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⑲「……さわって」※
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まず、じわじわと腹に熱が集まる。風邪を引いた時の様に背筋がゾクゾクして、でも、何か例えようの無い感覚。
「ブルーさん?」
「……あつい」
あつい。それ以上のことが何も考えられない。ぼんやりと残る意識でこれはあの薬のせいに違いないと考えるけれど、青にはどうにもできない。
足に力が入らずそのまま地面にしゃがみ込む。体のあちこちがムズムズして、触れてもいないのにペニスが硬くなっているのがわかる。
この感覚は猫になった時に似ている。あの時、怜央にしっぽの根元をぐりぐりされて、喉が鳴った。
……触って欲しい。
「ブルーさん、大丈夫ですか?」
心配そうに青の顔を覗き込む怜央。青がそんな熱を抱えているなんて夢にも思っていなさそうな。
「……さわって」
「え」
近くにあった腕を掴んで、縋るように。自分が何を言って、何をしたいのかもよくわからない。
ただ、この熱をどうにかして欲しい。怜央ならそれができるのだと本能が理解していた。
俗に言うお姫様抱っこで軽々と運ばれた。怪力か。振り落とされないように肩にしがみつく。揺れるし不安定だし、あまりいいものではない。というか男がされるようなものではないし。
それなのに青は大人しく運ばれて、着いた先は見覚えのあるマンション――怜央の部屋だ。
猫になって侵入した時とおなじ、何も無い空っぽの部屋。二つのドアのうち寝室に続く方が開かれ、ベッドの上にそっと下ろされる。隣の部屋の惨状をふと思い出したが、今はそれどころでは無かった。
「本当に、触りますよ?」
それまで黙っていた怜央がじっと青の目を覗き込む。自分が今正気でないことは自覚していたが、相手が怜央でなければきっとこんなことにはならない。たぶん。
ベッドに寝かされていた青は怜央の服を掴んで引き倒す。バランスを崩し、青を押し倒すような格好になる。
「触れって、言っただろ」
目を逸らしながら吐き捨てるように言うと、すぐに怜央の顔が近づいてきて、あ、と思った時には唇にふにと柔らかなものが触れた。
ファーストキスだなと熱に浮かされた頭が考える。他人の唇がこんなに柔らかいなんて知らなかった。青はふにふにと押し付けるように唇の柔らかさを楽しんだ。柔らかくて、気持ちよくて、安心する。
「――んんっ」
触れるだけのキスを楽しんでいたら、ぬめった何かが青の唇を撫でる。くすぐったいだけでなく背筋がゾクゾクして、閉じていた唇が僅かに開く。
「んっ……ふ」
開いた隙間からぬるぬるしたものが口内に入り込む。首を捻って逃げようとしたがいつの間にか頬と頭に怜央の手が伸びていてしっかり固定されている。
これもキス、なのだろうか。唇同士がしっかり触れ合いながらもその中では怜央の舌が青の口内を蹂躙している。縮こまって隠れていた舌を引きずり出され、絡め取られ、甘い唾液を送り込まれる。
口内が唾液で満たされ、それを飲み込むと腹の奥に燻っていた熱が更に増していくように思えた。
「ブルーさん、可愛い」
欲情を隠そうともせずギラついた目が青を捉える。可愛いって何だよと文句を言いかけたところでまた唇が塞がれる。
「んんっ……んっ」
上手く呼吸ができず、ただ与えられるキスを受け入れる。時折唇を舌が撫でると擽ったくて堪らない。
何でこんなことになったんだっけ。
鶴見の薬を飲んだのだと思い出したと同時に、下半身に怜央の手が触れた。
「――っ!」
「硬くなってる……キス、気持ちよかったですか?」
