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メリーバッドエンド
【ハピエン後】防水シーツのおかげで被害は最小限でした
しおりを挟むリセットし続けた高校生活が終わり、当然のように一緒に暮らすことになった。涼太の両親は涼太が一人で生きていけるはずがないから海斗くんが一緒なら安心だと笑っていた。一人息子をこんな変態の巣によく放り込めるものだ。
とはいえ、涼太だって海斗のことが一応好きなわけで、まあ、一緒に暮らすのもどちらかといえば嬉しかった。絶倫の変態と四六時中一緒にいることに不安はあったが、料理は美味しいし得なことが多い。
……ただ、一つだけ、ずっと気になっていたことがあった。
※※※
大学一年の春に涼太と一緒に暮らし始めて、二年の夏も終わり、二人とも成人して酒が飲めるようになった。涼太の誕生日は夏の初めにあって、海斗より先に二十歳になっていたのだが、海斗と一緒に飲みたいからと待ってくれていた。
そんな涼太が可愛すぎて、だから、止められなかった。
海斗の誕生日に二人で飲もうと買っておいたのは初心者にも飲めそうな甘い缶チューハイだった。それをジュースのように飲み進める涼太を、最初はもちろん止めた。だがすぐに酔ってニコニコと笑う涼太が可愛くて、止められなくなった。
アルコール度数が低いものを買ったはずだったのに、一缶目が空になるころには立派な酔っ払いができあがっていた。海斗の方は酒に強かったらしく、普段とあまり変わりない。
涼太はニコニコと可愛らしく笑っていたかと思うと、急に眼が細められ、海斗を睨みつける。
「かいと、」
「なあに?」
今度は絡み酒だろうか。睨まれても可愛いので全然怖くない。
「お前、おれにかくしてることあるだろ」
呂律が回っていないようだが、内容としてはなかなか狡い質問だ。
普通人間というものは隠し事の一つや二つあるものだ。たとえそれが恋人相手であったとしても隠し通したいことくらいある。
たとえば涼太の穿いた下着を時々失敬している事だとか、眠る涼太にイタズラしている日がある事だとか。
どうやって誤魔化そうかと考えていると涼太の顔がぐいと近づいてきて、甘さとアルコールの混じりあった息が吐きかけられる。
「おまえが、へんたいだってこと、おれはしってるんだぞ」
「へ」
何を今更。今までだって散々セックスの度に顔を真っ赤にして変態と詰ってきたくせに。そんな様子も可愛くて興奮してしまう変態だということくらいわかっていたはずだし、バレている自覚もある。
酔っているからだろうか。普段より赤い顔が上目遣いで見てくるので、色々と我慢出来なくなりそうだった。
「おまえが見せてるのはヒョウザンのイッカクにすぎない」
「氷山の一角?」
「ショーコはこれだ!」
素早くベッドの下に手を突っ込んだかと思うと、涼太の手には箱があった。
や、やばい、あれは……涼太に片思いしていた時に集めていたコレクションたち!引越しの時に捨てるつもりがどうしても諦められなくて捨てられずにベッドの下に隠していたのに!
「りょ、涼太、それは……」
いや、だがまだ間に合う。何だかんだいって涼太はノーマルなセックスしか知らない。ちょっとコスプレくらいはしたりするが、道具を使うようなセックスは今までしてこなかった。快楽に弱い体のせいで潮を吹いたりはするが、ノーマルの範囲だと思う。
ならばあの箱の中を見ても用途が分からないかもしれないし、大人の玩具だとは思わないかもしれない。
「アナルパールに尿道バイブにエネマグラにボールギャグ。あとこれはコックリング」
スラスラと怪しい玩具たちの名前を口にする涼太。どこでそんな言葉を知ったのだろうか。
「おまえが、これを使いたいことくらい、わかってるんだからな」
「わ」
ベッドに押し倒され、腹に乗られる。こんなことが昔もあったなあとどこか呑気に考える。
そんなことを思っている間にも酔っ払いは両手に玩具を手にする。え、それ、俺に使う気じゃないよね?
