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百六十五話
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『はじめまして。
恵さんを担当する十文字大学病院小児精神科病棟の医師・斉藤です。
まずはじめに謝罪します。
恵さんからの手紙だと思って過分な期待をさせてしまったらごめんなさい。
君の手紙は先日こちらに到着しましたが、現在治療過程の恵さんは精神的に不安定な状態にあるのを考慮し「今手紙を見せるのはよくない」との結論に至りました。
君からの手紙は恵さんがある程度落ち着いてから見せるつもりです。
君にとっては唯一の妹にあてた手紙でもあり、他人に読まれることなど想定してなかったでしょうね。
それを考えるととても心苦しいです。
付け加え、血のつながりもない赤の他人である我々が勝手に見せる見せないを判断したことを謝罪します。
プライバシーを侵害する行いですが、患者の安全と健康を最優先する病院としての建前、また患者の精神の安定を第一に考える医師としての立場上やむをえない処置だとお考えください。
恵さんの入院から数ヶ月を経た今、君から手紙が届いたことに驚きました。
半年前の事件で君は両親を殺害し、その罪を裁かれて東京少年刑務所に送致されたと聞いています。
君が両親を殺害する場面を目撃した恵さんはそのショックで重度のPТSDに陥り一旦は伯母さん夫婦に引き取られましたが、一般家庭ではケアにも限度があり適切な処置もできないという判断から、設備の整った仙台の小児精神科に長期入院することになりました。
君に相談せず恵さんの処遇を決めた伯母さん夫婦を恨まないでください。
入院前、恵さんの様態を知るため叔母さん夫婦と何回か面談しましたが、彼らは恵さんを手放すことについて深刻に悩んでいました。
できることなら最後まで恵さんの面倒を見たい、この年になるまで子供に恵まれなかった自分たちだからこそ恵さんを我が子として育てたいというその熱意は本物でした。
ただ当時の恵さんの状態では一般家庭で日常生活を送るのが極めて難しいと判断せざるをえず、度重なる話し合いの末に彼らは恵さんを我が病院に預ける決断を下したのです。
最後の話し合いの場で、君の伯母さんは嗚咽を堪えながらこう言いました。
『直くんが帰ってくるまで、私たちが責任もって恵ちゃんを守らなければいけなかったのに』。
叔母さん夫婦が心配してたのは恵さんだけではない。
いや、ひょっとしたら恵さん以上に君の事を気にかけていたのかもしれない。
叔母さん夫婦は君のことを心から憂い、君が懲役を終えて出てくる日を待ち望んでいました。
たとえそれが八十年先で自分たちが確実に生きてなくても、君が長い長い懲役を出てくるその日の為に帰る場所を残しておいてあげようと、君が罪を償い社会復帰した日のために恵さんと暮らせる環境を整えておいてあげようと尽力していたのです。
彼らのことを恨まないでください。
彼らはとても善良な人間です。
恵さんを預けて病院を去るとき、伯母さん夫婦は『君に手紙を書けない』と泣いていました。
自分たち夫婦が直くんの信頼を裏切り恵さんを見捨てた事実を知らせる勇気がないと、自分たちはどうしようもない臆病者だと、見送りにでた医師と看護士の前で泣き崩れました。
こんな形で恵さんを放任した自分達夫婦を、妹想いの君は絶対に許してくれないだろうと。
『直くんに申し訳ない』と彼らは何度も何度も言いました。
叔母さん夫婦は決して恵さんを見捨てたわけじゃない。
決して君たち兄妹を見捨てたわけじゃない。
彼等は君のことを大切な甥として、鍵屋崎直というひとりの人間として愛しているのですから。
そのことだけはどうか心に留めておいてあげてください。
……少々脱線してしまいましたね。話を戻します。
現在恵さんは精神的に不安定な状態にありますが、この半年間で大分回復し、最低限の日常生活なら支障なく営めるようになりました。
病院にきた最初の頃は本当に手をつけられない状態でした。
食事を受けつけない。
点滴で栄養分を注入しようとすれば自分でチューブを抜き、奇声を発して暴れる。
夢遊病による深夜の徘徊。
極度の対人恐怖症。
鬱。
初期は深爪するまで爪を噛む自傷傾向も見られましたが、入院数ヶ月が経過した現在では大分症状が落ち着き、指の爪を執拗に噛んで不安をごまかす自傷癖もなくなりました。
看護婦と担当医の私にはおずおずと心を開き、親の愛情に飢えた十一歳の少女らしく無邪気に甘えてくるようにもなりました。
ただ、まだ事件のショックが癒えてないせいか家族のことに触れられるのを避けている節があります。
君が東京少年刑務所に送致されたことは伯母さん夫婦から告げられたはずですが、それに対しどんな感情を持っているかは現在の恵さんの様子からは窺い知れません。
恵さんを刺激するのをおそれ、私たち医師も出来るだけその事には触れないようにしてます。
恵さんは普段絵を描いて過ごしています。
恵さんは動物を好んで描きます。
