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浮気はいけないよ、記者さん。
アイツの所にも行ったんだろ?兄と弟に二股かけるなんてやるね。刑務所でもね、この手の噂はすぐ出回るんだ。やっぱり俺の目は節穴だったかな、あんたのこと買いかぶってたよ。
見たい?刺青。
ほら……近付きな。服で見えないギリギリの所にあるんだ。襟ぐりの深い服を着れないから、夏場は大変だった。
チューベローズって花。俺がいたデリヘルと同じ……亮の最新作と同じ名前の。本物はいい香りがするらしいぜ。
別に好き好んで入れたんじゃない、店のキャストは彫る決まりなんだ。コイツがある限り逃げられない。入れたのは15ん時、店と提携してる彫り師に頼んだ。しばらくは肌が炎症起こして痛痒かった、じき馴染んだけど。
記者さんも勘付いてたろ、俺と先輩の関係。
変に思わなかったか、なんでリングピアスのこと知ってんのか。施設で見た?連れション?はははは、ははははははははっ!そうだよな、可能性としちゃあるよな。でもさあ、養護施設の子が竿に痛いのしてたら目立ちまくるぜ?
ああおかし、笑いすぎて素が出ちまった。亮のインタビュー記事まねて、気取った話し方で通す予定だったのに。結構上手くできてたろ?
先輩は恩人だよ、それは本当だ。同室の連中にいじめられてた俺を、口でするのと引き換えに助けてくれた。施設を出たあともずっと関係は続いて、仕事を回してもらったんだ。
あの人には感謝してるよ、おかげで学歴や資格がなくても食ってこれた。パソコン譲ってもらったし。
俺は『チューベローズ』の売り専だ。
家から直で仕事に呼ばれることもあるし、そういうときはちゃんと準備をする。洗面所には道具一式がそろってた。客や先輩のプレゼントとか、自分で買ったのとか色々。
亮はSМに免疫ないからドン引いてたよ。兄貴の自慢のコレクションなのにな。
……亮とヤッてから数日後、俺は叔母の家に居候することになった。
亮がボコったのは毎回俺を指名するお得意様、『チューベローズ』の上客。突然相手はおかんむり、先輩もブチギレた。スマホは震えっぱなし、半グレに殴り込まれるのは時間の問題。そもそも先輩が世話してくれた部屋だから、住所はばっちり把握されてる。完璧詰んだ。
で、大人しく匿われる事にした。コレクションに未練はない。叔母の家で暮らすのは気が引けたが、背に腹は代えられないもんな。
遅まきながら、亮の奴も漸く自分がどんだけヤバいことしたのか気付いたみたいだ。
俺に皺寄せがくるって理解した途端パニクって、半ば強引に連れ出して、叔母の家に軟禁した。
「『チューベローズ』からかかってきても絶対でるなよ」
くどいほど念を押された。よっぽど信用できなかったのか。
ボロアパートにもコレクションにも未練はない。ただパソコンには未練があった。中には書きかけの原稿が入ってる。ダメ元で取りに戻りたいと掛け合ったが、当然許しちゃもらえなかった。何考えてんだって逆に罵られた。
「今週中に書き上げないと締め切りに間に合わない、今度こそイケそうな気がするんだ」
「自分の立場わかってんのかよ、戻ったら加瀬ってヤツとその仲間にヤキ入れられるんだぞ!」
「お前のせいじゃないか!」
「じゃあほっときゃよかったのかよ!」
「ああそうだよ見て見ぬふりは得意だろ、売れっ子作家様は地べたを這うのが似合いの無能な兄貴にかかずりあってねえで通りすぎてきゃよかったんだよ!」
繰り返し衝突した。一日中激しい口論をした。しまいには亮が掴みかかってきて、揉み合ってるうちに床やベッドに倒れこんで、レイプの延長めいたセックスをした。
アイツも先輩と同じだよ。
セックスで躾けようとしたんだ。
一日一日と経過するのに比例し不安になった。先輩はどうしてる?俺はクビになるのか?15の時から十年近くウリで稼いできたのに……
スマホは亮に没収されて、先輩たちと連絡がとれない。亮がボコった客の容態もわからない。運悪い事に、亮が俺を連れて逃げる現場を目撃されてたんなら通りすがりってシラを切るのも難しい。
状況がわからないじゃ尚更不安は増す。亮は付きっ切りで見張ってる。窓から逃げようにもここは三階、無傷ですむ保証はない。
どうしたかって?
