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駄菓子屋で間食を
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7月下旬、日盛りの太陽が容赦なく頭皮に照り付ける。
「あっちーー海馬が耳から溶けて出てきそうだ」
夏服のシャツの胸元を摘まんで風を送りこむが無駄な抵抗に過ぎず、額や鼻の頭はおろか顎先からもしょっぱい汗が滴り落ちる。
汗だくでママチャリを引く俺をよそに、隣を歩く麻生は涼しい顔だ。
コイツは学ランのイメージが強いが、こざっぱりした開襟シャツも清潔感があってよく似合うっていうか、顔か。やっぱ顔がいいから何着ても似合うのか。結論、イケメンは得。平凡な面構えの俺は悔しさにギリギリ歯軋りするしかない。
炎天下の陽射しに炙られたアスファルトから陽炎が揺らめき立ち、暑苦しい油蝉の鳴き声が耳の奥まで反響する。
「蝉の鳴き声が儚いって誰がほざいたんだ?全然儚くねーぞ、一週間の儚い命に断固抗議のストライキって感じだ」
「儚いのはヒグラシじゃないか」
「ヒグラシってなんだっけ、蝉の親戚?」
シャツの胸元を引っ張って鎖骨をチラ付かせ、片手で自転車を押しがてらへばり気味に問えば、物知りな友人は文庫から目も上げず、体温の低い横顔で教えてくれる。
銀縁眼鏡の奥の切れ長の眼差しは怜悧な知性を帯びて、シャープに整った端正な鼻梁を引き立てる。
「みたいなもん。夏の終わりに鳴くんだよ」
携帯で検索をかけ、ヒグラシの説明が記述された辞典の項目を読む。
「蜩、茅蜩、秋蜩、日暮、晩蟬とも書くのか。字面は儚ェな」
「音だと全部同じに聞こえるぞ」
「鳴き声は『キキキキキ』『ケケケケケ』『カナカナカナ』……なんか企んでる?俺ん中の儚さゲージが低下した」
「ちなみにカメムシ目セミ科の立派なセミの一種だ。環境省のレッドリストじゃ準絶滅危惧種に指定されてる」
「ぅげ、セミってカメムシの仲間なの?儚さのかけらもねえ」
思わず幻滅した顔で呟いちまうが、突っ込むところが間違っているぞ俺。
「ヒグラシっていったらやっぱゲームが一番に思い付くな。雛見沢村の」
「聞いたことはある」
「あんの!?文学っきゃ興味ねーかと思った、ゲームもやるんだな」
「聞いたことあるだけだ、やったとは言ってない。やるほど興味もないけど」
「結構面白れーぜ、オチは賛否両論だけど……ミステリーとしちゃツッコミどころ満載だけどそれをネタとして楽しめるプレイヤー向きっていうか。女の子も萌え萌えで可愛いし」
「萌え萌えとかいうな気色悪い」
いい年こいた男子高校生がヒグラシ談義で盛り上がって家路を辿る。猛暑もへっちゃらと涼しげな横顔を見せる麻生だが、よく目をこらしゃ鼻の頭がうっすら汗をかいている。
ポーカーフェイスを気取ってるだけで、暑さ寒さをちゃんと感じているらしいと安心する。コイツちょっと人間やめてる節があるからな。
夏休みが目前に迫り授業も早く終わった。
下校の際にチラリと見たただだっ広い校庭じゃ、野球部やサッカー部や陸上部、真っ黒に日焼けした運動部の連中が砂だらけになって練習に励んでいた。体育会の根性は凄い。
一方俺が部長を務めるミステリー同好会はというと……
「部室行かなくていいのか」
「聡史の柔道の大会近ェし行ってもお前と2人きりじゃん。別にそれでもいいけど……あそこクーラーねェし、さすがに蒸し暑くてやってらんねー」
俺の可愛い後輩・聡史は柔道部とミステリー同好会を掛け持ちしている。
ミステリー同好会じゃ大型犬ないじられ役だが、柔道部じゃ押しも押されぬエースとして奮迅し、まだ1年の身でありながら次期主将として期待をかけられているのだそうだ。
で。
聡史が来ないとなると狭い部室でコイツと顔を突き合わせて放課後を過ごさなきゃいけなくなる訳で。
お互い遠慮する間柄でもねえし、麻生とだべって時間を潰すのもありっちゃありなんだが、俺ん中じゃやっぱり3人揃ってミステリー同好会って意識が強く、聡史をのけ者にするのもちょっとばかし気が引ける。
自転車を引きずって歩きながら、別れ際の聡史の捨てられた犬のような顔を思い出す。
