少年プリズン

まさみ

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二百一話

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 僕は馬鹿かもしれない。
 「………」
 暑い。
 じっとしててもシャツの内側に汗をかく陽気だ。暦上は冬のはずだが砂漠に季節は関係ないらしい。 図書室帰りの僕は現在展望台にいる。売春班が休業状態にある現在、強制売春で身も心もすり減らして自殺未遂を図るまでに追い詰められた売春夫にはひとときの休息が与えられた。ペア戦の結果がでるまで売春夫の処分は見送り。男に犯される生き地獄の日々から解放された売春夫は束の間の憩いを満喫してる。
 僕とて例外ではない。売春班にいた頃は売春通りに面した隔離房に半日軟禁状態だったが、レイジとサムライが100人抜きを表明し安田の許可を取りつけた後はこうして読書に耽る時間もできた。他の囚人が強制労働に出払ってるせいで喧騒が絶えた刑務所内は読書に最適の環境だ。

 日が高い。もうすぐ正午だ。

 汗が蒸発する音さえ聞こえそうな静けさで、ページをめくる音がやけに耳につく。通常この時間はサムライが留守にした房でひとり静かに本を読んでいるのだが、こんな天気のよい日に薄暗く湿った房にこもっているのも体に悪いなと漠然と展望台に足を向けた。読書環境を変えることで気分転換を図ったのだが、今は後悔してる。東京プリズンに入所して半年以上が経つというのに、僕はまだ甘さが抜けてない。
 屋外での読書は自殺行為だ。サウナで本を読むようなもので、暑さに頭が朦朧として一向に本の内容が頭に入ってこないうえに体から水分が蒸発して眩暈を覚える始末だ。
 しかし、一度こうと決めたことを後から翻すのは僕のプライドに関わる。
 つまらない意地だという自覚はある。しかし今ここで立ち上がれば、僕の判断が誤りであったと自分から認めるようなものじゃないか。それは気に入らない。誰も見ていなくても僕のプライドが許さない。
 「…………」
 直射日光に朦朧とした頭で、意地になってページをめくる。何ひとつ遮る物とてない展望台に座りこめば当然容赦ない陽射しを浴びることになる。本のページには顎から滴った汗の染みができていた。それにしても暑い、異常に暑い。後頭部にも上着の背中にも太陽の熱を感じる。
 本の内容が一向に頭に入ってこないせいか、朦朧とした頭に浮かぶのは昨夜から今日にかけての出来事。
 ペア戦参戦表明から一夜明けた今日は、朝から身の周りが妙にざわついていた。食堂に向かう途中、僕とすれ違った囚人がこちらを窺いながらひそひそ話をしていた。食堂の周辺席の囚人がこちらを指さしながら笑い声をあげたり眉をひそめたり、表情豊かに耳打ちをしていた。たった一晩で僕を取り巻く空気が変容し、他の囚人の態度が微妙に変化した。
 軽侮から好奇へ、そして畏怖へ。
 普段僕を「親殺し」と蔑んで幼稚ないやらがせをする囚人が今日は不思議と大人しく、僕を遠巻きに眺めていた。好奇の眼差しには慣れているが、食堂に現れた僕を取り囲んだそれに混じっていたのは畏怖の色。
 どうやら僕の参戦表明は、周囲の囚人に少なからず影響を及ぼしたらしい。 
 狩られる一方の獲物、守られる一方の弱者が強気に反撃に転じればそれまで侮っていた者たちも少しだけ、あくまでほんの少しだけ見方を改めるらしい。
 もっと早く気付いてほしかった。彼ら凡人と僕は頭の出来からして違うのだから、本来尊敬されこそすれ侮蔑されるいわれはない。
 だが、僕に感心した囚人ばかりではない。反感をおぼえた者や敵愾心をむきだした者の割合のほうがむしろ多いくらいだ。食事中、背中や横顔に感じた視線は凱とその取り巻き連中のテーブルからだ。朝こそ彼らも大人しくしていたが、「サムライのモノしゃぶる見返りに守ってもらってる生白いお嬢ちゃんがでかい口叩きやがって」「二度とあんな口きけねえように俺のモン突っ込んでやる」と下卑た悪口を叩いてるのがしっかり聞こえた。
 それに過剰反応したサムライが味噌汁の椀を乱暴に置いて席を立とうとしたが、僕が止めた。
 「低脳には言いたいだけ言わせておけ。彼らはああして卑猥な冗談を口にしないと生きていけない病気なんだ、下半身で物を考える生き物だからな」と。