俺は右利きです。なのに右手を怪我した。原稿の締め切りが迫ってるのに困りました。
兄さんが見かねて代筆を申し出ました。俺が文章を読み上げて、兄さんがそれを打ち込むんです。
兄さんのタイピングは早かった。ブラインドタッチも余裕でこなしてました。
「すごいね」
「無駄に書いてないからな」
「無駄じゃない」
叔母から相続した豪邸の三階、兄さんを監禁した部屋のベッドに腰掛け、頭の中に浮かぶ文章を読み上げていく。兄さんは机に向かい、器用に手を動かし入力してく。
兄さんが代筆してたのは出版社に依頼された新作長編で、外国を舞台にした話だ。冷めた横顔をこっちに向け、兄さんが呟く。
「この主人公うじうじ女々しくないか?」
「そうかな」
「お前がモデルか」
「失礼だなあ」
否定はしなかった。喋ってる間もタイピングは衰えず、新しい文章をカタカタ打ち込んでいく。パソコンの青白い光を眼鏡のレンズが反射し、兄さんの表情を読めなくした。
「このままじゃバッドエンドになるぞ」
「実はまだ結末決めてないんだ」
「プロットできてないのか」
「八割がた作ったけど、あとは流れに任せようと思って」
「自分が生み出した物語に責任もてよ」
人魚姫は泡になりました。めでたしめでたし。
兄さんはできてる分の原稿に全部目を通し、複雑そうな面持ちで押し黙る。主人公の姉のモデルを察したのだ。
実の弟がずっと前から自分を調べ、チューベローズのタトゥーの存在を知ってた事を今知って、キーを叩く手がわずかに鈍る。
「安っぽい話」
「気に入らない?」
「駄作だね。汚いものを綺麗に書こうとするのが気に食わない」
「俺には綺麗に見えるんだ」
今も。昔も。過去形じゃなく。
カタカタと打鍵の音が響く。目を瞑り脳内の文章を読み上げる。少し呆れた声色で兄さんが言った。
「主人公が引き取られた後、孤児院に残った姉は虐げられて心を病む。彼女を救ったのは先に出た先輩だ」
「『救った』なんて書いてない」
「結果的にそうなった」
「胸にタトゥーを彫って売春させたのに?そのせいでもっと壊れていったのに?」
膝の上で組んだ手が軋む。爪が手のひらに食い込んで痛みが苛む。
「彼女は悪い奴に利用されたんだ。痛いことが気持ちいい事だって、無理矢理思い込まされた」
目を覚ましてくれ。
頼む。
「花売りイコール娼婦ってのはメタファーとして安っぽくないか。チューベローズが指名の符号ってのも」
お願いだから、兄さん。
「クライマックスは姉貴がホテルに泊まってる主人公を訪ねる所?帰国前に姉貴を抱く所?売春の斡旋人をブチ殺して、ブツを切り取る所かな」
彼の声は愉快げに弾んでいた。躁に振り切れたテンション。手遅れ、なんだろうか。
まだわからない。
「兄さん」
「なんだよ」
「その小説に書いてあることが、本当だったらどうする?」
打鍵の音が止む。ベッドから腰を浮かし、兄さんの背後に静かに立ち尽くし、おそるおそる口を開く。
「主人公が頭のイカレた殺人鬼で、大好きな姉をぶっ壊した連中に復讐してたら」
兄さんの行方を施設に尋ねに行った時、真実を知った。林洋平、柿沼昴、曽我部龍太郎。
兄さんと同室だった三人が、金持ちの未亡人の世話になってるいけすかない弟くんに、ご丁寧に全部教えてくれたよ。
