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113、世界遺産。

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 到着した西の公爵邸は見事な成金御て……げほっ、げほっ。
 とても立派なお屋敷だった。

「ほわぁあ~……」

 思わず口を開けてアホ面晒してしまったわ。
 同じ公爵家だけれど、我が家は貧乏だからこんなキラキラした豪華なお城じゃないのよね。
 我が家でキラキラしいものなんてお兄様くらいだものね。

「ようこそいらっしゃいませ。お部屋に案内させていただきます」

 めっちゃ「執事!」って感じの初老の男性が恭しく出迎えてくれた。

「よう。客間で好きに過ごして貰って構わないぞ。何かあったらセバスチァンに言ってくれ」

 シンデレラが駆け下りてきそうな大階段を下りてきたガウェインがそう言った。
 執事、セバスチァンっていうのか。執事の中の執事じゃん。

 案内された客間もとっても豪華でテンションが上がった。さっすが公爵家。我が家も公爵家だけど。
 すすすーっと音も立てずに入ってきたメイドさん達が荷物を整理してくれて、またすすすーっと去っていく。

「レイシー、ヒョードル達が到着したようだぞ」

 呼びに来てくれたジェンスとともに広間に降りると、フレデリカ様をエスコートするお兄様がいた。おっふぅ。どの角度から見ても麗しい二人だわ!世界遺産。

「ヒョードル様素敵……!」
「フレデリカ様も素敵ですわ!」

 ティアナとチェルシーも麗しのカップルに頬を染めている。
 そんな世界遺産なお二人に続いて、カゴシマンとクマーモットに挟まれたニチカが入ってきた。

「ちょっとぉ! なんなのよ、人攫いー!!」

 あら? 屈強な男二人に連れられて、なんだか捕まった宇宙人みたいね。
 誘ったのは私だけれど、無理矢理連れてこいとは言っていないのに……

「ニチカ嬢は私が連れてくるように言ったんですよ」

 ガウェインとともに現れたナディアスが言った。

「何故かはわかりませんが、彼女もリリーナに狙われている可能性があると思いまして」

 そっか。火事の時にニチカも巻き込まれたから、用心のためにここへ呼んだのか。見張りにつけていたのは南の兵士だからナディアスの命でニチカを連れてきたのだろう。

「ちょっと! アンタの仕業ね悪役令嬢! 毛糸のパンツ送ってきたり、なんのつもりよ!?」
「出前の時とかに穿けばいいと思って……」
「ふん! せっかくの冬休みなんだから遊びなよ、っておじさんがバイト休みにしてくれたからまだ穿いていないわよ!」

 そんな、パンツを穿いていないことを……いや、毛糸のパンツだけど、毛糸とはいえパンツを穿いていないと発言するのはここでは止めて起きなさい。男性の目があるから。

 ニチカがぎゃあぎゃあ騒ぐ背後から、到着したアルベルトが顔を出した。
 来たなアル平! とっととティアナに跪くがいい!

「やあ。アルベルトじゃないか。久しぶりだなぁ!」

 アルベルトの後ろから、朗々とした声が響いた。


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