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112、ティアナの縁談
しおりを挟む招待状には同伴者を連れてきてもいいと記されていたので、お兄様はフレデリカ様を誘ったらしい。
やるわね、お兄様。さすがお兄様。
私も、同伴者を一人誘ってみることにした。
西に主要キャラが揃うのなら、やっぱりニチカも混ぜた方がいいと思うのよね。この世界やゲームに関して、彼女が一番知識を持っているだろうし。ただ、バイトがあるから来ない気もする。
そういえば、カレーが食べたいとか言っていたし、ディストピアっぽい時代を生きていたようなので、食で釣れば来るかしら。
そんなことを考えていると、西へ出発する前日にティアナが我が家へ駆け込んできた。
「レイシール! 聞いてちょうだい!」
チェルシーを伴ってやってきたティアナは開口一番泣きついてきた。
「お父様に勝手に婚約を決められそうなの!」
「ええ?」
ティアナは父親に婚約者と引き合わせると言われて逃げ出してきたらしい。
「どうしよう、レイシール……」
「どうしようって、決まってるじゃない! クリスマスパーティーでアルベルト様に告白するのよ!」
私はティアナの背中を叩いて励ました。
「勇気を出すのよティアナ!」
「うう……そうよね、何も伝えずに他の方と婚約なんて……後悔するわよね」
ティアナは悄然としていたものの、アルベルトに想いを伝える決意を固めたようだった。
よっしゃ!決戦はクリスマスパーティーだ!
恋愛ゲームらしくなって参りました!
ティアナとチェルシーにはそのまま家に泊まってもらって、翌日一緒に西へ向けて出発した。お兄様はフレデリカ様を迎えに行くと言って別行動だ。ガンガン行くわねお兄様。さすがだわお兄様。
「レイシー、ずいぶん楽しそうだな?」
馬車の中で怒濤の恋愛展開にニヤニヤしていたら、隣に座るジェンスに首を傾げられてしまった。
だって、最近なんだか一人でいろいろ難しいことばっか考えていたから、皆が一緒にリリーナと戦ってくれるのが心強いんだもの。
リリーナに関して、私は本当のことを話せないけれど、出来るだけ穏便に納められるといいな。彼女がこの世界を、他のキャラクター達を、ゲームの登場人物ではなく生きている人間だと理解してくれればいいのに。
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