もともと動物が好きなのでしょう、ずっと犬を飼いたかったのだと話してくれました。
『でも、お父さんとお母さんが動物嫌いで、飼っちゃいけませんて』とも。
彼女の口から家族の話がでたのは初めてでした。
直くん。
君は取り調べでも裁判でも、動機については一貫して黙秘を通したと聞きました。両親を殺害した動機については今でも不明のまま裁判が進行し、陪審員および裁判官の質問をまともに取り合わなかったせいで心証を悪くし、情状酌量の余地なく懲役を課されたとも。
あくまで噂です。
どこまで本当かはわかりません。
ただ僕は君に対して、一抹の共感をおぼえているのです。
故人を悪くいうのは不謹慎ですが、鍵屋崎夫妻は学者としては間違いなく一流の人物でしたが、人の子の親としては眉をひそめざるをえない言動が目立ちました。
僕は専門分野が違うので直接の面識や交流はありませんが、遺伝子工学の世界的権威である鍵屋崎夫妻はメディアへの露出が多く、4・5年前まで長男の君も交えてよくマスコミから取材を受けてましたよね。
当時読んだ新聞に君たち家族の写真と記事が掲載されていました。
遺伝子工学の世界的権威。
最高学府の最年少名誉教授。
日本で最も有名な学者夫婦。
それら華々しい見出しの下に掲載された家族の写真に写っていたのは、眼鏡をかけた無表情な男の子を挟んだ中年夫婦でした。
一瞥『ああ、三人家族なんだな』と思いました。
『似てない親子だな』とも。
共通点は表情に乏しいことくらいでしょうか?
その時僕は何の疑問もなく、鍵屋崎夫妻の子供は長男の君ひとりだと思いこんでしまいました。
何故ならその写真には長女の恵さんが省かれていたから。
当時恵さんは五歳くらいでしょうか。
何故彼女ひとりだけ写真から除かれいないものとして扱われていたのか、正しい家族構成を知った現在では違和感をおぼえます。でもその時、鍵屋崎夫妻を取材した記事を読んで最も印象に残ったのは次の一文でした。
『息子さんには将来どんな大人になってほしいですか』
『私たちの研究成果を受け継ぐ優秀な人材になってほしい』
人間、ではなく人材でした。
読み間違いじゃないかとその時は何度も読み返してしまいました。
読み違いじゃありませんでした。
誤植でもない。
鍵屋崎優氏は確かにそうインタビューに応じたのでしょう。
ささやかなニュアンスの違いが後々重大な意味をもつことがあります。
もし鍵屋崎氏がインタビューに本音で答えたのだとしたら、その発言はあまりにも無神経で軽率ではないでしょうか。
私は生前の鍵屋崎夫妻と面識がありませんし、君たち兄妹がどういう家庭環境で育ったのかも伯母さん夫婦の話から想像するしかありません。
ただあの記事を読んだ限りでは、鍵屋崎夫妻が自分の子供達に人並の愛情を注いでるようにはどうしても思えませんでした。
写真からは幼い長女を除外し、長男に対しては「人間」ではなく「人材」としての有用性を求め。
両親を殺害した君が正しいと言いたいわけではありません。
ですが十五年間自分を育てた両親を殺害したからには必ず動機があるはずだと、肝心の動機も斟酌せずに罪を裁くのは早計ではないかと疑問は残ります。
取り調べと裁判に際し君が完全黙秘を通したのも余人には計り知れない複雑な事情があるのでしょう。
たとえどんな理由でも殺人は許されないとはいえ、まだたった十五歳の少年が懲役八十年という重すぎる刑罰を受け、劣悪な環境下の刑務所に送られたのは理不尽としか言いようがありません。
少なくとも私は、君に下された判決は間違っていると思う。
絶対に。
……「恵さんのために一日も早く罪を償って出てきてください」なんて言えない。
君の懲役が明けるのは遥か先の未来でその頃には恵さんは既に生きてないかもしれない。
いや、肝心の君が懲役満了を待たずに死亡してるかもしれない。
東京少年刑務所の悪評は遠く仙台にも届いています。
どこまで本当かはわかりません。
ただ、東京少年刑務所を生きて出られる人間が全体の三割にも満たないという統計データを信用するなら君が今いるそこは生き残るにも命がけな極東の強制収容所なのでしょう。
私はただ祈ることしかできません。
君が無事に出てきてくれることを。
生きて再び恵さんと会える日がくることを。
ご両親亡き今たったふたりきりの兄妹なのですから、きっとやり直せるはずです。
関係を修復し絆を取り戻せるはずです。
私はただの精神科医に過ぎませんが、一日でも早く君と恵さんが再会できる日がくることを願ってやみません。
では、長々と書いてしまいましたがこの辺で。
もしよければまた手紙をくださると嬉しいです。
恵さんのお兄さんについて、担当医として知っておきたいことが山ほどあります。恵さんの近況を知りたいときは遠慮なく言ってください、できるだけ詳細に記述して送ります。
追伸
君の手紙を読んでびっくりしました。今の子も手塚治虫の漫画なんて読むんですね。
ブラックジャックは小学生の頃よく読んでいました。今でも大好きです。
確かまだ実家に手塚治虫全集が残っていたと思います。今度恵さんに貸して感想を聞いみますね。
女の子に貸すにはやっぱり『リボンの騎士』がいいでしょうか?
