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第三十四話 玩具
しおりを挟む創天宮を出て、連れてこられたのはザルジュラックが司る命天宮の一室だった。華やかに調えられた空間を好むアモルテスとは違い、ザルジュラックの管理する宮は下界から集めた訳の分からないガラクタがごろごろ転がっている。
退屈を嫌い、常におもしろいことを欲しているザルジュラックは、無数にある世界をすべて把握していると言われている。どの世界で何が起きたか、その歴史さえすべて。
常に飄々としていて悪ガキのような風情だが、神々の中でも最も優れた知性の持ち主であると他の神は言う。
「適当に座れ」
床の敷布にゆったりと腰を下ろしたザルジュラックに命じられ、リートはガラクタに挟まれるようにして床に座った。
「お前も知っての通り、俺たち神には寿命がない」
ザルジュラックはどこかの世界から持ってきたのであろう、よくわからない玩具を指先で弄びながら言った。
「永遠を生きる神には無聊を慰める玩具が必要だ。愛玩用の人形もその一つだ」
ザルジュラックの指先で、玩具がカタカタと音を立てた。
「だが、人形は永遠には保たないので、壊れたら新しいのを創らねばならない」
指先で弾かれた玩具が、ぽとりと床に落ちた。
リートは動かなくなっった玩具をみつめた。
「前の人形は、ひたすら愛らしくアモルテスを恋い慕うだけのお人形だった」
ザルジュラックの声が、リートの頭の中を通り過ぎていく。
「それに飽き飽きしたアモルテスは、新しい人形を作る際に、創造主を無条件に愛するという機能を外した。そして、俺の元に人形を持ってきて、人形に記憶を与えたのさ。自分がアモルテスの弟子で部下であるという記憶を」
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「上司と部下、師と弟子の立場を味わってみたかったんだろうな。従順なだけの人形には飽き飽きしていたから、自分に口答えして諫めてくるような人形を創って遊びたかったんだよ」
人形、とは。
リートの額に冷たい汗が滲み、握った拳が震えた。
人形の分際で。魂のないただの人形。
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「お前は、アモルテスの人形だ。リート」
神の声は、残酷なまでにはっきりと響いた。
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