モクメサン
認知症の祖母の介護を離れて暮らす母1人に押し付けていた彩名。
祖母の葬儀の為に帰省すると、母はひどく憔悴していたが、近所の人々は「よくできた嫁だ」としきりに褒めている。
祖母はありがとうありがとうと言いながら死んでいった。
最期まで母に感謝していたらしい。
お焼香の際、棺桶に眠る祖母の首元の痣に気付いた彩名は、子供の頃に祖母の部屋の天井に見た、「モクメサン」のことを思い出す。
イラスト:ひびの(@hibimeguru5)様
祖母の葬儀の為に帰省すると、母はひどく憔悴していたが、近所の人々は「よくできた嫁だ」としきりに褒めている。
祖母はありがとうありがとうと言いながら死んでいった。
最期まで母に感謝していたらしい。
お焼香の際、棺桶に眠る祖母の首元の痣に気付いた彩名は、子供の頃に祖母の部屋の天井に見た、「モクメサン」のことを思い出す。
イラスト:ひびの(@hibimeguru5)様
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面白かったです。
怪談掌編としてもよくできていると思いますが、それよりも丁寧な語り口と帰りたくない娘の心情描写に心惹かれました。
おそらく現実にも数多いるだろう、生まれ故郷に帰りたくない人々の気持ちが代弁されていて、結局のところ周囲も含めて様々な要素がそこにいたくない、いられないという環境をつくり出しているのだということを描写しているのがよかった。そしてそういう環境をつくっておきながら帰って来いと軽々しく言えてしまう人たちの描写も。
こういう部分をきちんと書いてくださる書き手さんというのは、人間というものときちんと向き合って書かれているんだという気持ちがして、安心して読むことができます。
素晴らしい掌編をありがとうございました。
翠山都さま
ご感想ありがとうございます!語り口を褒めていただいて大変嬉しいです。
私の作品の中ではリアリズムを取り入れたホラー短編になっていますが、そこに注目していただいて有難いです。介護の問題は誰が悪い、一方が悪いと断言できないのが難しいですよね……。
正直主人公は読者さんに批判されるかなと思っていたので、広い視野で共感を示していただいて安心しました。
母親と主人公、どちらに感情移入するかで読み心地が変わってくるのかもしれません。
当方の力量不足ゆえに人間がちゃんと書けてるか常に不安ですが、人間や現実と向き合い、できるだけその本質を作品に落とし込みたいと考えてはいるので、その気持ちが伝わって大変光栄でした。
こちらこそ、丁寧に読んでくださりありがとうございました!
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