「……へんたいのおまえが、ずっと普通のセックスなんておかしい。おまえ、ホントは他のやつと浮気してるんだろ」
「へ」
浮気?
もしかして嫉妬してるのだろうか。だとしたら可愛すぎだろう。
海斗の腹の上でぷんすこ怒っている可愛らしい生き物を何とかしないと、そろそろ我慢できそうにない。
「俺は涼太一筋だよ」
「じゃあこれは俺に使いたくて買ったってこと?」
「そ、それは……」
それは、そうなんですけど。
「別に、我慢しなくても、使えばいいだろ」
「ふぇっ?」
びっくりして変な声出た。
涼太は意味がわかっているのだろうか。
片思い時代に買ったコレクションたちを実際に使ったことは無い。両思いになってから涼太に使ってみたいと思わなかった訳では無いけど、嫌われたくなくて封印していた。
それでも捨てられなかったのは、たしかに諦めきれなかったからだ。涼太にはきっと全部似合う。ボールギャグくらいなら、とか。アナルパールくらいなら普通ではないか、とか。
ぐるぐる考えている間にも腹の上の涼太はファスナーを下ろし、自身を海斗の前に晒す。それから、箱の中から尿道バイブを取り出すと、海斗に押し付けてくる。
「りょ、涼太、さすがにそれは……」
「ちんこに刺すんだろ、やれよ」
いっそ男前なくらいの言い方で迫られても困るというか。だいたい何で使い方知ってるんだろう。
「おまえが、すくいようのない、へんたいだってことくらい知ってるんだからな。我慢してること全部やったらいいだろ」
もしかすると海斗も酔っていたのかもしれない。だからこんな都合のいい夢を見ているのだ。
夢なら、たしかに、我慢することも無いのかもしれない。
「ホントにいいの……?」
「いいってば」
本当にいいのだろうか。いや、夢なら何をしても許されるはずで、現に涼太もこうして迫ってきているわけで。
現実の涼太にはできないようなことを、ほんの少しくらいしても、大丈夫だろうか。
※※※
それまでずっと目を開けていたはずなのに急に「目が覚めた」ように思えた。気がつくとベッドに仰向けに寝かされていて、下半身には何も身につけていない。
酔った勢いでセックスでもしていたのか。だが尻穴に違和感はなく、海斗は涼太のペニスを何故か凝視している。
「じゃあ、いくよ」
「へ、なに――んあっ♡♡」
海斗の言葉の後に強烈な違和感が訪れる。無理矢理先端をこじ開けられているような……いや、正にそうだった。
抵抗しようとしたがよく見ると両腕がベッドに手錠で繋がれている。
「や、こわい……だめ……っ♡♡♡」
「大丈夫、怖くないよ」
海斗が手にしているものには見覚えがあった。涼太がリセットを繰り返していた頃、付き合う前の海斗が涼太に無理やり使ってきた玩具だった。あの頃は色々されたが、中でもこの尿道バイブはとびきり怖くて恥ずかしくて忘れられないものだった。
海斗と付き合ってから、何度もセックスしてきたが、かつてのアブノーマルさはほとんど無かった。ねちっこかったり、コスプレさせたりなどはあったが、あの玩具たちを使われたことは無かったのだ。
ベッドの下に隠されている玩具たちをどうするのかほんの少しだけ気になっていて。誰か自分以外の人間に使う気なのだろうかと勘ぐったりもしていたのだが。だってあの変態の海斗が普通のセックスで満足するはずがないのに。
「や、だめっ♡♡おねがい、ぬいて……っ♡」
「涼太が言ってくれたんだよ、我慢してること全部しろって」
「なにそれ、しらない……っ♡♡」
怖くて動けずにいる間に、尿道をゆっくりと突き進んでくる。昔味わった感覚ではあるが、もう何年も前のことだ。ぞわぞわして怖いだけなはずなのに、何故かこの先の快楽を期待してしまう。
「すごい、えっち……妄想してたよりずっとえっちだね。ペニスの穴が一生懸命咥えてる。あとでちゃんと閉じるかな……」
「や、やだぁ……」