「アイツ抜きで部活でると絶対あとで何したか教えろうるせーし。ホントは神保町遠征の計画打ち合わせたかったんだけど、そっちは日を改めてって事で。夏休み始まってからでも遅くねェよな」
冗談めかして独り言ちるが、最後あたりは歯切れが悪く言い訳っぽく響く。本当は別の理由がある。そっちが本音と言えなくもない。
自転車のハンドルを握り直し、一定の歩幅で我関せず歩く麻生の横顔を後ろめたげに盗み見る。
こうして2人でくっちゃべりながら歩ってるぶんには平常心を保ってられるんだが、閉め切った資料室、夕暮れの密室に1対1、至近距離で本を読むってシチュにはどうにも自意識が高じた抵抗を感じる。
原因はわかる、昨日寝る前に読んだ真理の漫画だ。
ちょうど手持ちの小説や漫画を読みきって、寝るまでの時間潰しに台所のテーブルに出しっぱなしになってたのを借りたのだが、それはある地方高校の文学部を舞台にした男子高校生同士の恋愛もので、夕焼けに赤く染まる部室でテーブルを挟んで本を読み合ったりとか、挙句そのテーブルに押し倒されて片方がキスされちまったりとか、なんだかんだデジャビュるシーンがてんこもりだったのだ。
一応断っておくと、そういう漫画だと知ってりゃ読まなかった。そもそもビーエルなのに片方がショートヘアの美少女にしか見えねえ時点で表紙詐欺だ。
ソイツがテーブルに押し倒される山場で漫画を閉じて元の場所に返したんで、その後の展開はわからないし知りたくもねえ。
「敷島センセいい加減エアコン付けてくんねーかな、干上がって死んじまうよ」
「無理だろ、予算がない」
「職員会費で経費ぶんどってさー」
「敷島にそんな発言力と勇気ある訳ない。第一ウチみたいな部員たった3名で存続が危ぶまれる弱小同好会に、そんな優遇が許されると思うか」
「地方男子校の哀しい懐事情だな」
麻生は敷島に塩対応だ。友人の辛辣な回答にがっくりうなだれたものの内心ニヤケがおさまらず、むず痒く緩んだ口元を伸び縮みさせていれば、眼鏡のブリッジを押し上げた麻生に怪しまれる。
「何ニヤニヤしてんだよ」
「『ウチの』って言ったろ」
「それが……」
「いやなんも?どうでもよさそうなふりして所有格付けちゃうくらい愛着わいてんだなって、部長として嬉しかっただけ」
もちろん、ダチとしても嬉しい。微笑ましそうに指摘してりゃ、無表情がウリの麻生が珍しいことに一瞬だけ「しまった」と舌打ちし、うっかり口を滑らせちた自分の失言を呪ってそっぽを向く。
「遠慮しないでもっかいウチのって言ってみ、ん?」
「……うぜえ」
「素直じゃねえなー麻生君は。まあ『俺達』の部活である事に間違いねェし、お前もすっかり馴染んじまった証拠だな。ぶっちゃけ教室よか居心地いいしホームって感じすんだろあそこ、ソロモンよ私は帰ってきた!みてーな。エアコンねーのが玉に瑕だけど、段ボールにポテチやチョコ菓子たんまり備蓄してるから泊まりもイケる……閃いた、夏休みに合宿するか?寝袋もって資料室に泊まって、俺とお前と聡史の3人川の字で夜通しミステリ談義すんの。サイコーじゃね?」
「その事だけどな秋山」
「ん?」
「チョコ菓子溶けてたぞ」
「マジ!!?」
素っ頓狂な声を張り上げて立ちどまりゃ、何事かと下校中の生徒や買い物帰りの主婦が白眼視してくる。一矢報いた麻生は心なし得意げで、再び文庫本の活字に目を戻す。
「夏場に常温で放置しとくからだ」
「もっと早く教えろよ手遅れだろーが!くそっ、今すぐ取って帰りゃ間に合うか!?」
「原形留めてないぞ、冷蔵庫で固め直しても遅い」
ハンドルに取り縋ったまま、非情な宣告に膝から崩れ落ちそうになる。
「さらば俺のポッキー……さらばアルフォート……さらば紗々」
「明日捨てろ」
「気付いてたんなら早く言えよ、放置プレイは寂しいだろ」
「俺のじゃねえし、どうなろうが責任もたねえよ」
「食べ物粗末にすんな」
「粗末にしたのはお前じゃん」
畜生、正論すぎてぐうのねもでねえ。確かに麻生は関係ねえし恨むのは筋違いだが、部活の合間に貪る茶菓子を心底楽しみにしてた意地汚い俺からすりゃ、逆恨みしたくなるのは自然な流れだ。
「さらばキットカット……」
「まだあんのかよ。どんだけためこんだんだ」
