リセットしてもヤンデレに犯される俺の話

メリーバッドエンド

④映画を見ました

　

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「涼太、明日映画観に行かない？」
「もしかして、フレイム？」
「うん」
「行く行く！やっぱ海斗なら一緒に行ってくれるかと思ったんだ！」

　今週末に始まる『炎の戦士フレイム』の劇場版。予告を見てからずっと観に行きたいと思っていたのだ。大人にも人気とはいえ子供向けの特撮ヒーローものだったから一人で観に行くのは抵抗があった。では誰と、と考えた時にすぐに思い浮かんだのは三浦海斗だった。海斗もフレイムが好きだし、一緒に観て感想を語り合うというのも楽しそうだった。
　海斗ならと口にしてから、あれ、と首を傾げる。いつから海斗と話すようになって、いつから名前で呼ぶようになったんだったっけ？
　たしか、偶然フレイムを見ていることを知って……最近……話すようになって。

「涼太？」

　海斗が心配そうにこちらを見てくるので「何でもない」と答えたが、記憶にどこかモヤがかかっているようでスッキリしない。大事なことを忘れているような気もしたし、この光景を前にも見たような……いや、漫画の読みすぎだろうか。

「映画、楽しみだね」

　海斗が楽しそうに言うと、なんとなく嬉しく思う。 映画も楽しみだが、海斗が楽しそうなのが嬉しい。

　……嬉しい一方で、近頃海斗の顔を見ていると体がムズムズして変な気分になったりもしていて。気のせいだと思おうとしても、変なところばかりムズムズするのだ。
　友達にムラムラするって、自分はもしかしたら変態なのかもしれない。

　そんな状態で明日海斗と遊んで大丈夫なのだろうかと心配ではあったけど、映画自体も、海斗と遊ぶことも楽しみだった。


　※※※


「…………あれはヤバかった」
「うん、映画ならではの熱い展開だったね」

　映画館を出てすぐに感想を語り合いたかったが、ちびっ子へのネタバレに配慮して海斗の家でテイクアウトしたハンバーガーに齧り付いている。
　うん、ヤバかった。

「フレイムとブラックナイトの共闘……まさかそんなの見られるとは」


　興奮して語彙力を失い、ヤバいとしか口にできない。
　いや、だって、共通の敵がいたからって正義の味方と敵幹部が手を組むって！ブラックナイトは敵幹部だけどカッコイイしファンも多い。それがフレイムと共闘？背中合わせで戦う？胸熱展開すぎて周囲の子供と一緒になって応援してしまった。

　今後ブラックナイトが味方になる展開を期待せずにはいられない映画だった。絶対DVD買う……。

　涼太が熱く語り、それに海斗が相槌を打ったり自身の感想を答える。ハンバーガーがなくなり、ポテトがなくなり。腹が満ちると共に興奮も落ち着いてくる。
　それで、ふと、何の気なしに、海斗の顔を見た。海斗はひどく穏やかな目で涼太をじっと見て、幸せそうに微笑んでいるように見えた。

「――っ、」

　瞬間、ゾクゾクと背筋を何かが這い上がるような、何かおかしな感覚に襲われた。