恵さんはいつも夢中で絵を描いてるのでひょっとしたら漫画の才能があるかもしれません。
先日恵さんが描いた絵を同封します。ご参照いただければ幸いです』
以上が手紙の内容だった。
恵からの手紙じゃなかったことに安堵し、また落胆する。手紙を裏返して封筒の裏面を見れば、差出人の氏名がないかわりに恵の病院の住所が記入されていた。五十嵐に「お前宛だ」と他の囚人より早めに手渡され、てっきり恵からきたものだと思いこんでしまったのだ。突然の事態でいくら動転してたとはいえ注意力が欠落してるにもほどがある。
黄昏に暮れる房の中、恵の担当医を名乗る人物から届いた手紙を複雑な面持ちで見下ろす。
いつのまにかベッドを立ちこちらへとやってきたサムライが、放心状態の僕の手の中を覗きこんで文面を読む。文末にさしかかり、その眉間に不審の皺が刻まれる。
「ブラックジャックとはなんだ?」
「恵への手紙に書いたんだ。最近読んだ本のことを」
恵への手紙に何を書けばいいのかわからなくて、暴力と薬物に汚染された東京プリズンの日常を事細かに描写するわけにもいかなくて、悩んだ末に手紙に記したのはブラックジャックの感想だった。まだ11歳の恵に資本論の感想を送るのは酷でも無理でも漫画の楽しさなら共有できるんじゃないかと一縷の希望に縋って、東京プリズンで出会った手塚治虫の漫画を手紙の中で語彙を費やして絶賛したのだが……
恵以外の人間の共感を招くなんて、予想外の結果だ。
そこまで考え便箋をめくる。便箋の一番下に折り重ねられていたのは三枚の紙。これが恵が描いたという絵だろう。一枚目に描かれているのは猫とおぼしき三角耳としっぽの生えた生き物だ。クレヨンで茶色く塗られた毛並みを眺めてると、正面に立ったサムライが声をかけてくる。
「……残念だったな、妹からじゃなくて」
「気にしてない」
そうだ、気にしてない。もとから返事がかえってくるなんて期待してなかったのだから傷つくわけない。
「それよりこれを見ろ、斬新なアートだと思わないか。恵には絵画の才能があるな、市販のクレヨンを使用しても塗り方に独特の前衛的センスを感じる。僕の妹はミュシャの再来かもしれない。いや待てよ、この淡く滲んだ色彩と余韻を残すぼかし方はクロード・モネの影響か……」
一枚目をめくりながら強いて笑みを作る。二枚目の紙に描かれていたのは色とりどりのチューリップだ。隅々まで丁寧に色を塗られたチューリップは女の子らしい繊細さと細心さを感じさせる微笑ましい出来だ。
なのにサムライは、何故こんな痛ましい眼差しで僕を見つめてるんだろう。
これじゃまるで、僕が哀れまれてるみたいじゃないか。
「僕の顔じゃなくて絵を見ろ。ほら凄いだろう、この光の当たり加減。太陽を赤やオレンジじゃなく黄色で塗るのが恵の凄いところだ。これはゴッホの影響だな。いかに無教養な君でもゴッホの名前と代表作『ひまわり』くらいは知ってるだろう、なに知らない?なら説明してやる、一度しか言わないからよく聞けよ。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、強烈な色彩と激情的な筆致でそれまでの表現の流れを変えフォーヴィズムに影響を与えた後期印象派の画家でその生涯を貧困、精神的な病気の苦痛などに苛まれ……」
自然と焦りをおぼえて口調が言い訳がましくなる。やめろ、そんな目で見るな、同情されるのはこりごりだ。そんな目で見られるとますますみじめになる、何の関係もないサムライにまで声を荒げて手を上げて八当たりしてしまいそうじゃないか。
こめかみを疼かせる苛立ちを抑圧しながら次をめくる。
そして、硬直した。
三枚目は二人の男女に挟まれた女の子が笑っている絵だ。
女の子を挟んだ男女の顔に既視感を刺激される。
やけに見覚えのある顔だ。顎が尖り気味の細面の女性と教養深い目をした男性……鍵屋崎由佳利と優だ。そして、二人と手をつないで微笑んでいるのはおさげが特徴的でつぶらな瞳が愛らしい女の子。
すぐにわかった。恵だ。
見てるうちに自然と笑みがこぼれるような幸せ一杯の家族の肖像で、僕の前ではおろか恵の前ですら滅多に笑顔を見せることがなかった鍵屋崎優と由佳利が、理想の両親像が投影された絵の中では優しげに微笑んでいたる。
両親と手をつないだ恵もこの上なく幸せそうで、
幸せそうで。
絵の中のどこにも、僕はいなかった。
