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百二十四話
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「おれは半半がいいな」
空気が読めないバカはどこにでもいる。
その筆頭がちょうどサムライが歩み寄ってく先、鍵屋崎が犯される場面を演出過剰気味なひとり芝居で再現してたガキの斜向かい、しまりない口元にニヤニヤ笑いを浮かべた見るからに頭悪げなガキ。
「半半……ロンか。あいつも売春班だっけ」
「そうそう。前から目えつけてたんだよ、いつか物陰にひっぱりこんでヤッちまおうって思ってたんだけど売春班にまわされたんなら話ははええ、堂々と大手振って犯しにいける」
『ロン』の名前を聞いた途端レイジに変化が起きる。それまで腑抜けたように背もたれに上体を預けて椅子を揺すっていたのに俄かに眼光鋭くなり生彩を蘇らせる。一瞬で眠気が吹き飛んで素面に戻ったレイジがゆっくりと首を巡らしテーブルのむこうでワイワイ騒いでる連中を凝視。群れるしか能のない獲物に狙い定めた肉食獣の凝視にも気付かない幸せな連中はああでもないこうでもないと活発に論議する。
「ああいう生意気なツラしたガキ見ると躾けたくなるんだよな、無性に」
「いいね、しつけ甲斐ありそうな雑種の野良猫だ。いい声で鳴いてくれる」
弛緩しきった笑みを浮かべた連中の輪に首をつっこんできたのは見覚えある囚人。だれだっけとビバリーと顔を見合わせて視線を戻した途端に思い出した、この前ロンにわざとぶつかってトレイを落とさせた凱の子分。
「真っ先に買いに行ったぜ、俺」
「閉めだされて門前払い喰らったんだろう?ご愁傷さまだなオイ」
「なあに、もうちょっとの辛包さ」
ロンの抵抗なんか歯牙にもかけてない余裕ありげな素振りもまんざら演技じゃないらしい、ひょいと肩をすくめた囚人の顔には悠然と勝ち誇った色がある。
「三日間飯も食わずにひきこもってるんだ、明日かあさってにゃ音を上げるさ。そしたらこっちのもんだ、たっぷり躾けて仕込んでやるよ」
「おいおいなに仕込む気だよ」
「ナニ仕込む気だろう」
下劣な揚げ足取りに爆笑する集団の輪の遥か外、サムライが去ったテーブルにぽつんと残されたレイジは口元にうっすらと笑みを浮かべていた。いや、正確には口元だけに。精巧なガラスを模した薄茶の目は今や完全な無表情、低温の微笑を湛えた口元からは鋭い犬歯が覗いている。背もたれからゆっくりと背を起こし、寝起きの豹を彷彿とさせる気だるい動作でテーブルから足をおろす。レイジの手の中で銀弧が閃き、右手に掴んだフォークの柄がトントンと机を叩き始める。
フォークの柄をテーブルに打ち付け、単調に拍子をとりはじめたレイジをよそに中央左よりテーブルの盛り上がりはさらに過熱する。「ロンに仕込んでやる」とうそぶいたガキが両手をひらひらさせながら続ける。
「あいつのせいで凱さんに殴られたんだ、四つん這いで跪かせて奉仕でもさせなきゃ気がすまねえ。知ってるか?あいつのお袋淫売なんだぜ。男とみりゃ手当たり構わずひっぱりこんでガキの前でもあんあん喘ぎ声あげて絡まってたらしい、淫売のガキは淫売ってむかしから決まってんだよ。むずかしく言やあ劣性遺伝の法則だな。ガキのころからお袋のよがる姿見てきたんだ、ナニをどうすりゃいいか頭じゃわかんなくても体にすりこまれてるだろうさ」
「外の女にゃ引かれる変態プレイでも売春班相手なら試せるし」
「ちょうどいい、半半ヤるときゃ俺たちも呼んでくれよ。上の口にも下の口にも突っこみゃ得意のへらず口たたけねえだろ」
トントン、トトトン。それまで一定のリズムを保っていた音頭が崩れ、速まり、乱れる。左手で頬杖ついて首を傾げたレイジは相変わらず口元に微笑をそえていたが眼光は炯炯と強まるばかり、今にもはじけそうな一触即発のきな臭い雰囲気が漂う。フォークの柄でテーブルの天板を抉っていたレイジの目にちりちりと燻り始めたのは殺意、スランプに陥ったピアニストの如く破滅的に苛立たしげに右五指を波打たせてスタッカートを打つ、トトン、トトトトトトン。
