王子と姫の恋愛攻防

香月しを

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王子・五

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 部屋に飛び込んで、鍵をかける。濡れてしまった下着をなんとかせねばと焦っていたら、先に中に入った姫野が、横から抱きついて来た。

「うお!」
「風呂入る!」
「……風呂? ああ、先に入りたいのか。いいけど、ちょっとべたべたの下着だけでも脱がせてもらえると……」
「一緒に入るんだよ!」
 見上げてくる姫野の顔は、真っ赤だ。とろんとした目は、完全に男を誘っているようで、これはあとで説教しなければなるまいと思う。あまりの可愛さに抱き締めかえしそうになったが、つい先ほど、我を忘れて乳首を弄りたおしてしまったのを思いだし、慌てて肩を押して離れる。
「駄目だ」
「なんで!」
「ルールだっただろ。一緒に風呂には入らない」
「そのルールを作った俺が入りたいって言ってんの!」
「今一緒に入ったら、確実に、襲うぞ! 洗ってやるとか言って、背後から胸を揉んだり、お前の尻に指を突っ込む! 理性が飛んだら、何をしでかすか、わからない!」
「……めぐタンがいるから、俺の事なんか襲わないって言ってた……」
「事情が変わったんだ」
「どう変わった? もしかして、俺の事が好きになった?」
 またそれだ。今日は、ずっとそればかりだ。俺が姫野を好きなら、体に触れてもいいと言う。じゃあ、姫野を好きな男なら、全員、体に触れてもいいのかと聞くと、狂ったように怒り出す。何故、俺の気持ちを知りたがるのか。知ってしまったら、俺から距離を取り出すのではないのか。俺が姫野を甘やかし、姫野が俺に甘える。その関係が、俺の一言で崩れてしまいそうで、誤魔化す事しか出来ないのだ。

「……好きだと言ったら、どうする?」
「身体目当てじゃないなら、指どころか、尻にチンコを突っ込んでもいいぞ!」
「…………」
 頭を抱えて蹲ってしまった俺に、上から姫野が声をかけてくる。
「どうした?」
「……それを聞いて、俺がお前を好きと言ったら、完全に身体目当てみたいになるじゃないか…………」
「えッ」
「俺は……お前の騎士として、常にお前を他の男から守っていければと思って……」
「ええ~? 俺、お前に守ってもらうほど、弱くねぇけど? それに、騎士なのに、乳首弄ったり、チンコ擦り付けたりしてくるかぁ? 『しずかタン』とか、騎士は言わねぇぞ、きっと」

 なんでこうあっけらかんとしているんだこの男は。そうだ、姉田が言っていた。姫野は、かなり大雑把な性格なのだと。風呂のトラウマどこ行った。中腰になって俺を上から覗いている顔を見詰める。何が不服なのか口を尖らせているその顔は、中学の時から俺の心を救ってくれていためぐタンを、完全に上回る可愛さだ。世界一可愛いといつも言っているのだから、どちらを選ぶかなど決まっている。その尖った唇に貪り付きたい。舌を挿しいれて口中を舐め回してやりたい。
 大きく溜息をついた。諦めたように、自然に苦笑いがでる。姫野の顔を見上げ、まっすぐに目を見詰めた。
「…………好きだよ。めぐタンよりも、な」
「は? 嘘だったらぶっ殺すぞ!」
「好きだと言ったら言ったで、その反応か……本当に、ムードもへったくれもない奴だな」
「……さっき暴発したばっかりなのに、既にモッコリさせてるお前に言われたくねぇな」
「血気盛んな若者だから、仕方ない」
「血気盛ん…………」
 ぽわんと顔を上気させ、慌てて立ち上がった姫野に、益々股間が疼く。俺も立ち上がった。手を伸ばし、姫野の手首をつかまえる。そのまま、浴室へ向かった。
「しずかタンとお風呂。楽しみしかない」
 脱衣所で素早く制服を脱ぐ。下着は暴発のため、ぬるぬるしていた。それを苦々しい顔で見ている姫野の頭を撫でる。
「おい、精液のついた手で触るなっての」
「精液のついた手どころか、精液を滲ませているところを擦り付ける予定だけど? しずかタンも早く脱げよ」
「しずかタンて言うな!」
「じゃあ、姫野」
「は? しずか、だろ!」
「……だから、しずかタン……」
「しずか!!」
 真っ赤な顔で怒鳴っている。これは、アレか。呼び捨てろ、という事か。俺は、手を伸ばして、姫野のシャツのボタンをはずし始めた。
「しずか……脱がしても、いい?」
「…………ん……許す」
 目を伏せて、赤くなりながら、唇を尖らせる姫野。拗ねたような態度をとるくせに、それでいて最終的には素直に身を任せるなどと。
「尊い…………ッ」
「ちょ……なんだよッ、そういう事言うのやめろ!」
 一気に制服のズボンを引きおろし、ピチっとしたボクサーパンツもぺろりと剥いて、小脇にかかえて浴室へ入る。二人で湯船にも入りたいので、今の内に湯を張った。