「…………」
絵の中の三人はしっかり手をつないでいる、家族の完成形に異物が入りこむ隙間などないほどに。絵の中の三人は笑っている、僕がいなくても平然と、僕など最初から存在しなかったように。
恵が描いた絵に僕がいない。
僕だけがいない。
これは家族の絵なのに、鍵屋崎優と由佳利はちゃんと絵の中にいるのに、僕だけが当たり前のように省かれて最初からいないことにされている。この絵のどこにも僕の居場所はない。拒絶という言葉すらそぐわない違和感のなさで存在ごと抹消された僕は、家族の絵に含めてもらえなかった僕は。
恵にとってはもう、いないも同然の人間なのか?
いないほうがいい人間なのか?
「直……」
僕の手元から顔を上げたサムライが気遣わしげな視線を向けてくるのに気付かないふりをし、虚ろな目で家族の肖像を見つめ続ける。僕が含まれてない家族の絵。僕がどこにもいない家族の絵。
これが恵が願った家族の形というなら一体僕は何のために、
何のために、何を守ろうとして両親を殺害したんだ?
「僕の妹は絵が上手いだろう」
要らないのは僕の方だったのに、それにも気付かず両親を殺して恵を一人ぼっちにして。僕は馬鹿だ。自分が本当は必要とされてないことにも気付かずに、妹が本当に必要としていた人間を永遠にこの世から葬り去って、それで妹を守りきったつもりになって自己満足して。
恵にとっては僕こそが家族の和を乱す異分子で、絵の隅にさえ描く価値と意味のない邪魔者で。
ああそうか。
僕は本当は、家族じゃなかったんだ。僕の家族なんて最初からだれもいなかったんだ。
「………ひとりにしてくれ」
絵と便箋を封筒に詰める気力もなくし、ベッドに放り出して頭を抱える。
とにかく今はひとりになりたかった。冷静に考える時間が欲しかった、虚勢と矜持を立て直す時間が欲しかった。崩壊寸前の何かを、いや、既に崩壊してしまった何かをかき集めていつもの、いつもどおりの自分に戻るための執行猶予が欲しかった。この手紙を読む前の自分に、この絵を見る前の自分に戻るためにどれ位時間がかかるかはわからない。それでも今は一人になりたい、これ以上余計なことを言わずに済むように、嫌なことを見聞きしないように―
サムライはいつまでたっても僕の前を去らなかった。
時間を忘れたようにただそこに立ち竦んでいた。夕闇に沈む房の中、黙りこんだ僕の鼓膜に染みたのは低い声。
「……気が休まるまで俺のことは忘れてくれてかまわない。でも、今のお前をひとりにはできない」
ベッドに放置してあった封筒に便箋と絵を詰め直し、そっと枕元に置いて立ち去る。自分のベッドに引き返してゆくサムライの背中を見送り、ふたたび頭を抱え込む。少し前までのサムライなら僕が「ひとりにしてくれ」と頼めば何も言わずに出ていったはずだ。でも、今は違う。情緒不安定な僕をひとり残して出て行くのがいやで、対岸のベッドに物言わず腰掛けてこちらを見守っている。
そして僕は、客観的な距離をおいたサムライの視線があったからこそ壊れかけた心を維持できたと、心の裂け目から染みこんできた絶望に耐えることができたと認めざるをえない。
恵さんを担当する十文字大学病院小児精神科病棟の医師・斉藤です。
まずはじめに謝罪します。
恵さんからの手紙だと思って過分な期待をさせてしまったらごめんなさい。
君の手紙は先日こちらに到着しましたが、現在治療過程の恵さんは精神的に不安定な状態にあるのを考慮し「今手紙を見せるのはよくない」との結論に至りました。
君からの手紙は恵さんがある程度落ち着いてから見せるつもりです。
君にとっては唯一の妹にあてた手紙でもあり、他人に読まれることなど想定してなかったでしょうね。
それを考えるととても心苦しいです。
付け加え、血のつながりもない赤の他人である我々が勝手に見せる見せないを判断したことを謝罪します。
プライバシーを侵害する行いですが、患者の安全と健康を最優先する病院としての建前、また患者の精神の安定を第一に考える医師としての立場上やむをえない処置だとお考えください。
恵さんの入院から数ヶ月を経た今、君から手紙が届いたことに驚きました。
半年前の事件で君は両親を殺害し、その罪を裁かれて東京少年刑務所に送致されたと聞いています。
