少年プリズン

まさみ

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八十三話

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 「おーいキーストア、だいじょうぶか」
 レイジの気楽な声と顔の前を往復するてのひらで我に返る。ヨンイルの告白、サムライにまつわるエピソード……すぐには衝撃から立ち直れそうもない。書架に片手をついてなんとか立ち上がった僕の鼻先にスッと一冊の本がさしだされる。
 「餞別や」
 ヨンイルが笑っている。ヨンイルが手にしているのは黒衣の男がメスを構えた表紙の漫画本。作者名は……手塚治虫?
 「いらない。きみたち右脳でしか本を読めない人種と違って僕は左脳で本を読む、漫画なんて下等で低俗な書物を読むわけ……」
 「いいから読め」
 強引だ。
 「読みもしないでつまんねえって決め付けるのは狭量じゃねーか?それともなにか、天才を自称するくせにナオちゃんはずいぶんと柔軟性に欠けるんでちゅねー」
 「自称してるんじゃない、自認してるんだ。自分で称するのと自他ともに認めるのとの違いだ」
 ふざけてまぜっかえしたレイジを殺意をこめて睨み、その場の勢いで漫画を受け取る。してやったりと会心の笑みを浮かべたヨンイルに務めて気付かないふりをし、漫画を小脇に抱えて足早に去りかけた僕を立ち止まらせたのは先刻のレイジの言葉。
 『ヨンイルにとっちゃここが天国なんだよ。一生好きな漫画読んで暮らせるんだからな』
 「ヨンイル、きみはなにをして東京プリズンにきたんだ?」
 蛍光灯の光も射さない書架の狭間を城と称して満喫するヨンイルを振り返る。僕たちを見送りもせず、最奥の書架にもたれて胡座をかいたヨンイルが目は漫画からはなさずに片手を挙げ、拳にして握り締める。
 パッ。
 勢いよく五本の指が開かれる。
 「どーんとどでかい花火を打ち上げたんや」
 花火?花火の爆発事故でも起こしたのだろうか。
 それきり漫画から顔も上げずに沈黙したヨンイルに首を傾げ、書架と書架の間の狭い通路から抜け出す。左右に書架が聳える閉塞感から解放されて我知らず息を吐く。 
 「油断するなよ」
 内心を見透かされたような台詞に狼狽する。僕の目の前、ペーパーバッグの推理小説を小脇に抱えたレイジが多少演技がかった様子で耳打ちしてくる。
 「ああ見えて二千人殺してるんだぜ、あいつ」
 どういうことだ?
 真意を追及する間を与えずすたすたと立ち去るレイジ。どこへ向かうのかとあっけにとられて手摺から見下ろせば一足先に階段をおり、カウンターで本を借りる手続きを済ましているではないか。
 とりあえずヨンイルに無理矢理押し付けられた本を借りる手続きをしようと階段をおりながらも、頭にこびりついてはなれないサムライの顔。手紙。手紙を懐にかばって意固地に沈黙を貫くサムライの姿。
 そんなサムライは知らない。
 僕の知ってるサムライはいつでもぴんと背筋を伸ばし、だれにも怖じることなく、膝を屈することなく振る舞っているのに。
 なにがサムライをそうさせた?
 左腕を折られてまで信念を貫き通させた?
 
 ヨンイルの語るサムライと僕が知るサムライの隔たり、時間差だけでは埋められない溝。
 すべての謎を解く鍵は、やはり、あの手紙にある。

   +

 