勃起したものをズボンの上からしっかりと握られると言い訳できない。キスのせいではなく薬のせいだけど、原因なんてどちらだったとしてもこの後の展開は変わらないだろう。
青が答えずにいると怜央の手がそのままペニスを扱き始める。せめて服を脱がせろと訴えたかったが、自分の口を塞ぐことで精一杯だった。
「んんっ、ふ……だめ」
「何で? 触って欲しいって言ったのに」
このままでは服が汚れる。わかっているだろうに怜央は気付かぬふりで首を傾げてくる。
普段自分でするのとは違って、身構えていないタイミングで弱い部分を擦られたりするものだから、慌てて両手を口に当てる。
「可愛い声もっと聞かせて欲しいです。オナニーの時はどうしてるんですか?」
「んぁっ……や、」
「勿体ないですね……録音して何度も聞きたいのに。でも恥ずかしがり屋なブルーさんも可愛いですよ」
散々恥ずかしいことを囁かれているような気がしたけれどそれどころじゃない。変な声が出ないように必死だし、それ以上に下着を汚してしまわないように必死だった。
ペニスと怜央の手との間にはズボンと下着の生地があって、直接触るよりはずっと弱い刺激のはずなのに。
「もっと触りますね」
「ひっ」
怜央の手がペニスから離れ、ホッとしかけたところでシャツを捲られた。上半身なんて見られても恥ずかしくないはずなのに、熱のこもった視線が向けられた場所がむずむずする。
「鍛えてるんですね」
「ひ、ヒーローだし……」
一応、ヒーローとしてそれなりに鍛えているから見られて恥ずかしいような脂肪はついていないはずだ。筋肉を確かめるように怜央の細い指が腹を撫でると、擽ったさと同時に甘く痺れる。
「ここも、可愛い」
「ひぁっ、……ま、まって」
腹を撫でていた手が少しづつ上に向かっていき、二つの突起に触れる。男についていても無意味だと思っていた部分なのに、怜央に触れられると直接触れられていないペニスまでもがとろけそうになる。
堪らずまた両手で口を塞ぐ。鼻から抜けていく甘い吐息が自分の耳に届く。恥ずかしいけれどこれ以上音を消せそうになかった。
「ブルーさん?」
「……あつい」
あつい。それ以上のことが何も考えられない。ぼんやりと残る意識でこれはあの薬のせいに違いないと考えるけれど、青にはどうにもできない。
足に力が入らずそのまま地面にしゃがみ込む。体のあちこちがムズムズして、触れてもいないのにペニスが硬くなっているのがわかる。
この感覚は猫になった時に似ている。あの時、怜央にしっぽの根元をぐりぐりされて、喉が鳴った。
……触って欲しい。
「ブルーさん、大丈夫ですか?」
心配そうに青の顔を覗き込む怜央。青がそんな熱を抱えているなんて夢にも思っていなさそうな。
「……さわって」
「え」
近くにあった腕を掴んで、縋るように。自分が何を言って、何をしたいのかもよくわからない。
ただ、この熱をどうにかして欲しい。怜央ならそれができるのだと本能が理解していた。
俗に言うお姫様抱っこで軽々と運ばれた。怪力か。振り落とされないように肩にしがみつく。揺れるし不安定だし、あまりいいものではない。というか男がされるようなものではないし。
それなのに青は大人しく運ばれて、着いた先は見覚えのあるマンション――怜央の部屋だ。
猫になって侵入した時とおなじ、何も無い空っぽの部屋。二つのドアのうち寝室に続く方が開かれ、ベッドの上にそっと下ろされる。隣の部屋の惨状をふと思い出したが、今はそれどころでは無かった。
「本当に、触りますよ?」
それまで黙っていた怜央がじっと青の目を覗き込む。自分が今正気でないことは自覚していたが、相手が怜央でなければきっとこんなことにはならない。たぶん。
ベッドに寝かされていた青は怜央の服を掴んで引き倒す。バランスを崩し、青を押し倒すような格好になる。
「触れって、言っただろ」
