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好きだという事

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レンには、一つ思う事があった。それは、最近アオイを見るとうずうずするのだ。
(完全に好きになってる・・・)
恋愛対象として見てはいけない。そう自分に言い聞かせるほど、もっと好きになっていく。そんな時、アオイがこんな提案をしてきた。
「ねぇ、レンさん」
「っ!な、なに?」
「お風呂、一緒に入りません?」
そう言われた瞬間、レンは思考停止した。






サァァァァ・・・
あの時と同じように、2人で風呂に入った。
「ふぅ・・・」
先にシャワーを浴び、湯舟に浸かっていたレンは、シャワーを浴びるアオイを見つめた。
どうしても、思いが収まらない。レンはうなだれ、ため息をついた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、うん、大丈夫」
元気がなさそうにしていると、レンの頭に手が乗った。
「んぉ?」
「よーしよーし」
「・・・・・!?」
顔を上げると、アオイがレンの頭をなでていた。その顔は母性に満ち溢れており、聖母に等しかった。
「今日一日頑張ってえらいえらい。お疲れ様」
「・・・・・ぅん」
それから数分、レンはアオイに撫でられていた。
「なぁ、アオイ・・・」
「なんですか?」
2人は湯舟で顔を合わせて浸かった。
「その・・・」
好きになった。そう言いたいけど、なかなか言葉が出てこなかった。
「す・・・」
「す?」
「・・・・・・・・明日、すき焼き食べたい」
どうしても言えずに、特に好きでもないすき焼きを欲してしまった。
「ふふ。いいですよ。じゃあ、明日一緒に材料買いに行きましょうか」
「・・・・うん」
レンはまた、アオイに頭をなでられた。
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