君が両親を殺害する場面を目撃した恵さんはそのショックで重度のPТSDに陥り一旦は伯母さん夫婦に引き取られましたが、一般家庭ではケアにも限度があり適切な処置もできないという判断から、設備の整った仙台の小児精神科に長期入院することになりました。
君に相談せず恵さんの処遇を決めた伯母さん夫婦を恨まないでください。
入院前、恵さんの様態を知るため叔母さん夫婦と何回か面談しましたが、彼らは恵さんを手放すことについて深刻に悩んでいました。
できることなら最後まで恵さんの面倒を見たい、この年になるまで子供に恵まれなかった自分たちだからこそ恵さんを我が子として育てたいというその熱意は本物でした。
ただ当時の恵さんの状態では一般家庭で日常生活を送るのが極めて難しいと判断せざるをえず、度重なる話し合いの末に彼らは恵さんを我が病院に預ける決断を下したのです。
最後の話し合いの場で、君の伯母さんは嗚咽を堪えながらこう言いました。
『直くんが帰ってくるまで、私たちが責任もって恵ちゃんを守らなければいけなかったのに』。
叔母さん夫婦が心配してたのは恵さんだけではない。
いや、ひょっとしたら恵さん以上に君の事を気にかけていたのかもしれない。
叔母さん夫婦は君のことを心から憂い、君が懲役を終えて出てくる日を待ち望んでいました。
たとえそれが八十年先で自分たちが確実に生きてなくても、君が長い長い懲役を出てくるその日の為に帰る場所を残しておいてあげようと、君が罪を償い社会復帰した日のために恵さんと暮らせる環境を整えておいてあげようと尽力していたのです。
彼らのことを恨まないでください。
彼らはとても善良な人間です。
恵さんを預けて病院を去るとき、伯母さん夫婦は『君に手紙を書けない』と泣いていました。
自分たち夫婦が直くんの信頼を裏切り恵さんを見捨てた事実を知らせる勇気がないと、自分たちはどうしようもない臆病者だと、見送りにでた医師と看護士の前で泣き崩れました。
こんな形で恵さんを放任した自分達夫婦を、妹想いの君は絶対に許してくれないだろうと。
『直くんに申し訳ない』と彼らは何度も何度も言いました。
叔母さん夫婦は決して恵さんを見捨てたわけじゃない。
決して君たち兄妹を見捨てたわけじゃない。
彼等は君のことを大切な甥として、鍵屋崎直というひとりの人間として愛しているのですから。
そのことだけはどうか心に留めておいてあげてください。
……少々脱線してしまいましたね。話を戻します。
現在恵さんは精神的に不安定な状態にありますが、この半年間で大分回復し、最低限の日常生活なら支障なく営めるようになりました。
病院にきた最初の頃は本当に手をつけられない状態でした。
食事を受けつけない。
点滴で栄養分を注入しようとすれば自分でチューブを抜き、奇声を発して暴れる。
夢遊病による深夜の徘徊。
極度の対人恐怖症。
鬱。
初期は深爪するまで爪を噛む自傷傾向も見られましたが、入院数ヶ月が経過した現在では大分症状が落ち着き、指の爪を執拗に噛んで不安をごまかす自傷癖もなくなりました。
看護婦と担当医の私にはおずおずと心を開き、親の愛情に飢えた十一歳の少女らしく無邪気に甘えてくるようにもなりました。
ただ、まだ事件のショックが癒えてないせいか家族のことに触れられるのを避けている節があります。
君が東京少年刑務所に送致されたことは伯母さん夫婦から告げられたはずですが、それに対しどんな感情を持っているかは現在の恵さんの様子からは窺い知れません。
恵さんを刺激するのをおそれ、私たち医師も出来るだけその事には触れないようにしてます。
恵さんは普段絵を描いて過ごしています。
恵さんは動物を好んで描きます。
もともと動物が好きなのでしょう、ずっと犬を飼いたかったのだと話してくれました。
『でも、お父さんとお母さんが動物嫌いで、飼っちゃいけませんて』とも。
彼女の口から家族の話がでたのは初めてでした。
直くん。
君は取り調べでも裁判でも、動機については一貫して黙秘を通したと聞きました。両親を殺害した動機については今でも不明のまま裁判が進行し、陪審員および裁判官の質問をまともに取り合わなかったせいで心証を悪くし、情状酌量の余地なく懲役を課されたとも。
あくまで噂です。
どこまで本当かはわかりません。
ただ僕は君に対して、一抹の共感をおぼえているのです。
故人を悪くいうのは不謹慎ですが、鍵屋崎夫妻は学者としては間違いなく一流の人物でしたが、人の子の親としては眉をひそめざるをえない言動が目立ちました。
