上 下
30 / 33

30、「レオンっていうのが本当の名前なんです」※

しおりを挟む
 
「あ、あの……怜央?」
「安心してください。今日は変な薬とか無いみたいだからちゃんとじっくり慣らしてからします」

 そうじゃなくて、俺が聞きたいのはその前に言っていたことなんだけど。などと口にする前に、そのままベッドへと押し倒される。
 煌々と明るい電灯に目を細めたが、すぐに怜央が覆いかぶさってきて、眩しさはなくなった。

「――ひっ!」

 足を開かされ、いつの間に用意したのか、ローションが怜央の手を濡らしていた。つまり、これからするってことで……今更だが、恥ずかしくなってくる。

「冷たかったですか?」
「だ、大丈夫」

 ローションでぬるぬるになった指がアナルにそっと触れる。体温であたためてくれていたのか冷たくはない。
 冷たくはないけれど、とにかく恥ずかしい。これでもかというくらいローションを使われたせいで耳を塞ぎたくなるような音が室内に響く。

「あっ、ちょっと……まって」
「待てませんよ」
「で、でも……んっ」

 そりゃあ前にもしたことだけど、でもやっぱり心の準備が……それに、部屋が明るいままなのも気になる。
 指がゆっくりと中をかき混ぜて、気持ち悪いだけのはずなのに腹の奥がぞわぞわする。鶴見の薬のせいとはいえ、青はその快楽を覚えている。

「ううっ、あっ、や、……」
「ほら、気持ちいい……ねっ?」
「……んんっ」

 気持ちいい、気持ちいい、と言い聞かせるように囁かれて、ぞわぞわが増していく。怜央の声がやたら甘く脳内に響く。
  
「指増やしますね」
「あっ、……ちょ、まって……っ」

 制止の声は無視され、指が増やされた。圧迫感は増したが痛みなどは無い。

「ああっ、……や、れお……」

 薬を使っていないせいで理性を手放しきれない。だから、本当はちゃんと拒めるはずだ。
 怜央を見張ると決めたけれど、この行為までは許可してない……はずだ。

「だ、だめ」
「大丈夫」

 いや、全然大丈夫じゃないから。何でこいつはこんなに強引なんだろう。中をひたすらこねくり回されて、いつの間にかペニスの先端が濡れていた。
 三本の指で中を開かれても痛くない。それどころか、もっと熱いもので満たされたことを思い出して中がひくひくと蠢く。

「れ、れお……」

 やっぱり今日はやめようと口にしかけたところで、唇に怜央の人差し指が当てられる。条件反射で口を閉じて言葉の続きを飲み込む。

「レオンっていうのが本当の名前なんです」



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

処理中です...