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30、「レオンっていうのが本当の名前なんです」※
しおりを挟む「あ、あの……怜央?」
「安心してください。今日は変な薬とか無いみたいだからちゃんとじっくり慣らしてからします」
そうじゃなくて、俺が聞きたいのはその前に言っていたことなんだけど。などと口にする前に、そのままベッドへと押し倒される。
煌々と明るい電灯に目を細めたが、すぐに怜央が覆いかぶさってきて、眩しさはなくなった。
「――ひっ!」
足を開かされ、いつの間に用意したのか、ローションが怜央の手を濡らしていた。つまり、これからするってことで……今更だが、恥ずかしくなってくる。
「冷たかったですか?」
「だ、大丈夫」
ローションでぬるぬるになった指がアナルにそっと触れる。体温であたためてくれていたのか冷たくはない。
冷たくはないけれど、とにかく恥ずかしい。これでもかというくらいローションを使われたせいで耳を塞ぎたくなるような音が室内に響く。
「あっ、ちょっと……まって」
「待てませんよ」
「で、でも……んっ」
そりゃあ前にもしたことだけど、でもやっぱり心の準備が……それに、部屋が明るいままなのも気になる。
指がゆっくりと中をかき混ぜて、気持ち悪いだけのはずなのに腹の奥がぞわぞわする。鶴見の薬のせいとはいえ、青はその快楽を覚えている。
「ううっ、あっ、や、……」
「ほら、気持ちいい……ねっ?」
「……んんっ」
気持ちいい、気持ちいい、と言い聞かせるように囁かれて、ぞわぞわが増していく。怜央の声がやたら甘く脳内に響く。
「指増やしますね」
「あっ、……ちょ、まって……っ」
制止の声は無視され、指が増やされた。圧迫感は増したが痛みなどは無い。
「ああっ、……や、れお……」
薬を使っていないせいで理性を手放しきれない。だから、本当はちゃんと拒めるはずだ。
怜央を見張ると決めたけれど、この行為までは許可してない……はずだ。
「だ、だめ」
「大丈夫」
いや、全然大丈夫じゃないから。何でこいつはこんなに強引なんだろう。中をひたすらこねくり回されて、いつの間にかペニスの先端が濡れていた。
三本の指で中を開かれても痛くない。それどころか、もっと熱いもので満たされたことを思い出して中がひくひくと蠢く。
「れ、れお……」
やっぱり今日はやめようと口にしかけたところで、唇に怜央の人差し指が当てられる。条件反射で口を閉じて言葉の続きを飲み込む。
「レオンっていうのが本当の名前なんです」
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