少年プリズン

まさみ

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二百七十二話

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 ベッドの足元にレイジが所在なげに佇んでいる。
 レイジ、たしかにレイジだ。見間違えるはずもない。瞼を手の甲でこすり、瞬きをくりかえし、正面の暗闇に目を凝らす。暗闇に慣れた目がとらえたのはベッドの足元に途方にくれたように立ち竦んだ青年。あちこち跳ね癖がついた茶髪はほんの数時間前までリングで格闘してたからか?
 レイジの顔をもっとよく見ようと懐でこぶしを握りしめ身を乗り出す。
 よく見りゃレイジは全身擦り傷だらけで上着にもズボンにも赤黒く乾いた血が付着したみすぼらしい格好で、疲労の色濃く憔悴した面持ちで俯いていた。自分の体を支えるように腹に片腕を回し、衝立を背に何とか二本足でバランスを保つその姿はひどく不安定で危なっかしい。
 世界の不幸を一身に背負ってるような悲惨きわまりない姿をさらに際立たせるのは右腕に巻かれた包帯。
 怪我をしたのか?
 夜目にもあざやかに際立つ純白の包帯を見た瞬間、喉がひきつり、変な声を漏らしそうになる。無意識に自分を守るように腹に左腕を回して突っ立ってるレイジの右腕は関節が外れて筋肉が弛緩したように体の脇にたれさがっていた。その袖口が半ばまでだらしなくめくれ、腕に巻かれた包帯が覗いていたのだ。
 すぐに直感した、あれはこのまえサーシャに切られた場所だ。渡り廊下でサーシャと死闘を演じたレイジはその時深々と右腕を切り裂かれた。あの時の怪我がまだ完治してないのだ。
 レイジの馬鹿。深手を負ってるくせに、指一本曲げるだけでも激痛で意識が飛びそうなのに、あんな体でペア戦に出場したのか。格好つけすぎだ。だれにも弱みを見せずひとりで無茶して重荷を全部背負って、しまいにゃ自分がぼろぼろになって、何度も何度も命を落としそうになって、レイジはそれでもへらへら笑ってるようなヤツなのだ。
 それが東棟の王様、俺の相棒なのだ。
 レイジは人慣れない獣のように、ベッドから近すぎず遠すぎず距離を保っていた。
 こんな臆病なレイジ見たことがない。
 レイジの緊張が伝染したか、手のひらがじっとり汗ばみ、動揺がはげしくなる。
 俺に気付かれて仕方なく出てきたはいいものの、枕元にくる決心がつかないらしく、レイジはいまだベッドの足元で引き返そうかどうしようか逡巡していた。女々しいやつ、バレちまったんだから潔く腹を括れ。
 俺の焦燥なんかおかまいなしに、剣呑な殺気を纏いながらも微動だにせず、暗闇に溶けるように立ち尽くすレイジは、彫り深く端正な容貌も相俟ってそうしてるとまるで彫像みたいだ。
 均整がとれた長身を際立たせているのは上着越しに透けてみえるような実戦の筋肉。人に見せつるため誇張した筋肉ではない、俊敏な豹を彷彿とさせる優美でしなやかな肢体は必要最低限に絞りこまれて無駄な贅肉など一片も見当たらない。
 長めの前髪が俯き加減の顔を隠す。物憂げに黙り込んだレイジに言い知れぬ不安をかきたてられる。
 なんか言えよ、おい。なんか言いたいこと俺に会いにきたんじゃないのかよ、だんまりやめろよ。
 そんな情けない面して恨めしげな目をして首をうなだれて、天下の王様の名が泣くぜ。
 ほら、俺に言いたいことがあるんだろ?黙ってちゃわかんねえよ。
 レイジの唇がかすかに震え、物言いたげに開く。が、言葉を発することなくまた閉じられてしまう。
 レイジは気後れしている、自分から話しかける行為に腰が引けてる。俺と目が合いそうになりゃよそよそしく逸らしてしまうし、こっちにしても話しかけるとっかかりがない。
 重苦しい沈黙に喉を塞がれ、息が詰まる。
 なにか言わなきゃ。せっかくレイジと会えたんだ、これを逃したら次にいつ会えるかわからない。次に会える保証もない、これきりになるかもしれない。だめだ、レイジを引きとめなきゃ。俺はレイジに伝えたいことが山ほどある、レイジにかけたい言葉が山ほどある。