僕は専門分野が違うので直接の面識や交流はありませんが、遺伝子工学の世界的権威である鍵屋崎夫妻はメディアへの露出が多く、4・5年前まで長男の君も交えてよくマスコミから取材を受けてましたよね。
当時読んだ新聞に君たち家族の写真と記事が掲載されていました。
遺伝子工学の世界的権威。
最高学府の最年少名誉教授。
日本で最も有名な学者夫婦。
それら華々しい見出しの下に掲載された家族の写真に写っていたのは、眼鏡をかけた無表情な男の子を挟んだ中年夫婦でした。
一瞥『ああ、三人家族なんだな』と思いました。
『似てない親子だな』とも。
共通点は表情に乏しいことくらいでしょうか?
その時僕は何の疑問もなく、鍵屋崎夫妻の子供は長男の君ひとりだと思いこんでしまいました。
何故ならその写真には長女の恵さんが省かれていたから。
当時恵さんは五歳くらいでしょうか。
何故彼女ひとりだけ写真から除かれいないものとして扱われていたのか、正しい家族構成を知った現在では違和感をおぼえます。でもその時、鍵屋崎夫妻を取材した記事を読んで最も印象に残ったのは次の一文でした。
『息子さんには将来どんな大人になってほしいですか』
『私たちの研究成果を受け継ぐ優秀な人材になってほしい』
人間、ではなく人材でした。
読み間違いじゃないかとその時は何度も読み返してしまいました。
読み違いじゃありませんでした。
誤植でもない。
鍵屋崎優氏は確かにそうインタビューに応じたのでしょう。
ささやかなニュアンスの違いが後々重大な意味をもつことがあります。
もし鍵屋崎氏がインタビューに本音で答えたのだとしたら、その発言はあまりにも無神経で軽率ではないでしょうか。
私は生前の鍵屋崎夫妻と面識がありませんし、君たち兄妹がどういう家庭環境で育ったのかも伯母さん夫婦の話から想像するしかありません。
ただあの記事を読んだ限りでは、鍵屋崎夫妻が自分の子供達に人並の愛情を注いでるようにはどうしても思えませんでした。
写真からは幼い長女を除外し、長男に対しては「人間」ではなく「人材」としての有用性を求め。
両親を殺害した君が正しいと言いたいわけではありません。
ですが十五年間自分を育てた両親を殺害したからには必ず動機があるはずだと、肝心の動機も斟酌せずに罪を裁くのは早計ではないかと疑問は残ります。
取り調べと裁判に際し君が完全黙秘を通したのも余人には計り知れない複雑な事情があるのでしょう。
たとえどんな理由でも殺人は許されないとはいえ、まだたった十五歳の少年が懲役八十年という重すぎる刑罰を受け、劣悪な環境下の刑務所に送られたのは理不尽としか言いようがありません。
少なくとも私は、君に下された判決は間違っていると思う。
絶対に。
……「恵さんのために一日も早く罪を償って出てきてください」なんて言えない。
君の懲役が明けるのは遥か先の未来でその頃には恵さんは既に生きてないかもしれない。
いや、肝心の君が懲役満了を待たずに死亡してるかもしれない。
東京少年刑務所の悪評は遠く仙台にも届いています。
どこまで本当かはわかりません。
ただ、東京少年刑務所を生きて出られる人間が全体の三割にも満たないという統計データを信用するなら君が今いるそこは生き残るにも命がけな極東の強制収容所なのでしょう。
私はただ祈ることしかできません。
君が無事に出てきてくれることを。
生きて再び恵さんと会える日がくることを。
ご両親亡き今たったふたりきりの兄妹なのですから、きっとやり直せるはずです。
関係を修復し絆を取り戻せるはずです。
私はただの精神科医に過ぎませんが、一日でも早く君と恵さんが再会できる日がくることを願ってやみません。
では、長々と書いてしまいましたがこの辺で。
もしよければまた手紙をくださると嬉しいです。
恵さんのお兄さんについて、担当医として知っておきたいことが山ほどあります。恵さんの近況を知りたいときは遠慮なく言ってください、できるだけ詳細に記述して送ります。
追伸
君の手紙を読んでびっくりしました。今の子も手塚治虫の漫画なんて読むんですね。
ブラックジャックは小学生の頃よく読んでいました。今でも大好きです。
確かまだ実家に手塚治虫全集が残っていたと思います。今度恵さんに貸して感想を聞いみますね。
女の子に貸すにはやっぱり『リボンの騎士』がいいでしょうか?
