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メリーバッドエンド
⑥その先にあるもの※
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たぶん、好きだからドキドキする。抱きしめられて心地よくて、恥ずかしくて逃げ出したくなる。きっと自分は三浦海斗のことが好きなのだろう。
自分の中でいつの間にこんな気持ちが生まれていたのかわからなかったけれど。
「キス、していい?」
涼太の返事を待たず、海斗が近づいてくる。返事をするのも気恥ずかしくて、代わりに目を閉じた。
視界が暗闇に閉ざされるとすぐに柔らかいものが唇に触れた。ファーストキスなのに慣れ親しんだ感覚に思えるのはいつもの夢のせいだろうか?
海斗の唇はそっと触れてはすぐに離れ、また優しく重ねられた。ただ唇と唇を触れさせているだけなのに心臓が痛いくらいにドキドキした。
「――んっ」
何度目かのキスで唇を軽く舐められた。くすぐったいだけなはずなのに、何度も舐められると背筋がゾクゾクして、体が熱くなってくる。
「涼太、もっと深いキスしようか」
頷くと口内に海斗の舌が入り込んでくる。他人の舌が、唾液が、と考えると気持ち悪いはずなのに、自然とそれを受け入れていた。
舌と舌とが絡み合って、自然とあふれてくる唾液を海斗が吸う。上顎を舌先でなぞられると、擽ったいだけではないむず痒さを感じた。
これが気持ちいいということなのだと、なんとなくわかってしまう。このままだとキスだけでは止まれなくなるかもしれないのに、抵抗する気になれなかった。
「いい?」
吸われすぎて唇がぽってりと腫れているんじゃないかと思う。
何を聞かれているのか、ハッキリと言われなかったけれど予想は着く。この先に進んでもいいのか、最後までしてもいいのか。海斗を拒むならたぶんこれが最後のチャンスで、本当に受け入れてもいいものかと頭の片隅で何かが引っかかるような、最後の理性のような何かが涼太を繋ぎ止めようとしていた。
好きなのに、何を迷うことがあるのだろう。ぼうっとした頭でそう思うのに、海斗のことを好きなはずなのに。頭の中で誰かが警告してくるような気がして。
でも、海斗のことが好きなのに何を迷うことがあるのだろうか。キスだけでこんなに気持ちいいのだから、その先へ進んだらきっとあの夢みたいに気持ちいいだろう。夜毎に疼く体も落ち着くかもしれない。
「――うん、いいよ」
そう答えると頭の片隅にあった違和感が小さくなっていく。再び重ねられた唇の心地良さに、また目を閉じて受け入れた。
自分の中でいつの間にこんな気持ちが生まれていたのかわからなかったけれど。
「キス、していい?」
涼太の返事を待たず、海斗が近づいてくる。返事をするのも気恥ずかしくて、代わりに目を閉じた。
視界が暗闇に閉ざされるとすぐに柔らかいものが唇に触れた。ファーストキスなのに慣れ親しんだ感覚に思えるのはいつもの夢のせいだろうか?
海斗の唇はそっと触れてはすぐに離れ、また優しく重ねられた。ただ唇と唇を触れさせているだけなのに心臓が痛いくらいにドキドキした。
「――んっ」
何度目かのキスで唇を軽く舐められた。くすぐったいだけなはずなのに、何度も舐められると背筋がゾクゾクして、体が熱くなってくる。
「涼太、もっと深いキスしようか」
頷くと口内に海斗の舌が入り込んでくる。他人の舌が、唾液が、と考えると気持ち悪いはずなのに、自然とそれを受け入れていた。
舌と舌とが絡み合って、自然とあふれてくる唾液を海斗が吸う。上顎を舌先でなぞられると、擽ったいだけではないむず痒さを感じた。
これが気持ちいいということなのだと、なんとなくわかってしまう。このままだとキスだけでは止まれなくなるかもしれないのに、抵抗する気になれなかった。
「いい?」
吸われすぎて唇がぽってりと腫れているんじゃないかと思う。
何を聞かれているのか、ハッキリと言われなかったけれど予想は着く。この先に進んでもいいのか、最後までしてもいいのか。海斗を拒むならたぶんこれが最後のチャンスで、本当に受け入れてもいいものかと頭の片隅で何かが引っかかるような、最後の理性のような何かが涼太を繋ぎ止めようとしていた。
好きなのに、何を迷うことがあるのだろう。ぼうっとした頭でそう思うのに、海斗のことを好きなはずなのに。頭の中で誰かが警告してくるような気がして。
でも、海斗のことが好きなのに何を迷うことがあるのだろうか。キスだけでこんなに気持ちいいのだから、その先へ進んだらきっとあの夢みたいに気持ちいいだろう。夜毎に疼く体も落ち着くかもしれない。
「――うん、いいよ」
そう答えると頭の片隅にあった違和感が小さくなっていく。再び重ねられた唇の心地良さに、また目を閉じて受け入れた。
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