 ひりつくような焦燥に駆り立てられ、毛布を掴み、ベッドに膝立ちになる。勢いよく跳ね起きた反動で肋骨が軋み、足首が吊った。胸にのしかかる圧迫感に呼吸を忘れ、毛布をかきむしり、ベッドに上体を突っ伏して激痛が引くのを待つ。酸素を欲して大きく喘げば、生理的な涙が目尻に浮かんで視界がぼんやり滲む。 苦しい、息ができねえ。
 ゆっくりと呼吸し、五指から力を抜き、のろのろと上体を起こす。
 ぼやけた視界にレイジの姿をさがす。レイジはどこだ、どこにいる?まだいるよな、ここにいるよな、帰ったりしねえよな、俺をおいてったりしねえよな。すがるように一心に暗闇を見まわし、五感を全開にしてレイジの気配をとらえようと躍起になる。
 俺を捨てたりしないよな?お袋のようにメイファのように置いてったりしねえよな、俺が好きなやつはみんな俺をおいてけぼりにする、最後には俺を捨てる。レイジは?レイジもそうなのか、俺に愛想が尽きていやけがさしてこんな夜更けに絶縁状たたきつけにきたのか?
 いやだ……いやだそんなの、捨てられてたまるか、おいてかれてたまるか。
 どこだレイジ?
 恐怖で発狂しそうだ。レイジの名を呼びたくても胸が苦しくて声もだせない。畜生やっと会えたのにまたおいてかれてたまるか、俺はずっとお前に会いたかったんだ、お前に会っていいたいことがあったんだ。
 俺の願いが通じたのか、涙が引いた視界にレイジをとらえる。
 ああ、ちゃんといた。心配そうな顔で、俺のほうを窺ってる。でもけして近付いてこない、自分には指一本だって俺にふれる資格がないとでも言うように意固地にその場に踏み止まってる。
 くそったれ、
 「どのツラ下げて会いにきたんだよ、裏切り者の浮気者」
 口をついてでたのは予期しないきつい台詞。
 せっかく会えたってのにレイジが一向に近付いてこないのが悔しくて哀しくて、俺たちのあいだに距離が空いた現実を眼前につきつけられて、なんだか無性にやりきれなくて、嗜虐心に火がついた。体の奥底から突き上げてきたのは残虐な衝動、レイジをおもいきり罵倒したいという抑圧しがたい欲求。やめろ、言うな、本当に言いたいことはべつにあるくせに舌は言うことを聞かなくて、ベッドに膝立ちになった俺は血を吐くように絶叫する。
 「今さら何の用だよ、俺とお前はもう終わったんだろ!お前が枕元でかってにそう告げて出てったんじゃねえか。ひとが凱にさんざん痛めつけられてぐうの音もでねえのをいいことに言いたい放題言って、勝手に絶交したくせに今さら何様のつもりだよ。俺が入院してからずっと、ずっと見舞いにもこなかったくせに薄情者が!!」
 違う、こんなこと言いたいんじゃない。
 なのに一度堰を切った言葉の洪水と激情の奔流は止まらずに俺を席巻して、理性を一片残らず押し流してしまう。暴力的な衝動に突き動かされ、おもいきり腕をふりかぶり、レイジの胸めがけ手の中の牌を投げつける。
 レイジは黙ってそれを受けた。抵抗もしなかった。
 俯き加減に立ち尽くし、胸に跳ね返り床に落ちた牌の欠片を見下ろす。
 「お前はいっつもいっつもそうだ、俺に大事なこと言わずに自分勝手に決めて行動して俺はいつもいつだってなんにも知らずにただお前に守られてばっかで悔しくて、ペア戦参加表明したのだってお前と肩並べて戦いたいからなのに、ただ守られてばっかの足でまといに甘んじてるのが癪で、一人前の相棒になりたくて血反吐吐くおもいで必死に足掻いてきたのにお前は!!」
 そうだ、俺はずっとずっと血反吐吐くおもいで足掻き続けてきた。
 レイジの横に並びたくてレイジの相棒を自負したくてホセの地獄の特訓にも耐えぬいて凱をぶっ倒して実力で勝利をもぎとったのにその時はもうレイジは俺の視界からいなくなって、俺の相棒なんかお断りだって背中をむけて。 
 ぼろぼろの俺は、レイジを追うこともできなくて。
 レイジがいちばん辛くて苦しいときに、そばにいてやることもできなくて。
 俺が弱くて臆病なばっかりに助けてやれなくて、いちばん辛くて苦しいときに突き放して。
 だからレイジはサーシャのところへ行った。俺に突き放されてほかに行く場所がなくなってしかたなくサーシャに身を委ねた。レイジがサーシャに抱かれるよう仕向けたのは俺だ、この俺なんだ。 
