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第15話 二人きり(+二匹)の夜
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ミッセル氏は順調に和金を知り合いの貴族達に見せびらかし、彼らの関心を買うことに成功しているようだった。
「キース、アカリアを頼むぞ。アカリア、思うようにやってみなさい」
いよいよ展示会に向けて王都へ出発する私とキース様に、お父様はそう声をかけて送り出してくれた。
お父様、ありがとう。私、絶対に展示会を成功させてみせますわ。
「アカリアは王都は初めてかい?」
「ええ、楽しみです」
『たのしみー』
『たのしみー』
もちろん、きんちゃんとぎょっくんも一緒だ。
王都までは一昼夜かかるので、途中で一泊しなければならない。
予定していた町に着いたのはすっかり暗くなってからだった。長々と馬車に乗っていたのですっかり疲れてしまった。ミッセル氏はよく馬車で行ったり来たりしてあれだけ元気だったな。バイタリティがすごい。
お父様の名前で宿を用意してあるはずなので、キース様と共にそこへ向かった。
「……は?」
キース様がイケメンなお顔を珍妙な形に歪ませる。
「申し訳ありません。どうやら手違いがあったようでして」
宿の受付のお姉さんが眉をへにゃりと下げた。
部屋が一つしか空いていないと言われて、キース様が珍妙に歪んだ顔のまま五秒ほど固まった。
「もう一部屋って……」
「すみません、今日は他の部屋は埋まっていまして」
お姉さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「じゃあ、一部屋でも大丈夫です。ね?お兄様」
「……あ?」
お姉さんから鍵を受け取って、固まったままのキース様の背中を押して泊まる部屋へ向かった。
安い宿なので狭いが、一応ベッドの他に小さなソファも付いていた。
部屋の中に入るなり、固まっていたキース様が復活した。
「あ、あああああアカリア!俺は他の宿を探す!
「こんな小さな町に二つも宿屋はないと思いますよ?」
「じゃ、じゃあ、俺は野宿を……」
「野宿の準備などありませんし、危険です!キースお兄様に何かあったらどうするのですか?」
キース様は真っ青になって狼狽えている。
そんなに怯えなくても、同じ部屋にはきんちゃんとぎょっくんもいるので二人きりじゃありませんよ?まあ、キース様には見えていないのだけれど。
「キース、アカリアを頼むぞ。アカリア、思うようにやってみなさい」
いよいよ展示会に向けて王都へ出発する私とキース様に、お父様はそう声をかけて送り出してくれた。
お父様、ありがとう。私、絶対に展示会を成功させてみせますわ。
「アカリアは王都は初めてかい?」
「ええ、楽しみです」
『たのしみー』
『たのしみー』
もちろん、きんちゃんとぎょっくんも一緒だ。
王都までは一昼夜かかるので、途中で一泊しなければならない。
予定していた町に着いたのはすっかり暗くなってからだった。長々と馬車に乗っていたのですっかり疲れてしまった。ミッセル氏はよく馬車で行ったり来たりしてあれだけ元気だったな。バイタリティがすごい。
お父様の名前で宿を用意してあるはずなので、キース様と共にそこへ向かった。
「……は?」
キース様がイケメンなお顔を珍妙な形に歪ませる。
「申し訳ありません。どうやら手違いがあったようでして」
宿の受付のお姉さんが眉をへにゃりと下げた。
部屋が一つしか空いていないと言われて、キース様が珍妙に歪んだ顔のまま五秒ほど固まった。
「もう一部屋って……」
「すみません、今日は他の部屋は埋まっていまして」
お姉さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「じゃあ、一部屋でも大丈夫です。ね?お兄様」
「……あ?」
お姉さんから鍵を受け取って、固まったままのキース様の背中を押して泊まる部屋へ向かった。
安い宿なので狭いが、一応ベッドの他に小さなソファも付いていた。
部屋の中に入るなり、固まっていたキース様が復活した。
「あ、あああああアカリア!俺は他の宿を探す!
「こんな小さな町に二つも宿屋はないと思いますよ?」
「じゃ、じゃあ、俺は野宿を……」
「野宿の準備などありませんし、危険です!キースお兄様に何かあったらどうするのですか?」
キース様は真っ青になって狼狽えている。
そんなに怯えなくても、同じ部屋にはきんちゃんとぎょっくんもいるので二人きりじゃありませんよ?まあ、キース様には見えていないのだけれど。
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