兄さんは気付いてたのか、全部加瀬が仕組んだ事だって。加瀬が林たちに兄さんをいじめるように仕向けた事、味方面して取り入って庇護と引き換えにオモチャにした事、全部兄さんを堕とす為の企みだったって、知ってたのかな。
アイツのせいで、アイツらのせいで、兄さんの性癖がねじまげられた。
「俺が殺した」
デビューしてすぐ林たちが会いに来た。目的は強請り。売れっ子作家の兄貴がゲイでドMの男娼なんてスキャンダル、マスコミがほうっておかない。口封じに一人頭二百万、六百万よこせと脅された。
俺のことはどうでもいい。六百万で兄さんの名誉が守れるなら安いものだ。許せなかったのは兄さんを馬鹿にしたこと、笑いながら影踏みの話をしたこと。
林が調子にのって、加瀬が横流しした兄さんの動画を見せびらかしたのが決定打だ。
どんな動画?……最低に猥褻なハメ撮りですよ、それ以外に説明いりますか。林が言ってました、加瀬のドラゴンと兄さんのチューベローズは同じ人が彫ったって。プロの仕事ですね。
ねえ記者さん、俺ホントは全部知ってたんですよ。8年ぶりの再会に驚いたふりしたけど、その前に会ってたんです。知ってたんです。
知ってたけど知らないふりで知りすぎないようにしていた。
知りすぎたら狂うから。
俺には金があった。叔母から相続した遺産と印税。ですから、ね、プロにお願いしたんです。尾行と身辺調査は興信所、殺しは殺し屋。世の中金さえ積めばなんでもやってもらえるんです、どんなエグい拷問もね。
信用できる業者にお願いしたんで、証拠隠滅は完璧でした。兄さんに皺寄せ行かないのを一番に重視しました。林たちはもともと素行が悪かったし、加瀬とマブダチってわけでもないから、三人そろって消えた所でばっくれたって思われるだけです。
俺さえ口を割らなきゃ、兄さんは安全だ。
どうせ一人殺すも二人殺すも同じです。三人も四人も大して変わらない。クズの始末を頼んでも心は痛まなかった。
俺は人殺しだから。
アイツの所にも行ったんだろ?兄と弟に二股かけるなんてやるね。刑務所でもね、この手の噂はすぐ出回るんだ。やっぱり俺の目は節穴だったかな、あんたのこと買いかぶってたよ。
見たい?刺青。
ほら……近付きな。服で見えないギリギリの所にあるんだ。襟ぐりの深い服を着れないから、夏場は大変だった。
チューベローズって花。俺がいたデリヘルと同じ……亮の最新作と同じ名前の。本物はいい香りがするらしいぜ。
別に好き好んで入れたんじゃない、店のキャストは彫る決まりなんだ。コイツがある限り逃げられない。入れたのは15ん時、店と提携してる彫り師に頼んだ。しばらくは肌が炎症起こして痛痒かった、じき馴染んだけど。
記者さんも勘付いてたろ、俺と先輩の関係。
変に思わなかったか、なんでリングピアスのこと知ってんのか。施設で見た?連れション?はははは、ははははははははっ!そうだよな、可能性としちゃあるよな。でもさあ、養護施設の子が竿に痛いのしてたら目立ちまくるぜ?
ああおかし、笑いすぎて素が出ちまった。亮のインタビュー記事まねて、気取った話し方で通す予定だったのに。結構上手くできてたろ?