鍵盤に見立てた天板を叩きながら中央やや左よりのテーブルを見つめる。見つめ続ける。無表情よりなおタチの悪い愉快犯の笑顔で本音を包み隠し、火花散る静電気の殺気で全身を鎧い、ひっそりと息を詰め。
「やばい」
頬がひきつる。ぎゅっと手摺をにぎりしめた僕の異変に気付き、ビバリーが首を傾げる。
「どうしたんスか」
「レイジだよ」
アイツら鈍感すぎる。レイジは音と視線で警告を発してるのに、これ以上ロンを悪く言ったらお前らただじゃすまないぞとこれ以上なくわかりやすく脅し付けているのにてんで気付かずに良識人なら眉をひそめずにはいられない下ネタを交わしてる。中央左寄りテーブルに寄り集まって自己顕示欲丸出しで自分の下で泣き叫ぶ鍵屋崎の姿態を吹聴したりロンを想像の中で犯しまくってる連中は馬鹿だ、そろいもそろって命知らずの馬鹿ばかりだ。話に夢中になりすぎて周囲がまるで見えてない、「不感症だって噂だけど耳噛まれて感じてたぜアイツ。案外敏感なんじゃねえか」とけたけた笑ってるガキの3メートル背後に水面を歩くような足捌きでサムライが近付いてるのに、「今度陣中見舞いに行ってやろうぜ、膝抱えてひきこもってる半半とこに」と提案したガキをレイジが苛烈に睨んでるのに。
「昨日は俺ひとりで行ってやったんだ。頑固な半半がドアふさいで閉じこもってる開かずの房の前でさんざん暴れてやった、何度も何度もドア蹴り上げて声張り上げて。いい加減出て来いよ、固くて黒くてでっけえプレゼント持ってきたんだからよ。遅かれ早かれどうせヤられちまうんだからカンネンしろよ、淫売のガキなら素直に股開いて男受け入れやがれ、そうやって食わせてもらってたんだからわかるだろ」
どんどん扉を殴る真似をしながら勢い余って席を蹴ったガキが叫ぶ。精神的に追い詰められたロンに情け容赦なく追い討ちをかけ、恐怖と屈辱に歪む顔を扉越しに想像して暗い愉悦にひたるというあんまり感心できない傾向を増長させて。
レイジが頬杖を崩し、上体を起こす。音の間隔が長くなり、やがて完全に途絶える。フォークを静止させたレイジは微動だにせずロンを侮辱する口の動きを見つめている、顔筋の収縮に連動して顎の間接が開き赤い口腔に歯が覗くコマ落としのように緩慢な一連の動作を。
「それでもまだだんまり決め込んでるもんだから言ってやったんだ」
「なんて」
「俺ならレイジより楽しませてやれるって、」
フォークが宙に舞った。
一瞬の早業。
レイジの腕が鞭のように撓った次の瞬間、残像だけ残して振りかぶられた腕から弧を描いて跳ね上がったフォークが銀光を放ってテーブルの天板を穿つ。パッと木片が散り塗料が剥げてテーブルに突き刺さったフォークをレイジが腕力に物言わせて引き抜くのとサムライが行動を起こしたのは同時だった。
「!?ぎゃっ、」
情けない悲鳴をあげて後ろ向きに転倒したのは鍵屋崎をヤッたと自慢してたガキ、サムライに椅子を蹴り飛ばされて椅子から倒れて床面で背中を強打、圧迫された両肺から空気の塊が押し出されて苦しげに咽かえったガキが正面に仁王立ちしたサムライに「なにすんだよクソヤロウ!」と猛然と突っかかってゆく。風切る唸りを上げて顔面を襲った拳を右手の甲で軽くいなし後退、体勢を崩したガキが前のめりにたたらを踏むのを待ち構えていたかの如く間合いに踏み込む。
「みっちゃん!」
振り向きもせず利き手を横薙ぎしたサムライの五指が掴んだのはレイジが投擲したフォーク。肉眼ではとらえられない早業でフォークを逆手に持ち構えたサムライが電光石火の乱舞で柄の部分を突き出す。
潰れた喉から濁った苦鳴が迸った。
手摺にしがみついて身を乗り出した僕はビバリ―と顔を並べてばっちり目撃した、サムライが鋭い呼気を吐いて突き出したフォークの柄がガキの喉仏を穿つ瞬間を。激痛に苛まれ、喉をかきむしってもんどり打って倒れたガキをひややかに見下ろしたサムライが手首を鋭く撓らせレイジにフォークを投げ返す。その時には既にレイジの姿は消失していた、いや、消失したんじゃない。瞬間移動と見紛う速さで中央やや左寄りのテーブルに出現していたのだ。椅子から転げ落ちたと見せかけて横転、驚嘆すべき跳躍力でテーブルに飛び上がったレイジがトレイをひっくりかえしアルミ皿を蹴散らし一直線に疾駆、嵐のようにアルミ皿が舞う中を息も乱さず全力疾走しながら手をかざして発矢とフォークを掴む。
