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第三章

47、貧民街のマダム(二)

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 サラ達は目立たない色のマントを着て、その下も庶民と何ら変わりない格好をしている。それでも違う意味で悪目立ちしている事に気がついたサラは、一人だけ被っていたフードを深く被り直して、隣を歩くラウラに囁いた。

「ね、ラウラ姉さん。私達変装しているけど、目立ってないかしら」

「…そうね。可愛いリビを護衛している三人の男が無駄に色気があり過ぎて、すれ違う人達の視線が痛いのよね。腕のいい護衛を選んだようだけど、違う意味で人選ミスだわ。これじゃお忍びとは言えないわね」

 呆れながら溜め息をついているラウラを見て、サラは唖然としてしまった。

(私はずっとフードを被っていたし、目立っているのは三人とラウラなのに…。やっぱり自分がどんなに美人かわかっていないのね)

 自分の事には無頓着なラウラだが、彼女の言う通り、二人の前後を歩く三人の男性が誰の目から見ても桁違いに格好良すぎる事は間違ってはいない。

 三人とも騎士団で体を鍛えているので体格に大差はないが、帝国一、眉目秀麗で名高い美男子のキースが凛としている表情は透明感があって神秘的に見えてくる。

 そして鼻筋の通った彫りの深い顔立ちをしている他の二人も、大人の落ち着いた雰囲気を持つリックは優しくも鋭い眼差しで男の色気を無自覚に放っていて、ルアンは切れ長の目と少し日焼けした肌がミステリアスでエキゾチックな印象を与えている。

 そんな規格外な男性三人と、背が高く、体を鍛えていてもグラマーで魅力的な体型をしているラウラが揃って街中と颯爽と歩く姿は、明らかに一般市民とは異なる空気を纏っている。

 それに加えて真ん中にポツンと背の低いフードを被った少女を取り囲んでいるのだから、変な集団として見られていてもおかしくはない。

 周囲の目を気にしながらラウラの横顔を見上げたサラは、以前に彼女と交わした会話をふと思い出していた。

『ラウラは中身も素敵だけど、女の私が惚れぼれしちゃうくらい、とっても美人で綺麗ね。そのうえ女性の騎士だなんて、格好良すぎて憧れてしまうわ』

『お嬢様、私の性格まで褒められたのは初めてですよ。気の強い女はどこに行っても疎まれますからね。両親には騎士になることを反対されましたが、これが天職だと思っております。ですがお嬢様に綺麗だと言われると、女である事を思い出してくすぐったい気持ちになりますね』

 綺麗だと言われて嬉しそうに笑ってくれたラウラの笑顔を思い出し、サラはラウラの手が訓練を重ねた硬い手をしている事に気づいた後も、より強い憧れの眼差しを向けずにはいられなかった。



 ※   ※   ※



 サラ達の容姿も目立たないほど辺りは暗くなり、月の色も形もはっきりと表れた頃、街中にはうろつき彷徨う人の数が増え始め、所々に点在している看板もない酒場らしき店の小さな窓からは、下品な笑い声や怒鳴り声も聞こえてくる。

 自分達がすでに貧民街に足を踏み入れていることを悟ったサラは、どこかでガラスの割れる音が鳴り響くと、思わずラウラの手を握りしめた。勇気づけるようにラウラが強く握り返してくれた時、先頭にいたルアンが足を止めた。

「ここです」

 ルアンが何の目印もない普通のドアを二、三度叩くと、しばらくして男の低い声が中から返ってきた。

「誰だ」

「ルアンだ。マダムに会いに来た。開けてくれ」

 どこかで誰かに見られている視線を感じながら待っていると、やがて中から中肉中背の男が姿を現した。

「今日は人数が多いな。…女はともかく、なんだ、後ろの男二人は」

「今日俺が来ることはパウロ様から聞いているはずだ。早く中に入れてくれないと困るのはそっちだぞ」

「…ふん、まぁいい。お前はマダムのお気に入りだからな。俺が口出しできる立場でもない。入れ。お前に中の案内は不要だろう」

 許可を得て中に入ってみると、細長い廊下に複数のドアが並んでいる。その中からルアンが選んだドアを開けて入って行くと、その向こう側は建物の中ではなく、なぜか外に通じていた。

 路地裏のような道に出てきた彼らは、最初の入り口がただの見せかけだったことに気づかされるが、そこからまた迷路のような細道をルアンが先導して突き進んで行く。その迷いのない足取りから、彼がここに何度も来たことがあるのは明らかだ。