 朝はそれだけで済んだが、今後はどうなるかわからない。何百何千のギャラリーの前で凱に恥をかかせた借りは高くつくだろう。凱傘下の囚人三百人を敵に回し、この一週間無事に生き抜ける保証はない。
 かぶりを振って憂鬱な気分を払い、ふと顔を上げれば眼下の中庭を誰かが走ってゆく。
 中庭を横切る影は走者はふたり。第一走者から三十メートル遅れた第二走者は足元がふらふらで、今にも昏倒しかねない危険な状態。しかし第一走者がスピードを落とす気配は微塵もなく、差が開けば開くぶんだけ不利なのは明白。
 「……炎天下でマラソンか。自殺行為だな」
 自分のことは棚に上げ、見たままありのままの感想を述べる。
 この距離からでは中庭を一周二周する走者の顔まで見えないが、ずいぶんな物好きがいるものだ。普通の囚人は強制労働に出払ってる時間帯だから、中庭でマラソンしてるのは強制労働免除特権のあるブラックワーク上位陣と売春班の囚人に限定される。試しに売春班の面々の顔を思い浮かべてみたが、炎天下でのマラソンを好むような活動的な人間はいない……気がする。となれば、ブラックワーク上位者だろうか?ありえる。ブラックワーク上位者はレイジを始めとして変人ぞろいだ。暇を持て余して突然走り出す理解不能な思考回路の持ち主がいないとは断言できない。   
 暇を持て余した挙句に奇妙な行動をとる人間心理は興味深い。近くでもっとよく観察してみたい。
 誤解しないでほしいが、断じてここを去る言い訳などではない。じっと暑さに耐え、コンクリートの地面に尻を熱されつつ屋外で本を読むのがいい加減辛くなったわけじゃない。小脇に本を抱え、足早に展望台を去る。
 階段を下り、中庭に到着。
 一面コンクリートで足元を固められた殺風景な中庭に立てば、地上に降りたぶん空が高くなった錯覚を受ける。シャツの胸元をつまみ、内側に風を送りながら空を仰ぐ。
 ボールが地面に跳ね返る軽快な音が響く。
 「!」
 音が近付いてきた方角を振り向けばレイジがいた。
 「よう、キーストア。なにやってんだこんなとこで」
 「こちらの台詞だ。炎天下の屋外で何をしてるんだ君は」
 「見りゃわかるだろ、ひとりボール遊びでバスケットの真似事」
 たしかに。レイジの両手におさまってるのは、いつだったか僕が触れたこともあるバスケットボール。強制労働終了後に中庭に来た囚人が忘れていったものらしい。 
 「サムライに遊んでもらえなくて寂しい?」
 地面でボールを突きながら、レイジが声をかけてくる。
 「サムライはブルーワークの強制労働で下水道におりている。君と違って暇じゃないんだ、彼は」
 「ひでー言いようだな。俺は実力で今の身分を勝ち取ったんだぜ。羨ましいならお前も実力でブラックワークにのぼりつめてみろよ。二班でトップにのぼりつめるよか一班でトップ極めたほうが羨望集めるぜ」
 痛いところをつかれ一瞬言葉を失うが、すぐに反撃に転じる。
 「ロンに頭が上がらない王様など羨ましくも何ともないな。忘れたのか?大観衆の眼前で赤面モノの痴話喧嘩を繰り広げた挙句にサムライと握手させられた昨夜の記憶を」
 昨夜の光景を思い浮かべて失笑すれば、気に障ったらしいレイジが手首を返してボールを投げてくる。
 突然投げてよこされ、反射的に胸の前で受け止めたものの危うく手首を挫きそうになる。小脇に抱えた本も落としてしまった。
 「あぶないじゃないか!手首を痛めたら書架の上段の本が取れなくなるだろう」
 「本より心配することあるだろ、食事とか下の心配とかさあ」とあきれ顔のレイジを睨みつけてボールを投げ返そうとしたが、力が足りなかったのか途中であっけなく地面に落ちてしまった。
 「腕力なさすぎ握力なさすぎ」
 「悪かったな。自慢ではないが運動神経は鈍いんだ」
 本当に自慢にならない。
 足元に転がったボールを拾い上げたレイジがおもむろに沈黙して僕の顔に見入る。色硝子の瞳で顔を凝視されるのは落ち着かない。値踏みするように人の顔を見るな不愉快だと抗議の声をあげ、
 「キーストア、暇なら遊ばない?」
 人さし指の上でボールを回しながらレイジが笑いかけてくる。太陽の光がよく似合う活発な笑顔。  
 「……遊ぶ?どうせくだらない遊びだろう、きみがこれまで性交渉を持った女性の数と名前をあてるような著しく品性に欠けるゲームなら断固辞退する」
 「俺が寝た女の数は百五人。名前はスヨン杏奈シェリファメアリー麗羅、」
 「言わなくていい、聞きたくもない。僕は帰らせてもらう」