かつて海斗の前でしてしまった粗相を思い出して泣きそうになるが、許してもらえない。行き止まりまでバイブが突き刺さると、スイッチを入れられてしまう。
「ひぁああああっ♡♡♡イク♡♡♡イク♡♡だめ、イク♡♡♡」
「出さずにイッてるね。いいよ、もっとイッて」
「やっ♡あっ♡とまんな、っ♡だめ♡♡」
バイブのせいで射精することはできず、それでも容赦なく訪れる波のせいで何度も果てる。だめ、こんなの、おかしくなる……。
「可愛い、涼太……」
「うう…………もうむりぃ」
ようやくスイッチは切ってもらったが尿道バイブはしっかりと突き刺さったままで、まだ射精させてはもらえない。変態野郎はぐすぐすとすすり泣いている涼太の頭を撫でると、今度は乳首をクリップで挟み始めた。
「いたい♡♡いたいからぁっ♡」
「気持ちよさそうなのに?」
「や、引っ張っちゃだめ♡♡」
足を大きく開かされ、アナルパールを挿入される。太さはないが、球がいくつも連なる形になっており、一つずつ入っていく感覚が何とも言えない。
「や、あっ♡♡はいんない、もうむり♡♡」
「すごい奥まで入っちゃうね。これ、何個目かわかる?」
「わかんな……ああっ♡♡」
一つ分押し込まれてはまた抜かれ、今度は二つ分押し込まれる。それなりの長さのあるアナルパールがどこまで入ってしまうのかと恐ろしく、行き止まりを突き破られたらどうしようと怖いのに、球を抜き差しされる度に内壁を擽られて気持ちいい。
「やっ♡♡だめ♡♡♡」
射精したくてそれしか考えられない。だが尿道がむずむずして、もし今射精したらきっと精液以外のものも出てしまう気がした。
快楽で訳が分からなくなっているのに、海斗がこちらにカメラを向けているのがわかった。録画されている。恥ずかしいことをされている姿を全部撮られている。クリップを挟まれて真っ赤に充血した乳首も、期待に潤ませた瞳も、いやらしく異物を咥え込んだアナルも、バイブに先端を塞がれたペニスも。
「いいよ、イッて」
海斗の手が、ペニスに触れる。あ、だめ、いま抜いたら……。
カメラがしっかりと涼太のペニスに向けられている。
「だめ、いま……んんんんっ♡♡♡♡」
ペニスからバイブが抜かれ、とろとろと精液が溢れ出す。勢いはなくいつまでも流れてくる精液がどんどんシーツを汚していく。
「や、だめっ♡でちゃう♡♡」
いつまでも続く射精は排尿感にも似ている。何度もそこを確かめるが、おそらくはまだ精液しか出ていない。それでもこのまま出し切ってしまえば、その先に何があるか想像できた。
もしも両腕が自由ならペニスを握りしめて耐えるのだが、それも許されない。
「あ……っ、あぁあああっ♡♡♡」
ちょろりとそれが出てしまえばもう止める術はなく、そのまま勢いよく音を立ててシーツを濡らしていく。我慢していたものが解き放たれる感覚は震えるほどに気持ちいいけれど、それを海斗に見られているのだと思うと恥ずかしくて堪らない。
「いっぱい出せたね」
海斗の手が頭を撫でて、それが心地よくて目を閉じた。
酔った自分が何をしでかしたのか聞かされた涼太は顔を赤くすればいいのか青くすればいいのかわからなかった。
たしかにあの海斗が普通のセックスで満足しているのか気になっていたのも事実で。だからといって酔った自分がそんなことをするなんて思わなかった。
嘘だ、あんなことしろなんて言うはずがない、と言いたかったが、酒を飲んだあとの記憶が無いのも事実だ。それに、うっすらとだけれど海斗の腹の上に乗って何か喚いたような記憶が残っている。
「涼太も気に入ってくれたみたいだし、これからは道具も使っていこうね」
――気に入ってはいない。
だが、海斗がスッキリしたように笑っているのを見ると、たまにならいいかなあと思ってしまうのだった。
……決して、癖になったとかそういうわけじゃなくて。
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