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しおりを挟む悪役令嬢に引きずられて教室入りした私は、席について頭を抱えた。
なんなのいったい!?
ゲームのエリザベータは『おほほほ! 平民ごときが身の程を知りなさい!』とか言うキャラクターだったのに。
間違っても、『校庭百周してきます!』とか言うキャラじゃなかった。
「はっ! さては」
私はあることに思い至ってエリザベータの前に立った。
「さてはアンタも転生者ね!」
「テンセーシャ? 何スカそれ? 新発売のプロテインっすか!?」
「違う! 公爵令嬢がプロテインなんか飲むな!」
くっ……とぼけやがって! こうなったら絶対に尻尾を掴んでやる!
「アンタが転生者だっていう証拠を掴んでやるわ! 覚悟しておきなさい!」
「うっす! ちゃんと鍛えとくっす!!」
「鍛えろとは言ってない!」
覚えてろ。
席に戻った私は次なるイベントを思い出した。
それはお昼のお弁当イベント!
この学校には学食があるんだけど、ヒロインはお弁当を持ってきているのよ。
そこへ悪役令嬢が「あーら? 平民はランチの代金もありませんの?」とか言っていびってくるのよ。
でも、それを見たクリストファーがヒロインのお弁当を見て、
『すごく美味しそうだ。僕も食べてみたいな』
『え……?』
『こんなに美味しそうなお弁当が作れるなんて、君は素敵な女の子だね』
って台詞で背景がキラキラーってなってクリストファーの微笑みが拝めるのよ!
ふふふ……出会いイベントは邪魔されたけれど、お弁当イベントは完璧にモノにしてみせるわ!
私は気合い十分にお弁当を取り出す!
さあ! 見なさい!
「あら、エリザベータ様。今日も手作りスタミナ弁当ですの?」
「うっす! 筋肉付けるためにタンパク質は欠かせないっす!」
「食後の昼休みはドッヂボールをおやりになるの?」
「昨日、騎士団長の息子を倒しちゃったので今日は挑戦者がいないっす!」
ちょっと! 何さらっと攻略対象その2を倒してるのよ!
ていうか、学食行きなさいよ! なんで机の上に重箱広げてるのよ!
「挑戦者がいないのでしたら、久しぶりに私達と……」
「エリザベータ嬢!!」
ああっ! 突然教室に現れた彼は……サイラス様!! 宰相の息子で眼鏡を持ち上げる姿が様になる攻略対象その3!
「先日は破れましたが、あの敗北を乗り越えて私は真の強さを得ました! ありとあらゆる戦術を学び、私の意のままに動く最強部隊を作り上げたのです! さあ! 戦いましょう!」
「うっす! 望むところっす!」
攻略対象その3まで倒しとったんかい!
結局その日一日、悪役令嬢エリザベータのせいでクリストファーとの仲が縮まらなかった。
おのれ! 明日こそはクリストファーとイチャイチャしてやる!
私は強く決意した。
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