完璧に呼吸の合った連携プレイに見惚れる間もなく襟首を掴まれ片腕一本ラクラクと宙に吊るし上げられたのは「レイジより楽しませてやる」と身の程知らずにほざいた馬鹿なガキ。
そして、食堂に居合わせた囚人全員が口を半開きにした眼前でガキの体が浮いた。
いや、正確にはぶん投げられたのだ。無重力状態で宙に舞った体がテーブルに叩き付けられる、騒々しい金属音を奏でて床に散らばるのはアルミ皿とトレイ。力任せに襟首締め上げられて窒息寸前、軽微な脳震盪を起こしたガキを手馴れた様子で組み伏せ。
耳朶を食いちぎるように囁く。
『Please say once again?』
絶叫。
何が起こったのか瞬時にわからなかった、レイジが片腕を振り上げて振り下ろした次の瞬間には両手で目を覆ったガキが四肢をばたつかせて悶絶してたのだ。顔面を覆ったガキが金切り声の悲鳴を撒き散らしながらあっちへこっちへゴロゴロ転げ回ったせいで滝のように雪崩落ちたアルミ皿が不規則に床を乱打して無秩序な狂騒曲を奏でる、服の裏表に残飯を付着させたガキが背骨を丸めて海老反りに仰け反り、手足をめちゃくちゃに振り乱して椀をひっくりかえして頭からコンソメスープをかぶり頭皮を火傷する。恐慌状態に陥って絶叫し続けるガキを我に返ったダチが助け起こした時には既に第二撃が繰り出されていた。フォークを構えたレイジが片ひざついて姿勢を低めて椅子に腰掛けたガキの鼻筋を跨いで薙ぐ、フォークの先端に皮膚をくしけずられたガキが赤く剥けた顔を押さえて床に転倒、返す刀でフォークを振るったレイジが今まさに椅子を蹴って逃げようとしたガキの背後に接近、後ろ首を引き倒す。
後頭部を天板にぶつけて膝から下が崩れ落ちるように屑折れたのは「ロンをヤるときは俺たちも呼んでくれ」と誘いを持ちかけたガキだった。テーブルにもたれるように膝を屈したガキ、テーブルの縁にひっかかった左腕を蹴り上げ靴底で踏みしめ……
「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!」
耳を塞ぎたくなるような絶叫が食堂にこだました。
フォークが左手の甲を貫き一気に天板に縫い止める。惨劇を演出した張本人はテーブルの上に仁王立ちしたまま、血塗られたフォークを片手にさげて激痛にのたうち回るガキどもを見下ろしていた。息一つ乱すことなくかすり傷一つ負うことなく計三人のガキを屠ったレイジに食堂中の視線が集まる。
「……ひさしぶりにちょーーーっとキレたぜ?」
語尾に疑問符を付け、皮肉げに片頬笑む。床に横たわって苦悶にうめくガキには速攻で興味が失せたらしくレイジがテーブルの上を歩き出す。毛足の長い絨毯の上を歩いてるかのような優雅な大股で周囲に威圧感をふりまきながら高らかに声を張り上げる。
「いくら庶民に寛容な王様で売ってるからってお前ら調子乗りすぎだ、王様にも我慢の限界ってもんがあるんだぜ。何々、俺の方がロンを楽しませてやれる?上の口でも下の口でもたのしんでやる?はは、面白いなあ。面白すぎるぜ愚民ども」
アルミ皿を蹴散らし蹴落としトレイを無頓着にひっくりかえし進路を阻む障害物は人でも物でも傍若無人に薙ぎ倒すその様は王様というより狂気におかされた暴君。怒り荒ぶる大股で突き進み、一身に視線と脚光を浴びて立ち止まる。テーブル中央に仁王立ちしたレイジが大きく深呼吸、静寂の波紋が食堂の隅々まで行き渡るのを待つ。
睫毛が揺れ、瞼が開く。
冷徹に研ぎ澄まされた眼光で満場を睥睨し。
「ロンに手を出していいのは俺だけだ。他は認めない、全力で殺す」
頑是無い子供に噛み砕いて諭すような口調から一転、食堂全体に響く声でレイジが宣言する。自らの影響力を推し量るように左右に顔を傾げてから正面に固定、手首を軽く撓らせてフォークを投げ上げる。天井スレスレの弧を描いてテーブルに突き立ったナイフの柄を踏み込んで跳ね上げ今度は左手でキャッチ。曲芸師さながら器用な芸当を披露してみせた後に白い歯を覗かせて笑う。
いや、笑っているのだろうか、これは。
笑顔にしては獰猛すぎる、理性よりは本能が勝った表情。
枷から解き放たれた獣のように生き生きとした顔。
