。
その顔付きこそ随分憎らしくなったけれど、どんなもんだと得意風を吹かす様子は母に褒められて絶頂だった弟のままで、反論するのが急に馬鹿馬鹿しくなる。
褒められるのを待っているかのような間をおいて威張りくさるスワローにあきれ返り、書類の名前欄を指でなぞる。
「リトル・ピジョン、ヤング・スワローね……」
五年後、十年後に笑われたってかまうもんか。
二十年後、三十年後にこけにされたって知ったことか。
この名前で呼ばれていた頃の俺たちは怖いもん知らずだったんだから、これからも怖いもん知らずでやっていけるはずだ。
なんたって世界一イイ女がくれた、最高にクールな名前だ。砂吐きそうなくれえに愛情が詰まってやがる。
「ヤングを付けて呼ばれるの嫌だったんじゃない?」
「ババアに呼ばれんのはうざってえけど」
「じゃあなんで?」
「貰えるもんは貰っとく。あと、スペルがクソほど簡単。littleは縦棒ばっかで真っ直ぐおろしゃいいから楽だし、Youngはuとnが背中合わせになってんのがおもしれえ。コイツら逆立ちすりゃ見分け付かねーよな、双子かよ」
「素直になれよヤング・スワロー」
「るっせえよリトル・ピジョン」
苦しい言い訳をこじ付ける弟に苦笑いし、インクの匂いも清々しく、書類に踊る新しい名前を見詰める。
「……うん。悪くないね」
長年なれしたしんだ愛称をわざわざ引っ張りだす理由なんて、これっきゃない。
I miss you.
俺たちはあなたの息子だ。
「聞いたことがあります。大戦前の婚姻制度では、赤い糸で結ばれた夫婦が同じ姓を名乗ったそうですよ」
「はい?」
「社会的慣例として結婚後は夫のファミリーネームを名乗るそうです。もちろん別姓の方もいたでしょうけど……なんだかロマンチックじゃありません、運命の人と名前を共有できるだなんて」
「はあ」
両手を組んでうっとり夢見る受付嬢をぽかんと見返せば、何か凄まじい誤解をした彼女が今日一番の晴れやかな笑顔で祝福する。
「おめでとうございますMr&Mrsバード、末永くお幸せに」
「違います!!!!!!!」
カウンターを叩いて全否定するピジョンの隣で、スワローはけらけら笑いだす。
「まーいいじゃん、実際血の繋がったセフレみてえなもんだろ俺たち」
「誤解の上塗りだ!違います俺たちは健全な兄弟で、同じベッドに寝たからってロマンチックな雰囲気になることなんてホント全然なくて」
「まあ、ダブルベッドですか?」
「ペンキの禿げた安っぽいパイプベッドですよただの、スプリングはイカレてます!!」
「夜は激しいんですのね」
「まーまーいいじゃん、血の繋がった夫婦に昇格したと思えば。どーでもいいけど俺がMrだよな?」
「それはお好みで」
「もうなにも言うなヤング・スワロー!!」
ピジョンがしばらく保安局に出入りできなくなったのはいうまでもない。
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