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第三章
57、気まずい朝
しおりを挟む「琉璃は相変わらず好きな人はいないの?」
前世の名前で呼ばれたサラは目の前にいる懐かしい友人の顔を見て、唐突に過去の出来事を夢で見ているのだと理解する。
この時の琉璃は、友人からの質問にこう答えていた。
「気になる人はいるけど、まだ何とも言えないかな…。側にいる事が当たり前みたいな、不思議な存在感を持っている人なの。そんな人初めてだったから最初は戸惑ったんだけど、今はもう慣れてきたし、仕事も周囲への気配りも出来る人だから私が勘違いしているだけかも」
「何だかよくわからないけど…、その人彼女いないの?」
「今はいないって聞いたけど、外見も悪くないから絶対モテると思う。上司の補佐をしているだけの私なんて、何とも思われてないだろうなぁ」
サラは琉璃の未来に何が起こるのかを勿論知っている。そして琉璃が気になると言った男性の名前もしっかりと覚えていた。
(……確かにそう思っていたけど、まさかあの本庄さんからデートに誘われるなんて思ってもみなかった。けど返事をする前に変な事件に巻き込まれて、結局私は死んでしまったのよね…。本庄さんとデートしてみたかったな。ううん、それよりもせめて返事だけでもできればよかった…)
サラは「本庄」の顔を思い出そうとするが、何故かどうしても現世で出会った騎士「リック・アイゼン」と「本庄」の笑顔を重ねてしまう事に気付く。
(そうだわ。本条さんもリックと同じ、困った表情で微笑む癖のある人だった…)
「ふーん。でも琉璃は適当に人を好きになったりする人じゃないでしょ。だから琉璃の言う『気になる』サインは見逃しちゃいけない気がする。告白とか難しく考えないで、まずは食事に誘ってみたらどう?」
「その人取引先の人なの。気軽にそんな事出来ないよ」
「のんびりしていると、いい男はどんどん周りからいなくなるわよ」
「でも好きかどうかもまだ分からないのに…」
「ちょっと!私の話ちゃんと聞いてた?恋バナになるといつもぼーっとしている琉璃に、やっと『気になる』男ができたっていうのに!この機会を逃しちゃっていいの?一生彼氏いない人生で終わっちゃうわよ!」
「ひどいなぁ。ちゃんと話聞いてるよ」
(私、ぼーっとなんか…)
ぼんやりと目を覚ましたサラは、見ていた夢の内容を忘れてしまった事に対して、少し寂しさを覚えた。
(あれ…?何か夢を見ていたはずなのに思い出せない。こんな事今までなかったのに……)
薄く開いた目をまた閉じて寝返りを打とうとした時、腰の辺りに何かが引っかかっている事に気づくと、ここが高級ベッドの上でもなく、普段使っている枕や布団の感触とも異なる温もりに違和感を感じて、パチッと目を見開いた。
(な、何?…何これ?)
サラの腰から下は肌触りのいい高級絨毯の上にあるが、上半身は騎士の制服を着ている男性の体に乗り上げた体勢になっている。呼吸に合わせて上下する厚い胸板の上で恐る恐る顔を上げたサラは、この男性が間違いなくキースである事を確認すると、顔面蒼白になって動けなくなってしまった。
(―――なッ、なんで!?なんでキースがいるの!?私は一体何をしてしまったの!?)
キースはクッションを枕にして、サラの体を右腕で抱える体勢で眠っている。冷たい空気を頬に感じ取ったサラは、キースに抱きしめられながらその温もりの中で眠っていた事をはっきりと自覚してしまった。それが分かった途端に心臓がバクバクと脈を打ち鳴らし始め、いったん引いたはずの血の気が一気に戻ってくると、全身が熱く火照り出した。
(このままではいけないわ!とりあえず、ど、どうにかしないと……どうにか……どうすべきか、まったくわからないんだけど!)