「東棟の王が勅命を下す。『汝、姦淫するなかれ』」
左手のフォークを投擲。俊敏な放物線を描いたフォークがどんどん近付いてきて目の前にー……
「「うわっ!?」」
眼前に迫ったフォークが手摺を飛び越えて僕らが座ってたテーブルに刺さる。ビバリーと抱き合ってへたりこんだ僕はハッと我に返って手摺から身を乗り出す。
「なに考えてんのさレイジ、殺す気かよ!?」
「わりい、手元が狂った。利き手じゃねーとダメだな、やっぱ」
とんでもない暴挙にこぶしを振り回して抗議した僕をへらへら笑いながらあしらうレイジに反省の色はない。ひょいとテーブルから飛び下りたレイジに周囲の囚人がびくつく、両手をポケットにひっかけたリラックスした姿勢でサムライに歩み寄ったレイジが肩を竦める。
「頭に来てたから上手く加減できなかった。失明してねえといいんだけど」
言葉とは裏腹に全然心配してない口調であっけらかんとうそぶいたレイジにサムライが至極真面目に告げる。
「慣れないことはするものじゃない」
あきれたようにサムライが見下ろした床には片方の瞼を青黒く腫らせたガキがうずくまっていた。それで謎が解けた、レイジがどうやってひとり目のガキを倒したか。襟首を掴んでテーブルに叩き付けたその瞬間逆手に持ったフォークの柄で瞼を衝いたのだ。青黒く鬱血した瞼を押さえて呻き声をあげるガキ、アルミ皿と残飯が散らばった目も覆わんばかりの惨状を見わたしたレイジとサムライが少々暴れすぎたかなと首を傾げ、
「何の騒ぎだ!!?」
その瞬間だ。
トレイが横転しアルミ皿がひっくり返り床一面に残飯がぶちまかれた惨状に遅ればせながら駆け付けた看守があ然とする。一体全体何が起きたのか、なんだって計四人のガキが芋虫のように床でうごめいてるのかと鋭い視線を四方に馳せた看守に我関せずと知らんぷりを決めこむ囚人。ふたり向かい合って惨状のど真ん中に立ち尽くしてたレイジとサムライだけがまっすぐに看守を見る。しなやかな歩調で看守に歩み寄ったレイジが笑顔が魅力的な詐欺師のように肩をすくめ看守の懐柔にかかる。
「すいませんお騒がせして。今俺の足もとに寝転んでうんうんうめいてるガキどもが飯の取り合いから潰しあいの大喧嘩になって……だよな、みんな?」
看守と対峙したレイジが同意を求めるように周囲に視線を流す。声を荒げて脅迫したわけでも容赦ない暴力をふるったわけでもないのにその瞬間に起きた変化は劇的だった。レイジと目が合った囚人が全員、ひとり残らず頷く。少々ぎこちなさが残る動作で顎を上下させた奴もいれば残像が残る速さで顎を縦に振った奴、ふてくされたように顎を引いた奴もいる。反応は千差万別でもそれに伴う動作は一様におなじ。レイジと目が合った全員が催眠術にかけられたように連鎖反応、寄せては返す波のように視線が巡るにつれ端から端へと首肯が連なる。
芝居けたっぷりに両手を広げたレイジが「ご覧の通り」と首を傾げてみせる。腑に落ちないがこれ以上粘っても聞きだせることは何もないと判断したのか忌々しげに舌打ちして退散した看守を見送り、レイジが振り向く。
もう誰もレイジと目を合わせなかった。
「……レイジとロンを切り離したのはまずかったね、タジマさん」
すごすごと席に戻りながら呟く。僕の目の前、テーブルのど真ん中に刺さってるのはレイジが投げたフォーク。最低20メートルは離れた距離から腕の一振りでフォークを投擲してど真ん中に刺したんだ、まったくイカレてる。もしこれがナイフだったらと考えるとぞっとする。レイジは「手元が狂った」なんてそれらしい嘘ついてたけど冗談じゃない、レイジは最初から僕が腰掛けたテーブルのど真ん中に狙いを付けてフォークを投げたと断言できる。
なにせ、『汝、姦淫するなかれ』の警告を一番無視しそうなの僕だし。
「……なんかレイジさん怖いっス。ぴりぴりしてます」
「鈍いね、今頃気付いたの?ロンがいなくなってからずっとああだよ」
そう、ロンはレイジの抑止力だった。ロンがいなくなってからのレイジは不安定だ、顔の皮膚と同化した笑みに変化はなくても一挙手一投足がぴりぴり殺気立ってる。天板に刺さったフォークを引き抜き、頭上にかざしてためつすがめつする。
「東棟の王様から暴君に改名しなきゃ。ロンに手を出したら相手が囚人だろうが看守だろうがなにしでかすかわかんないよ、今のレイジ」