「本当に、大丈夫か?」
「王子なら、大丈夫。っつか、俺は小荷物じゃねえっての。小脇に抱えるなっつうの」
「ああ~! 拗ねた顔も可愛いよしずかタン! 体の隅々まで洗ってやるからね!」
 興奮して鼻息が荒くなる。ムードぶち壊しなんだけどと笑う姫野は、世界一可憐だった。

 両手に泡をたっぷりと取り、姫野の背後から胸を撫でた。その間も、ずっと首筋や肩に舌を這わせ、甘い肌を堪能する。ぴったりとくっついた身体は、すっかり火照っていて、俺の性器が尻に触れる度に、もじもじと逃げるよう動いている。それが刺激となって、ますます勃起するので、更に姫野の尻を突く事になるのだが、まったくわかっていない。ゆっくりと撫でている内に、姫野の胸の蕾はぷっくりと尖ってきた。両手の指で、優しく摘み擦ってやる。ぴくぴくと体を捩りながら、姫野が前に逃げようとする。
「んッ、ちょ……触り方がやらしいんだよ!」
「これから最高にいやらしい事をするんだから、仕方ないだろ」
「最高にいやらしい事……んぐッ! はああ!」
 完全勃起した息子で、姫野の尻肉をぐりぐりしてやる。照れて嫌がってはいるが、拒絶はされていない。手を、胸から下へ下げた。すべすべの肌。薄い体毛。興奮して荒い息を、姫野の耳元にかける。ぺちゃぺちゃと音を立てながら、形の良い耳に沿って、何度も舌で嬲る。左手の指で、可愛らしい臍の穴を掘る。右手はもっと下に進み、姫野の性器を握った。
「しずかは、性器も綺麗なんだな」
「んやあッ! あッ、あッ、王子ぃ……んッ、もう……ッ」
 親指で、鈴口の辺りを強く擦ると、姫野は体を震わせてびゅくびゅくと吐精した。桜色に染まった肌がエロすぎる。昔襲った親戚の男は、姫野のエロい部分をどこまで見てしまっただろうか。探し出して目を潰してやりたい。

「はああ……しずかタン、しずかタン! もっと気持ちよくしてあげるからね! 身体中舐めまくって、とろっとろにして、俺のチンコで中を抉ってやりたい……ッ!」
「ああもう! クソッ! 変態王子ぃい! だったら早くしろよ! 早く、俺をお前の……ん、ひ、ひやあああ!!」
 にゅるん、といとも簡単に、姫野の尻の穴に俺の指が飲み込まれた。検索に検索を重ねて研究した、前立腺という快楽のスイッチを探し当て、擦ってやると、姫野は体を跳ねさせた。逃がさないようにがっちりホールドして、中を弄る。嬌声が俺の下半身に直撃する。ここは我慢だ。風呂場では、姫野を気持ちよくさせる事に全力を注ぎたい。もう、とろっとろのめろっめろにさせて、ベッドの上で朝までコースだ。今夜は絶対に寝かせない。
「気持ちいい? しずかタン。辛くない? トラウマ大丈夫?」
「やッ、あッ、んんッ、ふああ! 気持ちいい! 気持ち……い……んあああッ、あッ、だめ、もっと、も……王子! 王子ぃいいい! 好き! 好き! んッ……貴志……たかッ……あッ、あッ、たかしいいいい!」
 あまりの興奮にこちらが射精してしまった。いきなりの名前呼びは卑怯なり。そんな姫野も、プシュっと前から何かを噴かせた。透明の液体。これは、もしや、話に聞く、潮噴きではなかろうか。なんというエロさ。すぐに復活してしまったチンコを、姫野に擦り付けるが、急に何も反応しなくなってしまった。顔を覗き込む。目を閉じていた。姫野の体からは完全に力が抜けてしまっているので、もしかしたら気絶してしまったのかもしれない。俺は猛り狂う己をなんとか制御して、シャワーで互いの体液を流し、ゆっくりと抱き上げて湯船に入った。

「はあ……可愛い、しずかタン」



(つづく)
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