「うるせえ家においとくと妹に食われんだよ」
食い意地の張った俺にあきれる麻生。もっと驚け、真理は俺より数段食い意地が張っている。血は争えないのだ。
「しょうがねえな」
本気でダメージを受け悄然と足をひきずる俺に何を思ったか、坂を下りきった所に一軒の鄙びた駄菓子屋があり、麻生は文庫本を閉じて鞄に突っこみ、そっちへ向かっていく。
「ちょ、麻生」
「いらっしゃい」
「あ、どうもー」
店の奥の番台には萎んだばあちゃんがちょこんと正座し、間延びした声で俺と麻生を出迎える。頭をかいて調子よくお辞儀する俺を振り返り、麻生が聞く。
「この店知ってんの?」
「小学生の頃よく来た。当たり付きのガムやホームランバーを聡史と駄賃出し合って買ったっけ」
「仲いいんだ、その頃から」
「幼馴染みてェなもんだし……真理も来たがって巻くの大変だった。中学に上がってからはもっぱら駅前のスーパー使ったけど。だから数年ぶりかな、足踏み入れんの。ばあちゃんも全然変わってねえや懐かしい。いや、ちょっと小さくなったかな」
こぢんまりした店内を見回して郷愁に浸っていりゃ、麻生がそっけなく鼻で笑って感傷を蹴っ飛ばす。
「お前がでかくなったんだろ。視点の高さが変わりゃ見える世界も違ってくる」
「あ……そか」
麻生の言葉に胸を衝かれ、店の真ん中に立ち尽くす。
小学校低学年の頃は毎日のように放課後通った駄菓子屋だが、今見ると時代遅れな感は否めない。よく言えば昭和レトロな趣で、子供の手が届く平台や棚に懐かしい駄菓子の数々が陳列されている。俺の背丈が伸びた分棚はどれも低くなり、店の奥行も狭まって感じられる。
「そういう見方もできるか、なるほど」
中学に上がってからは駅前のスーパーで夕飯の材料を買い込む序でに間食用の菓子を調達するようになり、坂の下の駄菓子屋からめっきり足が遠ざかっていた。ガキの頃は何時間でも入り浸っていたのに。
ふとプラスチックの瓶を覗き込み、にわかに目を輝かせてテンションを上げる。
「うわ、蒲焼さん太郎とよっちゃんイカ!好きだったんだよなーこれ、酸っぱさが癖になるっていうか……梅ジャムせんべいとカルメ焼きは鉄板の定番だな、ヨーグルとパイン飴にフエラムネでコンプリートじゃん!真理がフエラムネ吹くの下手でさー、プヒープヒーって息ぬけんのすっげえ笑えて。何度も手本見せてやったんだけど、まどろっこしくなって途中で噛み砕いちまうんだよな。麻生はどれ好き?」
「くんの初めて」
「マジ?駄菓子屋初体験?よっしゃ駄菓子屋コンプの先輩が目利き伝授してやる、蒲焼さん太朗やよっちゃんイカは腹にたまるからメインディッシュに回して最初はヨーグルとか軽いもんから……聞けよ」
やる気満々腕まくりし、ドヤ顔で駄菓子トリビアを垂れる俺をまるきりシカトして片隅のアイスボックスの天板をスライドさせた麻生が店内を突っ切ってレジへと商品を持っていく。
「お願いします」
「あいよ」
「大きいのしかなくて」
「かまわないよ」
大きいのっていうから反射的に手元を覗き込んだらなんと一万円札だった、ブルジョワジーめ。
「ひい、ふう、みい……はい、これでちょうどだね」
礼儀正しく会計を頼み、ばあちゃんも心よい笑顔でレジを打鍵する。麻生は文句も言わず嫌な顔もせず、老婆が震える手付きでお釣りを数え終わるのを待ち、釣り銭を受け取ってから「ありがとうございます」と礼を述べる。
店を出る麻生を慌てて追おうとするが、老婆がしわがれた声をかけてくる。
「ねえボク、むかしよく来てくれた子だね」
「あ、はい」
まさか覚えられていたとは思わなかった。俺はバツ悪さと照れ臭さを足して割った感情で頭をかき、番台の前で改めて挨拶をする。
「その節はお世話になりました、すっかりご無沙汰で……ばあちゃんも元気そうでよかった、全然変わんねーな」
「お世辞がうまいねえ、この店もアタシも随分みすぼらしくなっただろ」
「いや全然」
「このお店ね、今年で畳むんだよ」
「え?」
衝撃の発言に目を丸くする。
驚愕の事実に当惑する俺を見、小柄なばあちゃんはしんみりと語りだす。