寒気がした。
空気が読めないバカはどこにでもいる。
その筆頭がちょうどサムライが歩み寄ってく先、鍵屋崎が犯される場面を演出過剰気味なひとり芝居で再現してたガキの斜向かい、しまりない口元にニヤニヤ笑いを浮かべた見るからに頭悪げなガキ。
「半半……ロンか。あいつも売春班だっけ」
「そうそう。前から目えつけてたんだよ、いつか物陰にひっぱりこんでヤッちまおうって思ってたんだけど売春班にまわされたんなら話ははええ、堂々と大手振って犯しにいける」
『ロン』の名前を聞いた途端レイジに変化が起きる。それまで腑抜けたように背もたれに上体を預けて椅子を揺すっていたのに俄かに眼光鋭くなり生彩を蘇らせる。一瞬で眠気が吹き飛んで素面に戻ったレイジがゆっくりと首を巡らしテーブルのむこうでワイワイ騒いでる連中を凝視。群れるしか能のない獲物に狙い定めた肉食獣の凝視にも気付かない幸せな連中はああでもないこうでもないと活発に論議する。
「ああいう生意気なツラしたガキ見ると躾けたくなるんだよな、無性に」
「いいね、しつけ甲斐ありそうな雑種の野良猫だ。いい声で鳴いてくれる」
弛緩しきった笑みを浮かべた連中の輪に首をつっこんできたのは見覚えある囚人。だれだっけとビバリーと顔を見合わせて視線を戻した途端に思い出した、この前ロンにわざとぶつかってトレイを落とさせた凱の子分。
「真っ先に買いに行ったぜ、俺」
「閉めだされて門前払い喰らったんだろう?ご愁傷さまだなオイ」
「なあに、もうちょっとの辛包さ」
ロンの抵抗なんか歯牙にもかけてない余裕ありげな素振りもまんざら演技じゃないらしい、ひょいと肩をすくめた囚人の顔には悠然と勝ち誇った色がある。
「三日間飯も食わずにひきこもってるんだ、明日かあさってにゃ音を上げるさ。そしたらこっちのもんだ、たっぷり躾けて仕込んでやるよ」
「おいおいなに仕込む気だよ」
「ナニ仕込む気だろう」
下劣な揚げ足取りに爆笑する集団の輪の遥か外、サムライが去ったテーブルにぽつんと残されたレイジは口元にうっすらと笑みを浮かべていた。いや、正確には口元だけに。精巧なガラスを模した薄茶の目は今や完全な無表情、低温の微笑を湛えた口元からは鋭い犬歯が覗いている。背もたれからゆっくりと背を起こし、寝起きの豹を彷彿とさせる気だるい動作でテーブルから足をおろす。レイジの手の中で銀弧が閃き、右手に掴んだフォークの柄がトントンと机を叩き始める。
フォークの柄をテーブルに打ち付け、単調に拍子をとりはじめたレイジをよそに中央左よりテーブルの盛り上がりはさらに過熱する。「ロンに仕込んでやる」とうそぶいたガキが両手をひらひらさせながら続ける。
「あいつのせいで凱さんに殴られたんだ、四つん這いで跪かせて奉仕でもさせなきゃ気がすまねえ。知ってるか?あいつのお袋淫売なんだぜ。男とみりゃ手当たり構わずひっぱりこんでガキの前でもあんあん喘ぎ声あげて絡まってたらしい、淫売のガキは淫売ってむかしから決まってんだよ。むずかしく言やあ劣性遺伝の法則だな。ガキのころからお袋のよがる姿見てきたんだ、ナニをどうすりゃいいか頭じゃわかんなくても体にすりこまれてるだろうさ」
「外の女にゃ引かれる変態プレイでも売春班相手なら試せるし」
「ちょうどいい、半半ヤるときゃ俺たちも呼んでくれよ。上の口にも下の口にも突っこみゃ得意のへらず口たたけねえだろ」
トントン、トトトン。それまで一定のリズムを保っていた音頭が崩れ、速まり、乱れる。左手で頬杖ついて首を傾げたレイジは相変わらず口元に微笑をそえていたが眼光は炯炯と強まるばかり、今にもはじけそうな一触即発のきな臭い雰囲気が漂う。フォークの柄でテーブルの天板を抉っていたレイジの目にちりちりと燻り始めたのは殺意、スランプに陥ったピアニストの如く破滅的に苛立たしげに右五指を波打たせてスタッカートを打つ、トトン、トトトトトトン。
鍵盤に見立てた天板を叩きながら中央やや左よりのテーブルを見つめる。見つめ続ける。無表情よりなおタチの悪い愉快犯の笑顔で本音を包み隠し、火花散る静電気の殺気で全身を鎧い、ひっそりと息を詰め。
「やばい」