羞恥心のあまり泣きたくなる気持ちを抑えながら、キースを起こさないようにゆっくりと毛布から脱出する事に成功したサラは、この後に取るべき行動について悩み始めた。
天窓の上空はいつの間にか白み出している。視界が明るくなっていく中で、座り込んだままキースの寝顔を見つめていると、乱れた髪と同じ色の髭が生えてきている事に男性らしさを感じて赤面したサラは、はっと我に返った。
(どうしよう…!このままじゃいけないのに、寝顔が格好良すぎてつい見惚れちゃう!本当はもう逃げ出したいところだけど、この隠し部屋に彼を残して出て行くのもどうかと思うし、やっぱり起こしてあげるべきよね……。それにしても、キースは私を置いて出ていく事も出来たはずなのに、どうして…)
サラがこの屋敷へ来たばかりの頃、辛い経験をして肉体的にも精神的にも追い詰められていた彼女に対して、キースが直接何かを指示したり、問いただしたりするような事はなかった。それはキースが多忙過ぎるが故に、サラの相手をするつもりがないのだろうと単純にそう思っていた。
だがキースとの会話も増えて、執事のギルバートや他の使用人達と関わっていくうちに、キースがサラにプレッシャーを与えないように接触を控えたり、サラの体力が早く回復するように使用人達を上手く取りまとめて陰で支えてくれていた事を知ってしまった。
(あなたは身分も違う厄介者である私をいつも気にかけてくれているのに、逆に私は何かきっかけがないとあなたの話を聞く事さえできない。それを寂しく思うなんて、私も随分と図々しくなったものね。この生活もいつか終わる日が来るってわかっているはずなのに、キースの優しさから抜け出せなくなりそうで怖い。それなのにもっとあなたの事が知りたいなんて――)
サラはまた気づかないうちにキースの寝顔に見惚れていた自分に呆れて、思わず苦笑した。
「……ほんと、困っちゃうくらい、寝顔も素敵ね」
そう呟いた瞬間にキースの眉間にしわが寄り、「ん…」と低い声がした。はっと気づいたサラは、キースの瞼がゆっくりと開かれた瞬間、素早く後ろに引き下がり、顔を伏せて土下座の体勢を取った。
(わわわっ、私のバカ!声に出しちゃうなんて!)
「――何をしているんだ?」
キースが戸惑いながら若干苛ついた声で問いかけている。今はオリビアの身代わりとして貴族令嬢の振りをしているが、マティアス家に仕える使用人だったサラは顔を伏せたまま不安気な声で返答した。
「申し訳ございません!その…、立場もわきまえず、その上とんでもないご迷惑をおかけしてしまいました!」
サラは何の言い訳も出来ず、キースから許しを乞う事しかできないと判断して謝罪した。やがて数秒の沈黙の後で、昨日と同じ溜め息が聞こえてきた。
「はぁ…顔を上げてくれ。とりあえず君は大丈夫なのか?」
「……?大丈夫です…?」
「そうか…。すまないが、一人で先にこの部屋を出てくれるか?俺は……しばらく動けそうもない」
「え?どこか痛いのですか…!?」
(私を抱えて動けなかったせいで、どこか痛めたのかしら?すぐに聖女の力で治せる程度だといいけれど―――)
「……いや、そうじゃない。その…朝は見られたくないんだ」
「見る?」
きょとんとした目でキースを見つめたサラは、彼が気まずそうに腰から下を覆っている毛布から抜け出さずにじっとしている事に気がつくと、顔を伏せてじわじわと頬を赤く染めていった。
(そ、そっか。男性は朝、あそこが、た…っ、たってしまうんだって、聞いた事がある……)
「―――ごめんなさい…。先に、行きます…」
「あぁ、俺も君が出た後ですぐ部屋に戻るから心配いらない」
「…はい」
立ち上がったサラは出入り口のドアを開けて、隠し通路の暗闇に一瞬尻込みしてしまう。だがその先にある図書室の明かりを見てほっとしていると、キースが心配そうに声をかけてくれた。
「――暗闇が怖いなら、やっぱり俺も一緒に…」
「い、いいえ!大丈夫です!安静になさってください!失礼します!」
そう言い残して、サラは駆け足で隠し部屋から逃げ出した。
※ ※ ※
自室に戻ったサラは昨日の事を思い出そうとするが、ある所までくるとそこでプツッと記憶が途絶えてしまう事に気がついた。昨夜はキースの話を聞きながら、オリビアの時間を奪ってしまった罪悪感でいっぱいになった気持ちを落ち着かせようと、オリビアが無事に早く戻ってくる事を願っていたはずだった。
聖女の力を使ってオリビアを探そうとすると疲労感に襲われてしまうが、一方でオリビアの無事をただ祈るだけなら気持ちが落ち着くと同時に睡魔に負けてしまう事が多いので、ここ最近は眠る直前にその祈りを捧げる事が習慣化している。
(そうだ…。お嬢様の事を深く考えていたから、きっと気付かずに聖女の力を発動させて、眠るように気を失ってしまったに違いないわ!しかも、しかも、こんな格好で…!)