 レイジとしゃべるだけ時間の無駄だ。憤然と回れ右した僕の背中に浴びせられたのは嘲笑。
 「逃げるのか」 
 「…………なんだと?」
 逃げる?今レイジはそう言ったのか、こともあろうに僕にむかって。この鍵屋崎直にむかって。
 不快に眉をひそめれば、人さし指の上でボールを回しながらレイジが笑う。完全に僕を馬鹿にした笑顔。
 「俺に負けるのが怖いんだろ。いいよ、今回は見逃してやるよ腰抜けメガネ。レイジにいじめられたってサムライに言いつけてこいよ」
 「……聞き捨てならないな。何故僕が君に負けなければならない?僕にはこのIQ180の天才的頭脳と素晴らしい発想力がある。今の発言は取り消してもらおうか」
 「なら勝負しろ」
 「なんの勝負だ」
 挑発に乗せられた自覚はある、レイジのペースに巻きこまれてる自覚もある。しかし今さら引き返せない、今引き返せばレイジの発言が全面的事実だと認めるようなものじゃないか。僕は天才だ、天才の頭脳をもってして制覇できないゲームなどない。
 そして、レイジの提案はひどく単純なものだった。
 「簡単なゲーム。俺からボール奪い取ったらおまえの勝ち」
 「……それだけか」
 拍子抜けすると同時に、運動が苦手な僕はひどい脱力感をおぼえる。僕の運動神経には致命的欠陥がある。少し本気を出して走っただけでも動悸息切れ眩暈で昏倒するありさまだ。炎天下の屋外でボールを取り合ったりなどしたら日射病で脱水症状を起こして……
 「……いや、やっぱりやめよう。周囲を砂漠に囲まれた環境ではげしい運動は血中酸素濃度を薄める自殺行為……」
 「バスケットボールもできないなんておにいちゃんかっこわるーい」
 理性的にレイジを説得しようとし、眼鏡のブリッジに触れた手が間延びした声に停止。バスケットボールを胸に抱えたレイジはにやにや笑ってる。完全に僕の反応を楽しんでる。女の子の声真似までして、甲高い裏声で、僕の妹を馬鹿にするなこの低脳め恵はそんな変な声をだすものか。
 頭に血が上ったのは暑さのせいではなく、目の前のこの男のせいだ。
 「……いいだろう、貴様の望みどおり幼稚なお遊戯に付き合ってやる」
 半年前、イエローワークの砂漠に現れた安田とおなじく「幼稚なお遊戯」を強調すれば「そうこなくっちゃ」とレイジがはしゃぐ。
 レイジのボールを奪えばいいんだ、簡単なことだ。
 いくら僕が運動音痴でも至近距離にいるレイジからボールひとつ奪うのにそう時間がかかるはずもない。 腰を低め、レイジの手の中のボールに視線を集中。今か今かと息を詰め、その瞬間を待つ。
 「プレイボール!」
 ゲーム開始の合図は、青空に響き渡るレイジの声。
 レイジは立ち位置を動かずに右手でドリブルしていた。よし。手と地面の間で軽快に弾むボールに目を凝らし、コンクリートを蹴って跳躍。一気に接近し、ボールを掴もうとして……
 「!」
 目の前からボールが消失。何が起きたのだか全然わからずに振り返れば左手にボールがあった。あまりに速すぎて瞬間移動したようにしか見えなかった。驚愕に目を見張った僕をよそにレイジがドリブルを再開、手と地面の間で小気味よくボールを弾ませ。
 「とろい」
 「―っ、」
 人を食った笑顔のレイジに憤慨し、今度こそボールを奪取しようと手を伸ばすが僕の鼻先で再びボールが消失。どこへ行ったのだとあたりを見回せばレイジの頭上に移動していた。レイジの頭上に手を伸ばしてボールを掴もうとすれば、頭から落ちたボールが肩から肘を経て手首に至りまた右手へと移る。右手に乗ったボールを叩き落とそうとすれば僕の頭越しに左手へと飛び移る。右左右左と残像を引いてボールを交互させつつレイジが飄々とうそぶく。
 「キーストアはバスケットボールしたことないの」
 「そんなくだらないことしてる暇があるなら本でも読んだほうがマシだ」
 まだ十分もたってないのに息が切れてきた。首筋を伝う汗を手で拭い、目に流れこんだ汗でぼやけた視界にボールをとらえる。レイジは殆ど立ち位置を動いてない。対して僕はレイジがボールを突くたびにぶざまに突進し右へ左へ走らされはては腕にしがみつこうとしてかわされ、無駄な動きが多いせいか体力の消耗がはげしい。
 合計三歩しか動いてないレイジとは凄まじい落差だ。
 「俺も本は好きだけど、それってつまんない人生だな」
 笑い飛ばされると思ったら、レイジの感想には真摯な実感がこもっていた。
 「共感のふりなどしてくれなくても結構だ。凡人に同情されるほど落ちぶれてない」