頬がひきつる。ぎゅっと手摺をにぎりしめた僕の異変に気付き、ビバリーが首を傾げる。
「どうしたんスか」
「レイジだよ」
アイツら鈍感すぎる。レイジは音と視線で警告を発してるのに、これ以上ロンを悪く言ったらお前らただじゃすまないぞとこれ以上なくわかりやすく脅し付けているのにてんで気付かずに良識人なら眉をひそめずにはいられない下ネタを交わしてる。中央左寄りテーブルに寄り集まって自己顕示欲丸出しで自分の下で泣き叫ぶ鍵屋崎の姿態を吹聴したりロンを想像の中で犯しまくってる連中は馬鹿だ、そろいもそろって命知らずの馬鹿ばかりだ。話に夢中になりすぎて周囲がまるで見えてない、「不感症だって噂だけど耳噛まれて感じてたぜアイツ。案外敏感なんじゃねえか」とけたけた笑ってるガキの3メートル背後に水面を歩くような足捌きでサムライが近付いてるのに、「今度陣中見舞いに行ってやろうぜ、膝抱えてひきこもってる半半とこに」と提案したガキをレイジが苛烈に睨んでるのに。
「昨日は俺ひとりで行ってやったんだ。頑固な半半がドアふさいで閉じこもってる開かずの房の前でさんざん暴れてやった、何度も何度もドア蹴り上げて声張り上げて。いい加減出て来いよ、固くて黒くてでっけえプレゼント持ってきたんだからよ。遅かれ早かれどうせヤられちまうんだからカンネンしろよ、淫売のガキなら素直に股開いて男受け入れやがれ、そうやって食わせてもらってたんだからわかるだろ」
どんどん扉を殴る真似をしながら勢い余って席を蹴ったガキが叫ぶ。精神的に追い詰められたロンに情け容赦なく追い討ちをかけ、恐怖と屈辱に歪む顔を扉越しに想像して暗い愉悦にひたるというあんまり感心できない傾向を増長させて。
レイジが頬杖を崩し、上体を起こす。音の間隔が長くなり、やがて完全に途絶える。フォークを静止させたレイジは微動だにせずロンを侮辱する口の動きを見つめている、顔筋の収縮に連動して顎の間接が開き赤い口腔に歯が覗くコマ落としのように緩慢な一連の動作を。
「それでもまだだんまり決め込んでるもんだから言ってやったんだ」
「なんて」
「俺ならレイジより楽しませてやれるって、」
フォークが宙に舞った。
一瞬の早業。
レイジの腕が鞭のように撓った次の瞬間、残像だけ残して振りかぶられた腕から弧を描いて跳ね上がったフォークが銀光を放ってテーブルの天板を穿つ。パッと木片が散り塗料が剥げてテーブルに突き刺さったフォークをレイジが腕力に物言わせて引き抜くのとサムライが行動を起こしたのは同時だった。
「!?ぎゃっ、」
情けない悲鳴をあげて後ろ向きに転倒したのは鍵屋崎をヤッたと自慢してたガキ、サムライに椅子を蹴り飛ばされて椅子から倒れて床面で背中を強打、圧迫された両肺から空気の塊が押し出されて苦しげに咽かえったガキが正面に仁王立ちしたサムライに「なにすんだよクソヤロウ!」と猛然と突っかかってゆく。風切る唸りを上げて顔面を襲った拳を右手の甲で軽くいなし後退、体勢を崩したガキが前のめりにたたらを踏むのを待ち構えていたかの如く間合いに踏み込む。
「みっちゃん!」
振り向きもせず利き手を横薙ぎしたサムライの五指が掴んだのはレイジが投擲したフォーク。肉眼ではとらえられない早業でフォークを逆手に持ち構えたサムライが電光石火の乱舞で柄の部分を突き出す。
潰れた喉から濁った苦鳴が迸った。
手摺にしがみついて身を乗り出した僕はビバリ―と顔を並べてばっちり目撃した、サムライが鋭い呼気を吐いて突き出したフォークの柄がガキの喉仏を穿つ瞬間を。激痛に苛まれ、喉をかきむしってもんどり打って倒れたガキをひややかに見下ろしたサムライが手首を鋭く撓らせレイジにフォークを投げ返す。その時には既にレイジの姿は消失していた、いや、消失したんじゃない。瞬間移動と見紛う速さで中央やや左寄りのテーブルに出現していたのだ。椅子から転げ落ちたと見せかけて横転、驚嘆すべき跳躍力でテーブルに飛び上がったレイジがトレイをひっくりかえしアルミ皿を蹴散らし一直線に疾駆、嵐のようにアルミ皿が舞う中を息も乱さず全力疾走しながら手をかざして発矢とフォークを掴む。
完璧に呼吸の合った連携プレイに見惚れる間もなく襟首を掴まれ片腕一本ラクラクと宙に吊るし上げられたのは「レイジより楽しませてやる」と身の程知らずにほざいた馬鹿なガキ。