先輩は恩人だよ、それは本当だ。同室の連中にいじめられてた俺を、口でするのと引き換えに助けてくれた。施設を出たあともずっと関係は続いて、仕事を回してもらったんだ。
あの人には感謝してるよ、おかげで学歴や資格がなくても食ってこれた。パソコン譲ってもらったし。
俺は『チューベローズ』の売り専だ。
家から直で仕事に呼ばれることもあるし、そういうときはちゃんと準備をする。洗面所には道具一式がそろってた。客や先輩のプレゼントとか、自分で買ったのとか色々。
亮はSМに免疫ないからドン引いてたよ。兄貴の自慢のコレクションなのにな。
……亮とヤッてから数日後、俺は叔母の家に居候することになった。
亮がボコったのは毎回俺を指名するお得意様、『チューベローズ』の上客。突然相手はおかんむり、先輩もブチギレた。スマホは震えっぱなし、半グレに殴り込まれるのは時間の問題。そもそも先輩が世話してくれた部屋だから、住所はばっちり把握されてる。完璧詰んだ。
で、大人しく匿われる事にした。コレクションに未練はない。叔母の家で暮らすのは気が引けたが、背に腹は代えられないもんな。
遅まきながら、亮の奴も漸く自分がどんだけヤバいことしたのか気付いたみたいだ。
俺に皺寄せがくるって理解した途端パニクって、半ば強引に連れ出して、叔母の家に軟禁した。
「『チューベローズ』からかかってきても絶対でるなよ」
くどいほど念を押された。よっぽど信用できなかったのか。
ボロアパートにもコレクションにも未練はない。ただパソコンには未練があった。中には書きかけの原稿が入ってる。ダメ元で取りに戻りたいと掛け合ったが、当然許しちゃもらえなかった。何考えてんだって逆に罵られた。
「今週中に書き上げないと締め切りに間に合わない、今度こそイケそうな気がするんだ」
「自分の立場わかってんのかよ、戻ったら加瀬ってヤツとその仲間にヤキ入れられるんだぞ!」
「お前のせいじゃないか!」
「じゃあほっときゃよかったのかよ!」
「ああそうだよ見て見ぬふりは得意だろ、売れっ子作家様は地べたを這うのが似合いの無能な兄貴にかかずりあってねえで通りすぎてきゃよかったんだよ!」
繰り返し衝突した。一日中激しい口論をした。しまいには亮が掴みかかってきて、揉み合ってるうちに床やベッドに倒れこんで、レイプの延長めいたセックスをした。
アイツも先輩と同じだよ。
セックスで躾けようとしたんだ。
一日一日と経過するのに比例し不安になった。先輩はどうしてる?俺はクビになるのか?15の時から十年近くウリで稼いできたのに……
スマホは亮に没収されて、先輩たちと連絡がとれない。亮がボコった客の容態もわからない。運悪い事に、亮が俺を連れて逃げる現場を目撃されてたんなら通りすがりってシラを切るのも難しい。
状況がわからないじゃ尚更不安は増す。亮は付きっ切りで見張ってる。窓から逃げようにもここは三階、無傷ですむ保証はない。
どうしたかって?
俺は右利きです。なのに右手を怪我した。原稿の締め切りが迫ってるのに困りました。
兄さんが見かねて代筆を申し出ました。俺が文章を読み上げて、兄さんがそれを打ち込むんです。
兄さんのタイピングは早かった。ブラインドタッチも余裕でこなしてました。
「すごいね」
「無駄に書いてないからな」
「無駄じゃない」
叔母から相続した豪邸の三階、兄さんを監禁した部屋のベッドに腰掛け、頭の中に浮かぶ文章を読み上げていく。兄さんは机に向かい、器用に手を動かし入力してく。
兄さんが代筆してたのは出版社に依頼された新作長編で、外国を舞台にした話だ。冷めた横顔をこっちに向け、兄さんが呟く。
「この主人公うじうじ女々しくないか?」
「そうかな」
「お前がモデルか」
「失礼だなあ」
否定はしなかった。喋ってる間もタイピングは衰えず、新しい文章をカタカタ打ち込んでいく。パソコンの青白い光を眼鏡のレンズが反射し、兄さんの表情を読めなくした。
「このままじゃバッドエンドになるぞ」
「実はまだ結末決めてないんだ」
「プロットできてないのか」
「八割がた作ったけど、あとは流れに任せようと思って」
「自分が生み出した物語に責任もてよ」