一人部屋の中で右往左往していると、扉をノックする音が響き渡った。
「お嬢様、エレナです。失礼いたします。朝でございます…」
侍女頭のエレナは毎朝サラを起こすために、返事がなくても部屋への入室が許されている。だがこの日、入室してすぐにサラと目が合ったエレナは驚いていた。
「おはようございます。…今朝はいつもよりお早いですね。眠れませんでしたか?」
「いッ、いいえ!眠れました!」
挙動不審なサラの様子を不思議に思いながらも、エレナは普段通りサラの後ろに回った。そしてナイトガウンとナイトドレスを脱がせながら、サラにこう尋ねた。
「ナイトガウンも着て眠られたのですか?もう一枚掛け布団を増やしますか?」
「いいえ、もう大丈夫よ。前に一枚増やしてもらったおかげで温かく眠れて…」
「温かく」という言葉を口にしただけでキースの温もりを思い出してしまったサラは、口ごもったまま顔を赤く染めている。その間もエレナは慣れた手つきで、サラの背中に塗り薬を優しく全体に塗り込んでいる。
「傷が目立たなくなってきましたね」
「え、本当!?」
「はい。オフショルダーが着られるようになりますよ」
「エレナがいつも丁寧にケアしてくれたおかげね。本当にありがとう!」
「……とんでもございません。私共に出来る事はこれくらいしかないのですから。忌まわしい記憶も消す事が出来たらよかったのですが…」
サラの背中には、過去にサラが犯したミスに対してマティアス侯爵が鞭で罰した傷跡が残っている。誰にも告げずにオリビアと一緒に街へ抜け出した挙句、そこでオリビアが誘拐された責任を厳しく問われた時の傷跡だ。
サラの背中に傷跡がある事を知っている使用人は執事のギルバートと侍女頭のエレナだけだが、サラがオリビアの身代わりとして来ている事を知らない二人は、この傷跡は残虐な誘拐犯によってつけられたものだと信じているようだった。
事実はどうあれ、サラにとって一生消えないと思っていた傷跡が目立たなくなってきている事は、とても嬉しい知らせだった。
「嫌な思い出は消せないけれど、エレナに背中の傷を癒してもらっている事の方が私にとって大切な事なの。いつも丁寧に薬を塗ってくれて、本当にありがとう」
素直に感謝の言葉を伝えると、背中に感じていたエレナの手が一瞬止まって、また動き出した。
「――そうですね。嫌な思い出は完全に消す事はできませんね…」
サラよりも二回り以上年上のエレナは、常に表情を変えず淡々と仕事をこなす印象が強い女性だ。だがその声がどこか冷たく、そして苦し気に聞こえたサラは、余計な事を言って気を悪くさせたのではないかと気になってしまい固く口を閉ざした。
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