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107、レオナルドの決意
しおりを挟むレオナルドもガウェインも、リリーナを捕まえたいと思っている。
なのに何故、協力しないのだろう。
やはり、レオナルドのお姉さんのことがネックになっているのか。
「ヒョーゴン様は、ガウェイン様とは……」
聞きづらいことだが、一応切り出してみた。
「別に、ガウェインを憎んでいるわけじゃないが、奴はリリーナに近すぎる。洗脳でもされたら目も当てられない」
なるほど。確かに。
「とにかく、だ。どうにかして一度オッサカー伯爵……リリーナの父親に会いたい」
「オッサカー伯爵に?」
「ああ。様子がおかしくなってからは「病気」と言って表に出てこなくなってしまった。いま、伯爵家の中がどうなっているのか誰にもわからない」
なんかホラーだなぁ。
「いい加減、ケリをつけたい。俺は、伯爵家に忍び込んでみるつもりだ」
決意を固めた表情で、レオナルドが言った。
「そんな……危険なのでは」
「危険は承知の上だ。だから、もしも俺の行方が知れなくなったら、クララと力を合わせて絶対にリリーナの企みを暴いてくれ。俺の代わりに」
真剣な表情で頼み込まれ、私は頷くことしか出来なかった。
***
自室に戻った私はベッドの中で頭を悩ませた。
ニチカから聞いた話でいろいろわかったこともあるけれど、リリーナが想像以上に厄介な相手だということもわかってしまった。
だって、オプションへの対抗策が何もない。認識阻害を使えば誰にも捕まらないし、プロテクトを使えば罪を犯してもその記憶は皆から失われてしまう。ガウェインがリリーナをエスコートしたり望まぬ行動を取ってしまったのは、彼がお助けキャラにされたからじゃないのか。
もしかしたら、他にもオプションがあるのかもしれない。
そう考えて、私はふと世界が「書き換えられた」時のことを思い出した。
あの時、誰かが私に話しかけていた。
もしかして、このゲームにはもう一人「転送者」がいて、あれはその人が持つオプションだった?
だとしたら、その人は味方なのか敵なのか。
「あれは、誰だったんだろう……」
制服を着た男子生徒だった。どこかで聞いたことがある声のような気がしたけれど、誰なのかわからない。
ここはゲームのシナリオを使って電脳空間に作られた世界。
どうして、その世界に私が生まれ変わったんだろう。データを転送するのではなく、普通に死んだ私が、どうしてこの世界に生まれ変われたのだろう。
そんなことをぐるぐる考えているうちに、私は眠ってしまった。
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