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⑩恐ろしい小包

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 初めて会った時、逃げ惑う人々を助けようとする姿が美しいと思いました。その時は素顔がわからなかったけど、自分が恋をしたのだとハッキリわかりました。襲われるのも、誰かにそれを守られるということも、初めての経験でした。自分がそういったことに巻き込まれるのだと想像したこともありませんでした。
 だから、単純に守ってもらえて嬉しかった。誰かのために戦おうとするあなたがとても尊くて美しいものだと思いました。僕は誰かを守ろうなんて考えたこともありませんでしたから。

 次に会った時は素顔の貴方を知りました。
 綺麗な黒目黒髪。
 桜色の唇。柔らかそうな頬。ヒーローではない貴方もとても美しく、僕はまた恋をしました。

 変身して戦うブルーさんも、素顔のままの貴方も、どちらも大好きです。
 キスを迫った時の反応もとても愛らしく、興奮しました。怯えからか涙目になっている表情が色っぽくて新たな扉を開いてしまいました。ブルーさんはヒーローをしている姿がカッコイイのですが、僕が強引に迫った時の怯えた反応が堪らなく可愛いです。その目尻に溜まった涙を舐めとってみたくなりましたが、我慢しました。

 どうか僕と付き合ってもらえないでしょうか。

 ブルーさんにもっと会いたくて調べているのですがなかなか見つかりません。僕の愛の力が足りず申し訳ありません。早く普段も会えるように頑張ります。
 当面の間はエタニティが現れたところにすぐ駆け付けられるようにすることにします。そうすればブルーさんの活躍を誰よりも近くで見ることができますから。



 それでも、こうして思うように会えないのはとても辛いものですね。集めた写真を見ながら想像の中のブルーさんを汚すことで寂しさを埋めてはいますが、本物の貴方には敵わない。いっそ捕まえて飼おうかなとも思いましたが、まだ準備が整っていないので我慢しています。
 エタニティがもっと暴れてくれればブルーさんに会えるんですが、なかなか難しいですね。






 なんとか読めたのは一ページ目だけだった。次の紙を見ると『ブルーさんと付き合ったらしたいこと』という内容が始まり、普通のデートプランから卑猥な言葉が並ぶとんでもないものへ変わっていく。
 そもそも一ページ目から不穏ではあったが、それ以降は読む気になれなかった。自己紹介ページなんてものもあったが、一体何枚の便箋をこんなことに使ったのだろう。紙の無駄すぎる。
 やりたいプレイのページはかなり恐ろしい。というか、考えたくないのだが、怜央は青をそういう目で見ているということなのだろうか。しかも青が受け身?
 挑戦したい体位の図解を眺め、背筋をゾクゾクしたものが走る。うう、考えるのはよそう。

 この恐ろしい小包はとりあえず……捨てるのも怖いから、押し入れの奥に封印しておこう。あと、絶対顔以上の個人情報がバレないようにしよう。
 そう誓う青だった。

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