 翌日。
 バスに積まれて派遣された仕事先でも昨日ヨンイルから聞いた話が頭から離れなかった。
 草一本生えない砂漠の中心、灼熱の太陽に灼かれながら考える。
 サムライが人目を忍んで保管していた手紙は外から届いたものではなく収監される時に密かに持ち込んだものだった。サムライはその代償として左腕を折られた、にも関わらず件の手紙を懐にかばって悲鳴ひとつもらさずに耐えていたという。
 そんなに大事なものなのか?
 左腕と引き換えても守りたいほど大事な物なのか? 
 そんなに大事な人から貰った手紙なのだろうか。
 拘置所で面会した身内から餞別として渡された手紙?あれほど情が薄そうに見えるサムライが今でも外に未練を残して手紙を大事に保管している?……まさか。あんなに外の世界に無関心に見えたサムライが今でも尚肉親への未練を断ち切れてないなんて納得できない。僕の知るサムライはほとんど表情筋を動かさずにしゃべる平板な顔の男で、顎には不潔な無精髭を散らし、脂じみた黒髪を無造作に結い、垢染みた囚人服を着て、にも関わらずに不思議な風格を持ち合わせた胡散臭い、得体の知れない男なのに。趣味は般若心境の読経と写経、そして木刀の手入れ。否、般若心境を読むときの真剣な横顔に想い馳せれば趣味というより精神の鍛錬にちかいだろう。
 清廉潔白、明鏡止水、泰然自若。
 サムライを体現する四字熟語をおもいつくままに連想する。俗世への執着を捨て、俗物の殻を脱ぎ、古戦場に打ち捨てられた墓標のように静かにひっそり朽ち果ててゆくように見える枯れた男。本人もまたその運命を諦念し、抵抗なくその末路を受け入れている……少なくとも僕にはそう見える。サムライは下劣な低脳ぞろいの東京プリズンにあって数少ない例外、ほとんど唯一ともいえる観察対象に値する人物。僕の研究欲を満足させて好奇心を充足させてくれる貴重で稀少なモルモット、そして……
 そして?
 自分が続けようとした言葉を不可解に思う。そしてなんだ?サムライは突飛な行動をとるモルモット、檻の中の観察対象。それ以外になにがある?僕にとってのサムライはそれ以上でもそれ以下でもない存在のはずだ。違うのか?
 