「お客さんも駅前のスーパーが出来てから減っちゃってねえ……この店は流行りの菓子もおいてないし、今の子には物足りないみたいで。それでも何とか頑張ってきたど、去年病気をして倒れちゃってね。夏いっぱいで店を畳んで、娘夫婦と暮らす事にしたのさ」
「そうなんだ……」
きっと誰かに胸の内を聞いてもらいたかったのだ。そこに数年ぶりに見覚えある俺が現れて、店じまいの感傷が親しみに結び付いたに違いない。
小学校を出てからさっぱりご無沙汰で、不義理をしまくっていた俺にばあちゃんが注ぐ眼差しはあくまで温かく、駄菓子屋での良い思い出だけを手繰り寄せている。
店から出て行く麻生の背中を見送り、俺へと向き直ったばあちゃんがふやけた口元に微笑を含む。
「しっかりしたお友達だねえ」
「ッす」
「昔よく来てくれた子は……」
「聡史は元気っす、柔道頑張ってます。妹の真理ももう中学生で、反抗期まっさかりで大変っす。兄貴の下着と一緒に洗わないでーって、洗濯機回すとすげー勢いで飛んでくっからまいっちまって」
老婆がからころと声を上げて笑うのに釣られてはにかめば鼻の奥がツンとし、目に張り詰めた水膜を悟られないように慌てて俯く。
「なら安心だね」
「……はい」
さみしくなるねとか向こうでも頑張ってとか、通りいっぺんの慰めや励ましの言葉はかけられなかった。かける必要も感じない。
店を畳むと決めたのはばあちゃんで、その決定を惜しみこそすれ、実際スーパーに頼りきってる今の俺が安易に同情を寄せるのは傲慢な上に筋違いな気がした。
客足が落ちたのが店じまいの理由なら、俺はばあちゃんの愛する駄菓子屋を閉店に追い込んだ当事者の1人であって、他人事みたいに身勝手な同情を寄せていいはずない。そもそも今日麻生に連れられてくるまで駄菓子屋の存在自体忘れていたのだ。
けれどばあちゃんは子供の頃の俺をちゃんと覚えていてくれ、さんざん不義理をしまくった赤の他人の俺の成長を祝い、現在の友達に囲まれた日常を喜んでくれた。
「ぶっちゃけてゆーと、自慢のダチっす」
照れくささと誇らしさが入り混じる表情で宣言すりゃ、最高の惚気を聞かされたといった風にばあちゃんがくしゃくしゃに笑み崩れ、何かをこっちに放ってよこす。
咄嗟に右手を出して受け取ったのは、俺が小学生の頃大好きで、この店に来るたび買っていたヨーグルだった。
「あげるよ。好きだったろ」
「ありがとございます!」
ばあちゃんの粋な餞別に感無量となり、おまけのヨーグルを握り締めて勢い一礼したあと、麻生を追いかけて小走りに店から駆け出す。
「遅かったな」
「話が弾んじまって」
「ふーん、思い出話か。年寄りウケいいもんなお前」
庇の影に立った麻生が袋を開封し、プラスチックの容器が真ん中で繋がった、一対のアイスをとりだす。
「パピコのチョココーラ味!」
「初めて買った」
「チョコ菓子全滅を憐れんで?」
「ただの口封じだよ、下校の間中チョコ菓子の名前を上げて未練たらたら泣かれちゃうざってえ。コイツを突っこんどきゃ静かになるだろ」
「溶けたらまたうるさくなるぞ」
「その時は別のもんでふたする」
「はあぁ!?」
意味深にほくそえみ、挑発的に言ってのける麻生に動揺し、気温の上昇とは関係なく顔が真っ赤に火照りだす。
店の奥の番台でニコニコ見守るばあちゃんを振り返り、今の問題発言が聞かれてない事に大いに安堵したものの、俺をアイスで釣っておちょくる麻生の態度が癪にさわって口を開けば、すかさずパピコの片割れを突っ込まれる。
「おまふぐぐぐぐぐぐ」
「よく味わって食えよ」
俺にパピコを咥えさせた麻生はしてやったりと会心の笑み、片手に持ったパピコを吸って妙な顔をする。
「チョココーラ味ね……」
「奥が深えだろ?」
「初購入者の中立的立場から率直な感想を述べると、どっちかにしとけよって感じだな」
「ぱっと見正反対で相性悪そうなのが合体して、斬新な味を生み出すのがいいんじゃねーか」
「俺とお前みたいに」と最後は心の中で付け加え、自分の分のパピコを掲げて麻生と打ち合わせる。
俺の意見を聞いた麻生は否定も肯定もせず、手の中のパピコを持て余すようにひねくり回していたものの、ギラ付く陽射しに負けじと油蝉が狂い啼く中、眼鏡の奥の目を閉じて仄かな笑みを過ぎらせる。
「悪くはねえかもな」
