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9、魔物が生まれた日
しおりを挟む「こういうものがね、作りたいのよ」
メイソンとアンナとベン爺さんを呼んで、私は図に書いて説明した。
「テーブルの真ん中に穴を開けて、そこに鍋をセットして、蓋をして上から布をかける。その上に天板を置くの」
日本人の皆様には私が作りたい物をなんとなく察していただけるだろう。
そう、炬燵だ。
材料費ぐらいは貯まったので、製作を始めようと思う。
「簡単に作れると思いますが……テーブルに鍋を入れてどうするんです?」
「なんで布をかけるんです?」
メイソンとアンナは頻りに首を傾げている。
「まあ、お嬢様の望みなら、作ってご覧に入れましょう」
「きゃー、ベン爺さんすてきー」
私はぱちぱち拍手をした。
有言実行の男ベン爺さんは次の日にはもう望み通りの品を作り上げてくれた。まじかっこいい。
早速、私の部屋に運び込んでもらい、焼いた炭を鍋に入れて蓋をして、毛布を掛けて天板を置く。
「炬燵完成!」
早速、足を突っ込むと、じんわりと暖かくなってくる。
「ふわぁ~、なんですか。これは」
「暖まりますね……」
「眠くなりますなぁ」
アンナとメイソンとベン爺さんは無事に炬燵の魔力にとりつかれたようで締まりのない顔になっている。計画通り!
これでみかんと緑茶があれば完璧なんだけどなー。東にはあるような気もするから、今度料理長に聞いてみよう。
炬燵に入って毛糸のパンツを作りながら、ゆったりと過ごす。
次は半纏を作ろうかなぁ。
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