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最終話②
しおりを挟む腕を引かれ、歩いていたはずなのに、気が付けば見知らぬ天井があった。それからふかふかのベッドに横たわっているのだ。ここはどこだろう。首を横に動かすとこちらをじっと見ていた男と目が合った。
「うわっ」
「あ、起きた」
耕平も男もバスローブ姿で、一つのベッドに横になっていた。ということは、何だ?照明がほんのりピンク色で、ベッドサイドにはコンドームが置かれている。
……この状況は。
ヤったのか?
「耕平吐いたの覚えてる?弱いのにあんなに飲むからだよ」
「へ?」
記憶からすっかり抜け落ちていたが、どうやら耕平は自分の服だけではなく男の服まで汚してしまったらしい。そのせいで二人はバスローブ姿なのだという。
「……悪かった」
「もう外で飲まないでね」
吐いたせいか眠っていたせいか、すっかりアルコールは抜けていた。
吐いた瞬間のことは思い出せないが、その前のことは覚えている。この男が「スドー」という呼びかけに振り向いたこと。掴まれた腕に伝わる体温がそっくりだったこと。
「……お前、スドーだったのか」
「別に隠してたつもりは無かったんだけどね。耕平の眼中に俺は全く入ってなかったから」
「そんなこと、」
「俺、須藤雅紀って言うの」
「…………そのまんまかよ!」
何だそれ、名前を知っていれば絶対わかったのに!
悶々としていた時間を返して欲しい。こんな身近にいるとは思わなかった。
「俺、耕平にずっと片思いしてて……ストーカーみたいに後をつけたりもしてた。耕平は俺のことなんて全然気づいてなかったけど、俺は耕平を見守れればそれでよかった。でも、耕平がアイツらに襲われて、助けるために魔法少女になったんだ」
「え、俺のために?」
「耕平は怒るかもしれないけど、俺が助けるのは耕平だけ。俺の戦う理由は耕平だけだから」
真っ直ぐに耕平を見つめる須藤の想いは重過ぎるのに、心地よく感じた。そうか、好きって、そういうことだったんだ。
「耕平とセックスできて、嬉しかった。でも魔法少女スドーとしてじゃなくて、須藤雅紀として、耕平に受け入れて欲しくて……勇気出すのに時間がかかった」
耕平が良いと言ったから、髪を切ったのだろうか。たしかに似合っていて、髪を切った姿はスドーによく似ていた。それはそうか、本人なわけだし。
「耕平、俺と……」
「う、うん」
勇気を出して、髪を切って、それから?それからどうする気だろう。ここはそういう目的のホテルで、バスローブ姿の人間が二人。何ならセックスしたこともあるわけで。
どういうわけか胸がドキドキしてくる。このまま強引に迫られたら、どうしたらいいだろう。きっと耕平には須藤を拒めない。
「俺と、友達になってください」
「は、い?」
あれ、何か思っていた展開と違う気がする。
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