付き合いは短くとも密度が濃い俺はちゃんと知っている、「悪くない」は麻生にとって最大の誉め言葉だ。
「あっちーー海馬が耳から溶けて出てきそうだ」
夏服のシャツの胸元を摘まんで風を送りこむが無駄な抵抗に過ぎず、額や鼻の頭はおろか顎先からもしょっぱい汗が滴り落ちる。
汗だくでママチャリを引く俺をよそに、隣を歩く麻生は涼しい顔だ。
コイツは学ランのイメージが強いが、こざっぱりした開襟シャツも清潔感があってよく似合うっていうか、顔か。やっぱ顔がいいから何着ても似合うのか。結論、イケメンは得。平凡な面構えの俺は悔しさにギリギリ歯軋りするしかない。
炎天下の陽射しに炙られたアスファルトから陽炎が揺らめき立ち、暑苦しい油蝉の鳴き声が耳の奥まで反響する。
「蝉の鳴き声が儚いって誰がほざいたんだ?全然儚くねーぞ、一週間の儚い命に断固抗議のストライキって感じだ」
「儚いのはヒグラシじゃないか」
「ヒグラシってなんだっけ、蝉の親戚?」
シャツの胸元を引っ張って鎖骨をチラ付かせ、片手で自転車を押しがてらへばり気味に問えば、物知りな友人は文庫から目も上げず、体温の低い横顔で教えてくれる。
銀縁眼鏡の奥の切れ長の眼差しは怜悧な知性を帯びて、シャープに整った端正な鼻梁を引き立てる。
「みたいなもん。夏の終わりに鳴くんだよ」
携帯で検索をかけ、ヒグラシの説明が記述された辞典の項目を読む。
「蜩、茅蜩、秋蜩、日暮、晩蟬とも書くのか。字面は儚ェな」
「音だと全部同じに聞こえるぞ」
「鳴き声は『キキキキキ』『ケケケケケ』『カナカナカナ』……なんか企んでる?俺ん中の儚さゲージが低下した」
「ちなみにカメムシ目セミ科の立派なセミの一種だ。環境省のレッドリストじゃ準絶滅危惧種に指定されてる」
「ぅげ、セミってカメムシの仲間なの?儚さのかけらもねえ」
思わず幻滅した顔で呟いちまうが、突っ込むところが間違っているぞ俺。
「ヒグラシっていったらやっぱゲームが一番に思い付くな。雛見沢村の」
「聞いたことはある」
「あんの!?文学っきゃ興味ねーかと思った、ゲームもやるんだな」
「聞いたことあるだけだ、やったとは言ってない。やるほど興味もないけど」
「結構面白れーぜ、オチは賛否両論だけど……ミステリーとしちゃツッコミどころ満載だけどそれをネタとして楽しめるプレイヤー向きっていうか。女の子も萌え萌えで可愛いし」
「萌え萌えとかいうな気色悪い」
いい年こいた男子高校生がヒグラシ談義で盛り上がって家路を辿る。猛暑もへっちゃらと涼しげな横顔を見せる麻生だが、よく目をこらしゃ鼻の頭がうっすら汗をかいている。
ポーカーフェイスを気取ってるだけで、暑さ寒さをちゃんと感じているらしいと安心する。コイツちょっと人間やめてる節があるからな。
夏休みが目前に迫り授業も早く終わった。
下校の際にチラリと見たただだっ広い校庭じゃ、野球部やサッカー部や陸上部、真っ黒に日焼けした運動部の連中が砂だらけになって練習に励んでいた。体育会の根性は凄い。
一方俺が部長を務めるミステリー同好会はというと……
「部室行かなくていいのか」
「聡史の柔道の大会近ェし行ってもお前と2人きりじゃん。別にそれでもいいけど……あそこクーラーねェし、さすがに蒸し暑くてやってらんねー」
俺の可愛い後輩・聡史は柔道部とミステリー同好会を掛け持ちしている。
ミステリー同好会じゃ大型犬ないじられ役だが、柔道部じゃ押しも押されぬエースとして奮迅し、まだ1年の身でありながら次期主将として期待をかけられているのだそうだ。
で。
聡史が来ないとなると狭い部室でコイツと顔を突き合わせて放課後を過ごさなきゃいけなくなる訳で。
お互い遠慮する間柄でもねえし、麻生とだべって時間を潰すのもありっちゃありなんだが、俺ん中じゃやっぱり3人揃ってミステリー同好会って意識が強く、聡史をのけ者にするのもちょっとばかし気が引ける。
自転車を引きずって歩きながら、別れ際の聡史の捨てられた犬のような顔を思い出す。
「アイツ抜きで部活でると絶対あとで何したか教えろうるせーし。ホントは神保町遠征の計画打ち合わせたかったんだけど、そっちは日を改めてって事で。夏休み始まってからでも遅くねェよな」