 畜生、畜生。わかってる、こんなの八つ当たりだ。悪いのは俺、全部俺だ。あの時レイジの手の甲を安全ピンでひっかいたのは、反吐をもどしながら命乞いをしたのは、ダチを怪物扱いしたのは他でもないこの俺なんだ。
 罪悪感無力感劣等感喪失感、さまざまな感情が混沌と沸騰して獣じみた咆哮が喉を食い破る。
 レイジの胸で跳ねた牌がベッドに戻ってきて、俺はそれを鷲掴みにしてまたレイジに投げつける。容赦なくおもいきり。
 「行けよ、行っちまえ、もう戻ってくんな!そのクソ憎たらしいツラ二度と見せんじゃねえ、殺すぞくそったれが!サーシャんとこ行けよ、行ってたのしんでこいよ、麻薬漬けで鞭食らって嬲られて気持ちよくさせてもらってこいよ!俺がタジマに襲われた晩もサーシャとおたのしみだったんだろ、体じゅうの痣がその証拠だ。人に言えねえ口にだせねえ場所にばっちり痣こさえてきたくせに!!サーシャのナイフで体の中かきまわされるのはどんな気持ちだった、女抱くよりずっとよかったか?感想聞かせろよ!」 
 いますぐ舌を切り落としたい、自分を絞め殺したい。なんで俺はこんなどうしようもない奴なんだ。さっきまでレイジに会いたくて会いたくてレイジに会えるなら他になにもいらないって本気で祈ってたのに、いざ願いが通じればコレだ。
 でも駄目だ、レイジの顔見た瞬間渡り廊下の光景がフラッシュバックして、サーシャに背後から抱きすくめられ上着を暴かれて悩ましく悶えるレイジが瞼の裏にちらついて、今までためにためてた感情が爆発した。レイジは俺に罵られるがまま、じっと耐えて俯いている。腹に左腕を回し体の脇に右腕をぶらさげ、眉間に苦痛の皺を刻んだ表情が妙に被虐的でなまめかしくて暴言がエスカレートする。
 「ケツの穴に粉ぬられてイったんだろ、狂ったように腰振ったんだろ。恭喜、晴れてサーシャの犬になったんだな。可愛がってもらえよ」
 「ロン、」
 「お前なんか大嫌いだ、サーシャの下でよがってろ!!」
 ああ。
 こんなこと、言いたいもんか。俺の体にはまだ覚せい剤が残ってるのか、感情が異常に高ぶって衝動を制御できなくてくりかえし牌を投げつけ攻撃的な態度とってるのも覚せい剤の影響か?胸が苦しい。肋骨が疼くからじゃない。俺は今だれより俺自身を殺したい、俺自身の口を塞ぎたい。俺はいったい何度レイジを拒絶した、見捨てた、裏切った?レイジが会いに来てくれたのに素直になれなくて手足を振り乱して反抗してばかりで、見苦しくてみっともなくて。
 ベッドの傍らに立ち竦んだレイジが諦念するように目を閉じる。気が済むまで責めてくれと促すように。
 それを見た瞬間、俺は自分がしたことの重さと愚かさに打ちのめされた。
 「!!ロンっ、」
 異変を察したレイジが鋭く叫ぶのを無視、手の中の牌を素早く口腔に放りこんで…… 
 ベッドの脚が床に擦れる耳障りな騒音、揺れる視界、全身の激痛。背中からベッドに倒れた俺の上に長身の人影が覆い被さる。
 ガリッ、と異音がした。たしかな歯ごたえがあった。前歯が肉を抉る感触。 
 「こんバカっ、なに考えてんだよお前!!牌なんか食えるわきゃねえだろ、角砂糖と間違えるにしたって無理あるぜ!!」
 俺の口腔に指を突っ込み、牌をかきだしにかかるレイジの必死な形相。
 さんざん罵倒された直後だというのに、レイジは身を呈して俺を助けるのに一瞬たりとも躊躇しなかった。身軽にベッドに飛び乗り片腕で俺の肘を掴み顔の横に固定し、自重で身動きを封じてから顔に顔を近付け、前歯で皮膚を食い破られた指先に牌をつまむ。
 「噛、ほうとしひゃんやよ」
 「手が入ってるから聞こえねえよ、あとにしろ」
 二本の指で無遠慮に口腔をまさぐられ、窒素の苦しみに涙が浮かぶ。顔を左右に振って手から逃れようとするがレイジは容赦せず、喉の奥まで指を突っ込んでくる。口腔の粘膜をまさぐり奥歯を指圧し舌を揉み、淫猥にうごめく指が次第に抵抗力を奪ってゆく。
 奥歯で噛もうとした牌が二個とも、粘着質の唾液の糸をひいて口外に摘出される。 
 「よし、これで全部だな?」
