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第6話 ジュリアス殿下の運命的出逢い
しおりを挟む今日のお茶会は僕の婚約者を選ぶために開かれた。
お気に入りの女の子をみつけなさいと言われていたので、集まった令嬢の顔をよく観察したが、なかなか可愛い子達がそろっていた。
その中でも、栗色の髪をした女の子が一番可愛かった。
僕のすぐ隣のテーブルに座っていたので、おそらくは公爵令嬢だろう。
後で僕の元へ挨拶に来るから、その時に話してみよう。
そう思っていたのに、僕を取り囲む令嬢達の中に彼女はいなかった。
おかしいな。
もしかして、すごくおとなしい子で、この強引な令嬢達から弾き出されて後ろの方にいるのでは?
そう考えていると、なんだか馬鹿が騒ぎを起こしたようで、令息達がもめている様子だった。野蛮だな、まったく。
その後もずっと待っていたけれど、いっこうに彼女が僕の前に現れない。
しびれを切らして、ご婦人方と談笑していた母上に尋ねてみた。
「母上。あのテーブルに座っていた栗色の髪の子はどこに行ったのですか?」
「あら。栗色の髪というと、グリーンヒル公爵家のステラ嬢かしら? つい先ほど令嬢の気分が優れないということで帰ったわよ」
なんだって? 僕に黙って挨拶もせずに帰るとは、不敬じゃないか。
僕と結婚するためには僕の機嫌を損ねるべきじゃないのに。
まあいい。これからよく言い聞かせてやればいいだろう。
お茶会の後、気に入った子がいたかと聞かれたので、グリーンヒル家の令嬢と婚約したいと答えておいた。
すぐに婚約させてくれればいいのに、父上も母上もあと何回か会ってから決めなさいと悠長なことを言う。
伯爵位以上の家柄で彼女より可愛い子がいなかったんだから、彼女で決まりなのに、何故待たなくちゃいけないんだろう。
まあ、向こうから婚約したいと言ってくるかもしれないし、公爵令嬢なら当然僕と結婚することを考えているだろうから、焦ることはないか。
次のお茶会で顔を合わせたら、僕の隣に座らせて他の男に近づかせないようにしよう。
僕と同い年ということなので、学園でも同学年になる。僕の婚約者として恥ずかしい成績を取らないように言っておかないとな。
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