そして、食堂に居合わせた囚人全員が口を半開きにした眼前でガキの体が浮いた。
いや、正確にはぶん投げられたのだ。無重力状態で宙に舞った体がテーブルに叩き付けられる、騒々しい金属音を奏でて床に散らばるのはアルミ皿とトレイ。力任せに襟首締め上げられて窒息寸前、軽微な脳震盪を起こしたガキを手馴れた様子で組み伏せ。
耳朶を食いちぎるように囁く。
『Please say once again?』
絶叫。
何が起こったのか瞬時にわからなかった、レイジが片腕を振り上げて振り下ろした次の瞬間には両手で目を覆ったガキが四肢をばたつかせて悶絶してたのだ。顔面を覆ったガキが金切り声の悲鳴を撒き散らしながらあっちへこっちへゴロゴロ転げ回ったせいで滝のように雪崩落ちたアルミ皿が不規則に床を乱打して無秩序な狂騒曲を奏でる、服の裏表に残飯を付着させたガキが背骨を丸めて海老反りに仰け反り、手足をめちゃくちゃに振り乱して椀をひっくりかえして頭からコンソメスープをかぶり頭皮を火傷する。恐慌状態に陥って絶叫し続けるガキを我に返ったダチが助け起こした時には既に第二撃が繰り出されていた。フォークを構えたレイジが片ひざついて姿勢を低めて椅子に腰掛けたガキの鼻筋を跨いで薙ぐ、フォークの先端に皮膚をくしけずられたガキが赤く剥けた顔を押さえて床に転倒、返す刀でフォークを振るったレイジが今まさに椅子を蹴って逃げようとしたガキの背後に接近、後ろ首を引き倒す。
後頭部を天板にぶつけて膝から下が崩れ落ちるように屑折れたのは「ロンをヤるときは俺たちも呼んでくれ」と誘いを持ちかけたガキだった。テーブルにもたれるように膝を屈したガキ、テーブルの縁にひっかかった左腕を蹴り上げ靴底で踏みしめ……
「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!」
耳を塞ぎたくなるような絶叫が食堂にこだました。
フォークが左手の甲を貫き一気に天板に縫い止める。惨劇を演出した張本人はテーブルの上に仁王立ちしたまま、血塗られたフォークを片手にさげて激痛にのたうち回るガキどもを見下ろしていた。息一つ乱すことなくかすり傷一つ負うことなく計三人のガキを屠ったレイジに食堂中の視線が集まる。
「……ひさしぶりにちょーーーっとキレたぜ?」
語尾に疑問符を付け、皮肉げに片頬笑む。床に横たわって苦悶にうめくガキには速攻で興味が失せたらしくレイジがテーブルの上を歩き出す。毛足の長い絨毯の上を歩いてるかのような優雅な大股で周囲に威圧感をふりまきながら高らかに声を張り上げる。
「いくら庶民に寛容な王様で売ってるからってお前ら調子乗りすぎだ、王様にも我慢の限界ってもんがあるんだぜ。何々、俺の方がロンを楽しませてやれる?上の口でも下の口でもたのしんでやる?はは、面白いなあ。面白すぎるぜ愚民ども」
アルミ皿を蹴散らし蹴落としトレイを無頓着にひっくりかえし進路を阻む障害物は人でも物でも傍若無人に薙ぎ倒すその様は王様というより狂気におかされた暴君。怒り荒ぶる大股で突き進み、一身に視線と脚光を浴びて立ち止まる。テーブル中央に仁王立ちしたレイジが大きく深呼吸、静寂の波紋が食堂の隅々まで行き渡るのを待つ。
睫毛が揺れ、瞼が開く。
冷徹に研ぎ澄まされた眼光で満場を睥睨し。
「ロンに手を出していいのは俺だけだ。他は認めない、全力で殺す」
頑是無い子供に噛み砕いて諭すような口調から一転、食堂全体に響く声でレイジが宣言する。自らの影響力を推し量るように左右に顔を傾げてから正面に固定、手首を軽く撓らせてフォークを投げ上げる。天井スレスレの弧を描いてテーブルに突き立ったナイフの柄を踏み込んで跳ね上げ今度は左手でキャッチ。曲芸師さながら器用な芸当を披露してみせた後に白い歯を覗かせて笑う。
いや、笑っているのだろうか、これは。
笑顔にしては獰猛すぎる、理性よりは本能が勝った表情。
枷から解き放たれた獣のように生き生きとした顔。
「東棟の王が勅命を下す。『汝、姦淫するなかれ』」
左手のフォークを投擲。俊敏な放物線を描いたフォークがどんどん近付いてきて目の前にー……
「「うわっ!?」」