恵さんはいつも夢中で絵を描いてるのでひょっとしたら漫画の才能があるかもしれません。
先日恵さんが描いた絵を同封します。ご参照いただければ幸いです』
以上が手紙の内容だった。
恵からの手紙じゃなかったことに安堵し、また落胆する。手紙を裏返して封筒の裏面を見れば、差出人の氏名がないかわりに恵の病院の住所が記入されていた。五十嵐に「お前宛だ」と他の囚人より早めに手渡され、てっきり恵からきたものだと思いこんでしまったのだ。突然の事態でいくら動転してたとはいえ注意力が欠落してるにもほどがある。
黄昏に暮れる房の中、恵の担当医を名乗る人物から届いた手紙を複雑な面持ちで見下ろす。
いつのまにかベッドを立ちこちらへとやってきたサムライが、放心状態の僕の手の中を覗きこんで文面を読む。文末にさしかかり、その眉間に不審の皺が刻まれる。
「ブラックジャックとはなんだ?」
「恵への手紙に書いたんだ。最近読んだ本のことを」
恵への手紙に何を書けばいいのかわからなくて、暴力と薬物に汚染された東京プリズンの日常を事細かに描写するわけにもいかなくて、悩んだ末に手紙に記したのはブラックジャックの感想だった。まだ11歳の恵に資本論の感想を送るのは酷でも無理でも漫画の楽しさなら共有できるんじゃないかと一縷の希望に縋って、東京プリズンで出会った手塚治虫の漫画を手紙の中で語彙を費やして絶賛したのだが……
恵以外の人間の共感を招くなんて、予想外の結果だ。
そこまで考え便箋をめくる。便箋の一番下に折り重ねられていたのは三枚の紙。これが恵が描いたという絵だろう。一枚目に描かれているのは猫とおぼしき三角耳としっぽの生えた生き物だ。クレヨンで茶色く塗られた毛並みを眺めてると、正面に立ったサムライが声をかけてくる。
「……残念だったな、妹からじゃなくて」
「気にしてない」
そうだ、気にしてない。もとから返事がかえってくるなんて期待してなかったのだから傷つくわけない。
「それよりこれを見ろ、斬新なアートだと思わないか。恵には絵画の才能があるな、市販のクレヨンを使用しても塗り方に独特の前衛的センスを感じる。僕の妹はミュシャの再来かもしれない。いや待てよ、この淡く滲んだ色彩と余韻を残すぼかし方はクロード・モネの影響か……」
一枚目をめくりながら強いて笑みを作る。二枚目の紙に描かれていたのは色とりどりのチューリップだ。隅々まで丁寧に色を塗られたチューリップは女の子らしい繊細さと細心さを感じさせる微笑ましい出来だ。
なのにサムライは、何故こんな痛ましい眼差しで僕を見つめてるんだろう。
これじゃまるで、僕が哀れまれてるみたいじゃないか。
「僕の顔じゃなくて絵を見ろ。ほら凄いだろう、この光の当たり加減。太陽を赤やオレンジじゃなく黄色で塗るのが恵の凄いところだ。これはゴッホの影響だな。いかに無教養な君でもゴッホの名前と代表作『ひまわり』くらいは知ってるだろう、なに知らない?なら説明してやる、一度しか言わないからよく聞けよ。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、強烈な色彩と激情的な筆致でそれまでの表現の流れを変えフォーヴィズムに影響を与えた後期印象派の画家でその生涯を貧困、精神的な病気の苦痛などに苛まれ……」
自然と焦りをおぼえて口調が言い訳がましくなる。やめろ、そんな目で見るな、同情されるのはこりごりだ。そんな目で見られるとますますみじめになる、何の関係もないサムライにまで声を荒げて手を上げて八当たりしてしまいそうじゃないか。
こめかみを疼かせる苛立ちを抑圧しながら次をめくる。
そして、硬直した。
三枚目は二人の男女に挟まれた女の子が笑っている絵だ。
女の子を挟んだ男女の顔に既視感を刺激される。