目を逸らしながら吐き捨てるように言うと、すぐに怜央の顔が近づいてきて、あ、と思った時には唇にふにと柔らかなものが触れた。
ファーストキスだなと熱に浮かされた頭が考える。他人の唇がこんなに柔らかいなんて知らなかった。青はふにふにと押し付けるように唇の柔らかさを楽しんだ。柔らかくて、気持ちよくて、安心する。
「――んんっ」
触れるだけのキスを楽しんでいたら、ぬめった何かが青の唇を撫でる。くすぐったいだけでなく背筋がゾクゾクして、閉じていた唇が僅かに開く。
「んっ……ふ」
開いた隙間からぬるぬるしたものが口内に入り込む。首を捻って逃げようとしたがいつの間にか頬と頭に怜央の手が伸びていてしっかり固定されている。
これもキス、なのだろうか。唇同士がしっかり触れ合いながらもその中では怜央の舌が青の口内を蹂躙している。縮こまって隠れていた舌を引きずり出され、絡め取られ、甘い唾液を送り込まれる。
口内が唾液で満たされ、それを飲み込むと腹の奥に燻っていた熱が更に増していくように思えた。
「ブルーさん、可愛い」
欲情を隠そうともせずギラついた目が青を捉える。可愛いって何だよと文句を言いかけたところでまた唇が塞がれる。
「んんっ……んっ」
上手く呼吸ができず、ただ与えられるキスを受け入れる。時折唇を舌が撫でると擽ったくて堪らない。
何でこんなことになったんだっけ。
鶴見の薬を飲んだのだと思い出したと同時に、下半身に怜央の手が触れた。
「――っ!」
「硬くなってる……キス、気持ちよかったですか?」
勃起したものをズボンの上からしっかりと握られると言い訳できない。キスのせいではなく薬のせいだけど、原因なんてどちらだったとしてもこの後の展開は変わらないだろう。
青が答えずにいると怜央の手がそのままペニスを扱き始める。せめて服を脱がせろと訴えたかったが、自分の口を塞ぐことで精一杯だった。
「んんっ、ふ……だめ」
「何で? 触って欲しいって言ったのに」
このままでは服が汚れる。わかっているだろうに怜央は気付かぬふりで首を傾げてくる。
普段自分でするのとは違って、身構えていないタイミングで弱い部分を擦られたりするものだから、慌てて両手を口に当てる。
「可愛い声もっと聞かせて欲しいです。オナニーの時はどうしてるんですか?」
「んぁっ……や、」
「勿体ないですね……録音して何度も聞きたいのに。でも恥ずかしがり屋なブルーさんも可愛いですよ」
散々恥ずかしいことを囁かれているような気がしたけれどそれどころじゃない。変な声が出ないように必死だし、それ以上に下着を汚してしまわないように必死だった。
ペニスと怜央の手との間にはズボンと下着の生地があって、直接触るよりはずっと弱い刺激のはずなのに。
「もっと触りますね」
「ひっ」
怜央の手がペニスから離れ、ホッとしかけたところでシャツを捲られた。上半身なんて見られても恥ずかしくないはずなのに、熱のこもった視線が向けられた場所がむずむずする。
「鍛えてるんですね」
「ひ、ヒーローだし……」
一応、ヒーローとしてそれなりに鍛えているから見られて恥ずかしいような脂肪はついていないはずだ。筋肉を確かめるように怜央の細い指が腹を撫でると、擽ったさと同時に甘く痺れる。
「ここも、可愛い」
「ひぁっ、……ま、まって」
腹を撫でていた手が少しづつ上に向かっていき、二つの突起に触れる。男についていても無意味だと思っていた部分なのに、怜央に触れられると直接触れられていないペニスまでもがとろけそうになる。
堪らずまた両手で口を塞ぐ。鼻から抜けていく甘い吐息が自分の耳に届く。恥ずかしいけれどこれ以上音を消せそうになかった。
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