眼前に迫ったフォークが手摺を飛び越えて僕らが座ってたテーブルに刺さる。ビバリーと抱き合ってへたりこんだ僕はハッと我に返って手摺から身を乗り出す。
「なに考えてんのさレイジ、殺す気かよ!?」
「わりい、手元が狂った。利き手じゃねーとダメだな、やっぱ」
とんでもない暴挙にこぶしを振り回して抗議した僕をへらへら笑いながらあしらうレイジに反省の色はない。ひょいとテーブルから飛び下りたレイジに周囲の囚人がびくつく、両手をポケットにひっかけたリラックスした姿勢でサムライに歩み寄ったレイジが肩を竦める。
「頭に来てたから上手く加減できなかった。失明してねえといいんだけど」
言葉とは裏腹に全然心配してない口調であっけらかんとうそぶいたレイジにサムライが至極真面目に告げる。
「慣れないことはするものじゃない」
あきれたようにサムライが見下ろした床には片方の瞼を青黒く腫らせたガキがうずくまっていた。それで謎が解けた、レイジがどうやってひとり目のガキを倒したか。襟首を掴んでテーブルに叩き付けたその瞬間逆手に持ったフォークの柄で瞼を衝いたのだ。青黒く鬱血した瞼を押さえて呻き声をあげるガキ、アルミ皿と残飯が散らばった目も覆わんばかりの惨状を見わたしたレイジとサムライが少々暴れすぎたかなと首を傾げ、
「何の騒ぎだ!!?」
その瞬間だ。
トレイが横転しアルミ皿がひっくり返り床一面に残飯がぶちまかれた惨状に遅ればせながら駆け付けた看守があ然とする。一体全体何が起きたのか、なんだって計四人のガキが芋虫のように床でうごめいてるのかと鋭い視線を四方に馳せた看守に我関せずと知らんぷりを決めこむ囚人。ふたり向かい合って惨状のど真ん中に立ち尽くしてたレイジとサムライだけがまっすぐに看守を見る。しなやかな歩調で看守に歩み寄ったレイジが笑顔が魅力的な詐欺師のように肩をすくめ看守の懐柔にかかる。
「すいませんお騒がせして。今俺の足もとに寝転んでうんうんうめいてるガキどもが飯の取り合いから潰しあいの大喧嘩になって……だよな、みんな?」
看守と対峙したレイジが同意を求めるように周囲に視線を流す。声を荒げて脅迫したわけでも容赦ない暴力をふるったわけでもないのにその瞬間に起きた変化は劇的だった。レイジと目が合った囚人が全員、ひとり残らず頷く。少々ぎこちなさが残る動作で顎を上下させた奴もいれば残像が残る速さで顎を縦に振った奴、ふてくされたように顎を引いた奴もいる。反応は千差万別でもそれに伴う動作は一様におなじ。レイジと目が合った全員が催眠術にかけられたように連鎖反応、寄せては返す波のように視線が巡るにつれ端から端へと首肯が連なる。
芝居けたっぷりに両手を広げたレイジが「ご覧の通り」と首を傾げてみせる。腑に落ちないがこれ以上粘っても聞きだせることは何もないと判断したのか忌々しげに舌打ちして退散した看守を見送り、レイジが振り向く。
もう誰もレイジと目を合わせなかった。
「……レイジとロンを切り離したのはまずかったね、タジマさん」
すごすごと席に戻りながら呟く。僕の目の前、テーブルのど真ん中に刺さってるのはレイジが投げたフォーク。最低20メートルは離れた距離から腕の一振りでフォークを投擲してど真ん中に刺したんだ、まったくイカレてる。もしこれがナイフだったらと考えるとぞっとする。レイジは「手元が狂った」なんてそれらしい嘘ついてたけど冗談じゃない、レイジは最初から僕が腰掛けたテーブルのど真ん中に狙いを付けてフォークを投げたと断言できる。
なにせ、『汝、姦淫するなかれ』の警告を一番無視しそうなの僕だし。
「……なんかレイジさん怖いっス。ぴりぴりしてます」
「鈍いね、今頃気付いたの?ロンがいなくなってからずっとああだよ」
そう、ロンはレイジの抑止力だった。ロンがいなくなってからのレイジは不安定だ、顔の皮膚と同化した笑みに変化はなくても一挙手一投足がぴりぴり殺気立ってる。天板に刺さったフォークを引き抜き、頭上にかざしてためつすがめつする。
「東棟の王様から暴君に改名しなきゃ。ロンに手を出したら相手が囚人だろうが看守だろうがなにしでかすかわかんないよ、今のレイジ」
寒気がした。
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