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24、青い家具や食器※
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「青さんがうちにいるなんて夢みたいです」
「……そうか」
昨日も訪れたばかりの部屋は前回と様子が違っていた。リビングに青いソファとテーブルが置かれていたのだ。
ソファに横並びに座り、出された紅茶を飲む。青い花柄のティーカップも昨日までは存在しなかったような気がする。
「最近こっちに来たばかりで、あまり物が無いんですよ。昨日までは必要だとも思いませんでしたし」
「……はあ」
つまりこの青い家具や食器は何故か昨日必要に思って買い揃えたばかりだということか。一体何故だろう。
隣に座っている怜央は妙に近く、青が離れようとしても互いの足が密着するくらいだった。
「青さん、キスをしてもいいですか」
「……だ」
「だ?」
「ダメ」
覆い被さるように接近してきて、唇が触れそうになる。直前で許可を求められるけど思わずぐいと押し返す。
「昨日はあんなにしたのに」
「ダメったらダメ」
「舌は入れないから。それでもダメですか?」
じいっと見つめられるといたたまれなくなる。
キスなんて昨日散々した。でも今の青は正気だ。理性がある状態であんな恥ずかしいことできないし、聞かれたらノーと答えるしかない。
いっそ許可なんて取ろうとしないで強引に奪ってくれればと思いかけて、慌てて首を振る。奪ってくれれば、何なんだ。奪うな。
「……学校は」
「今日は取ってる講義が無いんです」
「そうか」
「ねえ、青さん。唇以外なら? ほっぺならちゅーしてもいいですか?」
子犬のような目で見つめられると結局断れなくて、まあ頬にキスくらいならいいかと頷く。
「……青さんのほっぺ、やわらかい」
ちゅ、ちゅと柔らかな唇が頬に触れる。髪が顔を撫でてくすぐったい。
「青さん、大好きです」
「ん……くすぐったい」
頬をたっぷり唇で撫でられたかと思うと、それがいつの間にか鎖骨にたどり着いていた。骨の部分に軽く歯を立てられ、ぺろりと舐められる。
「っ、……ほっぺだけって……っ」
「唇以外ならいいって言いましたよ」
「言ってないっ……」
頬をくすぐられた時とは違う、明らかに性の匂いを放つ行為にじわじわと体温が上がっていく。ソファにそのまま押し倒され、シャツをたくし上げられる。
「……すご、キスマークだらけですね」
「お前がつけたんだろ!」
シャツに隠れた部分は怜央のつけた歯型やキスマークでなかなかすごいことになっていた。昨日、シャワーを浴びる時驚いたけど、つけた張本人まで驚くのは納得いかない。
怜央の残した痕に一つずつキスをされ、慌てて口を塞ぐ。
「……っ、」
明るいリビングで何てことをしているのだろうか。怜央を引き剥がしたいけれど、今は声を出さないようにするので精一杯だった。
「青さん、可愛い……今日も青さんのこと食べていい?」
「や、だっ……ぁ」
「『やだ』って可愛すぎ。ふふ、全然嫌って顔じゃないですよ」
自分は今どんな表情をしているのだろう。昨日と違って薬なんてないのにどうしてか怜央を拒みきれない。
ブルーではなく「青」と呼びかけられる度に体から力が抜けていく。体がソファに沈みこんで、怜央の唇が体のあちこちに触れて。あの薬を飲んでないのに、昨日の熱を思い出す。
「大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。また僕に青さんを食べさせてくれませんか」
じっと見つめられて、拒もうと思うのに体が動かない。ダメ、と呟けば。首を振れば。怜央の体を押し返せば。それだけで済むはずなのに。
「いい子だね」
怜央の顔面がまた目の前に来て、反射的に目をつむる。唇に訪れる柔らかな衝撃を覚悟して、ところがいつまで経っても何も触れてこない。
「……怜央?」
そっと目を開けると怜央が初めて見る、冷たい目をしていた。綺麗な顔でそういう表情をするとやたら怖い。
「……すみません、ちょっと邪魔が入りました。すぐ片付けますね」
「邪魔?」
怜央が見ているのは青ではなく、その向こう。ソファから頭を起こし、振り返るとそこには――