 やがて、また何の目印もない普通のドアの前で立ち止まったルアンが、そのドアを数回ノックすると、今度はいかつい風貌の男がすぐに出てきた。

「来たか。マダムは寝室にいる。さっき起きたばかりだ」

「わかった。長居はしない」

 ルアンの後に続いてぞろぞろと奥にある寝室まで進んで行くと、ベッドで待っているはずの患者が見当たらない。一同が困惑していると、ルアンがソファに座っている人物に気づいて声をあげた。

「マダム、あなたという人は…!」

 マダムと呼ばれた細身の年配の女性は、ウイスキーグラスを片手にどっしりと構えた姿勢でソファに腰かけている。マダムは酒に酔っていて、ルアンを見てにんまりと笑った。

「よく来たね、ルアン。かわいい私の息子」

 マダムの一言に驚いた四人が一斉にルアンに目を向けると、彼は怒りながら反論した。

「勘違いするなよ。俺はマダムの息子じゃない。この人が勝手にそう言っているだけだ」

「この男はねぇ、薄情な男だよ。ちっとも素直にならないんだから。で、今日はどうしたんだい。後ろにいる娘たちは、どう見てもこの辺りの子じゃないね」

 ギロッと睨まれたサラはたじろいでしまうが、ルアンが素早くその視線を遮る位置に立ちはだかり、マダムと正面から向き合った。

「パウロ様に言われて医者を連れてきた」

「医者?医者だって…?奴らにこれ以上何ができる。この体はもう寿命が近い。私はもう疲れたのよ。血を吐いて死のうが、転んで死のうが、後はもうどうにでもなる」

「パウロ様はそう思っていない。あなたがいなくなれば貧民街の治安は急速に悪化する」

「そんなに心配なら自分達でどうにかすればいい!どいつもこいつも、いいように私を駒扱いしやがって!自分勝手なところはお前も同じだね、ルアン!」

「…マダム、今日は俺の話をしにきたんじゃない」

 ルアンはマダムに睨まれながら、ずかずかと彼女の背後に回り込んだ。その不思議な行動に、どうやってマダムを説得するつもりなのかとサラ達が見守る中、ルアンはいきなりマダムの口にハンカチを押し当てて、もう片方の手で両目を覆い隠し、無理やり気を失うまで体を抑え込み始めた。

 予測していなかった展開に誰もが目を見張り、寝室の入口近くにいたさっきの男も血相を変えてルアンを止めに入ろうとするが、近くにいたリックが素早く男を床にねじ伏せた。

「ぐッ…!ルアン、貴様!気でも狂ったのか!」

「騒ぐな!―――ただ眠らせただけだ」

 ルアンがマダムの顔からそっと両手を離すと、彼の言った通りマダムは落ち着いた呼吸を繰り返し、安らかな表情で眠りに落ちている。

「眠り薬を嗅がせただけだ。こうでもしないと素直に治療を受けてくれないからな。まったく、人のことを言えたもんじゃない」

 周囲を驚かせながら平然としているルアンに、サラはひたすら困惑している。こんな状況でもキースがこの場を早く収めるべく、次の行動をサラに促した。

「――眠っているのか。では始めてみようか」

「え…、でも…」

 サラはここに来た目的を忘れた訳ではない。思わずためらいを見せてしまったのは、ルアンの行動に驚いたせいもあるが、何かが心に引っかかっていて、このまま聖女の力を使うべきか疑問を感じてしまったせいだ。

 その動揺を察してくれたキースが、サラが治療に迷っている理由を尋ねる。

「何か気がかりなことがあるのか」

「…この方は治療を望んでいませんでした」

 サラのこの言葉に誰よりも早く反応したルアンが、急に批判的な目つきに変わった。

「マダムの意志は関係ありません。パウロ様はマダムを治療してこいと仰ったんです。完全に治せる力をお持ちなのに、なぜ拒むのですか。この者が貧民街に住む者だからですか…!?」

 予想外の視点からサラを批判し始めたルアンに対し、サラが「違います」と否定するよりも早く、ラウラがルアンに詰め寄る。

「ルアン、落ち着いて!まずはマダムをベッドに運びましょう」

「…失言でした。お許し下さい」

 苦し気に謝罪したルアンはマダムをベッドに運んで寝かせた後、再びサラに向かって片膝をついて頭を下げて懇願してきた。

「お願いします。マダムは口が悪いが、こう見えて私の恩人でもあるのです」

「ルアン、誤解です!頭を上げて下さい!治療はします。でもマダムは治療を強要されることに怒りを抱いていました。私はこんな強引なやり方で治療を行う事に、どうしても抵抗感があるのです。でもどうしても今すぐに治療してほしいと言うのでしたら、私からルアンにお願いがあります」

