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79、リリーナの狙い

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 私の意見が採用されたため、その後は食材集めや道具集めに励んだ。
 メンバーの中にルイスがいるのに、ニチカがぶりぶりしないのがちょっと気になるけれど、収穫祭の準備は順調に進んでいった。

 すっかり顔見知りの食堂のおばちゃんに食材の保管をお願いしにいくと、快く請け負ってくれた。

「ありがとう!」
「かまわないよ。それにしても、料理人に任せずに公爵令嬢が自分で料理するだなんて本気かい?」

 おばちゃんは心配半分呆れ半分みたいな顔をする。
 雪かきで鍛えてるから大丈夫です! むきっ!

「そういえば、なんか変な噂もあるみたいだけど、大丈夫かい?」

 ああ、私がニチカに命じてリリーナの髪飾りを盗ませたってやつか。

「まあ、大丈夫です。私の周りの人は私を信じてくれているので」
「だよねぇ。普段のレイシールちゃんを見ていれば、そんなことあり得ないってわかるのにねぇ」

 おばちゃんは頬に手を当てて溜め息を吐いた。

「その噂を立てたのって、いつも食堂でレイシールちゃんを睨んでる子だろ?」

 料理人のおじちゃんが会話に入ってくる。

「ああ。あの子……レイシールちゃんのこと逆恨みしてそうな感じだったもんねぇ」

 おばちゃん達の話によると、リリーナらしき少女がいつも私を遠くから睨みつけているらしい。気づかなかった。ていうことは、かなり前から目の敵にされていたのかしら。

「あの子、去年はホーカイド次期公爵樣の周りをうろうろしていたもんなぁ。食堂でもいつも近くに座ろうとしていたし」
「おや。そうだったのかい?」
「ああ。まあ、次期公爵樣はまったく相手にしていないようだったけれどねぇ」

 おじちゃんとおばちゃんの会話によると、リリーナはお兄様狙いだったらしい。

 それでお兄様に愛されている私を恨んでいるの?

「でも、次期公爵樣を好きなら、レイシールちゃんとは仲良くしないとダメでしょう。レイシールちゃんを悪く言ったりしたら、次期公爵樣が怒ると思わないのかしら」

 そうそう。私を陥れたりしたら、お兄様が怒るわよ。

 でも、リリーナが転生者なら、私が皆から嫌われていた悪役令嬢だと知っているから、罪を着せてしまいさえすればどうにでもなると思っているのかもしれない。

 うむむ。悪役令嬢と思って舐めるなよ! 私には味方がたっくさんいるんだから!


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