人魚姫は泡になりました。めでたしめでたし。
兄さんはできてる分の原稿に全部目を通し、複雑そうな面持ちで押し黙る。主人公の姉のモデルを察したのだ。
実の弟がずっと前から自分を調べ、チューベローズのタトゥーの存在を知ってた事を今知って、キーを叩く手がわずかに鈍る。
「安っぽい話」
「気に入らない?」
「駄作だね。汚いものを綺麗に書こうとするのが気に食わない」
「俺には綺麗に見えるんだ」
今も。昔も。過去形じゃなく。
カタカタと打鍵の音が響く。目を瞑り脳内の文章を読み上げる。少し呆れた声色で兄さんが言った。
「主人公が引き取られた後、孤児院に残った姉は虐げられて心を病む。彼女を救ったのは先に出た先輩だ」
「『救った』なんて書いてない」
「結果的にそうなった」
「胸にタトゥーを彫って売春させたのに?そのせいでもっと壊れていったのに?」
膝の上で組んだ手が軋む。爪が手のひらに食い込んで痛みが苛む。
「彼女は悪い奴に利用されたんだ。痛いことが気持ちいい事だって、無理矢理思い込まされた」
目を覚ましてくれ。
頼む。
「花売りイコール娼婦ってのはメタファーとして安っぽくないか。チューベローズが指名の符号ってのも」
お願いだから、兄さん。
「クライマックスは姉貴がホテルに泊まってる主人公を訪ねる所?帰国前に姉貴を抱く所?売春の斡旋人をブチ殺して、ブツを切り取る所かな」
彼の声は愉快げに弾んでいた。躁に振り切れたテンション。手遅れ、なんだろうか。
まだわからない。
「兄さん」
「なんだよ」
「その小説に書いてあることが、本当だったらどうする?」
打鍵の音が止む。ベッドから腰を浮かし、兄さんの背後に静かに立ち尽くし、おそるおそる口を開く。
「主人公が頭のイカレた殺人鬼で、大好きな姉をぶっ壊した連中に復讐してたら」
兄さんの行方を施設に尋ねに行った時、真実を知った。林洋平、柿沼昴、曽我部龍太郎。
兄さんと同室だった三人が、金持ちの未亡人の世話になってるいけすかない弟くんに、ご丁寧に全部教えてくれたよ。
兄さんは気付いてたのか、全部加瀬が仕組んだ事だって。加瀬が林たちに兄さんをいじめるように仕向けた事、味方面して取り入って庇護と引き換えにオモチャにした事、全部兄さんを堕とす為の企みだったって、知ってたのかな。
アイツのせいで、アイツらのせいで、兄さんの性癖がねじまげられた。
「俺が殺した」
デビューしてすぐ林たちが会いに来た。目的は強請り。売れっ子作家の兄貴がゲイでドMの男娼なんてスキャンダル、マスコミがほうっておかない。口封じに一人頭二百万、六百万よこせと脅された。
俺のことはどうでもいい。六百万で兄さんの名誉が守れるなら安いものだ。許せなかったのは兄さんを馬鹿にしたこと、笑いながら影踏みの話をしたこと。
林が調子にのって、加瀬が横流しした兄さんの動画を見せびらかしたのが決定打だ。
どんな動画?……最低に猥褻なハメ撮りですよ、それ以外に説明いりますか。林が言ってました、加瀬のドラゴンと兄さんのチューベローズは同じ人が彫ったって。プロの仕事ですね。
ねえ記者さん、俺ホントは全部知ってたんですよ。8年ぶりの再会に驚いたふりしたけど、その前に会ってたんです。知ってたんです。
知ってたけど知らないふりで知りすぎないようにしていた。
知りすぎたら狂うから。
俺には金があった。叔母から相続した遺産と印税。ですから、ね、プロにお願いしたんです。尾行と身辺調査は興信所、殺しは殺し屋。世の中金さえ積めばなんでもやってもらえるんです、どんなエグい拷問もね。
信用できる業者にお願いしたんで、証拠隠滅は完璧でした。兄さんに皺寄せ行かないのを一番に重視しました。林たちはもともと素行が悪かったし、加瀬とマブダチってわけでもないから、三人そろって消えた所でばっくれたって思われるだけです。
俺さえ口を割らなきゃ、兄さんは安全だ。
どうせ一人殺すも二人殺すも同じです。三人も四人も大して変わらない。クズの始末を頼んでも心は痛まなかった。
俺は人殺しだから。
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