「魔法少女……?」
いつの日か大ダコを倒したあの魔法少女が立っていたのだった。
「……そうか」
昨日も訪れたばかりの部屋は前回と様子が違っていた。リビングに青いソファとテーブルが置かれていたのだ。
ソファに横並びに座り、出された紅茶を飲む。青い花柄のティーカップも昨日までは存在しなかったような気がする。
「最近こっちに来たばかりで、あまり物が無いんですよ。昨日までは必要だとも思いませんでしたし」
「……はあ」
つまりこの青い家具や食器は何故か昨日必要に思って買い揃えたばかりだということか。一体何故だろう。
隣に座っている怜央は妙に近く、青が離れようとしても互いの足が密着するくらいだった。
「青さん、キスをしてもいいですか」
「……だ」
「だ?」
「ダメ」
覆い被さるように接近してきて、唇が触れそうになる。直前で許可を求められるけど思わずぐいと押し返す。
「昨日はあんなにしたのに」
「ダメったらダメ」
「舌は入れないから。それでもダメですか?」
じいっと見つめられるといたたまれなくなる。
キスなんて昨日散々した。でも今の青は正気だ。理性がある状態であんな恥ずかしいことできないし、聞かれたらノーと答えるしかない。
いっそ許可なんて取ろうとしないで強引に奪ってくれればと思いかけて、慌てて首を振る。奪ってくれれば、何なんだ。奪うな。
「……学校は」
「今日は取ってる講義が無いんです」
「そうか」
「ねえ、青さん。唇以外なら? ほっぺならちゅーしてもいいですか?」
子犬のような目で見つめられると結局断れなくて、まあ頬にキスくらいならいいかと頷く。
「……青さんのほっぺ、やわらかい」
ちゅ、ちゅと柔らかな唇が頬に触れる。髪が顔を撫でてくすぐったい。
「青さん、大好きです」
「ん……くすぐったい」
頬をたっぷり唇で撫でられたかと思うと、それがいつの間にか鎖骨にたどり着いていた。骨の部分に軽く歯を立てられ、ぺろりと舐められる。
「っ、……ほっぺだけって……っ」
「唇以外ならいいって言いましたよ」
「言ってないっ……」
頬をくすぐられた時とは違う、明らかに性の匂いを放つ行為にじわじわと体温が上がっていく。ソファにそのまま押し倒され、シャツをたくし上げられる。
「……すご、キスマークだらけですね」
「お前がつけたんだろ!」
シャツに隠れた部分は怜央のつけた歯型やキスマークでなかなかすごいことになっていた。昨日、シャワーを浴びる時驚いたけど、つけた張本人まで驚くのは納得いかない。
怜央の残した痕に一つずつキスをされ、慌てて口を塞ぐ。
「……っ、」
明るいリビングで何てことをしているのだろうか。怜央を引き剥がしたいけれど、今は声を出さないようにするので精一杯だった。
「青さん、可愛い……今日も青さんのこと食べていい?」
「や、だっ……ぁ」
「『やだ』って可愛すぎ。ふふ、全然嫌って顔じゃないですよ」
自分は今どんな表情をしているのだろう。昨日と違って薬なんてないのにどうしてか怜央を拒みきれない。
ブルーではなく「青」と呼びかけられる度に体から力が抜けていく。体がソファに沈みこんで、怜央の唇が体のあちこちに触れて。あの薬を飲んでないのに、昨日の熱を思い出す。
「大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから。また僕に青さんを食べさせてくれませんか」
じっと見つめられて、拒もうと思うのに体が動かない。ダメ、と呟けば。首を振れば。怜央の体を押し返せば。それだけで済むはずなのに。
「いい子だね」
怜央の顔面がまた目の前に来て、反射的に目をつむる。唇に訪れる柔らかな衝撃を覚悟して、ところがいつまで経っても何も触れてこない。
「……怜央?」
そっと目を開けると怜央が初めて見る、冷たい目をしていた。綺麗な顔でそういう表情をするとやたら怖い。
「……すみません、ちょっと邪魔が入りました。すぐ片付けますね」
「邪魔?」
怜央が見ているのは青ではなく、その向こう。ソファから頭を起こし、振り返るとそこには――
「魔法少女……?」
いつの日か大ダコを倒したあの魔法少女が立っていたのだった。
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