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④生まれ変わってもずっと
しおりを挟む「……ユキさんってもしかして俺のこと好きなの?」
夢中でケイを抱いて、気がつけば一日が終わっていた。ソファ、風呂、キッチン、玄関。あちこちで愛し合ったせいで掃除するのが大変だったが、ユキは満足していた。この先、家の中のあらゆる場所でケイが行為を思い出せばいい。
今はシーツを替えたばかりのベッドに、パジャマ姿のケイを寝かせ、添い寝している。さすがに体力が尽きたようでぐったりしていた。
「それは今更すぎる質問ですね」
そもそも婚約だってユキが手を回したからだったのに、ケイは気づいていなかったのだろう。小さい頃からずっと、ケイに好かれるためだけに優しく優しく甘やかしていたのに。
「僕はケイ君のことをこんなに愛してるのに。まだ伝わらない? もっと体に教えた方がいいのかな」
「じゅ、十分伝わりました……」
慌てるケイが可愛くて、もっとからかってやりたくなる。
「……俺も、ユキさんが好きだよ」
「本当に?」
ケイの知るユキなんてケイにしか見えない偽物のような存在なのに。ケイにだけ優しくて、それ以外は何もいらない。自分の家族も、ケイの家族も、何も。
ただ穏便に手に入れるために婚約という手段を選んだだけで、それが上手くいかなければケイを誘拐していたかもしれない。あの時のように、ケイを追い詰めていたかもしれない。
「……優しいユキさんが好きだったけど、俺にだけ意地悪なユキさんも好き…………俺だけが知ってるユキさんって感じがするから」
「いじめられるのが好きなんですね、ケイ君は」
「そうじゃなくて!」
怒り出すケイを抱き締めて宥める。いじめられて悦んでいるのは事実のように思えるのだが。
「……どんなユキさんでも好きってことだよ」
「じゃあ、」
「何」
「生まれ変わっても、好きでいてくれる?」
「うん」
幸福だ。
もう、嫌な夢は見ないような気がした。
※※※
啓を目の前で失って、それからの雪は死んだように生きていた。初めて心から愛した人。なのに、拒まれ、目の前で死んだ。
けれど、また啓に会えるような気がしていた。もしもまた会えたら、絶対にこの手を掴んだまま、逃がさない。
「ケイくん、また怖い夢を見たんですね。怖いことは全部忘れましょう」
悪夢に魘されるケイを抱きしめて、そう囁いた。
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