 サラはルアンと同じ目線まで屈み込むと、その目を見つめて必死に訴えた。

「私は今ここで『聖女の力』を使って治療をします。あなたはマダムが目覚めるまでここに残ると約束して下さい。そしてなぜマダムの意志に背いてまで助けたいと願ったのか、彼女にあなたの気持ちをきちんと伝えて下さい」

「……わかりました」

 ルアンの返事を聞いたサラは、今度はベッドで眠るマダムの手を握って祈り始めた。すると胸が締め付けられるような感覚が襲ってきて、これが彼女の病気の症状なのかと思いながら目を閉じると、不思議な事に見た事のない光景がサラの脳裏に浮かび上がってきた。

 大きな鏡に映った派手な服装をした女性が、誰もいないカウンターで一人寂しそうにグラスの淵を撫でている。若かった頃のマダムは美しい顔で、寂しそうにぼそっと呟いた。

『あんな男のどこが良かったのかしら。先に死ぬなんて…。本当にどこまでも自分勝手な男…』

(―――あぁ、もしかしてマダムは死ねば愛する人に会えると思っていたのかもしれない。貧民街のマダムなんて呼ばれているけど、普通の女性と変わらない所もある。この人はきっと大丈夫。だって心配してくれる人が側にいるんだもの)

 サラはそう信じて、胸の奥が焦がれるような感情を味わいながら祈り続けた。胸の苦しみが消えると同時に治療も終わり、すっと目を開けてみるといつの間にか涙が流れていた。涙を拭って立ち上がると、いつもは感じる疲労感もさほどない。

 涙を流しながら祈り続けるサラを黙って見守っていた周囲の心配を他所に、サラはほっとした表情でこう告げた。

「終わりました。もう大丈夫です」

「…お、おい。なんだ、今の光は…。あんた一体何者なんだ?まさか…」

 リックにねじ伏せられたままの見張り役の男が問いただそうとするが歯切れが悪い。さっきからいろいろな事が起こりすぎて、どこから話を突っ込んで聞けばいいのわからない様だ。ルアンがリックの肩を叩いて、ねじ伏せていた男をゆっくりと立ち上がらせた。

「驚かせて悪かったな。後で説明する。それより俺はマダムが目覚めるまでここに残ると約束してしまった。すまないが彼らを出口まで案内してくれるか」

「はぁ!?この状況でマダムとお前を二人きりにさせられるか!」

 動揺しきっている男に、キースが平然とした態度で部屋の出口を見ながらきっぱりと言い放つ。

「嫌ならいい。私は来た道順を覚えている。勝手に出て行ってもいいと言うのなら先に失礼するが構わないか?」

「……お前ら、さっきから好き勝手な事ばかり言いやがって!ルアンが残るんだな。ちょっと待ってろ。勝手にこの辺をうろつかれても困る!」

 男が壁際にあった呼び紐を引っ張ると、別の小柄な男がやってきて、部屋の中にいる大勢の客人に驚いていた。出口まで案内するように言われた小男は、渋々といった印象で頷いて歩き出した。

 ルアンだけを残して部屋を出ようとした時、サラは立ち止まって振り返った。

「私もマダムとお話がしたかったけれど、それはまたの機会にと、よろしくお伝え下さい」

 ルアンは目を見開いてサラを見つめ返すが、すぐに一礼をして、

「ありがとうございました」

と全員が出ていくまで後ろ姿を見送っていた。



 ※   ※   ※



 短時間で濃厚な時間を過ごした彼らは、貧民街を抜けて馬車と馬を隠した広場に戻ろうというタイミングで、キースからとんでもない声が掛かった。

「ここはリドー通りに近いな。帰る前にあそこのバーに立ち寄ろう」

「は?あ、ええっと。今、なんとおっしゃいましたか」

 ラウラが目を丸くして聞き返した。リックも同様に疑問の目でキースを見ている。

「バーに行くと言ったんだ」

「そんな予定があったとは聞いてません。今夜はお嬢様もいるんですよ。どういうおつもりですか」

「今決めたんだ。少しくらい寄り道してもいいだろう」

 「バーに行く」というキーワードに反応したサラは目を輝かせる。

「これからバーに連れて行ってくれるんですか!?」

 普段は大人しいはずのサラの意外な反応に、ラウラもリックも困惑しているが、キースは世間知らずのサラの無邪気な反応を見て微笑んだ。

「もちろん君に酒は飲ませない。だが面白いものが見られるかもな」

「面白いもの?」

「せっかく変装もしているんだ。リック、ラウラ、毎日窮屈な思いをして過ごしている彼女の為にもう少しつきあってくれ」

 サラにとってはこれが初めての王都観光で、しかもお忍び姿というスリリングな状態に、ワクワクする気持ちを抑えることはできるはずがない。

 先を行くキースの後を追って三人はそれぞれ異なった表情で歩き出した。


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