やけに見覚えのある顔だ。顎が尖り気味の細面の女性と教養深い目をした男性……鍵屋崎由佳利と優だ。そして、二人と手をつないで微笑んでいるのはおさげが特徴的でつぶらな瞳が愛らしい女の子。
すぐにわかった。恵だ。
見てるうちに自然と笑みがこぼれるような幸せ一杯の家族の肖像で、僕の前ではおろか恵の前ですら滅多に笑顔を見せることがなかった鍵屋崎優と由佳利が、理想の両親像が投影された絵の中では優しげに微笑んでいたる。
両親と手をつないだ恵もこの上なく幸せそうで、
幸せそうで。
絵の中のどこにも、僕はいなかった。
「…………」
絵の中の三人はしっかり手をつないでいる、家族の完成形に異物が入りこむ隙間などないほどに。絵の中の三人は笑っている、僕がいなくても平然と、僕など最初から存在しなかったように。
恵が描いた絵に僕がいない。
僕だけがいない。
これは家族の絵なのに、鍵屋崎優と由佳利はちゃんと絵の中にいるのに、僕だけが当たり前のように省かれて最初からいないことにされている。この絵のどこにも僕の居場所はない。拒絶という言葉すらそぐわない違和感のなさで存在ごと抹消された僕は、家族の絵に含めてもらえなかった僕は。
恵にとってはもう、いないも同然の人間なのか?
いないほうがいい人間なのか?
「直……」
僕の手元から顔を上げたサムライが気遣わしげな視線を向けてくるのに気付かないふりをし、虚ろな目で家族の肖像を見つめ続ける。僕が含まれてない家族の絵。僕がどこにもいない家族の絵。
これが恵が願った家族の形というなら一体僕は何のために、
何のために、何を守ろうとして両親を殺害したんだ?
「僕の妹は絵が上手いだろう」
要らないのは僕の方だったのに、それにも気付かず両親を殺して恵を一人ぼっちにして。僕は馬鹿だ。自分が本当は必要とされてないことにも気付かずに、妹が本当に必要としていた人間を永遠にこの世から葬り去って、それで妹を守りきったつもりになって自己満足して。
恵にとっては僕こそが家族の和を乱す異分子で、絵の隅にさえ描く価値と意味のない邪魔者で。
ああそうか。
僕は本当は、家族じゃなかったんだ。僕の家族なんて最初からだれもいなかったんだ。
「………ひとりにしてくれ」
絵と便箋を封筒に詰める気力もなくし、ベッドに放り出して頭を抱える。
とにかく今はひとりになりたかった。冷静に考える時間が欲しかった、虚勢と矜持を立て直す時間が欲しかった。崩壊寸前の何かを、いや、既に崩壊してしまった何かをかき集めていつもの、いつもどおりの自分に戻るための執行猶予が欲しかった。この手紙を読む前の自分に、この絵を見る前の自分に戻るためにどれ位時間がかかるかはわからない。それでも今は一人になりたい、これ以上余計なことを言わずに済むように、嫌なことを見聞きしないように―
サムライはいつまでたっても僕の前を去らなかった。
時間を忘れたようにただそこに立ち竦んでいた。夕闇に沈む房の中、黙りこんだ僕の鼓膜に染みたのは低い声。
「……気が休まるまで俺のことは忘れてくれてかまわない。でも、今のお前をひとりにはできない」
ベッドに放置してあった封筒に便箋と絵を詰め直し、そっと枕元に置いて立ち去る。自分のベッドに引き返してゆくサムライの背中を見送り、ふたたび頭を抱え込む。少し前までのサムライなら僕が「ひとりにしてくれ」と頼めば何も言わずに出ていったはずだ。でも、今は違う。情緒不安定な僕をひとり残して出て行くのがいやで、対岸のベッドに物言わず腰掛けてこちらを見守っている。
そして僕は、客観的な距離をおいたサムライの視線があったからこそ壊れかけた心を維持できたと、心の裂け目から染みこんできた絶望に耐えることができたと認めざるをえない。
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