冗談めかして独り言ちるが、最後あたりは歯切れが悪く言い訳っぽく響く。本当は別の理由がある。そっちが本音と言えなくもない。
自転車のハンドルを握り直し、一定の歩幅で我関せず歩く麻生の横顔を後ろめたげに盗み見る。
こうして2人でくっちゃべりながら歩ってるぶんには平常心を保ってられるんだが、閉め切った資料室、夕暮れの密室に1対1、至近距離で本を読むってシチュにはどうにも自意識が高じた抵抗を感じる。
原因はわかる、昨日寝る前に読んだ真理の漫画だ。
ちょうど手持ちの小説や漫画を読みきって、寝るまでの時間潰しに台所のテーブルに出しっぱなしになってたのを借りたのだが、それはある地方高校の文学部を舞台にした男子高校生同士の恋愛もので、夕焼けに赤く染まる部室でテーブルを挟んで本を読み合ったりとか、挙句そのテーブルに押し倒されて片方がキスされちまったりとか、なんだかんだデジャビュるシーンがてんこもりだったのだ。
一応断っておくと、そういう漫画だと知ってりゃ読まなかった。そもそもビーエルなのに片方がショートヘアの美少女にしか見えねえ時点で表紙詐欺だ。
ソイツがテーブルに押し倒される山場で漫画を閉じて元の場所に返したんで、その後の展開はわからないし知りたくもねえ。
「敷島センセいい加減エアコン付けてくんねーかな、干上がって死んじまうよ」
「無理だろ、予算がない」
「職員会費で経費ぶんどってさー」
「敷島にそんな発言力と勇気ある訳ない。第一ウチみたいな部員たった3名で存続が危ぶまれる弱小同好会に、そんな優遇が許されると思うか」
「地方男子校の哀しい懐事情だな」
麻生は敷島に塩対応だ。友人の辛辣な回答にがっくりうなだれたものの内心ニヤケがおさまらず、むず痒く緩んだ口元を伸び縮みさせていれば、眼鏡のブリッジを押し上げた麻生に怪しまれる。
「何ニヤニヤしてんだよ」
「『ウチの』って言ったろ」
「それが……」
「いやなんも?どうでもよさそうなふりして所有格付けちゃうくらい愛着わいてんだなって、部長として嬉しかっただけ」
もちろん、ダチとしても嬉しい。微笑ましそうに指摘してりゃ、無表情がウリの麻生が珍しいことに一瞬だけ「しまった」と舌打ちし、うっかり口を滑らせちた自分の失言を呪ってそっぽを向く。
「遠慮しないでもっかいウチのって言ってみ、ん?」
「……うぜえ」
「素直じゃねえなー麻生君は。まあ『俺達』の部活である事に間違いねェし、お前もすっかり馴染んじまった証拠だな。ぶっちゃけ教室よか居心地いいしホームって感じすんだろあそこ、ソロモンよ私は帰ってきた!みてーな。エアコンねーのが玉に瑕だけど、段ボールにポテチやチョコ菓子たんまり備蓄してるから泊まりもイケる……閃いた、夏休みに合宿するか?寝袋もって資料室に泊まって、俺とお前と聡史の3人川の字で夜通しミステリ談義すんの。サイコーじゃね?」
「その事だけどな秋山」
「ん?」
「チョコ菓子溶けてたぞ」
「マジ!!?」
素っ頓狂な声を張り上げて立ちどまりゃ、何事かと下校中の生徒や買い物帰りの主婦が白眼視してくる。一矢報いた麻生は心なし得意げで、再び文庫本の活字に目を戻す。
「夏場に常温で放置しとくからだ」
「もっと早く教えろよ手遅れだろーが!くそっ、今すぐ取って帰りゃ間に合うか!?」
「原形留めてないぞ、冷蔵庫で固め直しても遅い」
ハンドルに取り縋ったまま、非情な宣告に膝から崩れ落ちそうになる。
「さらば俺のポッキー……さらばアルフォート……さらば紗々」
「明日捨てろ」
「気付いてたんなら早く言えよ、放置プレイは寂しいだろ」
「俺のじゃねえし、どうなろうが責任もたねえよ」
「食べ物粗末にすんな」
「粗末にしたのはお前じゃん」
畜生、正論すぎてぐうのねもでねえ。確かに麻生は関係ねえし恨むのは筋違いだが、部活の合間に貪る茶菓子を心底楽しみにしてた意地汚い俺からすりゃ、逆恨みしたくなるのは自然な流れだ。
「さらばキットカット……」
「まだあんのかよ。どんだけためこんだんだ」
「うるせえ家においとくと妹に食われんだよ」
食い意地の張った俺にあきれる麻生。もっと驚け、真理は俺より数段食い意地が張っている。血は争えないのだ。
「しょうがねえな」
