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メリーバッドエンド

⑪これでも我慢してました(三浦視点)

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「いいよ、これで最後にしようか。いいかげん涼太に素直になってもらいたいし」

 涼太を捕まえる自信はあった。何度も追いかけては捕まえてきた。何よりも涼太が本当は、心の底では海斗を受け入れているのだから、捕まるのだ。
 だから、また涼太を捕まえて、それでいよいよ終わり。でも涼太は素直になってくれるだろうか。

 そもそも、リセットボタンがある限り、涼太は逃げ続けるのではないか。
 そう思ったので、リセットボタンを取り上げた。これで涼太が逃げる方法は無くなった。

 追いかけっこはもうおしまい。
 涼太をどうすれば素直にできるだろうか。手の中のリセットボタンを弄んでいると、いいことを思いついた。



 ※※※

「池田、おはよう」

 教室で声をかけると、涼太がきょとんとした顔で海斗の顔をまじまじと見つめてくる。可愛くて我慢が出来なくなるのでやめてほしい。

「お、おはよう。三浦」

 リセットボタンを押したのが海斗だったせいか、涼太の記憶はしっかりと消えてしまった。戻った時間は海斗が涼太に告白する前。突然声をかけられたことに戸惑っているのだろう。
 それでも海斗は少しずつ涼太との距離を縮めることにした。涼太が一人でいるときにさりげなく話しかけたり、自分がフレイムを好きなことを告げたり。初めは海斗が何か企んでいるのかと警戒していた涼太も段々と心を許し、自然と笑うようになった。
 それこそが海斗の欲しかったものだ。

 すんなりと仲のいい友人のポジションに収まったが、それでもまだ足りない。涼太に好きになってもらうにはどうしたらいいのだろう。

「海斗?」

 涼太が不思議そうに首を傾げた。今日は海斗の家で二人で映画を見ながらケーキを食べていた。そのケーキが先ほどからちっとも進んでいなかったので、具合でも悪いのかと心配された。
 これまで外で遊んだりはしていたが、こうして密室で二人きりになるのは初めてだった。すぐそこにはベッドもある。
 これまで毎日のように涼太とセックスしていた海斗だったが、リセットしてからというもの、禁欲の日々だった。そろそろ三週間にもなろうとしていたそれが、限界だったのも確かだ。

 ダメだ、そんなことをしたら台無しになる。そうわかっているのに、涼太に近づいていく自分を止められない。だって涼太がそんなに可愛いから、無防備だから、簡単に自分を好きな男の家に上がり込むから。言い訳をいくつも頭に思い浮かべながら、海斗は涼太をベッドへ放り投げた。

「わっ……何するんだ……よ?」

 まだ何かの冗談だと思って涼太が笑いかけて、固まる。海斗の目を見たからだろう。たぶん自分は今飢えた肉食獣のような目をしているに違いないから。

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