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80、チャンチャン焼くぜー
しおりを挟む収穫祭の出店は学園の前庭に設置される。
私達のチームも与えられたスペースにテントを張って出店を作った。私は早速店の奥で食材をひたすら切り刻む。
他の店からはやっぱりお菓子の甘い匂いが漂ってくる。
「うぎぎ。おもーい」
うなり声をあげながら、ニチカがガチャガチャと荷を運んでくる。
「レイシール。私はどうすればいい?」
「ティアナもデイビッドの方を手伝って。こっちの仕込みは私一人で大丈夫」
大量のキャベツと人参とタマネギ、きのこを切った後は、漁師さんに捌いてもらった立派な鮭を鉄板に乗せる。
そして、野菜と一緒に蒸し焼きにして、調味料をくわえて(味噌の存在する優しい世界)、最後に鮭をほぐしながらチャンチャンと野菜と混ぜる。
そう、私が作っているのは「チャンチャン焼き」だ。
焼けた鮭と味噌のいい匂いが辺りに漂う。匂いにつられて、その辺にいた男子が寄ってくる。
ふふふ。この学園に通っているのは十六から十八歳の、まさに食べ盛りの年齢。前世でも男子高生なんて常に腹減らしてる生き物だったもの。奴らの胃袋がクッキーやマフィンで満たされるとは思えない。
チャンチャン焼き屋台の隣には椅子を並べて座って食べられるようにしてある。そして、奥に台を設置してその上に炊き立てご飯の詰まった鍋を置いてある。「おかわり自由」と書いてセルフサービスだ。チャンチャン焼き食べてれば絶対にご飯が欲しくなるはず!
通りかかった男子にティアナが「美味しいですよ」と声をかければ、男はほいほい寄ってくる。
しかし、これでは男子は寄ってきても女子は近寄りづらいんじゃない?と思ったそこの貴方。ご安心ください。
屋台の手前で、青森くんにりんごジュースを売らせているのです。
これなら、女子もジュースを買いにくる振りで近寄ってこれるよね。そして、そんな女子達にすかさずルイスが声をかける。「こっちもどうだ?」と整った顔面を存分に活かして女の子を誘ってもらう。
「はい、一丁お待ち~」
ニチカも細々と働いている。
「お米炊けましたー」
ケイレブにはひたすら米を炊いてもらっている。さすが新潟、なかなかの腕前だ。
私は額に汗してひたすらチャンチャン焼きを焼き続けた。
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