 『きみは僕の友達か?』
 『お前が決めろ』

 あの時、首を吊ろうとしてサムライに止められたとき。
 僕は自分の意志で、自分の判断で彼の手をとった。痩せた、骨ばった手。僕よりひとまわり大きく無骨で逞しい手の感触が今でもまざまざとよみがえる。
 なんであの時はサムライに触れるのが嫌じゃなかったんだ?
 世田谷の家にいた頃はドアノブに指紋がついていても不愉快に思うような潔癖症だったのに、東京プリズンに来てからもそれは変わらない、どころか不衛生な環境がますますそれを加速させたというのに。
 一昨日の夜、サムライは僕の手を握ってはなさなかった。
 傍らから去られるのを恐れるように、すがるように、五指に握力をこめて僕の手首を握っていた。振りほどくこともできたはずだ、明日の強制労働にそなえて少しでも多く仮眠を欲していたのならサムライの手をふりほどいてベッドに戻ればよかったんだ。
 何故そうしなかった?
 もしかしたら、という仮定が浮かんで我知らず苦笑する。そんな馬鹿な、ありえない。サムライはただのモルモットでそれ以上も以下でもない、僕が恵以外の人間に心を許すはずが―
 シャベルの刃に片足を乗せ、体重をかけて踏みこむ。尖った先端が砂を穿ち、深々と刺さる。延延その繰り返しで穴を掘りつづける単純作業のペースは体に染み付いており、手を動かしながら物思いに耽るのは慣れてしまえば苦でもない。ちょうど中天にさしかかった太陽が頭皮に照りつけ、全身の毛穴から汗が蒸発してゆく。顎に垂れ落ちてきた汗を片手で拭い、シャベルにぐっと片足を乗せて踏みこんだ刹那。
 風圧が顔を叩く。
 「!」
 ガキン、金属と金属が衝突する鈍い音。
 前髪を舞い上げた風圧に顔を上げ、硬直。僕の目の前に立ちはだかった小柄な影が体前にシャベルを構えて正面に突き出している。小柄な後ろ姿の向こう、シャベルをおもいきり振り上げた姿勢で固まっているのは見覚えのある顔。同じ班の囚人で、なにかと僕を目の敵にして幼稚ないやがらせをしてくるニキビ面の少年。
 未だに消えない右腕の痣はこの少年にやられた。
 半笑いのまま、顔の筋肉が戻らずに硬直している少年と対峙していたのはこちらも見覚えのあるー……ロンだ。少年が力一杯振り上げたシャベルをおなじくシャベルで受け止めたロンが、苦々しげに口角を歪めて吐き捨てる。
 「さすがに洒落にならねーだろ」
 「……ちっ」
 自棄気味に舌打ちした少年が、傍観している僕の足もとへと乱暴にシャベルを投げ落とす。
 「これ納屋に持ってけ」
 低脳に命令されるのは不愉快だ。
 しかし、腕力で優る相手に反抗してこれ以上体に痣を増やしたくはない。第一、低脳と同じレベルで怒っても精神年齢の低さを露呈するだけで僕にはなんの利益もない。砂を蹴散らし憤然と去ってゆく少年の背中から傍らのロンに視線を戻せば不満げな顔をしていた。
 「避けろよ」
 「……避けようと思ってたところだ」
 「気付いてなかっただろ」
 「そんなことはない、1メートル50センチの距離に接近した時点で気付いていた。ただ、砂に足をとられて動けなかっただけだ」
 「もしくは庇え」
 砂にシャベルを突き立てたロンが顔の前に左腕をかざす。
 「利き手を怪我したら仕事にさわるから左腕でかばうんだよ、常識だ」
 「さすがに嫌がらせの対処法には慣れてるな」
 「褒めてんのか?皮肉か?」
 「どうとってもらってかまわない」
 気分を害したロンから顔を背け、そっとメガネの弦に手をやる。 
 「もう少しでメガネが割れるところだった」
 「メガネより自分の心配しろ、もう少しで顔潰れてたぞ」
 「きみはどうしてここにいる?」
 あきれ顔のロンに聞けば足もとに顎をしゃくる。足もとに投げ出されていたのはシャベルが三本。
 「シャベルを納屋にもってく途中にお前の頭がかち割られようとしてるのが見えたんでつい駆けつけちまったんだよ」
 自分の人のよさを呪うように苦々しげに吐き捨てたロンに今度は僕があきれた。
 「きみの人の良さはなにかの病気なのか?そんなお人よしでよく東京プリズンで生き残れたな」