 レイジが確認し、安堵のため息をつく。俺の口腔からとりだした牌には唾液の皮膜が張っていた。ズボンの腰に牌を擦りつけて唾液をぬぐったレイジが、あきれた眼差しをむけてくる。
 「どうかしちまったのか、おまえ。こんなもん噛んでも美味かねえよ」
 「歯を折ろうとしたんだ……」
 「え?」
 レイジに不思議そうに見つめられ、自己嫌悪に耐えられなくなる。頼む、おねがいだからこっちを見るな。今だけは放っといてくれ。俺の情けない顔を見ないでくれ。レイジの視線から顔を庇うように、両手を交差させ表情を隠す。俺は最低の人間だ。レイジにさんざんひどいことを言った。レイジを一度拒絶しただけじゃ飽き足らず二度三度と拒絶した、レイジをひどく傷付けてしまった。レイジは俺がどんなひどいこと言ってもじっと俯いて耐えてるだけでけして手を上げようとせず、すべてを許容するように微笑していた。
 俺は、淡々と言った。
 「歯が折れれば、これ以上ひどいこと言わずにすむ。お前を傷付けずにすむ。どうしても言葉が止まらなくて、舌を切り落としたくてもできなくて、だったら牌をおもいっきり噛んで歯を砕くしかないと思った。それで……」
 嗚咽に詰まり、最後まで言葉を続けられなくなった。俺は本当にどうかしてる。牌を噛み砕いて歯を折るなんて極端な行動にでなくても両手で口を塞げばすむことじゃないかと今気付いた。でも、レイジを罵倒してる最中はそこまで気が回らなかった。たまたま手の中に牌があったから、これを呑みこむしかないと思った。そうやって、責任をとるしかないと思った。
 「………ばあか。あれくらい屁でもねえよ、子猫に噛みつかれたようなもんだ。ひとに罵られんのは慣れてんだよ。とくに女殺しは最高の誉め言葉だ」
 俺を押し倒したレイジが、目と鼻の先で微笑む。
 疲れきった顔に優しげな微笑を湛えたレイジの下敷きになり、呼吸の速さで薄い胸を喘がせる。暗闇に沈んだ天井を背にしたレイジの襟刳りから大胆に鎖骨が覗き、首筋に沿って繊細な鎖が流れ落ち、俺の額に十字架が触れる。ひんやりした金属の感触が火照った額に心地よい。
 俺は今、十字架を通じてレイジと繋がっている。 
 額に落ちた十字架が、興奮の熱を冷ましてゆく。目の前にはレイジがいる。いつでも体を張って俺を受け止めてくれる相棒、俺がどんなにひどいことしても優しく見守って受け入れてくれるダチ。 
 俺はこいつのために、なにができる?
 なにをすれば、許してもらえる?
 「……レイジ」
 「なんだよ」
 レイジが優しく目を細めて聞き返す。俺がレイジを拒絶した過去は消去できない、事実は覆られない。時間はけして戻らないのだ。俺はレイジのためになにができる、なにをすればレイジを喜ばすことができる、引き止めておける?俺だって、レイジに何かを与えたい。レイジの傷を癒したい。
 その為には、レイジがいちばん欲しがっていたものをくれてやるしかない。
 心臓の鼓動が加速し、全身の血が羞恥に沸き立つ。四肢は痺れたように感覚を失って、頭は霞がかかったようにぼんやりして、目は恍惚と潤んで。ベッドに寝そべった俺は、無防備に手足を投げ出した姿勢のまま全身の力を抜く。
 俺がレイジにくれてやれるもんは、ひとつしかない。
 俺自身しかない。
 体の芯まで熱が浸透してくる。ゆっくりと瞼を持ち上げ、うっすらと目を開く。滲んだ視界に映ったのは、当惑したレイジの顔。気遣わしげに眉をひそめて俺を覗きこむその顔をきっかり見据え、喘ぐように口を開く。
 大丈夫、相手はレイジだ。怖くない。
 きっと、すぐに終わる。
 東京プリズンにいる限りいつかは体験することだ、力づくで男に犯されるか望んで男に抱かれるか選べと言われたら大半の人間は後者を選ぶだろう。後者のほうが乱暴じゃないだけまだしも痛みが薄れる。

 いつかはこの時が訪れると薄々予感していた。
 こんな形で実現するとは思わなかったけれど。
  
 深々と吐息をもらし、覚悟を決める。
 上にのしかかったレイジを挑むように睨みつけ、言葉にすれば短い決心を口にする。

 「俺を抱け」

 それが、レイジにしてやれる唯一のことだ。
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