本気でダメージを受け悄然と足をひきずる俺に何を思ったか、坂を下りきった所に一軒の鄙びた駄菓子屋があり、麻生は文庫本を閉じて鞄に突っこみ、そっちへ向かっていく。
「ちょ、麻生」
「いらっしゃい」
「あ、どうもー」
店の奥の番台には萎んだばあちゃんがちょこんと正座し、間延びした声で俺と麻生を出迎える。頭をかいて調子よくお辞儀する俺を振り返り、麻生が聞く。
「この店知ってんの?」
「小学生の頃よく来た。当たり付きのガムやホームランバーを聡史と駄賃出し合って買ったっけ」
「仲いいんだ、その頃から」
「幼馴染みてェなもんだし……真理も来たがって巻くの大変だった。中学に上がってからはもっぱら駅前のスーパー使ったけど。だから数年ぶりかな、足踏み入れんの。ばあちゃんも全然変わってねえや懐かしい。いや、ちょっと小さくなったかな」
こぢんまりした店内を見回して郷愁に浸っていりゃ、麻生がそっけなく鼻で笑って感傷を蹴っ飛ばす。
「お前がでかくなったんだろ。視点の高さが変わりゃ見える世界も違ってくる」
「あ……そか」
麻生の言葉に胸を衝かれ、店の真ん中に立ち尽くす。
小学校低学年の頃は毎日のように放課後通った駄菓子屋だが、今見ると時代遅れな感は否めない。よく言えば昭和レトロな趣で、子供の手が届く平台や棚に懐かしい駄菓子の数々が陳列されている。俺の背丈が伸びた分棚はどれも低くなり、店の奥行も狭まって感じられる。
「そういう見方もできるか、なるほど」
中学に上がってからは駅前のスーパーで夕飯の材料を買い込む序でに間食用の菓子を調達するようになり、坂の下の駄菓子屋からめっきり足が遠ざかっていた。ガキの頃は何時間でも入り浸っていたのに。
ふとプラスチックの瓶を覗き込み、にわかに目を輝かせてテンションを上げる。
「うわ、蒲焼さん太郎とよっちゃんイカ!好きだったんだよなーこれ、酸っぱさが癖になるっていうか……梅ジャムせんべいとカルメ焼きは鉄板の定番だな、ヨーグルとパイン飴にフエラムネでコンプリートじゃん!真理がフエラムネ吹くの下手でさー、プヒープヒーって息ぬけんのすっげえ笑えて。何度も手本見せてやったんだけど、まどろっこしくなって途中で噛み砕いちまうんだよな。麻生はどれ好き?」
「くんの初めて」
「マジ?駄菓子屋初体験?よっしゃ駄菓子屋コンプの先輩が目利き伝授してやる、蒲焼さん太朗やよっちゃんイカは腹にたまるからメインディッシュに回して最初はヨーグルとか軽いもんから……聞けよ」
やる気満々腕まくりし、ドヤ顔で駄菓子トリビアを垂れる俺をまるきりシカトして片隅のアイスボックスの天板をスライドさせた麻生が店内を突っ切ってレジへと商品を持っていく。
「お願いします」
「あいよ」
「大きいのしかなくて」
「かまわないよ」
大きいのっていうから反射的に手元を覗き込んだらなんと一万円札だった、ブルジョワジーめ。
「ひい、ふう、みい……はい、これでちょうどだね」
礼儀正しく会計を頼み、ばあちゃんも心よい笑顔でレジを打鍵する。麻生は文句も言わず嫌な顔もせず、老婆が震える手付きでお釣りを数え終わるのを待ち、釣り銭を受け取ってから「ありがとうございます」と礼を述べる。
店を出る麻生を慌てて追おうとするが、老婆がしわがれた声をかけてくる。
「ねえボク、むかしよく来てくれた子だね」
「あ、はい」
まさか覚えられていたとは思わなかった。俺はバツ悪さと照れ臭さを足して割った感情で頭をかき、番台の前で改めて挨拶をする。
「その節はお世話になりました、すっかりご無沙汰で……ばあちゃんも元気そうでよかった、全然変わんねーな」
「お世辞がうまいねえ、この店もアタシも随分みすぼらしくなっただろ」
「いや全然」
「このお店ね、今年で畳むんだよ」
「え?」
衝撃の発言に目を丸くする。
驚愕の事実に当惑する俺を見、小柄なばあちゃんはしんみりと語りだす。
「お客さんも駅前のスーパーが出来てから減っちゃってねえ……この店は流行りの菓子もおいてないし、今の子には物足りないみたいで。それでも何とか頑張ってきたど、去年病気をして倒れちゃってね。夏いっぱいで店を畳んで、娘夫婦と暮らす事にしたのさ」
「そうなんだ……」