 見たまま感じたままを述べればロンがすさまじく嫌な顔をした。「こんなやつ助けなけりゃよかった」という後悔と自己嫌悪が半半に入り混じったお馴染みの顔。べつに僕が助けてくれと頼んだわけでもないのにそんな極悪人を非難するような目をされても不愉快だ。
 もう僕と口をきくのも嫌だというふうに三本のシャベルをそれぞれ脇に抱えて歩き出したロン、その背中を追うようにして僕も歩き出す、両手にシャベルを引きずって。
 「ついてくんなよ」
 「自意識過剰だな、目的地が一緒なだけだ」
 勤勉な働き蟻のように囚人が散らばった砂漠を横断し、片隅のプレハブ小屋を目指す。シャベルやリヤカーなどの農具を保管しておくための物置として使われている粗末な小屋だ。矩形の入り口から中を覗きこみ、シャベルを放りこむロン。ロンを押しのけて中に入り、小屋の隅にシャベルを立てかける。言いつけられた仕事を終えて持ち場に戻りかけ、忽然とロンの姿が消えたことに気付く。おかしい、さっきまで確かに小屋の外に……不審に思い、ロンをさがして小屋の周辺をめぐる。小屋を半周、人けのない裏手へと歩み出て眉をひそめる。
 「サボりか」
 「休んでるだけだ」
 看守の姿がないのをいいことに、小屋の外壁にもたれてうずくまっているロンに歩み寄る。べつにロンと雑談に興じるつもりはないが、炎天下での肉体労働が祟り、今にも眩暈を起こして倒れそうなのも事実だ。二・三分、日陰で休息をとってもばちはあたらないだろう。
 貧血が回復するまでの数分を庇の日陰で凌ぐことにした僕をうろんげに見上げ、さも陣地を侵犯されたと言いたげにロンが毒づく。
 「お前潔癖症だろ?おれみたいに不潔な人間の隣に座っていいのかよ、菌が伝染るぜ」
 「安心しろ、きみがどんなに不潔にしていても5メートル以上距離を保てば菌は空気感染しない」
 ロンからできるかぎり離れた右端に座れば、ロンもこの上なくいやな顔をして左端に移動する。砂漠のあちらこちらに散らばった大小の影、惰性でシャベルを振るう囚人たちを漫然と眺めながら涼んでいるさなか、唐突に閃く。
 「ロン」
 突然名前を呼ばれ、育ちの悪い猫のようにあくびしていたロンが顔を上げる。
 「僕が来る前のサムライを知ってるか」
 「俺と話すと菌に感染するぜ。お人よし菌」
 まだ根に持ってるのか。
 「僕には免疫がある、そんな菌は伝染しない。だいたいきみたち凡人が感染する菌が僕のような天才をどうこうできるわけないじゃないか、それよりサムライだ、サムライについて知りたい」
 「サムライのなにが知りたいんだよ?」
 「全部だ」
 「無茶言うな……」
 がっくりと首をたれたロンをそれでも凝視していると、乱暴に頭を掻きながら顔をあげた。 
 「聞いたことあるか?お前が来る前までサムライはイエローワークにいたんだ、半年に一度の部署移動でブルーワークに行っちまったけど」
 「初耳だ」
 サムライは自分のことはほとんど話さない。僕が来る前はどこでなにをしていたのか、どの部署に属していたのかも。
 「俺が東京プリズンに来たイエローワークの強制労働初日、ちょっとした事件があった。まあ俺以外の奴には事件でもなんでもねえ愉快な見せ物だったけど」
 砂に唾を吐いたロンを横目に、冷静に促す。
 「なにが起きたんだ?」
 「初日でさっそくタジマに目をつけられた」
 タジマは知っている。東京プリズンに数いる看守の中でもっとも横暴、かつ陰湿と嫌忌されている最低最悪の男。その人物評に異議を唱えるつもりはない、全面的に賛成する。
 「きっかけはささいなこと。シャベルがある場所がわかんなくて他の連中が作業はじめてからも右往左往してたんだ。適当なやつとっつかまえて聞こうにも私語は厳禁、どうしようもなくてキョロキョロしてたらいきなり後ろからゴツン。振り返ったらタジマがいた」
 警棒を振り下ろすしぐさをしてみせたロンが当時のことをまざまざと思い出したか、陰鬱に沈んだ顔で続ける。
 「もちろん一発で済むようなお優しい看守じゃねえ。新入りの分際でなにサボってるんだって警棒で何度も殴られて怒鳴られたよ。今おもえばあれがケチのつきはじめだったな……とにかく、十回くらい殴打されたあとだっけ。ようやく気が済んだかそれとも疲れて息切れしたのか、警棒を腰に戻したタジマを砂に手をついて仰いで『ああ、やっと終わった』と安心したんだが次の瞬間耳を疑ったね。タジマの野郎、言うにこと欠いてなにほざきやがったと思う?」