 辛辣な毒舌でやりこめれば、レイジが何故かひどく愉快そうな笑い声をあげる。まるで自分のほうがつまらない人生だったと主張するように演技過剰の笑い声。馬鹿にしているのか、これは?地面を蹴って加速、頭を低めた前傾姿勢から伸び上がるようにレイジの正面に立ち塞がり、右肩から右肘へと滑ったボールを掠めとろうと両腕を突き出し。
 僕の頭上に放物線を描き、十メートル向こうの地面にボールが落下した。
 「卑怯だぞ!」
 いや、見方を変えれば今がチャンスか。レイジのボールを奪えば僕の勝ち、翻せばレイジの手から落ちたボールを拾えば勝ちということだ。レイジより先にボールの落下地点に直行、ボールをにむかって両腕を伸ばし―
 転々と地面で跳ねたボールが誰かの足元にぶつかり、その人物が片手でボールを拾い上げる。
 ボールを持った手につられて視線をあげれば意外な人物がいた。安田だった。
 「バスケットボールをしていたのか」
 「違います、『付き合わされていた』んです。僕の自発的意思じゃない」 
 即座に訂正すれば、僕に遅れること五秒後に駆け付けたレイジがなれなれしく安田に挨拶する。
 「安田さん一日ぶり。バスケ観戦にきたの?」
 「そんなところだ。イエローワークの視察から帰ったら君たちの姿が目に入ってな、この暑さの中バスケをプレイするなど物好きな囚人もいるものだと興味をおぼえて来てみたら案の定だ」
 ……レイジに付き合わされたおかげで僕まで物好き扱いされた。不愉快だ。
 憮然と黙りこんだ僕と笑いを噛み殺すレイジとを見比べ、小脇にボールを抱いた安田が言う。
 「レイジ。君と鍵屋崎は仲がいいんだな」
 「誤解です」
 「まあそこそこ」
 断固否定した僕の横からレイジがいらぬ口を出す。そんな僕らふたりの対照的な様子に何を思ったか、銀縁眼鏡の奥の双眸が和み、安田の顔に柔和な表情が浮かぶ。
 その表情に、一抹の翳りが射したのは目の錯覚か?
 「……そうか。友人ができたのか」
 「彼が僕の友人だとしたら僕は辞書に記載された友人の項目を塗り潰します。僕の人間性を貶める発言は聞いてて不愉快なのでよしてくれませんか」
 「おま、貶められてるの俺だよ!」
 レイジの抗議を無視して安田に詰め寄るが、安田が前言撤回する気配はない。手の中のボールに目を落とした安田が僕の顔に視線を転じる。
 「返すぞ」
 安田の言葉に迅速に対応、両手でボールを受け止める体勢を整える。安田があざやかに手首を返し、ボールを投げる。
 「!!っ、」 
 顔面に衝撃、瞼の裏側で火花が炸裂。
 理解不能の事態が発生した。僕が取り損ねたボールが顔面を直撃、その衝撃で眼鏡が落ちて視界がぼやけた僕が膝をついた背後、無防備に突っ立ったレイジの両手に乾いた音をたててボールが挟まる。
 「顔面でボールを受け取るなんてトリッキーなプレイどこで覚えたんだよ、すげーや天才!」と人の気も知らずに爆笑するレイジをよそに「めがねめがね」と口の中でくり返し地面をさぐる。
 あった。レンズに付着した埃を丁寧に拭いとり、眼鏡をかけ直したその瞬間。
 「…………元気でいてくれ」
 安田の声がした。
 衣擦れに紛れそうにかすかな呟きだが、僕の耳にははっきり届いた。眼鏡をかけ、正面に目を凝らし、身動きせずに焦点が定まるのを待つ。安田の輪郭が収束し、三つ揃いのスーツを着たエリート然とした風貌の男が目に映る。
 聞き間違いのはずがない。安田はたしかに「元気でいてくれ」と告げた。まるでこれが永遠の別れになるように、今日を限りに東京プリズンを去るように未練を残した口調で。
 どういう意味だと聞き返すより安田が踵を返すのが早かった。安田を追おうかどうしようか躊躇した僕の背後でレイジが「ボールを顔面キャッチしたおにいちゃんかっこわるーい」と笑い声をたて、怒りが瞬間沸騰する。
 「恵の真似をするなと言ってるだろう!恵の声はもっと可愛い、ヘリウムガスでも吸引して出なおしてこい!」
 ボールを両手にパスしつつ距離をとったレイジに走り寄った背中に一瞬だけ安田の視線を感じたが、振り向いた時にはもう安田の姿は遠ざかっていた。
 『元気でいてくれ』 
 普段の安田らしからぬ深刻な声音が脳裏に響き、胸騒ぎに襲われる。
 あれではまるで、最後の挨拶をしにきたみたいだ。
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