きっと誰かに胸の内を聞いてもらいたかったのだ。そこに数年ぶりに見覚えある俺が現れて、店じまいの感傷が親しみに結び付いたに違いない。
小学校を出てからさっぱりご無沙汰で、不義理をしまくっていた俺にばあちゃんが注ぐ眼差しはあくまで温かく、駄菓子屋での良い思い出だけを手繰り寄せている。
店から出て行く麻生の背中を見送り、俺へと向き直ったばあちゃんがふやけた口元に微笑を含む。
「しっかりしたお友達だねえ」
「ッす」
「昔よく来てくれた子は……」
「聡史は元気っす、柔道頑張ってます。妹の真理ももう中学生で、反抗期まっさかりで大変っす。兄貴の下着と一緒に洗わないでーって、洗濯機回すとすげー勢いで飛んでくっからまいっちまって」
老婆がからころと声を上げて笑うのに釣られてはにかめば鼻の奥がツンとし、目に張り詰めた水膜を悟られないように慌てて俯く。
「なら安心だね」
「……はい」
さみしくなるねとか向こうでも頑張ってとか、通りいっぺんの慰めや励ましの言葉はかけられなかった。かける必要も感じない。
店を畳むと決めたのはばあちゃんで、その決定を惜しみこそすれ、実際スーパーに頼りきってる今の俺が安易に同情を寄せるのは傲慢な上に筋違いな気がした。
客足が落ちたのが店じまいの理由なら、俺はばあちゃんの愛する駄菓子屋を閉店に追い込んだ当事者の1人であって、他人事みたいに身勝手な同情を寄せていいはずない。そもそも今日麻生に連れられてくるまで駄菓子屋の存在自体忘れていたのだ。
けれどばあちゃんは子供の頃の俺をちゃんと覚えていてくれ、さんざん不義理をしまくった赤の他人の俺の成長を祝い、現在の友達に囲まれた日常を喜んでくれた。
「ぶっちゃけてゆーと、自慢のダチっす」
照れくささと誇らしさが入り混じる表情で宣言すりゃ、最高の惚気を聞かされたといった風にばあちゃんがくしゃくしゃに笑み崩れ、何かをこっちに放ってよこす。
咄嗟に右手を出して受け取ったのは、俺が小学生の頃大好きで、この店に来るたび買っていたヨーグルだった。
「あげるよ。好きだったろ」
「ありがとございます!」
ばあちゃんの粋な餞別に感無量となり、おまけのヨーグルを握り締めて勢い一礼したあと、麻生を追いかけて小走りに店から駆け出す。
「遅かったな」
「話が弾んじまって」
「ふーん、思い出話か。年寄りウケいいもんなお前」
庇の影に立った麻生が袋を開封し、プラスチックの容器が真ん中で繋がった、一対のアイスをとりだす。
「パピコのチョココーラ味!」
「初めて買った」
「チョコ菓子全滅を憐れんで?」
「ただの口封じだよ、下校の間中チョコ菓子の名前を上げて未練たらたら泣かれちゃうざってえ。コイツを突っこんどきゃ静かになるだろ」
「溶けたらまたうるさくなるぞ」
「その時は別のもんでふたする」
「はあぁ!?」
意味深にほくそえみ、挑発的に言ってのける麻生に動揺し、気温の上昇とは関係なく顔が真っ赤に火照りだす。
店の奥の番台でニコニコ見守るばあちゃんを振り返り、今の問題発言が聞かれてない事に大いに安堵したものの、俺をアイスで釣っておちょくる麻生の態度が癪にさわって口を開けば、すかさずパピコの片割れを突っ込まれる。
「おまふぐぐぐぐぐぐ」
「よく味わって食えよ」
俺にパピコを咥えさせた麻生はしてやったりと会心の笑み、片手に持ったパピコを吸って妙な顔をする。
「チョココーラ味ね……」
「奥が深えだろ?」
「初購入者の中立的立場から率直な感想を述べると、どっちかにしとけよって感じだな」
「ぱっと見正反対で相性悪そうなのが合体して、斬新な味を生み出すのがいいんじゃねーか」
「俺とお前みたいに」と最後は心の中で付け加え、自分の分のパピコを掲げて麻生と打ち合わせる。
俺の意見を聞いた麻生は否定も肯定もせず、手の中のパピコを持て余すようにひねくり回していたものの、ギラ付く陽射しに負けじと油蝉が狂い啼く中、眼鏡の奥の目を閉じて仄かな笑みを過ぎらせる。
「悪くはねえかもな」
付き合いは短くとも密度が濃い俺はちゃんと知っている、「悪くない」は麻生にとって最大の誉め言葉だ。
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