 喉の奥で卑屈な笑い声を泡立てる。
 「『脱げ』だとよ。脱いで裸になって俺がいいと言うまで立ってろ、とのたまいやがった」
 驚く。
 「砂漠でか?自殺行為だぞ」
 「他殺行為だろ。実際囚人に拒否権なんかねえから言われたとおりにした、まあ一握りの優しさなんだか寛容さだかで下は勘弁してくれたけどな。上半身裸でずっと立たされた、頭の上では太陽がぎらぎら輝いてるし周りの奴らはじろじろ見てくるしタジマはヤニ臭い歯を剥いてにたついてる……くそ、今思い出しても反吐がでる。なに考えてやがったんだあの早漏」
 「衆人環視の中、明るい日の光の下できみの裸を眺めていたかったんじゃないか」
 ロンがぎょっとしたように仰け反る。二の腕を抱いて僕から距離をとったロンが怒鳴る。
 「なんで変態の思考回路がわかるんだよ!?」
 「タジマの加虐趣味と少年愛好癖から推理しただけだ。誤解するな、僕に同性の裸を観賞して興奮する趣味はないぞ」
 異性の裸にも興味ないが。 
 話が脱線した。咳払いして仕切りなおし、ロンが続ける。
 「タジマはしばらく俺を眺めて飽きたようでそのまま行っちまった。『今日一日その格好で作業しろ』とご丁寧に言いつけてな。ああ言われたとおりにしたさ、タジマに上着もってかれちゃ仕方ねえだろ。警棒で殴られたあとは痣になって痛かったし同じ班の連中もほかの班の連中もじろじろ見てくる、なかにはにやにや笑ってる奴もいた。顔から火がでるほど恥ずかしかったけどそれよか問題は太陽だ。見てのとおりここは砂漠、裸でシャベルを上げ下げしてたら熱射病にかかって倒れちまう。じかに熱された皮膚は火ぶくれになって痛いし……本当に地獄だった」
 本当に地獄だったんだろう、しみじみと呟いて空を見上げるロン。
 「その時だよ、空から上着が降ってきたのは」
 ロンの視線につられて晴天を仰ぎ、「上着?」と鸚鵡返しにくりかえす。
 「囚人服の上着。砂で汚れて垢じみた上着、支給されたばっかの俺の上着じゃない。おもわずキャッチしてだれが投げてきたんだろうって振り返ればサムライがいた。上半身裸で突っ立ってた。おかしいよな、おなじ班でもなけりゃ口きいたこともねえのに俺を助けてくれたんだ。看守に黙ってかってなことしたらあとでどんな目に遭うか俺よか先輩のアイツがわからないはずねえのに、自分が着てた上着を脱いで投げてくれたんだ。なんでもないように無造作に、そうするのが当たり前みたいに」
 直接見てもいないその光景が鮮明に浮かび上がる。 
 好奇の視線にさらされながら意地になってシャベルを振るうロン、裸の上半身は直射日光を受けて赤く染まっている。羞恥と屈辱と熱線に肌を焼かれながらシャベルを上げ下げするロンに上着を投げるサムライ。
 至って無造作に、そうするのが当たり前のように。
 「上着を受け取って呼び止めようとしたら自分はさっさと持ち場に戻っちまった。それきり姿が見えなくなって上着を返すこともできなかった。サムライと再会したのは強制労働終了後のバス停だ。裸の背中をこっちに向けて無言で立ってた。物凄く姿勢がよかった、背骨が鉄でできてるみたいだった。慌ててサムライのところに飛んでって礼を言って上着を返した。そしたら『自分は慣れてるからいい』って、砂漠での強制労働も慣れてるから上半身裸でも別に苦じゃなかったから気にするなって言外にそう伝えようとしてたんだろうな。一目見てうそだとわかったよ」
 ロンが笑った。屈託なく。
 「アイツの背中、夕焼けみたいに真っ赤だったもん」
 話が終わった。
 砂漠に点在する無数の穴の周縁で蟻のように蠢いている黒い影は砂を運ぶ囚人。檄をとばす看守の指示のもとふたりがかりでリヤカーを押したりシャベルを回収したりと忙しい。砂に蹴躓いてひっくりかえった囚人が看守の警棒に打ちのめされるのを遠くに眺めながら、呟く。
 「サムライは人がいいな」
 「いい奴だな、だろ」 
 ロンに言われなくてもわかってる。
 伊達に四ヶ月サムライを見てきてない。
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