リセットしてもヤンデレに犯される俺の話

多崎リクト

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バッドエンド

①嫌な予感がしました

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 C、逃げ延びたがリセットボタンが無くなっていた


 逃げ切れるはずがないと思っていたのに、気がつけば海斗の姿は無かった。これで最後にしようなんて言っていたくせにとは思ったが、これ以上走ったら心臓が飛び出して死ぬところだったので深く考えないことにした。
 結局その日海斗が接触してくることはなく、平穏なまま一日が終わる。

 夜になり寝床で意識を手放す寸前に、ざわざわと胸に不安が広がったような気がしたけれど、そのまま睡魔に引き込まれた。

 リセットボタンが消えていることに気づくことは遂になかった。



 ※※※


 放課後、忘れ物を教室に取りに戻る。部活動で残っている生徒たちの声が遠くから響いてくるが、教室内には誰もいない。
 妙に胸がざわめいて、早く帰らなくてはと思った。別に理由なんて無いのだけど。捕まる前に、早く、と。

 ――捕まる前に? いったい誰に?



「忘れ物?」

 すぐ後ろから声が聞こえてきて、大袈裟に肩が跳ねる。

「……三浦」

 いつの間に教室に入ってきたのか、クラスメイトの姿がそこにはあった。ほとんど話したことの無い相手だというのに、どういうわけかどんどん不安が大きくなっていく。早く帰らないといけない。ここにいてはいけない。そんな風に胸の奥がざわざわと騒いだ。まるで涼太の知らないもう一人の自分が警告しているように。

「……結局涼太は俺から逃げるんだね」

 こちらに聞かせるためというよりは思わずこぼれ落ちたような言葉は聞きづらく、何を言いたいのかはよくわからなかった。
 聞き返そうとしたところで腕をぐいと引かれ、教室の床に押し倒される。三浦の手が庇ってくれていたため、後頭部を打ち付けるようなことは無かった。

 ああ「また」失敗した。なぜかはわからないけど、逆さになった世界を見ながらそう思った。またとは何だろう。こうして三浦と二人きりになるのは初めてなはずなのに。腹の上のその重みをよく知っているような気がした。

「や、やめろ!」

 冷たい床に倒され、腹にのしかかられ、暴れようとした腕を手錠で拘束される。机の脚を通すようにかけられたせいで、両腕を上に上げたまま身動きが取れなくなってしまう。
 冗談にしてはやりすぎだ。

「逃がさないから」

 三浦の目が真っ直ぐ涼太に向けられている。自分は捕らわれたのだと悟った。この後自分は三浦に凌辱されるのだ。男同士なのにこれから何が起こるのか予想がついてしまった。
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